確率・統計Ⅰ 第6回 ベルヌイ試行と二項分布 ここです! 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均 確率変数の平均(続き)、確率変数の分散 確率変数の共分散、チェビシェフの不等式 ベルヌイ試行と二項分布 二項分布(続き)、幾何分布など 二項分布の近似、ポアソン分布、正規分布 正規分布とその性質 i.i.d.の和と大数の法則 中心極限定理 統計学の基礎1(母集団と標本、確率論との関係) 統計学の基礎2(正規分布を用いた推定・検定) ベルヌイ試行と二項分布 1. ベルヌイ試行 2. 二項分布 ・二項分布の公式 ・例題 ・パラメータによるグラフの変化 ベルヌイ試行 独立試行の繰り返しのことをベルヌ イ試行という。 例1:一個のサイコロを繰り返し投げる 例2:一個の硬貨を繰り返し投げる 正確には…: ベルヌイ試行 A) 試行結果は「成功」Sあるいは「失敗」Fの いずれか1つである。 B) 成功確率 p は、試行を通じて一定である。 (したがって失敗確率 q=1-p も一定。) C) 試行は独立である。すなわち、他の試行 結果によって p の値は変化しない。 繰り返す回数のことをベルヌイ試行の長さという ベルヌイ試行 例 •サイコロ投げで、6の目が出るかどうか •コイン投げ(表か裏か) •無作為に選ばれた動物のオスかメスかを知る •製品検査(良あるいは不良) •マージャン(勝つか負けるか) •カンニング(見つかるかどうか) •小泉内閣を支持するか否か •薬の投与によってある病気が治療するか否か ベルヌイ試行と二項分布 1. ベルヌイ試行 2. 二項分布 ・二項分布の公式 ・例題 ・パラメータによるグラフの変化 二項分布 ・長さ n のべルヌイ試行(一回あたりの「成 功」確率pとする)で、「成功」の回数を X とす る。 (回数以外の情報は捨てていることに注意) ・確率変数 X の分布を二項分布と呼ぶ。 X のとりうる値は、0, 1, 2, …, n ・二項分布のパラメータは、 n と p の2つ B ( n , p ) と書く 二項分布 例: サイコロを3回投げ、1が出る回数 を X とする。 X の確率分布は「成功」確率 p=1/6 の二項分布。 X 0 確率 5 6 3 5 3 6 1 2 2 5 1 3 6 6 1 6 n=3, (1/6)がp, (5/6)がq=1-p 3 2 1 6 3 この3は? 二項分布 例: サイコロを3回投げ、1が出る回数 を X とする。 たとえば、 X=2 となるのは 成功…○ 1 失敗…× 2 3 ○○× 1,2,3の3つから2つ 取る組み合わせ 3C2 ○×○ ×○○ の 3 とおりで、確率はどれも p2q だから、P( X=2 ) = 3C2 ・ p2q = 3 p2q 二項分布 例2: サイコロを4回投げ、1が出る回数 を X とする。 これだと、 X=2 となるのは 1,2,3,4 の4つから2つ 取る組み合わせ 4C2 1 2 3 4 ○○×× ○×○× ○××○ ×○○× ×○×○ ××○○ の 6 とおりで、確率はどれも p2q2 だから、P( X=2 ) = 4C2 ・ p2q2 = 6 p2q2 二項分布 一般に、 X が二項分布 B (n, p) に従う場合の 確率分布表 X 確率 0 nC0 p 1 0 qn 1qn-1 nC2 p 2qn-2 …… …… npq n(n 1) 2 n 2 p q 2 nCn-1 p n-1q1 n nCn p nq0 = n 1 n-1 = = = = q n nC1 p 2 npn1q pn 二項分布 確率変数 X が二項分布B(n, p)に従 うとき、P( X = r ) は次の公式で与え られる: P( X r )n Cr p q r n r (問) これが確かに確率分布であることを確かめよ。 (二項係数の計算法) n n! n Cr r r!(n r )! n(n 1) (n r 1) r! 例: 理論(文字)計算用 実際(数値)計算用 10 9 8 10 3 4 120 10 C3 3 2 1 二項分布 参考: パスカルの三角形 0 1 2 3 4 5 n 行目 1 1 1 1 2 1 1 3 3 1 1 4 6 4 1 1 5 10 10 5 1 nC0 nC1 nC2 … nCn が順に並ぶ 二項分布(例題) 例題:不良品率が2%のとき、ランダムに 選んだ10個のうち不良品が2個の確率を 求めよ。 確率変数 X を「選んだ10個の中の不良品の個数」とすると、 X は B(10, 0.02) に従う。 よって P( X 2) 2 8 10 C2 (0.02) (0.98) 0.0153 [演習] 二項分布 [1] 偏りのないコインを投げて、表が出たら勝 ち、裏が出たら負けとする。 5回やって4回以上勝つのと、10回やって8 回以上勝つのとでは、どちらが困難だろう か。 (どちらも勝率としては「8割以上」である。) [演習] 二項分布 [2] ある学生が「俺は試験ではいつも5問中3 問解ける」とうそぶいている。いっぽう、O 理科大学は、5問中3問解ければ合格でき ると言われている。入試問題が実際に5問 だったとして、この学生がO理科大学に合 格できる確率はいくらだろうか。 (ちなみに本人は、直感的に「当然8割くら いはいけるだろう」と思っていたりする) [演習] 二項分布 [3] 1発打って当たる確率が3割の人が、 (1) 10発打ったとき、実際に3割つまり3発以 上当たる確率 (2) 5発打ったとき、少なくとも1発当たる確 率 を求めよ。 [演習] 二項分布 [4] ある部品が一定期間内に故障を起こさな い確率を「精度」と呼ぼう。 (1) 精度が0.999の部品1000個のうち、どの 部品も故障しない確率を求めよ。 (2) 精度が0.999の部品10000個のうち、ど の部品も故障しない確率を求めよ。 二項分布 B(n, p) のグラフ p = 0.5 n=4 np=2 0.4 0.375 0.3 0.25 0.25 0.2 0.1 0.0625 0.0625 0 0 1 約3割 2 約4割 3 4 約3割 二項分布 B(n, p) のグラフ p による変化 (n = 10) np=1 np=2 np=3 np=4 np=5 0.45 0.4 0.35 p = 0.5 p = 0.4 0.3 0.25 0.2 p = 0.3 0.15 p = 0.2 0.1 p = 0.1 0.05 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 二項分布 B(n, p) のグラフ n による変化 (p = 0.2) np=0.1 0.45 0.4 n=5 n=10 n=15 n=20 n=25 n=30 n=35 n=40 n=45 n=50 0.35 0.3 0.25 np=10 0.2 0.15 0.1 0.05 ~50は省略 0 0 5 10 15 20 50 メニューに戻る メニューへ
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