公共経済学

2.厚生経済学の基本定理 2
(完全)競争市場で達成される資源配分が
パレート効率的であることを示す。
1
2.1
予算集合と最適消費点
2.2
競争均衡とワルラス法則
2.3
エッジワースの箱と予算集合
2.4
厚生経済学の(第 1)基本定理
2.5
パレート効率性と限界代替率
2.6
限界代替率と厚生経済学の基本定理
2.7
補論 1:連続性、微分可能性、接線の傾き
2.8
補論 2*:厚生経済学の基本定理についての計算問題
2
「厚生経済学の(第 1)基本定理」とは、
「(完全)競争市場で達成される資源配分がパレー
ト効率的である」ことを主張するものである。
そして本章では、純粋交換経済において厚生経済学の基本定理が成立することを示す。
なお、より一般的な生産技術のケースにおける厚生経済学の基本定理については「4.5 補論
2」で検討する。
3
2.1 予算集合と最適消費点
(完全)競争市場で達成される資源配分がパレート効率的であることを示すための準備と
して、個人の最適化行動を検討する。
財 x の価格を p 、財 y の価格を1、価格の組を p と表すことにする。すなわち、 p  ( p,1)
である。
w i  ( xi , yi ) :個人 i の初期保有(点)
p  w i =個人 i の所得(額)
p  c i =個人 i の消費支出(額)
4
したがって、個人 i の所得を全て使って消費できる消費点の集合(領域)は直線になるので「予
算線(budget line)」と呼び、 B iL (p, w i ) と表す。すなわち、
B iL (p, w i ) : {c i | p  c i  p  w i , c i  0}
(2-1)
である( i  A, B )。
また、個人 i の所得の範囲内で消費できる消費点の集合を「予算集合(budget set)」と呼び、
B iS (p, w i ) と表すことにする。すなわち、
B iS (p, w i ) : {c i | p  c i  p  w i , c i  0}
(2-2)
となる( i  A, B )。
5
BiL (p, wi ) : {ci | p  ci  p  wi , ci  0}
BiS (p, wi ) : {ci | p  ci  p  wi , ci  0}
yi
(2-1)
(2-2)
予算線 BiL (p, w i )
w i  ( xi , yi )
yi
p
xi
予算集合 BiS (p, w i )
xi
p  ( p,1)
6
初期保有点 w i と価格の組 p1  ( p1 ,1) のもとでの予算制約を満たしつつ、最も好ましい(効
用を最大化する)消費点 c1i  ( xi1 , yi1 ) を「最適消費点」と呼ぶことにする。
また、 xi1 と yi1 をそれぞれ財 x と財 y に対する「需要量」と呼ぶ。
そして、最適消費点(あるいは需要量)は次の条件から求められる。まず、最適消費点 c 1i は
予算制約を満たすので、
c 1i  B iS (p1 , w i )
(2-3)
である。
また、予算の制約を満たす消費点で c 1i より好ましい消費点は存在しないので、
Pi (c1i )  B iS (p1 , w i )  
(2-4)
である。ここに、 Pi (c1i ) は個人 i の厳密な上方位集合である。
7
c 1i  BiS (p1 , w i )
Pi (c1i )  BiS (p1 , wi )  
yi
(2-3)
(2-4)
予算線 BiL (p1 , w i )
Pi (c1i )
yi
 c1i
p1
xi
予算集合 BiS (p1 , w i )
xi
p1  ( p1 ,1)
8
予算集合から予算線を取り除いた集合(領域)を B iS \ L (p, w i ) と表す。つまり、
BiS \ L (p, w i ) : {c i | p  c i  p  w i , c i  0}
(2-5)
である。
そのとき、選好の「単調性」の仮定と(2-4)から、上方位集合 Pi (c1i ) に関して、
Pi (c1i )  B iS \ L (p1 , w i )  
(2-6)
が成立する( i  A, B )。なお、「(2-4)⇒(2-6)」の対偶が成立することを、次の問題で図を
用いて説明しよう。
9
(問題 2-1)価格の組 p1 、予算線 B iL (p1 , w i ) 、予算集合 B iS (p1 , w i ) を xi yi 平面に図示し
なさい。また、(2-6)が成立していない Pi (c1i ) を 1 つ図示し、そのとき(2-4)が成
立しないことを説明しなさい。
yi
yi
予算線 BiL (p1 , w i )
 c1i
p1
xi
予算集合 BiS (p1 , w i )
xi
p1  ( p1 ,1)
10
Pi (c1i )  B iS \ L (p1 , w i )  
Pi (c1i )  BiS (p1 , wi )  
(2-6)
(2-4)
(問題 2-1)価格の組 p1 、予算線 B iL (p1 , w i ) 、予算集合 B iS (p1 , w i ) を xi yi 平面に図示し
なさい。また、(2-6)が成立していない Pi (c1i ) を 1 つ図示し、そのとき(2-4)が成
立しないことを説明しなさい。
Pi (c )  B
1
i
S \L
i
Pi (c1i )  BiS (p1 , wi )  
(p , wi )  
1
cˆ i  Pi (c1i )
yi
cˆ i  BiS \ L (p1 , w i )
かつ
予算線 BiL (p1 , w i )
Pi (c1i )
Pi (c1i )
 c1i
yi
 cˆ i
p1
xi
予算集合 BiS (p1 , w i )
BiS \ L (p1 , w i )
xi
p1  ( p1 ,1)
11
(問題 2-1)価格の組 p1 、予算線 B iL (p1 , w i ) 、予算集合 B iS (p1 , w i ) を xi yi 平面に図示し
なさい。また、(2-6)が成立していない Pi (c1i ) を 1 つ図示し、そのとき(2-4)が成
立しないことを説明しなさい。
Pi (c1i )  BiS \ L (p1 , wi )  
yi
(2-6)
予算線 BiL (p1 , w i )
Pi (c1i )
yi
Pi (c1i )
 c1i
p1
xi
予算集合 BiS (p1 , w i )
BiS \ L (p1 , w i )
xi
p1  ( p1 ,1)
12
また、(2-3)と(2-6)より、 c1i  Pi (c1i ) なので、次の関係が成立することになる。
c 1i  BiL (p1 , w i )
(2-7)
c1i  Pi (c1i )
Pi (c )  B
1
i
S \L
i
(p , wi )  
1
c 1i  BiS (p1 , w i )
(2-6)
(2-3)
c1i  BiS \ L (p1 , wi )
c1i  BiL (p1 , wi )
13
(問題 2-1)価格の組 p1 、予算線 B iL (p1 , w i ) 、予算集合 B iS (p1 , w i ) を xi yi 平面に図示し
なさい。また、(2-6)が成立していない Pi (c1i ) を 1 つ図示し、そのとき(2-4)が成
立しないことを説明しなさい。
Pi (c1i )  BiS \ L (p1 , wi )  
yi
(2-6)
予算線 BiL (p1 , w i )
Pi (c1i )
yi
Pi (c1i )
 c1i
p1
xi
予算集合 BiS (p1 , w i )
BiS \ L (p1 , w i )
xi
p1  ( p1 ,1)
14
2.2
競争均衡とワルラス法則
価格の組 p*  ( p * ,1) と消費点 c *i  ( xi* , yi* ) が、
c*i  B iS (p* , w i )
( i  A, B )
(2-8)
Pi (c*i )  B iS (p* , w i )  
( i  A, B )
(2-9)
x*A  xB*  x A  xB
(2-10)
y*A  yB*  y A  yB
(2-11)
の 6 つの条件を満たすとき、 (p* , c*A , c*B ) あるいは ( p * , x *A , y *A , x B* , y B* ) は「競争均衡」であ
る。
(2-8)=予算制約の条件
(2-9)=個人の最適化の条件
(2-10)=財 x 市場の均衡条件
(2-11)=財 y 市場の均衡条件
15
(2-8)、(2-9)、(2-10)、(2-11)の 6 つの条件式で決定される競争均衡の変数は 5 つであり、条
件式の数が変数の数より 1 つ多い。
しかし 、 (2-7) 、 (2-8) 、 (2-9) より c*i  BiL (p* , w i ) だ から、 p*  c*i  p*  w i が成 立する
( i  A, B )
。したがって、
(2-12)
p*  (c*A  c*B  w A  w B )  0
である。
p  (c  c )  p  (w A  w B )
*
*
A
*
B
*
p*  c*A  p*  w A
p*  c*B  p*  w B
すなわち、
p*  ( x*A  xB*  xA  xB )  ( y*A  yB*  y A  yB )  0
(2-13)
が成立するので、( p * , x *A , y *A , x B* , y B* ) が(2-8)、(2-9)、(2-10)の 5 つの条件を満たしていれば、
( p * , x *A , y *A , x B* , y B* ) は(2-11)も満たすことになる。
(問題 2-2) ( p * , x *A , y *A , x B* , y B* ) が(2-8)、(2-9)、(2-11)の 5 つの条件を満たしていれば、
( p * , x *A , y *A , x B* , y B* ) は、(2-10)または p *  0 を満たすことを示しなさい。
16
以上より、 p *  0 のとき以外は、(2-10)あるいは(2-11)は独立ではない。言い換えれば、
財市場の均衡条件のうち 1 つを無視して、均衡(相対)価格 p * と均衡における資源配分
a*  ( x *A , y *A ), ( xB* , y B* ) を求めることができることになる。そして、この性質は「ワルラ
ス法則」と呼ばれる。
(相対)価格 p のもとでの個人 i の財 x (財 y )の需要量が一意的に定まるとき、その需要量
xi ( yi )は価格 p の関数になるので、その関数を xi  xid ( p) と( yi  yid ( p) と)表し「財
x (財 y )の需要関数」と呼ぶことにする。また、 p *  0 のときは(2-10)と(2-11)の両方
の条件を考慮する必要がある。
そして、p *  0 のとき以外は、
「競争均衡」における均衡価格 p * は「ワルラス法則」より、
x Ad ( p* )  xBd ( p* )  x A  xB
y Ad ( p* )  y Bd ( p* )  y A  y B
(2-14)
(2-15)
のどちらか片方の財市場の均衡条件から求めることができる。そして、競争均衡における
(で達成される)「資源配分 a*  ( x *A , y *A ), ( x B* , y B* ) 」は、 xi*  xid ( p * ) かつ yi*  yid ( p * )
より求められる( i  A, B )。
17
2.3
エッジワースの箱と予算集合
競争均衡の資源配分について検討する準備として、予算集合と予算線をエッジワースの箱
型図の中で表現しよう。個人 i の予算線 B iL (p, w i ) を、資源の初期保有配分 w  (w A , w B )
が与えられたもとで、エッジワースの箱の領域 E w に制限して、個人 A の消費平面で捉えた
ものを( w i を w に置き換えて) B iL (p, w) と置けば、
B LA (p, w) : {c A | p  c A  p  w A , c A  E w }
(2-16)
B LB (p, w) : {c A | p  c B  p  w B , c A  c B  w A  w B , c A  E w }
(2-17)
である( i  A, B )。
そして、次の関係が成立する。
B LA (p, w)  B LB (p, w)
(2-18)
18
(問題 2-3)(2-18)を導出しなさい。また、B LA (p, w) 、B LB (p, w) 、BSA (p, w) 、B SB\ L (p, w) 、
BSB (p, w) 、 B SA\ L (p, w) をエッジワースの箱型図の中に図示することで、(2-19)
と(2-20)が成立することを確認しなさい。
B LA (p, w)  B LB (p, w)
B LA (p, w)  {c A | p  c A  p  w A , c A  E w }
B LB (p, w)  {c A | p  c B  p  w B , c A  c B  w A  w B , c A  Ew }
(2-18)
(2-16)
(2-17)
BLB (p, w)  {c A | p  c B  p  w B , c A  c B  w A  w B , c A  Ew }
 {c A | p  (w A  w B  c A )  p  w B , c A  Ew }
 {c A | p  (w A  c A )  0, c A  Ew }
 {c A | p  w A  p  c A , c A  Ew }
 B LA (p, w)
19
B LA (p, w)  {c A | p  c A  p  w A , c A  E w }
B LB (p, w)  {c A | p  c B  p  w B , c A  c B  w A  w B , c A  Ew }
(2-16)
(2-17)
B LA (p, w)  B LB (p, w)
yA
(2-18)
xB
xB
p
yB
yA
p
xA
xA
p  ( p,1)
yB
20
予算集合 BiS (p, w i ) を、w が与えられたもとで、E w に制限して、個人 A の消費平面で捉え
たものを B iS (p, w ) と置くことにする。
すなわち、 BSA (p, w) は(2-16)の「 p  c A  p  w A 」を「 p  c A  p  w A 」に置き換えたもの、
BSB (p, w) は(2-17)の「 p  c B  p  w B 」を「 p  c B  p  w B 」に置き換えたものである。
BSA (p, w)  {c A | p  c A  p  w A , c A  E w }
BSB (p, w)  {c A | p  c B  p  w B , c A  c B  w A  w B , c A  Ew }
B SB\ L (p, w) は(2-17)の「 p  c B  p  w B 」を「 p  c B  p  w B 」に置き換えたものである。
BSA\ L (p, w)  {c A | p  c A  p  w A , c A  E w }
BSB\ L (p, w)  {c A | p  c B  p  w B , c A  c B  w A  w B , c A  Ew }
そして、次の関係が成立する。
B SA (p, w)  B SB\ L (p, w)  B SB (p, w)  B SA\ L (p, w)  
B SA (p, w)  B SB\ L (p, w)  B SB (p, w)  B SA\L (p, w)  E w
(2-19)
(2-20)
21
(問題 2-3)(2-18)を導出しなさい。また、B LA (p, w) 、B LB (p, w) 、BSA (p, w) 、B SB\ L (p, w) 、
BSB (p, w) 、 B SA\ L (p, w) をエッジワースの箱型図の中に図示することで、(2-19)
と(2-20)が成立することを確認しなさい。
B SA (p, w)  B SB\ L (p, w)  B SB (p, w)  B SA\ L (p, w)  
B SA (p, w)  B SB\ L (p, w)  B SB (p, w)  B SA\L (p, w)  E w
(2-20)
B LA (p, w)  B LB (p, w)
yA
xB
(2-19)
(2-18)
xB
B SB\ L (p, w)
yB
yA
p
xA
xA
BSA (p, w)
p  ( p,1)
yB
22
(問題 2-3)(2-18)を導出しなさい。また、B LA (p, w) 、B LB (p, w) 、BSA (p, w) 、B SB\ L (p, w) 、
BSB (p, w) 、 B SA\ L (p, w) をエッジワースの箱型図の中に図示することで、(2-19)
と(2-20)が成立することを確認しなさい。
B SA (p, w)  B SB\ L (p, w)  B SB (p, w)  B SA\ L (p, w)  
B SA (p, w)  B SB\ L (p, w)  B SB (p, w)  B SA\L (p, w)  E w
(2-20)
B LA (p, w)  B LB (p, w)
yA
xB
(2-19)
(2-18)
xB
BSB (p, w)
yB
yA
p
xA
xA
BSA (p, w)
B SA\ L (p, w)
p  ( p,1)
yB
23
2.4 厚生経済学の基本定理
競争均衡 (p* , a* ) における資源配分 a * がパレート効率的であるかどうかを検討しよう。
まず、(2-10)と(2-11)より、資源配分 a *  (c*A , c*B )  (c*A , w A  w B  c*A ) であり、(2-8)より
c *A  E w だから、 a * は実現可能な資源配分である。
したがって、(2-8)と(2-9)はエッジワースの箱の領域に制限した予算集合と厳密な上方位集
合を用いて
c *A  B SA (p* , w)  B SB (p* , w)
Piw (c*i )  BiS (p* , w)  
(2-21)
( i  A, B )
(2-22)
と書き換えることができる。
したがって、 Piw (c*i )  Piw (c*i )  I iw (c*i ) と(2-22)を用いれば、
Piw (c*i )  BiS (p* , w)  I iw (c*i )  BiS (p* , w)
が成立する( i  A, B )。
(2-23)
24
(問題 2-4)(2-23)を導出しなさい。また、問題 2-3 の図に PAw (c*A ) と I wA (c*A ) を描き加える
ことで、(2-23)が成り立っていることを確認しなさい。
Piw (c*i )  BiS (p* , w)  I iw (c*i )  BiS (p* , w)
(2-23)
(X  Y)  Z  (X  Z)  (Y  Z)
Piw (c*i )  BiS (p* , w)  Piw (c*i )  Iiw (c*i )  BiS (p* , w)
 Piw (c*i )  BiS (p* , w)  I iw (c*i )  BiS (p* , w)
   Iiw (c*i )  BiS (p* , w)
 Iiw (c*i )  BiS (p* , w)
Piw (c*i )  BiS (p* , w)  
( i  A, B )
(2-22)
25
(問題 2-4)(2-23)を導出しなさい。また、問題 2-3 の図に PAw (c*A ) と I wA (c*A ) を描き加える
ことで、(2-23)が成り立っていることを確認しなさい。
Piw (c*i )  BiS (p* , w)  I iw (c*i )  BiS (p* , w)
(2-23)
yA
B SB (p* , w)
xB
xB
p*
w
B
PAw (c*A )
*
B
I (c )
B SA (p* , w)
・c
*
A
yA
[c*B ]
yB
I wA (c*A )
xA
PBw (c*B )
xA
yB
26
(2-6)と同様にして、選好の「単調性」と(2-22)より、弱選好集合は予算集合から予算線を取
り除いた部分とは共通部分を持たないので、エッジワースの箱の領域に制限してもその関係
は成立する。つまり、
Piw (c*i )  BiS \ L (p* , w)  
である( i  A, B )。
(2-24)
Pi (c1i )  BiS \ L (p1 , wi )  
(2-6)
そのとき、(2-19)と(2-20)より、
PAw (c*A )  BSB (p, w)
(2-25a)
PBw (c*B )  BSA (p, w)
(2-25b)
が成立する。
B SA (p, w)  B SB\ L (p, w)  B SB (p, w)  B SA\ L (p, w)  
B SA (p, w)  B SB\ L (p, w)  B SB (p, w)  B SA\L (p, w)  E w
(2-19)
(2-20)
27
PAw (c*A )  BSB (p, w)
(2-25a)
PBw (c*B )  BSA (p, w)
(2-25b)
yA
B SB (p* , w)
xB
xB
p*
PAw (c*A )
I wB (c*B )
B SA (p* , w)
・c
*
A
yA
[c*B ]
yB
I wA (c*A )
xA
xA
PBw (c*B )
yB
28
PAw (c*A )  BSB (p, w)
(2-25a)
PBw (c*B )  BSA (p, w)
(2-25b)
したがって、(2-25a)、(2-25b)より、
PAw (c*A )  PBw (c*B )  BSA (p* , w)  BSB (p* , w)
(2-26)
である。
そして、 I wA (c*A )  I wB (c*B )  PAw (c*A )  PBw (c*B ) なので、(2-23)と(2-26)より、
PAw (c*A )  PBw (c*B )  I wA (c*A )  I wB (c*B )
(2-27)
が成立する。
Piw (c*i )  BiS (p* , w)  I iw (c*i )  BiS (p* , w)
(2-23)
29
(問題 2-5)(2-27)を導出しなさい。また、問題 2-3 の図に PBw (c*B ) と I wB (c *B ) を描き加える
ことで、(2-27)が成り立っていることを確認しなさい。
Piw (c*i )  BiS (p* , w)  Iiw (c*i )  BiS (p* , w)
PAw (c*A )  PBw (c*B )  BSA (p* , w)  BSB (p* , w)

(2-23)
(2-26)

PAw (c*A )  PBw (c*B )  PAw (c*A )  PBw (c*B )  BSA (p* , w)  BSB (p* , w)
(2-23)

 
 PAw (c*A )  BSA (p* , w)  PBw (c*B )  BSB (p* , w)

 I wA (c*A )  BSA (p* , w)  I wB (c*B )  BSB (p* , w)
 I wA (c*A )  I wB (c*B )  BSA (p* , w)  BSB (p* , w)
 I wA (c*A )  I wB (c*B )
I wA (c*A )  I wB (c*B )  PAw (c*A )  PBw (c*B )
 B wA (p* , w)  B wA (p* , w)
(2-26)
30
(問題 2-5)(2-27)を導出しなさい。また、問題 2-3 の図に PBw (c*B ) と I wB (c *B ) を描き加える
ことで、(2-27)が成り立っていることを確認しなさい。
PAw (c*A )  PBw (c*B )  I wA (c*A )  I wB (c*B )
(2-27)
yA
B SB (p* , w)
xB
xB
p*
PAw (c*A )
I wB (c*B )
B SA (p* , w)
・c
*
A
yA
[c*B ]
yB
I wA (c*A )
xA
xA
PBw (c*B )
yB
31
(問題 2-5)(2-27)を導出しなさい。また、問題 2-3 の図に PBw (c*B ) と I wB (c *B ) を描き加える
ことで、(2-27)が成り立っていることを確認しなさい。
PAw (c*A )  PBw (c*B )  I wA (c*A )  I wB (c*B )
(2-27)
yA
B SB (p* , w)
xB
xB
p*
PAw (c*A )
I wB (c*B )
B SA (p* , w)
・c
*
A
yA
[c*B ]
yB
I wA (c*A )
xA
xA
PBw (c*B )
yB
32
したがって、(1-12)と(2-27)より、市場均衡における資源配分 a * をパレート改善する資源配
分は存在しない。つまり、
Pw (a* )  
が成立する。
(2-28)
(1-12)
⇒
Pw (a* )  {c*A | c*A  PAw (c*A )  PBw (c*B ), c*A  I wA (c*A )  I wB (c*B )}
PAw (c*A )  PBw (c*B )  I wA (c*A )  I wB (c*B )
(2-27)
したがって、(1-13)と(2-28)より、次の定理が導かれることになる。
「厚生経済学の(第1)基本定理」
:競争均衡における(で達成される)資源配分 a* はパレート効率的である。
「資源配分 a 0 がパレート効率的である」ことを、次のように表すことができる。
Pw (a0 )  
(1-13)
33
2.5 パレート効率性と限界代替率
以上の議論は、無差別曲線に接線が存在しない(
「滑らかな曲線」でない)場合も含めた議
論であった(「接線」については「2.7 補論 1」を参照)
。
それに対して、2.5 節と 2.6 節では無差別曲線に接線が存在する(が「滑らかな曲線」であ
る)場合に着目する。
そして、市場均衡における資源配分を限界代替率を用いて特徴づけることで、厚生経済学
の基本定理を導出する。
34
消費点 c i0  ( xi0 , yi0 ) を通る個人 i の無差別曲線 I i (c i0 ) の点 c i0 における接線が存在すれば、
限界代替率は次のように定義される。すなわち、
MRSi (c i0 ) =「個人 i の消費点 ci0 における限界代替率」
=「消費点 c i0 を通る I i (c i0 ) の点 c i0 における接線の傾き(の絶対値)」
そして、その無差別曲線 I i (c i0 ) は、効用関数を用いて U i ( xi , yi )  U i ( xi0 , yi0 ) と表すこと
ができるが((1.8)を参照)、2.5 節と 2.6 節ではこの式を yi について解いくことができると
して、その関数を(上付き添え字 0 を付けて)
yi  I i0 ( xi )
と表すことにする。そのとき、
I i (c i0 )  {c i0  ( xi , yi ) | yi  I i0 ( xi )}
なので、曲線 yi  I i0 ( xi ) は無差別曲線 I i (c i0 ) を表している。
また、関数 yi  I i0 ( xi ) は任意の x i において微分可能であるとする(微分については「2.7
補論 1」を参照)
。そのとき、選好の「単調性」より任意の x i について I i0 ´( xi )  0 が成立す
ることになり、限界代替率 MRSi (c i0 ) は
MRSi (c i0 )  I i0 ´( xi0 )
と表すことができる。なお、 I i0 ´( xi0 ) は I i0 ( xi ) の xi  xi0 における微分係数である。
35
(問題 2-6) c i0  ( xi0 , yi0 ) における限界代替率 MRSi (c i0 ) を、 x i yi 平面に図示しなさい。
yi
・
・
y
0
i
ci0  ( xi0 , yi0 )
MRSi (ci0 )
・・
xi0
yi  I i0 ( xi )
xi
I ´( x )
0
i
0
i
MRSi (c i0 )  I i0 ´( xi0 )
36
yA
MRSA (c0A ) は存在しない。
・c
0
A
yi  I i0 ( xi )
xA
37
エッジワースの箱の領域の「内部」を Ew  と表すことにする。すなわち、 Ew  は
o
Ew o : {c A | 0  c A  w A  w B }
o
(2-29)
と定義される。
そして、実現可能な資源配分 a 0  (c 0A , c 0B ) = (c 0A , w A  w B  c 0A ) と c i0  ( xi0 , yi0 ) を通る無差
別曲線 yi  I i0 ( xi ) が
(1)
c 0A  (E w ) o
(2) 任意の x i について I i0 ´´( xi )  0 である( i  A, B )。
の 2 つの条件を満たしているとする。なお、 I i0 ´´( xi ) は 2 階の微分係数である。
そのとき、
「 MRSA (c0A )  MRSB (c 0B )
⇒
P w (a 0 )   」
(2-30)
が成立することになる。
38
選好の「単調性」
(1)
c 0A  (E w ) o
(2) 任意の x i について I i0 ´´( xi )  0 である( i  A, B )。
MRSA (c0A )  MRSB (c 0B )
y A  I A0 ( x A ) の c0A における接線と y B  I B0 ( x B ) の c0B における接線は一致する。
PAw (c 0A ) は「その接線の右上の領域」に含まれる。
PBw (c 0B ) は「その接線の左下の領域」に含まれる。
39
(問題 2-7)MRSA (c0A )  MRSB (c 0B ) のケースについて、Piw (ci0 ) 、I i (c i0 ) 、そして P w (a 0 )
を図示することで、 P w (a 0 )   が成立することを確認しなさい( i  A, B )。
yA
xB
xB
MRSB (c0B )
PAw (c0A )
I wB (c0B )
yA
・c
0
A
[c0B ]
yB
MRSA (c0A )
I wA (c0A )
xA
xA
PBw (c0B )
yB
40
選好の「単調性」
(1)
c 0A  (E w ) o
(2) 任意の x i について I i0 ´´( xi )  0 である( i  A, B )。
MRSA (c0A )  MRSB (c 0B )
y A  I A0 ( x A ) の c0A における接線と y B  I B0 ( x B ) の c0B における接線は一致する。
PAw (c 0A ) は「その接線の右上の領域」に含まれる。
PBw (c 0B ) は「その接線の左下の領域」に含まれる。
I wA (c0A )  I wB (c0B ) は
PAw (c0A )  PBw (c0B ) は
「その接線」に含まれる。
「その接線」に含まれる。
PAw (c0A )  PBw (c0B )  
41
パレート改善集合 P (a ) は空集合になる。
w
0
(問題 2-7)MRSA (c0A )  MRSB (c 0B ) のケースについて、Piw (ci0 ) 、I i (c i0 ) 、そして P w (a 0 )
を図示することで、 P w (a 0 )   が成立することを確認しなさい( i  A, B )。
yA
PAw (c0A )  PBw (c0B )  {c0A}  I wA (c0A )  I wB (c0B )
xB
xB
MRSB (c0B )
PAw (c0A )
I wB (c0B )
yA
・c
0
A
[c0B ]
yB
MRSA (c0A )
I wA (c0A )
xA
xA
PBw (c0B )
yB
42
(問題 2-7)MRSA (c0A )  MRSB (c 0B ) のケースについて、Piw (ci0 ) 、I i (c i0 ) 、そして P w (a 0 )
を図示することで、 P w (a 0 )   が成立することを確認しなさい( i  A, B )。
yA
MRSA (c0A ) は存在しない。
xB
xB
MRSB (c0B )
PAw (c0A )
I wB (c0B )
yA
・c
0
A
[c0B ]
yB
I wA (c0A )
xA
PBw (c0B )
xA
yB
43
Pw (a0 )
yA
xB
MRSB (c0B )
 c 0A
I A (c0A )
MRSA (c0A )
xA
I B (c0B )
yB
MRSA (c0A )  MRSB (c0B )
44
2.6 限界代替率と厚生経済学の基本定理
以上の準備のもとで、競争均衡における資源配分 a*  (c*A , c*B ) がエッジワースの箱の内部
に存在して、その資源配分 a* における個人 i の消費点 c*i を通る無差別曲線 yi  I i* ( xi ) が原
点に向かって凸であるとする。すなわち、
(1)
c:A*  (E w ) o
(2) 任意の x i について I i*´´( xi )  0 である( i  A, B )。
そして、これら 2 つの条件が満たされている場合は、厚生経済学の基本定理を、限界代替
率を用いて次のように導出することができる。
競争均衡における資源配分 a*  (c*A , c*B ) では、個人 A の最適消費点 c *A における限界代替率
MRSA (c*A ) と均衡(相対)価格 p* が一致する。すなわち、最適消費点 c *A は、
MRSA (c*A )  p *
を満たす。
(2-31a)
45
(問題 2-8)上述の(1)と(2)の条件が満たされている場合に、(2-31a)が成立しているケース
と成立していないケースを図示しなさい。そして、(2-31a)が成立していない場合
には、 c *A が最適消費点ではないことを説明しなさい。
46
(問題 2-8)上述の(1)と(2)の条件が満たされている場合に、(2-31a)が成立しているケース
と成立していないケースを図示しなさい。そして、(2-31a)が成立していない場合
には、 c *A が最適消費点ではないことを説明しなさい。
yA
xB
xB
PAw (c*A )
B SA (p* , w)
・c
*
A
yA
yB
MRSA (c*A )  p*
I wA (c*A )
xA
xA
yB
47
(問題 2-8)上述の(1)と(2)の条件が満たされている場合に、(2-31a)が成立しているケース
と成立していないケースを図示しなさい。そして、(2-31a)が成立していない場合
には、 c *A が最適消費点ではないことを説明しなさい。
yA
xB
xB
PAw (c*A )
・c
*
A
B SA (p* , w)
yB
yA
p*
MRSA (c*A )
I wA (c*A )
xA
xA
yB
48
同様にして、個人 B の最適消費点 c *B は
MRSB (c*B )  p *
(2-31b)
を満たす。したがって、(2-31a)と(2-31b)より、
MRSA (c*A )  p *  MRSB (c*B )
(2-32)
である。
すなわち、競争均衡における資源配分における両個人の限界代替率は、均衡価格を仲介と
して、一致することになる。
したがって、ここに(2-30)を適用すれば、(2-28)が成立するので、(1-13)より競争均衡にお
ける資源配分 a*  (c*A , c*B ) はパレート効率的な資源配分である。
49
MRSA (c*A )  p *  MRSB (c*B )
(2-32)
yA
B SB (p* , w)
xB
xB
p*  MRSB (c*B )
PAw (c*A )
I wB (c*B )
B SA (p* , w)
・c
*
A
yA
[c*B ]
yB
MRSA (c*A )  p*
I wA (c*A )
xA
xA
PBw (c*B )
yB
50
yA
MRSA (c*A ) は存在しない。
BBS (p* , w)
xB
xB
p*  MRSB (c*B )
PAw (c*A )
I wB (c*B )
B SA (p* , w)
・c
*
A
yA
[c*B ]
yB
p*
I wA (c*A )
xA
PBw (c*B )
xA
yB
51
(問題 2-9)条件(1)は成立しているが条件(2)が成立していないときに、(2-32)は成立してい
ても資源配分 a*  (c*A , c*B ) がパレート効率的でないケースを図示しなさい。また、
条件(2)は成立していているが条件(1)が成立していないときには、限界代替率
MRSA (c*A ) あるいは MRSB (c*B ) が定義できなくなることを、図を用いて説明しな
さい。
yA
xB
MRSB (c*B )
 c*A [c*B ]
I A (c*A ) MRSA (c*A )
xA
I B (c*B )
MRSA (c*A )  MRSB (c*B )
yB
Pw (a* )  
MRSA (c*A )  p *  MRSB (c*B )
(2-32)
52
(問題 2-10)パレート効率的な資源配分を、市場を通じた民間経済主体間の交換活動で達
成する方法と、政府が計画的に配分することで達成する方法について、必要な情
報量の観点から比較検討しなさい。特に、どの経済主体がどれだけの情報量を必
要とするかについて比較検討しなさい。また、競争均衡を定義するときに(暗黙に)
想定されている重要な前提を指摘するとともに、それらの前提の現実経済におけ
る妥当性について検討しなさい。
53
2.7 補論 1:連続性、微分可能性、接線の傾き
関数 y  f (x) (あるいは f (x ) )において、 f ( x  h) の h を正に保ちつつゼロに近づけて
行った場合( h  0 )の極限値を
lim f ( x  h)
h  0
と表す。また同様に、 f ( x  h) の h を負に保ちつつゼロに近づけて行った場合( h  0 )
の極限値を
lim f ( x  h)
h  0
と表す。
そして、
「(関数 f (x ) は x  x において)連続」であるとは、次の条件が成立することで
ある。すなわち、
lim f ( x  h)  f ( x )  lim f ( x  h)
h  0
h  0
(2A-1)
である。
54
また、関数 y  f (x) (あるいは f (x) )を x y 平面に図示した曲線において
f ( x  h)  f ( x )
h
(2A-2)
は点 ( x , f ( x )) と点 ( x  h, f ( x  h)) を結ぶ直線の傾きであり、この値は
「( x が x から x  h まで変化したときの f (x) の)平均変化率」
と呼ばれる。
55
(問題 2A-1) x y 平面に曲線 y  f (x) を描き、その中に「( x が x から x  h まで変化した
ときの f (x) の)平均変化率」を図示しなさい。
y
f ( x  h)
f ( x  h)  f ( x )
h
f (x )
y  f (x)
x
xh
x
56
「(関数 y  f (x) は x  x において)微分可能」であるとは、平均変化率(2A-2)の h を負に
保ちつつゼロに近づけて行った場合にも、h を正に保ちつつゼロに近づけて行った場合にも
極限が存在して、両方の極限値が一致することである。すなわち、
lim
h  0
f ( x  h)  f ( x )
f ( x  h)  f ( x )
 lim
h  0
h
h
(2A-3)
が成り立つことである。そして、この条件が成り立つとき、その値を「
(関数 f (x) の x  x
におる)微分係数」と呼び、 f (x ) と表すことにする。
そして、
「(曲線 y  f (x) の x  x における)接線」は、その微分係数 f (x ) を用いて、
(2A-4)
y  f ( x )  ( x  x )  f ( x )
と定義される。
したがって、関数 f (x) が x  x において微分可能であれば、曲線 y  f (x) の点 ( x , f ( x )) に
おける接線が定義できる(あるいは存在する)ことになる。
さらに、a  x  b を満たす任意の x において f (x) が微分可能であるとき、 f (x) は「導関
数」と呼ばれる。
そして、導関数 f (x) の x  x における微分係数を f (x ) と表し「2 階の微分係数」と呼ぶ。
57
(問題 2A-2)問題 2A-1 で描いた曲線 y  f (x) 上の点 x , f ( x )  における接線の傾きが
f (x ) であることを、図を用いて説明しなさい。
y  f ( x )  ( x  x )  f ( x )
y
(2A-4)
h0
f ( x  h)
f ( x  h)  f ( x )
h
f (x )
f (x )
x
y  f (x)
xh
x
58
(問題 2A-3)関数 k (x) を k ( x) : f ( x)  g ( x) と定義するとき、 k ( x)  f ( x)  g ( x) が成
立することを説明しなさい。
k ( x  h)  k ( x )
h 0
h
k ( x)  lim
 lim
 f ( x  h)  g ( x  h)    f ( x )  g ( x ) 
h 0
 lim
h
 f ( x  h)  f ( x )    g ( x  h)  g ( x ) 
h 0
 lim
h 0
h
f ( x  h)  f ( x )
g ( x  h)  g ( x )
 lim
h 0
h
h
 f ( x)  g ( x)
59
(問題 2A-4) f ( x)  a  x 2  b  x  c のとき f ( x)  2a  x  b であることを説明しなさい。
f ( x)  lim
h 0
f ( x  h)  f ( x )
h

a  ( x  h) 2  b  ( x  h)  c   a  x 2  b  x  c 
 lim
h 0
h
a  h 2  2a  x  h  b  h
h 0
h
 lim
 lima  h  2a  x  b 
h 0
 2a  x  b
(問題 2A-5*) f ( x)  a / x のとき、 f ( x)  a / x 2 であることを説明しなさい。また、
f ( x)  2a x  b のとき、 f ( x)  a / x であることを説明しなさい。
60
2.8 補論 2*:厚生経済学の基本定理についての計算問題
この補論では、
「2.7 補論 1」の結果などを用いながら、厚生経済学の基本定理に関連した計
算問題を検討する。なお、この補論の全ての問題で、個人 A の初期保有が ( x A , y A )  (5, 2) 、
個人 B の初期保有が ( x B , y B )  (1,12) であるとする。また、効用関数に関しては、問題 2A-7
から問題 2A-10 までは、個人 i の効用関数が
ui  yi  maxki  xi , 0
であるとする( i  A, B )。すなわち、
2
 y i  k i  xi 2 if
ui  
if
 yi
(2A-5)
xi  k i
k i  xi
(2A-6)
である。ここに、k i は定数であり、個人 A と個人 B のその値はそれぞれ k A  8 かつ k B  6
であるとする。なお、問題 2A-9 で確認するように、(2A-5)の効用関数のもとで導出される
財 x の需要曲線は直線になる。また、以上の想定のもとでは k A  k B  x A  xB の関係が成
立しているので、効用関数が ui  yi  ki  xi  であるとして問題を解いても答えは同じに
2
なる。
61
(問題 2A-7*)個人 A の消費点 c1A  ( x1A , y1A )  (4,10) における限界代替率 MRSA (c1A ) を求
めなさい。(ヒント)問題 2A-4 の結果を用いる。
(問題 2A-8*)パレート効率的な資源配分の軌跡(契約曲線)を求めなさい。
(問題 2A-9*)価格 p の下での個人 i の需要量 xid ( p) 、 yid ( p) を求めなさい( i  A, B )。
また、個人 i の財 x の需要関数 x  xid ( p) 、両個人の需要量の合計を対応させる関
数 x  x Ad ( p)  x Bd ( p) を x p 平面に図示しなさい。
(問題 2A-10*)競争均衡における価格 p * と資源配分 ( x *A , y *A ), ( x B* , y B* ) を求め、その資源
配分がパレート効率的であることを確認しなさい。
62
(問題 2A-7*)個人 A の消費点 c1A  ( x1A , y1A )  (4,10) における限界代替率 MRSA (c1A ) を求
めなさい。(ヒント)問題 2A-4 の結果を用いる。
y A  xA  82  uA  ( xA )2 16xA  64  uA
dyA
 2 x A  16
dxA
MRSA (c1A )   (2 x A  16)
MRSA (c1A )   (2  4  16)  8
63
(問題 2A-8*)パレート効率的な資源配分の軌跡(契約曲線)を求めなさい。
y B  xB  62  uB  2( xB )2 12xB  36  uB
dyB
 2 xB  12
dxB
MRSB (c B )   2 xB  12
問題 2A-7
MRSA (c A )   (2 xA  16)
『 MRS (c )  MRS (c )
A
A
B
B
x A  xB  6
2 xB  12  2 xA  16 』
xA  4, xB  2
y A  yB  14
64
yA
xB
2
契約曲線
=効率的な資源配分の集まり
14
xA
4
yB
6
65
(問題 2A-9*)価格 p の下での個人 i の需要量 xid ( p) 、 yid ( p) を求めなさい( i  A, B )。
また、個人 i の財 x の需要関数 x  xid ( p) 、両個人の需要量の合計を対応させる関
数 x  x Ad ( p)  x Bd ( p) を x p 平面に図示しなさい。
MRSA (c A )  p
MRSB (c B )  p
1
p 8
2
1
y Ad ( p)   pxAd ( p)  pxA  y A  p 2  3 p  2
2
 (2 xA 16)  p
xAd ( p)  
 (2 xB 12)  p
xBd ( p)  
yBd ( p)   pxBd ( p)  pxB  yB 
1
p6
2
1 2
p  5 p  12
2
66
(問題 2A-10*)競争均衡における価格 p * と資源配分 ( x *A , y *A ), ( x B* , y B* ) を求め、その資
源配分がパレート効率的であることを確認しなさい。
 1 *
  1 *

  p  8    p  6   6
 2
  2

p*  8
1
d
x*A  xAd ( p* )  xA (8)    8  8  4
2
1 2
y*A  y Ad ( p* )  y Ad (8)   8  3  8  2  10
2
1
xB*  xBd ( p* )  xBd (8)    8  6  2
2
yB*  yBd ( p* )  yBd (8) 
1 2
 8  5  8  12  4
2
67
契約曲線
yA
xB
市場均衡の資源配分
2
1
 c*A [c*B ]
10
市場メカニズム
4
14
 w A [w B ]12
2
xA
5
4
初期保有点
yB
6
68
問題 2A-11 では、個人 A と個人 B の効用関数が、それぞれ
u A  min(2 x A , y A )
u B  2xB  y B
(2A-7)
(2A-8)
であるとする。なお、効用関数(2A-7)のもとでは、競争均衡の個人 A の消費点における限
界代替率は定義できないので、問題 2A-11 は限界代替率を用いずに解くことになる。
(問題 2A-11*) 競争均衡における価格 p * と資源配分 ( x *A , y *A ), ( x B* , y B* ) を求め、その資
源配分がパレート効率的であることを確認しなさい。また、パレート効率的な資
源配分の軌跡(契約曲線)を求めなさい。
(ヒント)問題 1-4 と問題 1-6 を参照。
69
yA
xB
6  uA
13 2u A
min(xA , y A )  u A
6
契約曲線
xB  yB  13 2u A
=効率的な資源配分の集まり
7
uA
7  uA

xA
uA
6
13 2u A
yB
70
yA
xB
7
5
2
7
2
1
7
2
 c*A
市場メカニズム
wA 5
2
7
2
xA
5
yB
6
71
2.1
予算集合と最適消費点
2.2
競争均衡とワルラス法則
2.3 競争均衡とエッジワースの箱
2.4 厚生経済学の基本定理
2.5 補論 1*:限界代替率を用いた厚生経済学の基本定理の説明
2.6
補論 2:微分と接線の傾き
2.7 補論 3*:厚生経済学の基本定理についての計算問題
72
2.0
市(いち)
、市場(しじょう、いちば)とは?
市場(market)
=①財、サービス、権利などを交換する社会的システム
(すなわち価格、取引量などの決定ルールの集まり)
②財、サービス、権利などを交換する交換する場所(marketplace)
73
<東京中央卸売市場>
74
<東京中央卸売市場>
<市場統計情報:月報(2008年2月)、単位=100万円>
食肉
花き
青果
水産
0
0
7,107
35,945
築地
0
3,907
19,879
1,465
大田
0
0
0
1,929
足立
0
769
3,808
0
北足立
0
508
2,280
0
葛西
0
0
1,889
0
豊島
0
0
5,274
0
淀橋
0
714
2,745
0
板橋
0
1,056
665
0
世田谷
0
0
353
0
多摩NT
8,712
0
0
0
食肉
75
<築地市場>
76
<築地市場>
77
<築地市場>
78
<築地市場>
79
<株式会社東京証券取引所>
80
<株式会社東京証券取引所>
81
<株式会社東京証券取引所>
新規上場セレモニーや
大納会・大発会が開催
される多目的スペース
(出所)東京証券取引所HPより
マーケット監理業務
82
<売買契約締結の方法>
東京証券取引所における売買
=「価格優先の原則」と「時間優先の原則」にしたがう
「個別競争売買」
(参考)集団競争売買(特定銘柄の撃析(げきたく)売買 )
83
【価格優先および時間優先の原則】
• 「価格優先の原則 」
= 「①売呼値については、値段の低い呼値が値段の高い呼値に優先
し、② 買呼値については、逆に、値段の高い呼値が値段の低い
呼値に優先する」という原則
(注)「呼値」=注文価格
• 「時間優先の原則 」
= 同じ値段の呼値については、先に行われた呼値が後に行われた呼
値に優先するという原則
(例外)「同時呼値」
= 寄付や引けの値段を決めるときは、すべての注文が同時に発注さ
れたものとみなす。
(注)前場=午前立会、後場=午後立会
寄付=前場または後場の最初の取引
引け=前場または後場の最後の取引
84
【個別競争売買の方法】
① 「個別競争売買」
= 最も優先する売呼値と最も優先する買呼値とが値段的に合致するとき
に、その値段を約定値段として売買契約を締結させる方法
(注)「約定値段」=売買契約締結に際して用いられる価格(契約価格)
② 「個別競争売買」の種類
• 「板寄せ方式」=寄付や引けのときの売買契約締結の方法
=約定値段決定前の呼値をすべて注文控え(板)に記載し
たうえで価格優先原則の下で数量的に合致する値段を
求め、その値段を単一の約定値段として売買契約を締
結させる方法
• 「ザラバ方式」=寄付と引けの間(ザラバ)のときの売買契約締結の方法
=売り手と買い手の間で値段の折り合いがついた順に、
取引を成立させていく売買方式
85
<不公正取引の類型>
【証券取引法で禁止している主な不公正な取引】
「インサイダー取引」
= 上場会社の関係者等が、その職務や地位により知り得た、投資者の
投資判断に重大な影響を与える未公表の会社情報を利用して、自社
の株券等を売買する行為
「相場操縦取引」
= 相場を意識的、人為的に変動させ、その相場を、あたかも自然の需給
によって形成されたものであるかのように、他人に誤認させることに
よって、その相場の変動を利用して、自己の利益を図ろうとすること
86
<日本史と「市(いち)、市場」>
<奈良時代(710年~794年)>
• 平城京の東と西に「市」が設けられた。
平城京 朱雀門 (復元)
<平安時代(794年~1185年)>
• 平安京に東市と西市が設けられた。
• 行商人が振り売り。
平等院鳳凰堂
<鎌倉時代(1185年~1333年)>
振り売り
(絵の時代?)
• 三斎市などの定期市では、周辺の生産物
や都市から行商人によって運ばれた鉄製
農具などが交易された。
鎌倉・高徳院の大仏
87
<室町時代(1336年~1573年)>
• 「座」=販売の独占権や関税の免除などの特権をもつ同業者の組合
• 「楽」=自由または排除
• 「楽座」=座の特権を排除すること
• 「楽市」=商工業者がだれでも自由・平等に商売できるようにすること
• 「楽市楽座」=「楽市+楽座」で商工業の発展を促進する政策
主な「楽市令」:
• 1549年:六角氏(近江)
• 1566年:今川氏(駿河)
• 1567年:織田信長(美濃)
• 1569年:徳川家康(三河)
• 1572年:織田信長(近江・金森)
88
<安土桃山時代(1573年-1603年 )>
主な「楽市令」:
• 1577年:織田信長(近江・安土山下町)
• 1578年:北条氏政(武蔵・世田谷新宿)
• 1582年:蒲生氏郷(近江・日野)
織田信長
豊臣秀吉
89
<江戸時代(1603年~1867年)>
【卸売り市場(18世紀~)】
• 大阪堂島=米市場
• 江戸日本橋・大阪雑喉場(ざこば)=魚市場
• 江戸神田・大阪天満=青物市場
【株仲間の公認(18世紀はじめ)】
同業者の組合(株仲間)に独占営業権を認め
て、運上金・冥加金をとって財政をうるおした。
徳川 家康
【地域的市場の形成(19世紀)】
農村工業が発達した生産地帯の交通の便利な
在方町には、生産物を交換する農民的な地域的
市場が生まれた。
【天保の改革(1830年~1843年)】
株仲間は価格を不当に吊り上げる元凶であると
して株仲間は解散された(株仲間解散令)。
水野忠邦
90
以下で検討する「市場」は、「東京中央卸売市場」や「東京証券取引所」などの目
に見える「市場」から抽象化された概念である。たとえば、「テレビの市場」といっ
た概念を考えるときは、「あたかも目に見える市場が存在する場合と同様に価格
や取引量が決定される」と想定することになる。
(問題) 「(自由放任の)競争市場」は、「何のルールも禁止行為も定められ
ていない市場」のことではなく、「多くのルールや禁止行為が定め
られた市場」である。では、「自由放任」と「競争」はどのような事柄
に関するものであろうか。例を挙げなさい。
「自由放任」⇒上納金が存在していない(政府による干渉がない)
「競争」⇒特権的な同業者組合が存在しない
【コラム】
Free Market =自由市場
Flea Market = 蚤の市
蚤の市は、ヨーロッパの教会や市庁
舎前の広場などで開かれる古物
市。
マルシェ・オ・ピュス
Flea Marketはフランス語marché
aux pucesの訳。ただし、fleaは
身体の血を吸うノミではなく、ここで
は汚らしい、みすぼらしいといった
意味で使われている。
91