降着円盤からの 相対論的輻射流体風 Relativistic Radiation Hydrodynamical Winds from Accretion Disks with Velocity-Dependent Eddington Factor Plane-Parallel Case 福江 純、秋月千鶴@大阪教育大学 目次 0 現象:宇宙ジェット 1 準備:相対論的輻射流体力学 1. 輻射輸送方程式 2. モーメント定式化 3. 速度依存変動エディントン因子 2 経過:今回のテーマ 1. 2. 3. 4. 5. 6. 平行平板:重力なし 平行平板:重力あり 平行平板:ガス圧あり:等温風(本講演) 球対称:重力なし 球対称:重力あり 球対称:ガス圧あり:等温風(秋月講演) 3 降着円盤風における特異点の特徴 4 輻射圧で加速される相対論的降着円盤風 5 降着円盤風内での輻射輸送と周縁減光効果 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 2 0 現象 宇宙ジェット現象 Astrophysical Jets 相対論的ジェット 中心の天体から双方 向に吹き出す細く絞ら れたプラズマの流れ 「宇宙ジェット」 (YSO) (CVs, SSXSs) Crab pulsar SS 433 microquasar AGN quasar gamma-ray burst 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 4 宇宙ジェットの加速機構 エネルギー源 – 重力エネルギー – 自転エネルギー (エルゴ圏) 加速・駆動方法 – 高温ガスの圧力 – 輻射(光)の圧力 – 磁場の力 輻射力加速にせ よ磁気力加速に せよ、光速の9割 ぐらまでなら可能 だが、γが10とか 100の超相対論的 ジェットはまだ実 現できていない。 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 5 1 準備 相対論的輻射流体力学 Relativistic Radiation Hydrodynamics 1.準備 変動エディントン因子 P0:流体共動系での輻射ストレス(テンソル) E0:流体共動系での輻射エネルギー密度 P0= f E0: 従来は f =1/3と置いたが・・・ 平行平板 球対称 Abramowicz et al.(1990)の 7 日本天文学会2007年春季年会 dτ=γ(1+βcosθ)dτ。より 07/03/28 2 経過 今回のテーマ 平行平板近似でガス圧を入れた Current Research 4.今回 基礎方程式1 平行平板1次元定常流 [天体重力:PseudoNewtonian] [圧力勾配力] 質量流束の保存 運動方程式 エネルギー(輻射平衡) 0次のモーメント 1次のモーメント 速度依存変動エディン トン近似 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 9 4.今回 基礎方程式2 風方程式 風方程式に変換 [等温音速:cT] 風方程式 0次のモーメント 1次のモーメント 光学的厚さ 速度依存変動エディン トン近似 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 10 4.今回 基礎方程式3 無次元化 無次元化 [単位:rg、c、LE] 風方程式 0次のモーメント 1次のモーメント 光学的厚さ 速度依存変動エディン トン近似 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 11 3 降着円盤風における 特異点の特徴 Critical Points in Accretion Disk Winds 4.今回 風方程式 d dz 特異点と特異点解析 N ( z , ) D ( z , ) 臨界点(遷音速点):D=0 and N=0 鞍点型 (saddle/X type) 渦心点型 (center/O type) 輻射圧 O δ2γcFc<0.1 ←鞍点 X ←渦心点 重力 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 13 4 輻射圧で加速される 相対論的降着円盤風 Relativistic Radiation Hydrodynamical Winds from Accretion Disks 4.今回 臨界点から解を求める 初期条件 (6ヶ) zc, βc, Fc, Pc, τc=1 パラメータ (3ヶ) cT, δ=1, J=0.1 遷音速解 臨界点条件 at D=N=0 (1) D=0 : βc=cT (2) N( zc, βc, Fc, Pc)=0 境界条件 at τ=0 (3) 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 15 4.今回 典型的な解 r=3 rg δ=1 τc=1 cs=0.1 Fc=1 J=0.1 Pc=0.125 zc=3.37 v∞=0.3074 遷音速解 cs=0.3 Pc=0.108 zc=5.7 v∞=0.5644 cs=0.5 Pc=0.103 zc=8.07 v∞=0.7268 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 16 4.今回 典型的な解 r=3 rg δ=1 τc=1 J=0.1 cs=0.3 遷音速解 典型的な解 r=3 rg δ=1 τc=1 J=0.1 Fc=1 γs~1.07+1.50Fc γs~1+0.3cT+1.3cT2 ベルヌーイの式 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 17 4.今回 エネルギー的議論 相対論的ベルヌーイの式 → 速度の上限 p Jc g 00 g 00 F E 2 c 2 2 p Jc Jc g 00 g 00 F z 0 2 c 2 rg 1 1 r F0 2 Jc r=3, F=0.1, J=0.1 then γ=1.666 or β=0.8 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 18 4.今回 まとめ1 平行平板近似+速度依存変動エディントン因 子+等温仮定のもとで、相対論的輻射流体 力学方程式を正確に解いて、鉛直一次元定 常降着円盤輻射流体風の遷音速解(および 超音速解)をはじめて求めた エディントン光度程度だと、輻射流体降着円盤 風の最終速度は光速の8割程度 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 19 5 降着円盤風内での輻射輸送 と周縁減光効果 Radiation Transfer and LimbDarkening in Relativistic Accretion Disk Winds 5.輻射輸送 有限厚平行平板大気 解析解(一様光源、v=0) 赤道での境界条件 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 21 5.輻射輸送 有限厚平行平板大気 解析解(一様光源、v=0 ) 表面からの放射 τ0→∞で通常のMilne-Eddington解 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 22 5.輻射輸送 有限厚平行平板大気 解析解(一様光源、v=0 ) τ大 通常の周縁減光 効果 τ小 一様光源的 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 23 5.輻射輸送 有限厚平行平板風 数値解(一様光源、v~0.1c ) v 赤道での境界条件 v 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 24 5.輻射輸送 有限厚平行平板風 数値解(一様光源、v~0.1c ) 速度vと輻射圧P 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 25 5.輻射輸送 有限厚平行平板風 数値解(一様光源、v~0.1c ) 輻射強度 I (τ, μ):μ=cos θ • 実線:I+ • 破線:I- 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 26 5.輻射輸送 有限厚平行平板風 数値解(一様光源、v~0.1c ) 円盤表面から放射される emergent intensity I(0, μ)の 角度分布 破線:通常の周縁減光効果 実線:平行平板風の場合 – 低速:τが小さいとピーキング が押さえられ、平行平板大気 で一様光源に近づく – 高速:大気が鉛直方向に運 動しているドップラー効果な どによるピーキングが生じる 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 27 4.輻射輸送 まとめ2 有限の光学的厚み+一様光源のもとで、(v/c) の1次までの近似で、相対論的鉛直風内の輻 射輸送を解いて、輻射強度分布などをはじめ て求めた 光学的厚みが薄いときには通常の周縁減光効 果は生じないが、相対論的運動に伴うドップ ラーピーキングが現れることがわかった 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 28 6 今後 Influence 5.影響 関連する天体現象 輻射場が重要な相対論的天体現象全般 ブラックホール降着流:光子捕捉 相対論的天体風:超相対論的ジェット ガンマ線バースト:ファイアボール ニュートリノ円盤:ニュートリノトーラス 初期宇宙:最初の降着円盤、最初のジェット 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 30 5.影響 今後の課題 f (τ,β)のより適切な形?→輻射輸送 平行平板→球対称の場合 → 秋月講演 重力場の効果 ガス圧、磁気圧の効果 非定常流の場合 降着流の場合 いろいろな天体現象への応用 数値シミュレーション(かなり難しい) 日本天文学会2007年春季年会 07/03/28 31
© Copyright 2024 ExpyDoc