財務的視点からの 新市立病院計画

1
財務的な観点からみた
新市立病院計画
2010.10.22
小樽商科大学大学院
堺 昌彦
新市立病院の意義
2
新市立病院に最終的に求められるのは、
必要十分かつ持続可能な地域医療体制の確立。
※構築するだけではなく、存続させることが重要。
→健全な財務状態(収支)の確立が必須。
市立病院の収支の構造
3
単位:百万円
年度
一般会計
からの
繰出金
(財政補助)
医業外収益
H28
H29
H30
692
778
841
850
863
8,364 8,000 8,050 8,059 8,073
経常収益
8,468 7,805 7,860 7,908 7,843
医業費用
うち減価償却費
医業外費用
経常損益
H27
7,672 7,222 7,209 7,209 7,209
医業収益
経常費用
H26
821
836
851
866
881
465
486
481
476
471
8,933 8,292 8,342 8,385 8,314
-569
-292
-292
-325
-241
平成22年6月10日予算特別委員会資料 新病院の収支試算(病院局試算)より作成
財政負担は、
病院の損益だけでなく、繰出金も考慮にいれる必要がある。
小樽市の財政状況
4
一般会計の決算収支の推移 (単位:百万円)
H17
年度
H18
-629
収支*
-206
H19
-777
H20
H21
-212
-136
*財源対策を考慮した実質的単年度収支を使用
一般財源収入の推移 (単位:百万円)
年度
H17
H18
H19
一般財源収入
H20
H21
35,971
35,670
34,485
34,680
34,976
市税
14,629
14,418
15,098
15,307
14,519
地方交付税
15,777
15,409
14,788
14,934
15,559
財政の概況(平成12〜21年度決算の状況 《 推移 》)(小樽市)より作成
収入は伸び悩み、収支は赤字が続いている。
→必然的に、近い将来、支出の大幅な見直しに迫られる。
→巨額の財政負担となる事業は存続そのものが問われ
財政負担を軽減するためには
5
(1) より効率的な病院経営による
医業収益の増大と医業費用の削減。
(2) より合理的な設備(建物、施設、機器)投資計画。
※多くの場合、前者のみに着目されがちであるが後者も重要である。
なぜなら、設備投資によって、
これから発生する費用の大半が決まってしまうからである。
過大投資の危険性
6
収支の構造
経常収益
医業費用
うち減価償却費
医業外費用
収益は不確実
8,364
8,468
ランニング・コスト
821
減価償却費
465
金利負担(借入の場合)
経常費用
8,933
経常損益
-569
設
備
投
資
費用の大半は確定
※収益が見込みより下回った場合、過大な設備投資は、
膨大な赤字を発生させ、破綻の原因となる。
→設備投資の規模を適正な水準にすることは、極めて重要。
新市立病院の設備投資の規模は
適正な水準なのか
7
新市立病院は、
「必要十分かつ持続可能な地域医療体制の確立」という観点からみて、

病院の機能は過大すぎないか?
→地域の他の医療機関との連携を前提としたうえで、
市立病院として本当に必要な機能に絞られているのか。

病床数は過大すぎないか?
→地域の人口動態や、他の医療機関の病床数を勘案したうえで、
適正な病床数となっているのか。

病院の建築コストは高すぎないか?
→全国平均、またはベストプラクティスを目標水準にして、
手法の見直しを行うべきではないのか。