2013年 1月31日:南加賀(南加賀保健福祉センター) 2月14日:能 登(能登中部保健福祉センター) 2月28日:金 沢(石川県医師会館) 石川県医師会 斉藤 上田 典才、大平 政樹 博、西村元一、菊地 勤 本日の内容 「がん登録推進法」の可決 がん登録の仕組みと現状 コーディングの方法 「石川県地域がん登録室」でみる登録票の 間違い事例 本日の内容 「がん登録推進法」の可決 がん登録の仕組みと現状 コーディングの方法 「石川県地域がん登録室」でみる登録票の 間違い事例 「がん登録推進法」が可決 2013年12月6日(金)に、国会で「がん登録推進法」が 可決。 自民党 塩崎恭久議員が中心 「がん登録推進法」の原文は、厚生労働省HP http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000033108.pdf 今までの地域がん登録で問題であったこと 法制化されていなかったこと、個人情報保護の観点から、届け出に義務は なかった。 ⇒全てのがん情報を把握することが困難で、生存確認も十分ではかった。 県をまたがって受診していた患者情報の把握が困難。 ⇒これらの結果、最新の全国のがん罹患率は2008年度の登録情報を用い て集計、生存率は2003~2005年の7府県の登録情報を用いて推計してい る。 法制化でどう変わるのか? 法律の原文では、 病院で届け出を出して いない場合、病院名を 公表してよいとされて います。 本日の内容 「がん登録推進法」の可決 がん登録の仕組みと現状 コーディングの方法 「石川県地域がん登録室」でみる登録票の 間違い事例 地域がん登録の歴史(全国と石川県) 1951年 東北大学の瀬木三雄教授が宮城県を対象とした「地域がん登録」を開始し、がん罹患 率を報告(1954年) 1960年代 広島市、長崎市、宮城県、次いで大阪府、愛知県などで行政として「地域がん登録」 事業がスタートした。 1983年 老人保健法制定に伴い、がん検診の精度管理の必要性から、「地域がん登録」事業を 行う地方自治体が急増。 日本では、国全体でがん登録を行ってきたわけではないので、信頼できる地域の データから、がん死亡率やがん罹患率を推定してきた(真の値ではない)。例えば、 1975年のデータは、宮城・山形・大阪・広島・長崎のデータを利用し全国の データを推計で出している。 1991年 石川県で「地域がん登録」事業が開始(県独自のシステムと届出様式を用い、男性8 部位、女性10部位での部分登録であった)。 2003年 健康増進法 2005年 個人情報保護法が施行。「地域がん登録」事業推進に大きな影響。 2006年 がん対策基本法が成立⇒ 国や自治体にがん対策の推進における責務を明文化した。 一部の地域でのがん登録から、全国でのがん登録へ方針が転換された。 国立がんセンターに「がん対策情報センター」が開設。標準データベースシステムの 完成。 2008年 石川県地域がん登録に標準データベースシステム導入(全部位登録) 2012年 宮崎県と東京都が新たに「地域がん登録」事業をスタート。47都道府県全てで運用。 ⇒ 生活習慣病の発生の状況の把握の必要性を明文化。 主な死因別にみた死亡率の年次推移 ・年間30万人が死亡、60万人が罹患 人口の高齢化とともに増え続けるがん死亡 ・男性の2人に1人、女性の3人に1人はが ⇒ 国民の健康への最大の脅威 んに罹患する時代 石川県では毎年、3千人ががんで死亡、6千人ががんに罹患 乳がんー都道府県別75歳未満年齢調整死亡率 (2005年と2009年) ・都道府県ごとに、乳がんの死亡率に地域差がある。 ・経年的な、変化が見られる。⇒ 石川県と福井県の違い。 がん対策の必要性 がんという病気が増えています -がんに罹る人数 -がんで死ぬ人数 -地域差があります どちらも増加 がんは行政的な対策が可能な疾病です -罹る人数を減らす ⇒ 一次予防対策 -早く見つけ出す ⇒ 検診などの二次予防対策 -治療を受ける体制の整備 ⇒ 行政の役割の重要性 院内がん登録と連携し -治療成績の向上(手術、化学療法、放射線療法、その他) 正確なデータの集積に基づく地域がん登録が重要です がん対策推進基本計画 2007年6月 閣議決定 全体目標 ~がんによる死亡者の減少(75歳未満の年齢調整死亡率の 20%減少) ~すべてのがん患者およびその家族の苦痛の軽減並びに療 養生活の質の向上 重点的に取り組む課題 1.放射線療法及び化学療法の推進、並びにこれらを専門的 に行う医師等の育成 2.治療の初期段階からの緩和ケアの実施 3.がん登録の推進 法制化前のがん登録は 正確ながん情報がぜったいに必要! …でも、大切な個人情報。 本当は、一人ひとりに同意を取るのがスジですが… 安全管理措置 がん登録の 不利益 がん登録の 利益 ・個人情報の自己コントロール権の制限 ・正確ながん情報により新たながん治療、がん予防、 がん対策が立てられる。 ・情報漏えいのリスク ・国民への啓もう 地域がんの目標とする指標 罹患数、罹患率 ⇒ 人口10万人あたりどれくらいの割合でがんに罹ったか。 疫学に基づいたリスク要因のコントロールができる可能性あり。 ex. 肺癌と喫煙、C型肝炎のスクリーニングと肝癌 死亡数、死亡率 ⇒ 人口10万人あたりどれくらいの割合でがんで死亡したか。 がんの早期発見、検診受診率等の充実・向上、検診の精度向上、 治療法の改善などが関与している。 生存率 = 生存数÷患者数 ⇒ 罹った人のうち、例えば5年後にどれだけの割合の人が生存して いるのか。治療成績の把握、治療法の評価に有用。 ⇒ 死亡率や罹患率と異なり、分母(患者数)の把握が困難。また、 生存者の確認は、住民基本台帳との照合ができないと困難。 がん登録の仕組み 人口動態統計 (死亡情報) A病院 ○○県 地域がん登録中央登録室 受診 がんの診断 報告 院内がん登録へ登録 別の病院も受診 地域がん登録へ の届出義務がな いと、登録漏れ が発生する B病院 報告 同一人物・同一腫瘍の判断 1腫瘍として登録 がんの診断 主治医らが届出票記入 死亡小票による 生死確認調査 地域がん登録室での作業の流れ 遡り調査 登録票 死亡小票 生存確認調査 地域がん登録室 コーディング、個人照合 データ登録 死亡小票による情報のみ 死亡情報なし 集約データ(1腫瘍1件) 遡り調査 対象者 統計データの作成、年報など 生存確認調査 対象者 石川県における地域がん登録の変化と 届出票数の推移 届出票数 1991年 石川県で「地域がん登録」事業が開始。 「第3次対がん10カ年総合戦略」で、高い水準のがん医療の「均てん化」が図 られる。 2004年 2,112 2005年 2,654 2006年 3,434 2007年 4,798 金沢大学、金沢医科大学、石川県立中央病院、金沢医療センター、小松市民病院 が国指定の「がん診療連携拠点病院」に認定。(5病院) 2008年 4,560 標準データベースシステムの導入 2009年 4,427 2010年 11,317 4月の診療報酬改定で、DPCの評価係数に「地域がん登録に参画」することが追 加。 10,352 芳珠記念病院、金沢市立病院、金沢赤十字病院、金沢社会保険病院、浅ノ川総合 病院、済生会金沢病院、松任石川中央病院を県指定の「地域がん診療連携推進病 院」に認定。(7病院) 公立能登総合病院、恵寿総合病院を県指定の「地域がん診療連携協力病院」に認 定。(2病院) 2011年 地域がん登録の精度指標 誰も知らない真のがん罹患数 死亡情報を加えて把握した件数 罹患情報を把握した件数 DCN 死亡小票ではじめて登録された割合 罹患と死亡の 情報が 揃ったもの 遡り調査を実施 死亡情報をもと に医療機関に 問い合わせ DCO 死亡診断情報(死亡小票) 地域がん登録に報告された罹患(届出票) 生が 存ん が登 ん録 患に 者全 く 把 握 さ れ な い 届出に漏れた罹患 DCN:Death certificate notifications(死亡小票によりはじめてがんを把握) DCO:Death certificate only(死亡小票以外の情報がない) 精度指標 完全性の精度指標 - - DCN:死亡小票ではじめて罹患が把握されている症例の割合 → 低いほうが良い DCO:死亡小票以外の情報がない → 遡り調査が未実施 低いほうが良い。10%以下が目標。 その他の精度指標 - - IM比:罹患数と死亡数の比 → 一定水準であるのが良い(2程度) HV(histologically verified case)、MV(microscopically verified case)。病理学的検索の存在する割合の高い方が良い。 都道府県別地域がん登録の精度指標 2000年のデータ、実施は34道府県、一部紹介 開始年 罹患数 死亡数 DCO率 IM比 福井県 1984 3,867 2,071 5% 1.87 岡山県 1992 9,211 4,778 8% 1.93 長崎県 1985 8,042 4,219 14% 1.91 宮城県 1959 10,769 5,259 15% 2.05 佐賀県 1984 3,684 2,473 15% 1.49 滋賀県 1982 4,837 2,863 16% 1.69 山形県 1974 6,223 3,663 17% 1.70 富山県 1987 5,260 2,856 31% 1.84 愛知県 1962 22,873 13,935 33% 1.64 石川県 1991 2,947 2,256 52% 1.31 群馬県 1994 6,032 4,404 57% 1.37 詳細は、「第3次対がん総合戦略研究事業開始時点における地域がん登録実施状況調査 (事前調査)結果報告書」(平成17年9月)を参照してください。 石川県のDCO率 石川県のDCO率の推移 70 理想値は10%未満です 60 50 40 30 15.4 20 10 0 H4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 本日の内容 「がん登録推進法」の可決 がん登録の仕組みと現状 コーディングの方法 「石川県地域がん登録室」でみる登録票の 間違い事例 コーディングとは ICD-O-3分類を用いてコード化し、集計すること。 部位のコーディング(局在コード) 例) 胃幽門部癌 → C16.4 胃体部癌 → C16.2 胃癌だけなら → C16.9 病理診断名のコーディング(形態コード) 形態診断 + 性状 + 分化度 例) 中分化型乳頭状腺癌 → 8260/32 高分化型扁平上皮癌 → 8070/31 石川県では今年度から方針を変えます ご注意をお願いします 今までは「疑い症例」も積極的に提出していただきました。 今後は、「確定的な」症例のみ提出してください。 理由 ・石川県では安定的に1万例を超える届け出があること ・予定では、2016年からは法制化の元、全ての病院と 一部の診療所(手上げ方式)に義務付けされること。 具体的には、 ・「組織診断は得られていないが、触診やエコー、内視鏡などで明らかな 腫瘍が見られ、臨床的に○○癌と診断される」のような場合は、届け出 をお願いします。 登録対象と届け出のタイミング すべての部位の悪性腫瘍 国際疾病分類-腫瘍学第3版(ICD-O-3)にて 性状コード/2(上皮内がん)と/3(悪性)を登録対象 頭蓋内腫瘍は、良性でも登録対象 診断時住所が当該地域にある者 原発であること。ただし初発だけでなく、再発時も提出してください。 多重がん(一人の人に発生した2つ以上のがん)は、それぞれ別ながんとして 登録します。(ex. 胃癌と直腸がん、肺がんと子宮がん) 届け出のタイミング:自施設における初回の診断・治療終了時 ⇒ ⇒ 入院患者: 新規発生のがんに対する一連の治療が終了し、退院する時点 外来患者: 1)外来治療終了時 2)検査・治療のために他院へ紹介した時点 多くの届け出票を出す病院では、まとめて提出していただいて結構です。 標準登録項目 No 1 項目名 医療機関名 2-6 カルテ番号、姓名、性別、生年月日、診断時住所 7-10 診断結果、初回診断日、自施設診断日、発見経緯 11-15 診断名(原発部位名)、側性、進展度(臨床進行度)、組織診断名、 診断根拠 16-19 外科的治療、体腔鏡的治療、内視鏡的治療、治療の結果 20-24 放射線治療、化学療法、免疫療法、内分泌療法、その他の治療 25 死亡日 届出票の書き方(開業医の先生の場合) 登録室で、このように コーディングします。 届出票の書き方(病院の場合) 登録室で、このようにコーディングします。 但し、がん拠点・協力・推進病院では、コーディング を行ってからの提出をお願いします。 正しいがん登録のために 他臓器からの浸潤や、再発・転移がんを、誤って多重がんと判定 → 誤ったがん統計 多重がんには様々な考え方があるが、地域がん登録ではIARC/IACR によって定められた定義(2004年)にしたがって作業をしています。 多重がんを判定して、集約を行うには、下記項目の正確な情報を得て、 正しく分類することが不可欠。 原発部位 左右の別 組織診断名 がんの拡がり(進展度):「進展度」は地域がん登録独自の分類で す。「UICC TNM分類」の欄には、学会取り扱い規約 TNM分類や、その他の分類を記載します。 ⇒ この情報をもとに、進展度を決定します。 がん登録室で考える 医療機関ごとの届出票の内容 がん診療連携拠点病院(5病院)―実務担当者のいる病院 地域がん診療連携推進病院(7病院) 地域がん診療連携協力病院(2病院) ⇒ コーディングを含めた詳細な内容を記載してください 上記以外の、手術や化学療法を行っている病院 ⇒ 実務担当者がいない場合は、コーディングは不要です。しかし、 登録室の負担を減らすためには、可能ならコーディングをお願いし ます。 開業医 ⇒ 疑い例の場合は、確定的な場合に提出してください。 患者識別に必要な(姓名、性別、生年月日や住所)部分と、診断名、 診断情報(初発か再発か、根拠、診断日、発見経緯)、備考欄への 記載をお願いします。 医学用語は難しい? 以下の病名は、全て性状コード2か3 腹膜偽粘液腫、VIP産生腫瘍、パジェット病、ボウエン病、胚細胞腫瘍、 菌状息肉症、セザリー病、悪性組織球症、悪性細網症、 マクログロブリン血症、血管内皮腫症、アルファ重鎖病、 免疫増殖性疾患、急性汎骨髄症、急性骨髄線維症、ガンマ重鎖病、 骨髄腫症、形質細胞腫、真性赤血球増加症、慢性骨髄増殖性疾患、 本態性血小板血症、不応性貧血、骨髄異形成症候群(MDS)、 前白血病、CIN3、中皮腫 ・・・・ 臨床医に馴染みのある病名ですが・・・ 例えば、「AFP産生胃がん」 ⇒ これは、ICD-O-3には掲載されていません。 このため、 局在=C16.9 病理診断名=800039 す。 としま 迷ったら、詳細な情報とともに届け出てください。 左右(側性) 原発部位が側性のある臓器(肺、乳房など)の場合のみ記入する。 「3両側」は、同一組織型の腫瘍が両側に診断された卵巣腫瘍 両側性の腎臓のウィルムス腫瘍(腎芽腫) 両側性の網膜芽細胞腫 のみに用いられる。 側性のある臓器で、一方が他方の転移と判断されない腫瘍が左右に存在 する時、左右それぞれ独立した腫瘍として別々の届出票を作成。 一方が他方からの転移で、原発側が判断できない場合は不明とする。 側性のある臓器とは? 例えば、 肺、乳腺、卵巣、尿管・腎臓、 耳下腺・顎下腺、顔面の皮膚 (口唇は除外)、 上肢の骨・軟部組織など 甲状腺や脳は? 右と左に分かれている ように見えるが、繋がって いるのは一つの臓器。 「初発」「再発・治療開始後」「疑い例」 初発 自施設において、そのがんを診断した場合、あるいは初回治療を行った場合。 再発・治療開始後 …この項目は、複数の医療機関を受診する可能性がある 中で、登録漏れのないようにする仕組みと考えてください。 ・自施設にて患者を診療した時点で、他施設で当該がんの初回治療を開始した後。 ⇒ 例えば、A病院で乳がんに手術、化学療法を施行した後、B病院で放射線療法を受 けた場合。 ・自施設・他施設を問わず、初回治療が完了した後(再発を含む)の状態である場合。 #自院で初発の届け出をしており、そのフォロー中に再発が見つかった場合の届け出は不 要です。 疑い例 自施設において患者の初回診療を終了し、がんの確定診断(病理診断・画像診断・臨床診 断をもってしても)に至らなかったが、極めてがんを疑う症例。 ⇒ 今後、「疑い例」が削除される可能性があります。 診断根拠 1. 原発巣の組織診 (原発巣からの病理組織診断によるがんの診断、白血病の骨髄穿刺を含む) 2. 転移巣の組織診 (転移巣からの病理組織診断によるがんの診断) 3. 細胞診 (喀痰、尿沈渣、膣分泌物などによる剥離細胞診、擦過・吸引細胞診、洗浄細 胞診を含む。白血病及び悪性リンパ腫の一般血液検査もこの項に含む。) 4. 部位特異的な腫瘍マーカー (PSA、AFP、HCGなど) 5. 臨床検査 (画像診断、手術・体腔鏡下の肉眼的診断を含む。) 6. 臨床診断 複数回答可です 登録室では、診断の確からしさの確認に 使用しています。 診断日 診断日をはっきりと規定するのは難しいが、罹患集計時の罹患日、生存率計算 の時の起点日となることから重要。 自施設診断日 「診断情報」の「発病・再発」欄が「初発」「疑い」の場合 1)初回治療前に、自施設で実施した検査で、診断根拠の番号が最も小さい検査の実 施日を記入。 2)前医・他施設で当該腫瘍の初回診断がなされている場合は、自施設初診日を記入。 ⇐開業医の先生から紹介されてきた場合が想定されます。 3)剖検で判った場合は、死亡日を記入。 「診断情報」の「発病・再発」の欄が「再発・治療開始後」の場合 1)自施設での当該腫瘍の初診日を記入。 初回診断日 原則的に、「診断情報」の「発病・再発」欄が「再発・治療開始後」の場合に使います。 1)初発時の診断日を判る範囲で記入 ⇐自施設だけで完結している場合 2)前医・他施設での診断日を判る範囲で記入する。 発見経緯 当該腫瘍が診断される発端となった状況を把握するための項目です。 1:がん検診 ・がんの早期発見、早期治療を目的とし一連の定型的な検査を行う場合。 ⇒自治体の行う「胃がん検診」や「乳がん検診」など。 ・自覚症状を持ちながらがん検診を受けた場合は、「1がん検診」とする。 2:健康診断・人間ドック ・健康診断(健診)は健康一般に関する診査を目的とし一連の検査を行う こと。 ・人間ドックは、個人を対象にして行うより詳細な健康一般に関する検査。 3:他疾患の経過観察中 ・入院時ルーチン検査を含む。 4:剖検発見 9:その他・不明(自覚症状も含む) ※日本では、「1がん検診」を対策型検診、「2健康診断・人間ドック」を任意型検診、 「3他疾患の経過観察中」を包括的な医療費の中で発見されたがん、と区別し医療費の面 での検討にも使用される。 病 期 地域がん登録では、病巣の広がり(進展度)を用いる。 ⇒臨床医には馴染みがない 理由 1.日本で用いられる取り扱い規約のTNM分類は、学会ごとに設けられ、日本 独自のルールで、国際的なものではないことが多い。 2.取り扱い規約は頻回に改定される。長期的に変更しないで使える基準が 必要。 病巣の拡がり(進展度) 「0上皮内」、「1限局」、「2所属リンパ節転移」、「3隣接臓器浸潤」 「4遠隔転移」、「9不明」 の6つに分類する臨床進行度を採用している。 国際的なTNM分類や日本の取り扱い規約のTNM分類は ⇒ あくまでも、進展度を決めるための参考 UICC TNM分類、癌取り扱い規約について 治療方法 地域がん登録では、 原則として、最初の診断から4ヶ月以内に 開始された一連の治療を初回治療と考えて います。 再発時の治療は追加登録しな ⇒地域がん登録で取り扱う初回治療は、代表的な治療方法に い。 ついて大まかな治療効果の評価の意味があるが、より詳細 な治療方法情報は院内がん登録で登録すべき項目である。 死亡日 死亡日は最終的には、「死亡小票」もしくは 「生存確認調査」で確認されることが望ましい。 しかし、情報を届け出る時点で死亡日が判明して いる場合は記載してください。 死亡診断書の問題 主治医ではない医師が書く場合、 この欄への記入漏れが多い。 備考欄 初回診断後、他の医療機関へ紹介した場合に は、積極的に記載してください。 Ex.「精査加療目的に、○○病院へ紹介した」 ⇒この情報は、大変役に立ちます。 本日の内容 「がん登録推進法」の可決 がん登録の仕組みと現状 コーディングの方法 「石川県地域がん登録室」でみる登録票の 間違い事例 間違い事例(1) ・左右: 1右 2左 3両側 部位:甲状腺 ⇒ 甲状腺は左右の側性のない臓器です。 ・左右: 1右 2左 3両側 部位:肺 ⇒ 病理診断:腺がん 肺は側性のある臓器ですが、両側は卵巣・腎芽腫・網膜芽 細胞腫だけです。また、肺は転移しやすいがんの一つです。 ・左右: 1右 2左 3両側 部位:乳腺 ⇒ 病理診断:乳頭がん 病理診断:浸潤性乳管がん 乳腺も側性のある臓器です。肺と異なり、右の乳がんが 左の乳腺に転移することは稀です。この場合、2枚の届け 出が必要です。 間違い事例(2) ・部位:S状結腸(C187) 病理診断:adenocarcinoma(814039) 病巣の拡がり:0上皮内 1限局 2所属リンパ節転移 3隣接臓器浸潤 4遠隔転移 9不明 UICC TNM : T0 N0 M0 ステージ0 ⇒ 結腸・直腸で上皮内がんの場合は、上皮内腺がん(814029)か、 腺腫性ポリープ内上皮内腺がん(821029)になります。 また、T0ではなく、Tisになります。 ・部位:膀胱側壁(C672) 病理診断:乳頭状移行上皮癌(813021) 病巣の拡がり:0上皮内 1限局 2所属リンパ節転移 3隣接臓器浸潤 4遠隔転移 9不明 UICC TNM : T1 N0 M0 ステージ0 ⇒ 膀胱の上皮内がんで、乳頭状移行上皮癌、非浸潤性の場合は、 (813029)となります。また、T1ではなく、TaもしくはTisになります。 「上皮内がん」で誤りやすい点 「上皮内がん」で注意を要する臓器は ・食道、胃、結腸・直腸 ・膀胱、子宮頸部 ・皮膚、乳腺 病理診断(形態)のコーディング( □□□□/□□ )で注意すべきこと ・第5桁目は必ず、 □□□□/2□になります。 ⇒性状を示すもので、悪性は3、上皮内がんは2 ・第6桁目は必ず、 □□□□/□9になります。 ⇒分化度・異型度を示すもので、5桁目が2の場合は、必ず9 胃の場合は特別ルール 病理診断名欄に、上皮内(noninvasive、intraepithlial)の記載のある 場合のみ、8140/29を適用する。 壁深達度:Mの記載や、進展度:上皮内、TNM分類:Tisの記載 からは8140/29を適用しない。 進展度の判断に迷いやすい腫瘍・臓器 悪性リンパ腫 ⇒Ann Arbor分類に基づき進展度が決められている。 白血病などの造血器腫瘍 ⇒TNM分類は存在しないので、UICC TNMの欄は空白で可。がんの 拡がりは不明確なので、「9不明」を選択。 脳腫瘍 ⇒TNM分類は存在しないので、UICC TNM欄は空白で可。進展度は、 常識的な範囲内で可能な場合、該当番号に○を付ける。例えば、 明らかに限局していれば、「1限局」を選択。判断に迷うときは、 「9不明」を選択。 その他 まとめ 今後とも地域がん登録へのご協力を お願いします。
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