基礎地学II イントロダクション~地球の概観

基礎地学II
イントロダクション~地球の概観
北海道大学・環境科学院
藤原正智
http://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/~fuji/
専門:大気科学
特に、熱帯大気、大気化学、大気輸送過程、観測・機器開発
講義内容・成績評価など
講義内容
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地球の概観
宇宙論-自然哲学から自然科学へ
宇宙論(2/3)
宇宙論(3/3)
比較惑星学-太陽系の構造と進化
地球進化史- 46億年史
気象学事始
気象学事始(続き)
オゾンホール
海洋学事始
地球温暖化
地球温暖化(続き)
熱帯の国々と人々
1/7、14: キリバス共和国タラワ出張のため休講
成績評価
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毎回最後にミニレポート(出席確認)
レポート課題(1回)
参考図書
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「ニューステージ 新訂 地学図表」
浜島書店 820円
毎回必要に応じて参考図書を提示
講義資料:
http://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/~fuji
/edu/chigaku2009/
“地学”とは
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地球に関する科学/学問の総称
(固体地球)地震学、火山学、地質学、岩石学、鉱物学、
鉱床学、測地学、自然地理学など
(流体地球)気象学、海洋学、水文学、陸水学、雪氷学など
(宇宙他)天文学、惑星科学、地球電磁気学、
気候学、第四紀学(165万年前以降)、古生物学など
物理学、化学などを基礎として地球・宇宙の諸現象を理解
“学”、分野、現象により方法論・手法は千差万別
“専門”の細分化(“隣は何をする人ぞ”)
漠たる共通点:自然の認識の仕方、時空間構造、
観察/観測~理論化、非線形性(“複雑系”)*
地球の概観:宇宙から見た地球
地球の特徴は?
•巨大な衛星、月の存在
•大気の存在(青色)
•H2Oの雲の存在
•広大な海洋の存在
•プレートテクトニクス
•強い磁場の存在
•生命の存在
•酸素主成分の大気
•オゾン層の存在
“Earth Rise” : December 1968, Apollo 8
http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/archivepix.html
月上空から見た地球(アポロ8号:初の月周回)
― 写真右上より太陽光
2008年4月6日「かぐや(SELENE)」
ハイビジョンカメラによる「満地球の出」
地球表層圏:大気圏
1997年8月 台風“Winnie”
スペースシャトル Discovery
高度300~500 km
2000年4月
タイ~カンボジア国境付近の積乱雲
旅客機にて、高度10 km
http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/archivepix.html
地球の平均半径:6371 km ≫ 雲の最大到達高度:10~16 km(対流圏界面)
エベレスト:海抜9 km弱、 海洋の平均深度:4 km(最深部~10 km)
オゾン層のある成層圏:10~50 km、 オーロラ出現高度:100 km付近が頻度最大
 我々は大変薄い大気の底に住んでいる
地球表層圏:大陸・海底地形
[地学図表より]
大陸:地球表面の3割。6~7つの大陸。大山脈、大平原と大河川、地溝帯
海底:地球表面の7割。海嶺、海溝・島弧・縁海(例:日本海、オホーツク海)、
大陸棚(東シナ海)、海山列 (“アトランティス”(北大西洋)や“ムー大陸”(中央・南太平洋)はない)
地球表層圏:地震・火山・プレート分布
・地球表面は約10枚のプレートに覆われている(厚さ100km程度)
・“プレートテクトニクス”:プレートが地球表層を水平移動
(速度年間数cm、 海洋底は2~3億年で更新)
・地震と火山は、プレート境界に見られる(むしろプレートの証拠)
浅い地震:海溝と海嶺、 深い地震:海溝
火山:海溝 (+ホットスポット)
・日本列島の特異性
富士山(3776 m)の特異性(北岳3192 mが第二位)
[全て、地学図表より]
地球の内部を“見る”
(CTスキャンはX線を利用)
観測事実:
地震波の詳細解析により、マントル内部の
[図は全て、地学図表より]
温度非一様の存在が明らかに
解釈(仮説):高温部は上昇域、低温部は下降域 ― 「非定常な全マントル対流仮説」
プレートの運動(超大陸の形成と分裂)や海山列(ホットスポット)・地溝帯を統一的に説明できそう
(地殻・マントルは、岩石(固体。地震波に対しては弾性体)だが、長い時間で見れば粘性流体としての挙動を示す。)
核と磁場
[左上図は、丸山・磯崎、生命と地球の歴史(岩波新書)より。他は地学図表より]
•外核:鉄とニッケルの液体+少量の軽元素(ダイヤモンド晶出?)(4000℃)
•内核:鉄とニッケルの合金(1000年に1mmの割合で外核から晶出)(中心は6000~7000℃)
•外核内部の対流運動(鉄の流れ=電流)  強い磁場の形成・維持
•磁極は数10万年程度の周期で反転してきた
磁気圏
[地学図表より]
・地球の固有磁場(磁力線)は、太陽風(太陽磁場を伴う帯電粒子の流れ)により太陽側でつぶれ風下へなびく
・つまり、太陽からの帯電粒子が直接地球へ入射するのを妨げている
・ただし、磁気圏尾部(“風下”)においては、しばしば磁力線が太陽風磁場と連結する(“開く”)
・その時、太陽からの帯電粒子が、地球磁力線に沿って両極域に降り込み、
地球の超高層大気の分子・原子と衝突し発光  オーロラ(極光)
http://svs.gsfc.nasa.gov/vis/a000000/a002700/a002716/index.html (コンピューター・アニメーション)
1. 太陽風(黄色)は電荷を帯びた希薄な気体(プラズマ)で、太陽表面から常時400km/s程度の高速で噴き出している
2. 太陽風が地球磁気圏(青線が磁力線を表す)に衝突すると、次々と磁力線のつなぎ替えが生じる
3. この時巨大な電流が生じて電離層が加熱され、イオン化した酸素原子(緑色)が高速で(地球の重力を振り切って)
宇宙空間へ排出される
4. しかし、地球磁場に捕捉されているため最終的には地球を囲むような高温のプラズマ雲(赤色)を形成する
(青いドーナツ状の領域は、高速プラズマ流を表す)
5. 極域のリング状の“火”は、このようなプラズマ粒子によるオーロラの形成を示す
オーロラ(極光)
“Aurora Oklahoma”
高度: 最頻110 km、400~700 kmあたりまで
地域: 両極地方の磁気緯度65~70度付近で最頻(“オーロラ帯”)
色 : 酸素原子の緑(557.7 nm)、電離窒素分子の青
(427.8 nm)、酸素原子の赤(630.0 nm)
オーロラ帯においては、緑色の“カーテン”オーロラ
太陽活動度(11年周期;2000年頃に極大、現在次の極大?)が高い
時には、北海道(陸別町)でも(ぼんやりとした)赤いオーロラが見える
“Dueling Auroras” (Yukon, Canada)
http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/archivepix.html
オーロラ(極光)
南極昭和基地上空を舞うオーロラ(魚眼レンズにて撮影)
南緯69.0度、東経39.6度、インド洋側の東オングル島(沖合い4 km)
磁気緯度も南緯70度程度でありオーロラ帯の真下に位置する
1957年建設、以降、測地・地質・氷床・氷床コア・海洋・気象・オーロラ・
隕石・陸上/海洋生物・医学等、様々な研究調査。現在第50次隊。
http://pansy.nipr.ac.jp/members/kaoru/Doc/KidsScience/
http://www.nipr.ac.jp/japan/
オーロラ(極光)
International Space Station
(ISS、国際宇宙ステーション)
アメリカ、日本、カナダ、ヨーロッパ
各国、ロシアの共同計画
各種実験研究を行う有人施設
1984年米国提案
1998年建設開始
2009年日本実験棟「きぼう」完成
(http://iss.sfo.jaxa.jp/iss/)
“Aurora from Space”
国際宇宙ステーション(カナダ上空;高度330~480 km)
から見たカーテンオーロラ
(手前の円地形はカナダ北部のManicouagan Impact Crater)
http://antwrp.gsfc.nasa.gov/apod/archivepix.html
オーロラ・オーヴァル(卵形)
オーロラ(極光)
人工衛星IMAGE(Imager for Magnetopause-to-Aurora Global Exploration)搭載
遠紫外光撮像システム(Far-Ultraviolet (FUV) Imaging System):オーロラ光等の撮像
(オーロラは、可視域だけでなく紫外域でも同時に光っている。可視域で見ると昼間側は太陽光に隠されてしまう)
http://www.exploratorium.edu/learning_studio/auroras/fromspace.html
http://pluto.space.swri.edu/IMAGE/
まとめ
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“地学”とは
宇宙から見た地球~大気圏
地球表層圏~地球内部
地球磁気圏とオーロラ
「ミニレポート」
今日の日付(2009.10.1)、所属学部、学籍番号、氏名
大学入学の動機、興味あること、その他
「ニューステージ 新訂 地学図表」
講義資料(PowerPoint)
浜島書店 820円
http://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/~fuji/edu/chigaku2009/