スライド 1 - 石川県医師会

地域がん登録の現状と課題
2013年1月25日: 南加賀 (南加賀保健福祉センター)
2月 1日: 能登 (能登中部保健福祉センター)
3月 7日: 金沢 (石川県医師会館)
石川県医師会
斉藤 典才、大平 政樹
上田 博、西村元一、菊地 勤
主な死因別にみた死亡率の年次推移
人口の高齢化とともに増え続けるがん死亡
⇒ 国民の健康への最大の脅威
・ 年間30万人が死亡、60万人が罹患
・ 男性の2人に1人、女性の3人に1人は
がんに罹患する時代
・ 石川県では毎年、3千人ががんで死亡、
6千人ががんに罹患。
いろいろな疑問が生じます
• 人口の高齢化によって、増えているように見えるだけなので
はないか? ⇒ 年齢調整してみる。
• 実際に、死亡数はどれくらいの割合で増えているのか?
• 罹患数や罹患率はどうなっているのか?
• 臓器別ではどうなっているのか?
• 地域別では違いがあるのか?
• 生存率はどうなっているのか?
定義のおさらい
• 死亡数=死亡者の数、 罹患数=罹患の数
• 死亡率=死亡数÷人口、 罹患率=罹患数÷人口
⇒通常、人口10万人で表現
がんは高齢者で多く発生する病気
• 異なる地域あるいは異なる時期の集団について、死亡率や
罹患率を比較するために、年齢調整を行う。
⇒年齢調整死亡率、年齢調整罹患率など
• 昭和60年人口モデルを使うことが多い。
(粗)がん死亡数の推移(男女別)
男女ともにがんによる死亡数は増えています
年齢調整したがん死亡率の年次推移
1990年代以降、年齢調整すると、がん死亡率は男女とも低下傾向にあります。
(粗)罹患数の推移(男女別)
男女ともにがん罹患数は増えています
年齢調整したがん罹患率の年次推移
死亡率とは異なり、年齢調整しても、罹患率は男女ともに増加傾向です。
乳がんー都道府県別75歳未満年齢調整
死亡率(2005年と2009年)
2005年
2009年
・ 都道府県ごとの、乳がんの死亡率に地域差がある。
・ 経年的な、変化が見られる。⇒ 石川県と福井県の違い。
地域がん登録の現状と課題
 がん登録は一定進んでいるが、以下のような課題がある。
・ 全てのがん患者が登録されていない。
・ 都道府県によりがん登録の体制に差があり、登録漏れの把握や予後調査ができていない。
・ 都道府県が実施主体であるため、県外の医療機関を受診した場合の情報が得にくい。
・ これらの結果、最新の全国の罹患率は21府県の2007年の登録情報で推計。一方、最新
の5年生存率は1999~2002年の6府県の登録情報を使用している。
がん対策の必要性
• がんという病気が増えています
-がんに罹る人数
-がんで死ぬ人数
-地域差があります
どちらも増加
• がんは行政的な対策が可能な疾病です
-かかる人数を減らす ⇒ 一次予防対策
-早く見つけ出す
⇒ 検診などの二次予防対策
-治療を受ける体制の整備
行政の役割が大きい
正確なデータの集積に基づく地域がん登録が重要です
地域がんの目標とする指標
• 罹患数、罹患率
⇒ 人口10万人あたりどれくらいの割合でがんに罹ったか。
疫学に基づいたリスク要因のコントロールができる可能性あり。
ex. 肺癌と喫煙、C型肝炎のスクリーニングと肝癌
• 死亡数、死亡率
⇒ 人口10万人あたりどれくらいの割合でがんで死亡したか。
がんの早期発見、受診率等の充実・向上、検診の精度向上、治
療法の改善などが関与している。
• 生存率 = 生存数÷患者数
⇒ 罹った人のうち、例えば5年後にどれだけの割合の人が生存し
ているのか。治療成績の把握、治療法の評価に有用。
⇒ 死亡率や罹患率と異なり、分母(患者数)の把握が困難。また、
生存者の確認は、住民基本台帳との照合ができないと困難。
地域がん登録の歴史(全国と石川県)
1951年
東北大学の瀬木三雄教授が宮城県を対象とした「地域がん登録」を開始し、がん罹患率を報告
(1954年)
1960年代
広島市、長崎市、宮城県、次いで大阪府、愛知県などで行政として「地域がん登録」事業がス
タートした。
1983年
老人保健法制定に伴い、がん検診の精度管理の必要性から、「地域がん登録」事業を行う地
方自治体が急増。
日本では、国全体でがん登録を行ってきたわけではないので、信頼できる地域のデータか
ら、がん死亡率やがん罹患率を推定してきた(真の値ではない)。例えば、1975年のデー
タは、宮城・山形・大阪・広島・長崎のデータを利用し全国のデータを推計で出している。
1991年
石川県で「地域がん登録」事業が開始(県独自のシステムと届出様式を用い、男性8部位、女
性10部位での部分登録であった)。
2003年
健康増進法 ⇒ 生活習慣病の発生の状況の把握の必要性を明文化。
2005年
個人情報保護法が施行。「地域がん登録」事業推進に大きな影響。
2006年
がん対策基本法が成立⇒ 国や自治体にがん対策の推進における責務を明文化した。
一部の地域でのがん登録から、全国でのがん登録へ方針が転換された。
国立がんセンターに「がん対策情報センター」が開設。標準データベースシステムの完成。
2008年
石川県地域がん登録に標準データベースシステム導入(全部位登録)
2012年
宮崎県と東京都が新たに「地域がん登録」事業をスタート。47都道府県全てで運用。
第3次対がん10カ年総合戦略(2004~2013年)
がん対策については「対がん10カ年総合戦略(1984~1993年)」、「がん克服新10カ年
戦略(1994~2003年)」により、がんは遺伝子の異常によって起る病気であるという概念
が確立し、・・・標準的な治療法の確立など診断・治療技術が目覚ましい進歩を遂げた。
一方、日本人の死因の第1位はがんで、死亡者数は増加傾向にある。
第3次対がん10カ年総合戦略の中での
「地域がん登録」の整備計画
↓ がん対策推進基本計画(2007年)
(第Ⅰ期)
標準化開始時期
2004年
2005年
2006年
(第Ⅱ期)
標準化推進期
2007年
2008年
2009年
(第Ⅲ期)
地域がん登録の目標に向けての整備
完成期
2010年
2011年
2012年
2013年
がん登録事業推進の目標と基準
1: がん登録事業実施の公的承認
2: 登録の完全性(IM比2.0以上、DCN20%未満、DCO10%未満の全てを満たす)
3: 生存確認調査、予後判明割合が一定基準
4: 標準的な集計表を満たす報告書を罹患年の3年以内に定期的に作成
5: がん対策の企画評価への毎年1回以上の活用
・
がん対策推進基本計画
• 2007年6月 閣議決定
• 全体目標
~がんによる死亡者の減少(75歳未満の年齢調整死亡率の
20%減少)
~すべてのがん患者およびその家族の苦痛の軽減並びに療
養生活の質の向上
• 重点的に取り組む課題
1.放射線療法及び化学療法の推進、並びにこれらを専門的
に行う医師等の育成
2.治療の初期段階からの緩和ケアの実施
3.がん登録の推進
地域がん登録の今後の展開(2012年)
1.がん対策の企画・評価でのがん登録資料の活用
⇒国レベルでの方針明示と、都道府県レベルでの対策への利用
2.地域がん登録の法制化
⇒個人情報保護の例外規定、住民登録票の活用、県間移動患者の把握。
3.国家事業・戦略としてのがん登録・がん対策における都道府
県への支援機能
4.拠点病院以外への院内がん登録の普及
5.地域がん登録と病理検査報告書、DPC、レセプト情報の連携
6.電子データによる届け出への対応
⇒院内がん登録の登録項目改定に伴う標準登録票項目の改定(変換なし
の届出の実現)
7.医療の質の評価、第一次~第三次予防への直接利用
石川県における地域がん登録の変化と
届出票数の推移
届出票数
1991年
石川県で「地域がん登録」事業が開始。
2004年
2,112
「第3次対がん10カ年総合戦略」で、高い水準のがん医療の「均てん化」が図られる。
2005年
2,654
2006年
3,434
2007年
4,798
金沢大学、金沢医科大学、石川県立中央病院、金沢医療センター、小松市民病院が
国指定の「がん診療連携拠点病院」に認定。(5病院)
2008年
4,560
標準データベースシステムの導入
2009年
4,427
2010年
11,317
4月の診療報酬改定で、DPCの評価係数に「地域がん登録に参画」することが追加。
2011年
10,352
芳珠記念病院、金沢市立病院、金沢赤十字病院、金沢社会保険病院、浅ノ川総合
病院、済生会金沢病院、松任石川中央病院を県指定の「地域がん診療連携推進病
院」に認定。(7病院)
公立能登総合病院、恵寿総合病院を県指定の「地域がん診療連携協力病院」に認
定。(2病院)
地域がん登録の精度指標
誰も知らない真のがん罹患数
死亡情報を加えて把握した件数
罹患情報を把握した件数
DC
死亡小票ではじめて登録された割合
N
罹患と死亡の
情報が
揃ったもの
遡り調査を実施
死亡情報をもとに
医療機関に
問い合わせ
DC
O
死亡診断情報(死亡小票)
地域がん登録に報告された罹患(届出票)
届出に漏れた罹患
DCN:Death certificate notifications(死亡小票によりはじめてがんを把握)
DCO:Death certificate only(死亡小票以外の情報がない)
がが
んん
患登
者録
に
全
く
把
握
さ
れ
な
い
生
存
精度指標
• 完全性の精度指標
- DCN:死亡小票ではじめて罹患が把握されている症
例の割合
→ 低いほうが良い
- DCO:死亡小票以外の情報がない
→ 遡り調査が未実施
低いほうが良い。10%以下が目標。
• その他の精度指標
- IM比:罹患数と死亡数の比
→ 一定水準であるのが良い(2程度)
- HV(histologically verified case)、MV(microscopically
verified case)。病理学的検索の存在する割合の高い方
が良い。
都道府県別地域がん登録の精度指標
2000年のデータ、実施は34道府県、一部紹介
開始年
罹患数
死亡数
DCO率
IM比
福井県
1984
3,867
2,071
5%
1.87
岡山県
1992
9,211
4,778
8%
1.93
長崎県
1985
8,042
4,219
14%
1.91
宮城県
1959
10,769
5,259
15%
2.05
佐賀県
1984
3,684
2,473
15%
1.49
滋賀県
1982
4,837
2,863
16%
1.69
山形県
1974
6,223
3,663
17%
1.70
富山県
1987
5,260
2,856
31%
1.84
愛知県
1962
22,873
13,935
33%
1.64
石川県
1991
2,947
2,256
52%
1.31
群馬県
1994
6,032
4,404
57%
1.37
詳細は、「第3次対がん総合戦略研究事業開始時点における地域がん登録実施状況調査(事
前調査)結果報告書」(平成17年9月)を参照してください。
石川県のDCO率
石川県のDCO率の推移
理想値は10%未満です
70
60
50
40
30
20
19.3%
10
0
H4 5
6
7
8
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
がん登録の仕組み
人口動態統計
(死亡情報)
A病院
○○県
地域がん登録中央登録室
受診
がんの診断
報告
院内がん登録へ登録
別の病院も受診
地域がん登録へ
の届出義務がな
いと、登録漏れ
が発生する
B病院
報告
同一人物・同一腫瘍の判断
1腫瘍として登録
がんの診断
主治医らが届出票記入
死亡小票による
生死確認調査
地域がん登録室での作業の流れ
遡り調査
登録票
死亡小票
生存確認調査
地域がん登録室
コーヂィング、個人照合
データ登録
死亡小票による情報のみ
死亡情報なし
集約データ(1腫瘍1件)
遡り調査
対象者
統計データの作成、年報など
生存確認調査
対象者
登録対象
• すべての部位の悪性腫瘍
• 国際疾病分類ー腫瘍学第3版(ICD-O-3)にて
性状コード/2(上皮内がん)と/3(悪性)を登録対象
• 頭蓋内腫瘍は、良性でも登録対象
• 診断時住所が当該地域にある者
• 原発であること。ただし初発だけでなく、再発時も提出してく
ださい。
• 多重がん(一人の人に発生した2つ以上のがん)は、それぞ
れ別ながんとして登録します。
(ex. 胃癌と直腸がん、肺がんと子宮がん)
標準登録項目
No
1
2-6
7-10
11-15
16-19
20-24
25
項目名
医療機関名
カルテ番号、姓名、性別、生年月日、診断時住所
診断結果、初回診断日、自施設診断日、発見経緯
診断名(原発部位名)、側性、進展度(臨床進行度)、組織診断名、
診断根拠
外科的治療、体腔鏡的治療、内視鏡的治療、治療の結果
放射線治療、化学療法、免疫療法、内分泌療法、その他の治療
死亡日
届出票の書き方(開業医の先生の場合)
登録室で、このように
コーディングします。
届出票の書き方(病院の場合)
登録室で、このようにコーディングします。
但し、がん拠点・協力・推進病院では、コーディング
を行ってからの提出をお願いします。
正しいがん登録のために
• 他臓器からの浸潤や、再発・転移がんを、誤って多重がんと判定
→ 誤ったがん統計
• 多重がんには様々な考え方があるが、地域がん登録では
IARC/IACRによって定められた定義(2004年)にしたがって作業をし
ています。
• 多重がんを判定して、集約を行うには、下記項目の正確な情報を
得て、正しく分類することが不可欠。
原発部位
左右の別
組織診断名
がんの拡がり(進展度):「進展度」は地域がん登録独自の分類
です。「UICC TNM分類」の欄には、学会取り扱い規約
TNM分類や、その他の分類を記載します。
⇒ この情報をもとに、進展度を決定します。
届出票からのデータの還元
• 「石川県におけるがん登録」が年に1回発行される。
• 各地域で収集されたデータを、国立がんセンターが
ん対策情報センターに提出
ー 各地域での登録データの精度評価、誤入力等の
チェック(品質管理)
ー 一定の基準を満たす登録データを利用し、全国推
計値を算出
ー 全国がん罹患モニタリング集計として、公表。
「石川県のホームページから」
国立がんセンター「がん情報サービス」
http://ganjoho.jp/professional/registrati
on/index.html
ある開業医の先生との会話
正確ながん登録にするた
めには、1例1例見落としの
ないようにしなければなりま
せん。
でも、どうせ紹介先の病
院から出るわけだし、い
ちいち住所とか書くのは
面倒だよ。
もしかすると
病院へ紹介したつもりの患者
さんが、病院へ行かなかった。
在宅で看ている高齢患者さん
が、がんになって何もしない
ケースもあるはず。
なので、開業医の先生方にも協力していただき、
一例一例積み上げていく気持ちで、石川県がん登録
を進めていきたいのです。
本日のおはなし
• 地域がん登録とは
• がん対策基本法とがん登録
届出票の記載方法
がん登録室で考える
医療機関ごとの届出票の内容
• がん診療連携拠点病院(5病院)ー実務担当者のいる病院
地域がん診療連携推進病院(7病院)
地域がん診療連携協力病院(2病院)
⇒ コーディングを含めた詳細な内容を記載してください
• 上記以外の、手術や化学療法を行っている病院
⇒ 実務担当者はいないと思われるので、コーディングは不
要で、詳細な内容の記載をお願いします。
• 開業医
⇒ 疑いでも構いませんので、積極的に出してください。
患者識別に必要な(姓名、性別、生年月日や住所)部分
と、診断名、診断情報をお願いします。
医学用語は難しい?
以下の病名は、全て性状コード2か3
腹膜偽粘液腫、VIP産生腫瘍、パジェット病、ボウエン病、胚細胞腫瘍、
菌状息肉症、セザリー病、悪性組織球症、悪性細網症、
マクログロブリン血症、血管内皮腫症、アルファ重鎖病、
免疫増殖性疾患、急性汎骨髄症、急性骨髄線維症、ガンマ重鎖病、
骨髄腫症、形質細胞腫、真性赤血球増加症、慢性骨髄増殖性疾患、
本態性血小板血症、不応性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)、
前白血病、CIN3、中皮腫 ・・・・
臨床医に馴染みのある病名ですが・・・
例えば、「AFP産生胃がん」
⇒これは、ICD-O-3には掲載されていません。
このため、 局在=C16.9 病理診断名=800039 とします。
迷ったら、詳細な情報とともに届け出てください。
症例を識別するために
正確な新発生数を把握するために
• 個人照合作業を行い、同じ人の新たな情報は、同じ人として
まとまるようにしています(重複登録を避ける)→集約作業
– 漢字 姓・名
「1腫瘍1件」
– 生年月日
新規情報( シ リ ア ル番号の付与)
– 性別
個人識別番号
● 登録票、 出張採録票
● 死亡転写票
– 住所
● 遡り 調査票
これらからコンピューターによる
同一人物候補リストを作成
Y es
Y es
•
•
•
•
がんの部位
医療機関
診断年月日
死亡日
さらに詳しい情報を用いて個人照合を
行い、同一人物かどうか判定
既登録患者か?
No
新規登録
( 新規個人識別
番号の付与)
レコード化
図5 .
既登録腫瘍
がある か?
No
新規登録
( 重複腫瘍)
重複届出
( 既登録腫瘍に
データ 追加)
レコードを重層化
地域がん登録室における 情報の照合の基本的手順
コーディングとは
• ICD-O-3分類を用いてコード化し、集計すること。
• 部位のコーディング
例)胃幽門部癌 → C16.4
胃体部癌
→ C16.2
胃癌だけなら→ C16.9
• 病理診断名のコーディング
形態診断 + 性状 + 分化度
例)中分化型乳頭状腺癌→8260/32
高分化型扁平上皮癌→8070/31
診断名
左右(側性)
• 原発部位が両側臓器(肺、乳房など側性のある臓器)のみ記入
する。
• 両側は、卵巣・腎芽腫・網膜芽腫のみ適用。
⇒ただし、卵巣の場合は、両側に診断された卵巣腫瘍に限る。
• 側性のある臓器で、一方が他方の転移と判断されない腫瘍が
左右に存在する時、左右それぞれ独立した腫瘍として別々の
届出票を作成。
• 一方が他方からの転移で、原発側が判断できない場合は不明
とする。
側性のある臓器とは?
例えば、
肺、乳腺、卵巣、尿管・腎臓、
耳下腺・顎下腺、顔面の皮膚、
上肢の骨・軟部組織など
甲状腺や脳は?
右と左に分かれている
ように見えるが、繋がって
いるのは一つの臓器。
診断情報
初発・再発
• 初発
自施設において、そのがんを診断した場合、あるいは初回治療を行った場合。
• 再発・治療開始後
自施設において患者を診療した時点で、他施設にて当該がんの初回治療を開
始した後、あるいは、自施設・他施設を問わず、初回治療が完了した後(再発を
含む)の状態である場合。
• 疑い例
自施設において患者の初回診療を終了し、がんの確定診断(病理診断・画像
診断・臨床診断をもってしても)に至らなかったが、極めてがんを疑う症例。
診断根拠
複数回答可
1. 原発巣の組織診
(原発巣からの病理組織診断によるがんの診断、白血病の骨髄穿刺
を含む)
2. 転移巣の組織診
(転移巣からの病理組織診断によるがんの診断)
3. 細胞診
(喀痰、尿沈渣、膣分泌物などによる剥離細胞診、擦過・吸引細胞診、
洗浄細胞診を含む。白血病及び悪性リンパ腫の一般血液検査もこの
項に含む。)
4. 部位特異的な腫瘍マーカー
(PSA、AFP、HCGなど))
5. 臨床検査
(画像診断、手術・体腔鏡下の肉眼的診断を含む。)
6. 臨床診断
診断日
診断日をはっきりと規定するのは難しいが、罹患集計時の罹患日、生存率計算
の時の起点日となることから重要。
• 自施設診断日
1)原則的に、初発・疑診のケースに使う。
2)初回治療前に、自施設で実施した検査で、診断根拠の番号が最も
小さい検査の実施日を記入。
3)前医・他施設で当該腫瘍の初回診断がなされている場合は、自施設
初診日を記入。
4)剖検で判った場合は、死亡日を記入。
• 初回診断日
1)再発・治療開始後の場合には、初発時の診断日を判る範囲で記入。
Ex. 2009年夏ごろ
2)治療開始後の場合は、前医・他施設において当該腫瘍の初回治療
前にがんと診断する根拠となった検査日を判る範囲で記入する。
発見経緯
この項目は、その症例がどのような方法によって医学的関心を引くように
なったのかを表している。例えば、がん検診の導入によって自覚症状発現
前の患者が多数診断されれば、死亡率や生存率に影響が出てくる。
1:がん検診
⇒がんの早期発見、早期治療を目的とし一連の定型的な検査を行う場合。
自覚症状を持ちながらがん検診を受けた場合は、「1がん検診」とする。
2:健康診断・人間ドック
⇒健康診断(健診)は健康一般に関する診査を目的とし一連の検査を行うこ
と。人間ドックは、個人を対象にして行うより詳細な健康一般に関する検査。
3:他疾患の経過観察中
⇒入院時ルーチン検査を含む。
4:剖検発見
9:その他・不明(自覚症状も含む)
※ 日本では、「1がん検診」を対策型検診、「2健康診断・人間ドック」を任意型検診、
「3他疾患の経過観察中」を包括的な医療費の中で発見、と区別しています。
病期
地域がん登録では、
「病巣の拡がり」を採用
病 期
• 地域がん登録では、病巣の広がり(進展度)を用いる。
⇒臨床医には馴染みがない
理由 1.日本で用いられる取り扱い規約のTNM分類は、学会ごとに設けら
れ、日本独自のもので、国際的なものでないことが多い。
2.取り扱い規約は頻回に改定される。長期的に変更しないで使える
基準が必要。
• 「地域がん登録」研究班による病巣の拡がり(進展度)
「0上皮内」、「1限局」、「2所属リンパ節転移」、
「3隣接臓器浸潤」「4遠隔転移」、「9不明」
の6つに分類する臨床進行度を採用した。
UICC TNM分類、癌取り扱い規約について
• UICC TNM分類や取扱い規約分類の方が正確に記述できる場合
は、それを記述してください。
– その内容を見て、登録室で進展度を分類します。
• 術後病理学的診断による病期分類があればそれを優先し、無け
れば治療前の病期分類を用いる。
• ただし、腫瘍の縮小を目的とした化学療法の後、手術を施行した
場合は、治療前の病期分類を優先する。
• UICC(第7版)の扱いについて
⇒ 厚生労働省がん対策推進室事務連絡により、「がん診療連携
拠点病院」においては、平成24年1月以降診断分については、こ
の第7版を適用すると指導している。
⇒ 「地域がん登録室」では、旧第6版で対応している病院も多い
ことから、いずれの版にも対応できるようにしています。
治療法
治療方法
• 登録室では、
– 原則として、最初の診断から4ヶ月以内に開始さ
れた一連の治療を初回治療と考えています。
– 再発時の治療は追加登録しない。
• 地域がん登録で取り扱う初回治療は、代表的
な治療方法について大まかな治療効果の評
価の意味があるが、より詳細な治療方法情報
は院内がん登録で登録すべき項目である。
死亡日
• 死亡日は最終的には、「死亡小票」もしくは
「生存確認調査」で確認されることが望まし
い。
• しかし、情報を届け出る時点で死亡日が判
明している場合は記載してください。
死亡診断書の問題
主治医ではない医師が書く場合、
この欄への記入漏れが多い。
備考欄
• 初回診断後、他の医療機関へ紹介した場合に
は、積極的に記載してください。
• Ex. 「精査加療目的に、○○病院へ紹介した」
⇒この情報は、大変役に立ちます。
まとめ
・
地域がん登録は、がん対策の企画立案やがん医療の評価
に際しての基礎となるデータを把握・提供するものです。
基礎的
データ収集
評価に耐えうる
データ収集
県民への
広報
一次予防の
向上
正しい罹患率・死亡
率・生存率の算出
届出票の数はかなり増えましたが、まだこの段階です。
石川県内の多くの医療機関の協力が必要です。
今後ともよろしくご協力をお願いします。
検診事業の
向上
治療法の
向上