発達心理学への招待

教育心理学
第5回
子どもの発達(4):
社会性の発達
今日の流れ
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適応行動の発達
役割取得能力の発達
道徳性の発達
適応行動の発達
適応行動とは
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日常生活に適応するために必要となる行動上の
スキルや能力
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コミュニケーション
日常生活スキル
社会的スキル
運動スキル
コミュニケーション
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1歳前後
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「だめ」「いいよ」などの言葉やジェスチャーを理解
「ママ」「パパ」などと言う
届かないところにある欲しいものを指さす
2歳前後
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親が話しかけたとき,注意深く聞ける
50の単語が話せる
簡単な文で話ができる
コミュニケーション
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4歳前後
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字義通りでない言い回しを理解する
現在と過去を区別して表現できる
声の調子,大きさ,リズムを適切に調節できる
書かれた自分の名前がわかる
6歳前後
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2つ以上の言い方で説明ができる
全てのひらがな(促音・撥音含む)が読める
コミュニケーション
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9歳前後
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短期の目標とそのための達成手段を話す
原稿用紙2~3枚の作文が書ける
3つ以上の文からなる簡単な手紙(葉書など)を書く
12歳前後
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6ヶ月以上の長い期間で達成される現実的な目標と
その達成手段を述べる
10以上の文からなる手紙を自分で正しく書く
社会的スキル
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1歳前後
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簡単な動きをまねる
他の子どもの近くで遊ぶ
相手との親密度に応じて振る舞いを変える
2歳前後
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同年齢の子供にかかわりを求める行動をとる
身近なものを使って見立て遊びをする
「ありがとう」「おねがい」などと言う
社会的スキル
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4歳前後
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困っている人に手助けをする
簡単なゲームのルールを守る
「ごめんなさい」が言える
6歳前後
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言わなければ自分の気持ちは他人にはわからないこ
とを理解している
点数をつける簡単なゲームをする
誰かと話す時に相手の言葉をさえぎったり失礼な話
し方をしない
社会的スキル
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9歳前後
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会話中の間接的な手がかりを理解している
複雑なゲームやスポーツのルールを守る
予定に合わせた行動ができる
12歳前後
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相手の興味があることを話題にして話を始める
大人の付き添いなく,日中友達と遊びに出掛ける
ある人や集団との関わりが危険を孕んでいる場合
に、その危険性を察知することができる
役割取得能力の発達
役割取得能力の発達(Selman)
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レベル0:自己中心的役割取得
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レベル1:主観的役割取得
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5歳ごろまで
6~7歳ごろ
レベル2:自己内省的役割取得
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8~11歳ごろ
役割取得能力の発達(Selman)
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レベル3:相互的役割取得
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12~14歳
レベル4:質的体系の役割取得
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青年期以降
道徳性の発達
道徳性の発達(Kohlberg)
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以下のようなエピソードを提示し、判断とその理
由を尋ねた
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一人の女性が特殊な病気で死に瀕していた
ある薬剤師がその病気を治せる薬を開発したが、開
発費用の10倍の値段で売っていた
患者の夫であるハインツは、薬を買うために金を借り
て回ったが、半分程度しか集められなかった
ハインツは薬剤師に「もう少し安くしてもらえないか。
できないなら支払いを待ってもらえないか」と頼んだ
断られたハインツは思いつめ、薬剤師の店に押し入
り、妻のために薬を盗んだ
道徳性の発達(Kohlberg)
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慣習以前の水準
慣習的な水準
慣習を越えた水準
道徳性の発達(Gilligan)
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男性型の「公正の道徳性」とは異なる女性型の
「配慮と責任の道徳性」について論じた
レベルⅠ:個人的生存への志向
レベルⅡ:自己犠牲としての善良さ
レベルⅢ:非暴力の道徳性
ミニレポート
テーマ(2つ選択)
1.
2.
役割取得能力の発達に関するSelmanの理論
について、わかりやすく説明せよ
道徳性の発達に関するKohlbergとGilliganの
理論の概要とその違いについて説明せよ