第3章 質問回答サービスとしての デジタルレファレンスサービス 1 デジタルレファレンスとは(1) 不確定な用語群 digital reference, electronic reference, networked reference, remote reference, virtual reference, live reference デジタルレファレンスサービスと同義 類似表現で様々な用語が存在 用語として未だ定着していない 2 デジタルレファレンスとは(2) デジタルレファレンスサービスの定義 Lankes, R. David. デジタル技術を応用したレファレンスサービス。 特に、回答者が遠隔地にいる質問者に対して インターネット上のデジタルコミュニケーション技術 を利用して質問を受け付けたり調査を行ったり回答 を提供したりするようなレファレンスサービスのこと を指す 3 デジタルレファレンスとは(3) デジタルレファレンスサービスの定義 Virtual Reference Deskのhomepage インターネットをベースとする質問回答サービスで、 利用者を専門家や主題専門知識と結び付ける。 デジタルレファレンスサービスでは、質問を持つ人が、 それに答えることができたり、その情報を探す技能を 伸ばすような指導ができる人に接続するためにイン ターネットが使用される。 4 デジタルレファレンスサービスの 発展段階 1. Eメールレファレンスサービスの普及 Webが登場する以前から普及 特別な機器などは不要 2. ライブレファレンスの登場 リアルタイムにメッセージを送受信 チャットレファレンス (テキストチャット、ボイスチャット、ビデオチャット) 3. 協同事業によるデジタルレファレンスサービス 事例データベースの構築 協力回答サービス (CDRS) 5 デジタルレファレンスサービスの特性 開館時間に限定されない非来館型のサービス 利便性の高さは評価 先進的なサービスを展開してきた米国 非同期型と同期型とコミュニケーションに大別 Eメールレファレンス →非同期型コミュニケーション チャットレファレンスサービス →同期型コミュニケーション 6 Eメールレファレンスサービスの特性 非同期型: メッセージの送り手と受け手が時間を共有せずに 行うコミュニケーション メッセージは一旦特定のメディアに保存 受け手はそのメディアにアクセスすることにより メッセージを受信 基本的に送り手も受け手も好きなときにメッセージ を送受信 時間的に拘束されないことが特徴 7 チャットレファレンスサービスの特性 同期型: ライブレファレンス、メッセージの送り手と受け手が 時間を共有して行うコミュニケーション チャットレファレンスの類型: テキストチャット、ボイスチャット、ビデオチャット メッセージの送受信のタイムラグは小さい 十分な情報源が未確認の中での即答対応の プレッシャー 短時間であっても図書館員と利用者が互いの時間 を拘束 8 レファレンスサービス比較表(1) 項目 対面 Eメール ライブ レファレンス レファレンス レファレンス 時間的特性 同期 非同期 (同時進行型) 空間的特性 場所を共有 遠隔分散 同期 (同時進行型) サービス時間 限定 限定/非限定 他館との 協力関係 他館への質問 質問DBの知識ベース化・質問回 転送 送による共同レファレンス ノンバーバル コミュニケーション 表情・視線・身 手がかりに乏 振り・口調 しい 非限定 ビデオチャットは対 面に、テキストチャッ トはEメールに近い9 レファレンスサービス比較表(2) 項目 対面 Eメール レファレンス レファレンス ライブ レファレンス 利用者との 直接対応 相互作用 多くのメッセー ジのやり取り 可 直接の対応無。 2~3のメッセー ジのやり取りが 上限 対面に近いが遠 隔にあって時間 を拘束されるた め短時間に収め る 導入のた めの必要 条件 Eメールアドレス とメーラの準備。 HTML受付は CGIなどの技術 的スキルが必要 特定ソフトのイン ストールが必要 技術的なスキル が必要 ヘルプの用意 10 カウンターの み レファレンスサービス比較表(3) 項目 対面 Eメール レファレンス レファレンス 質問内容 回答に必要な 情報はその 場で取得 備考 ライブ レファレンス Eメールだと回答 対面に近い に必要な情報が欠 ける場合あり 1通あたりのコスト が低い。添付ファ イルを活用すべき また、送受信した メールなど記録を 残しやすい 利用者からは図 書館側の状況が 分からないため 質問が集中した 場合、対応時間 の上限設定 11 デジタルレファレンスサービスの 有用性(1) 時間的制約・空間的な距離の克服 時間面の解決では、非同期型としてのEメール レファレンスが有用 質的な向上への期待 協同デジタルレファレンスサービス(CDRS)の 展開→複数館による協力サービス 国立国会図書館、専門図書館協議会のCDRS 単館レベルでは経験できない多様で 高度な質問との接点 質問回答の幅と質の向上→職員資質の向上 12 デジタルレファレンスサービスの 有用性(2) 紙媒体とデジタルの情報源が並存、混在、多様化 利用者を的確に有効な情報源へ誘導する必要性 デジタルレファレンス →利用者と図書館員のやりとり・媒体がデジタル化 レファレンス質問への回答 →人手によるサービス スキルを持った図書館員の養成・確保 「人的」サービスとしてのレファレンスは不変 13
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