CASE HISTORY 患者ー30歳男性 Case 1 4日間下記の症状が続き、STD Clinic に紹介される。 *dysuria 排尿障害 *尿道 の化膿性分泌物 (尿道炎の症状) 分泌物のグラム染色により、細胞内にグラム陰性の双 球菌の存在がわかり、gonorrhea 淋病 と診断。 また、 この患者には、penicillin allergy があった。 【薬物】・spectinomycinー1gを筋注。 ・ doxycyclineー100mg1日2回 7 日間。 *azithromycinーdoxycycline から変更。 1g経口で1回投与。 CASE HISTORY 患者ー30歳男性 Case 1 4日間下記の症状が続き、STD Clinic に紹介される。 *dysuria 排尿障害 *尿道 の化膿性分泌物 (尿道炎の症状) 分泌物のグラム染色により、細胞内にグラム陰性の双 球菌の存在がわかり、gonorrhea 淋病 と診断。 また、 この患者には、penicillin allergyがあった。 【薬物】・spectinomycinー1gを筋注。 ・ doxycyclineー100mg1日2回 7 日間。 ・azithromycinーdoxycyclineか ら変更。 1g経口で1回投与。 Case 2 約2年後、キャンプ中に臍部(へそ付近)の痛み と発熱を起こす。その痛みは次第に激しくなり、右 下腹部 へ移動、さらに、発汗、めまいを訴え、 Emergency Roomへ。 acute appendicitis 急性 虫垂炎と診断、手術へ。 虫垂は穿孔し、腹腔内へ汚物が もれだしていたこと が手術中に判明。 【薬物】 (術前)・ metronidazoleー500mg静注。 ・ gentamicinー80mg静注。 (術後)・ clindamycinー600mgを8時間 毎 に静注。 ・gentamicinー400mgを1日1 回静注。 細菌の蛋白質合成 1,アミノ酸の活性化 アミノ酸と tRNAの結合によりアミノアシル tRNAが形成される 2,翻訳 translationの開始 リボゾーム 30Sと50S subunitから70S 開始複合体を形成 開始コドンに対応するホルミルメチオニン- tRNA が P siteに結合 3,ペプチド鎖の伸長 認識 recognition ペプチド転移 peptidyl transfer 転座 translocation 4,翻訳の終了 mRNAの終止コドンが A siteに入ると合成は終了しペプチド遊離 70Sリボゾームの 30S、50S subunit への解離 細菌の蛋白合成-1 ÅgQuickTimeýÅhã@î\ägí£Ç²ÅA DZÇÃÉsÉNÉ`ÉÉǾå©ÇÈǞǽDžÇÕÅA ÅgAnimationÅhêLí£ÉvÉçÉOÉâÉÄÇ™ïKóvÇÇ• ÅB 細菌の蛋白合成-2 タンパク質合成阻害作用をもつ抗菌薬 分類 ・アミノグリコシド系 Aminoglycosides (spectinomycin, gentamicin) ・テトラサイクリン系 Tetracyclines (doxycycline) ・マクロライド系 Macrolides (azithromycin) ・リンコマイシン系 Lincomycin (clindamycin) ・クロラムフェニコール Chloramphenicol 尿道炎 : Urethritis 尿路感染症の分類 臨床経過による分類 1.急性尿路感染症 2.慢性尿路感染症 感染部位による分類 1.腎盂腎炎 2.膀胱炎 3.尿道炎 尿道炎の分類 淋菌性尿道炎 Urethritis: GU 非淋菌性尿道炎 Gonococcal NON-GU: NGU STD性尿道炎 淋菌性尿道炎 非淋菌性尿道炎 Neisseria gonorrhea Chlamydia trachomatis による性交感染症 による性交感染症 成因: 性交渉(oral and/or anal sex も含む) 20% 一回の性交で 女性⇄男性 80% 淋菌・非淋菌感染症の波及 男性 前部尿道炎 後部尿道炎 前立腺炎 精管炎 尿道周囲炎 女性 子宮頸管炎 精巣上体炎・精巣炎 子宮内膜炎 卵管炎 PID (pelvic inflammatory disease) 腹膜炎 臨床所見 淋菌性尿道炎 非淋菌性尿道炎 1〜14日間の潜伏期 7〜14日間の潜伏期 黄色の膿性尿道分泌物 漿液性分泌物 排尿痛、頻尿 排尿痛軽い 尿意切迫感 まん延しやすい 尿道口の腫脹 子宮頸管炎 潜伏期不明 一般に男性より長い 症状軽い 非特異的 分泌物の増量が主体 排尿痛、頻尿 淋菌性尿道炎 診断 淋菌性 グラム染色にてグラム陰性双球菌を確認 非淋菌性(クラミジア) 蛍光抗体法 その他の診断法 遺伝子診断法 ・DNAプローブ法 ・PCR 法 治療 淋菌感染症 治療薬 セフェム系 :比較的化学療法に反応しやすい スペクチノマイシン ペニシリン系 テトラサイクリン系 ニューキノロン系 非淋菌感染症(ク ラミジア) 治療薬 テトラサイクリン系 (doxycycline) マクロライド系 ニューキノロン系 (azithromycin) 治療上の注意点 1. 確定診断をする 2. 他の STD との合併に注意 (淋菌とクラミジアの合併は25%) 3. パートナーの治療も同時に行なう 4. 感染部位は一ヶ所(生殖器のみ)とは限らない 5. 治療後の陰性化の確認 Appendicitis虫垂炎 成因 • 基本的には不明 ⇨虫垂起始部(根部)の 糞石etc.による閉塞が誘因 進行段階 • カタル性 ⇩ • 化膿性(蜂窩織炎症) ⇩ • 壊疽性 ⇩ • 穿孔性 Normal Appendix 虫垂炎 appendicitis 臨床症状 ◆初期 • • • • 心窩部痛 臍周囲痛 悪心 嘔吐 ◆2〜12hr後 • 右下腹部に限局し た疼痛 • 軽度発熱 • • • 食欲低下 全身倦怠 ⇨ 一般的な感染症 で呈する症状 便秘or下痢 腹部圧痛点 •McBurney圧痛点 •Lantz圧痛点 腹部所見 圧痛 • 触診⇨ 反跳痛 (Blumberg徴候) 筋性防御(腹壁緊張) 検査 • 血液所見 • 画像診断 単純X線 腹部超音波 腹部CT 血液所見 • 白血球増加 白血球数 • 炎症反応 正常 5,000/mm3 虫垂炎(通常)10,000/mm3 虫垂炎(重症)12,000〜15,000/mm3 CRP、血沈陽性 腹部超音波像 周囲膿瘍 腫大した虫垂 検出される菌 好 気 性 菌 嫌 気 性 菌 E.Coli 大腸菌 Pseudomonas 緑膿菌 Gram陰性菌 Klebsiella クレブシエラ菌 Proteus プロテウス属 Streptococcus 連鎖球菌 Gram陽性菌 Staphylococcus ブドウ球菌 Bacteroides Fragilis Clostridium クロストリジウム属 Fusobacterium タンパク質合成阻害作用をもつ抗菌薬 分類 ・アミノグリコシド系 Aminoglycosides (spectinomycin, gentamicin) ・テトラサイクリン系 Tetracyclines (doxycycline) ・マクロライド系 Macrolides (azithromycin) ・リンコマイシン系 Lincomycin (clindamycin) ・クロラムフェニコール Chloramphenicol Aminoglycosides Spectinomycin Gentamicin Aminoglycosidesの作用部位 aminoglycosides Aminoglycosides Pharmacokinetics ・ポリカチオンであるため、消化管からほとんど吸収されない。 ・筋内 注射で吸収され、腎臓から排泄される。 ・PAE(post antibiotic effect)ー抗生物質投与中止後、血中濃 度が最小阻止濃度以下になっ ても抗菌作用 が持続すること。 Adverse effect ・過敏反応はほとんど見られない。 毒性を起こす可能性。 でAch遊離を抑制し、呼吸麻痺をき ・耳毒性、腎 ・高用量で、神経筋接合部 たす。 Spectinomycin Clinical Uses ・淋病 (ペニシリンにア レルギーを示す患者に対し用いる) *現在使用頻度は減少しているが、古くから淋菌に特異的 な薬剤として知られている Gentamicin 緑膿菌、変形菌などグラム陰 性桿菌による感染が中心 Clinical Uses ・創傷、熱傷及び手術後の二次感染 ・腹膜炎 ・膀胱炎、腎盂腎炎 ・皮膚潰瘍などの二次感染 ・眼瞼炎、結膜炎 など 蛋白質合成阻害作用を持つ抗菌薬 分類 ・アミノグリコシド系 Aminoglycosides (spectinomycin, gentamicin) ・テトラサイクリン系 Tetracyclines (doxycycline) ・マクロライド系 Macrolides (azithromycin) ・リンコマイシン系 Lincomycin (clindamycin) ・クロラムフェニコール Chloramphenicol Tetracyclines Tetracyclines Tetracyclinesの作用部位 TETRACYCLINE Doxycycline Pharmacokinetics ・吸収後、体内に広く分布し、体液や組織への移行性がよい。 ・肝 臓から胆汁を介して消化管へ排泄される。(腎臓からの排 泄もあ る) ・胆汁から排泄されたものは、 腸肝循環を行うため、投与終了 後も比較的長く体内にとどまる。 Adverse effect ・肝毒性 性 質に沈着し、着色させる。 ・腎毒 ・骨組織、特に歯のエナメル ・光線過敏症 Doxycycline グラム陰性・陽性球菌、グラム陰性桿菌、 リケッチアなどに広域スペクトルで作用する Clinical Uses ・クラミジアに有効 ・浅在性化膿性疾患(扁桃炎、咽頭炎など) ・深在性化膿性疾患(乳腺炎、リンパ節炎など) ・気管支炎、肺炎 ・腎盂腎炎、膀胱炎 ・前立腺炎 ・淋病 ・子宮内感染 など Doxycycline の薬物相互作用 Antacid ( 制酸剤)に含まれるCa2+、Al 3+、Mg 2+のカ チオンや、貧血治療薬に用いられる鉄塩は、テトラサ イクリンに結合して腸管からの吸収を減少させる。 抗菌薬と他剤との併用による主な相互作用 抗菌薬 Aminoglycosides Macrolides Tetracyclines 他剤 相互作用 デキストラン等 利尿剤(ループ系) 筋弛緩薬 β-ラクタム薬 テオフィリン テルフェナジン シメチジン ワーファリン 制酸薬 腎毒性増強 腎毒性増強,聴器毒性増強 呼吸抑制 混注時 A Gs の活性低下 併用薬の血中濃度上昇 QT延長 抗菌薬の血中濃度上昇 抗凝血作用増強 抗菌薬の吸収阻害 タンパク質合成阻害作用をもつ抗菌薬 分類 ・アミノグリコシド系 Aminoglycosides (spectinomycin, gentamicin) ・テトラサイクリン系 Tetracyclines (doxycycline) ・マクロライド系 Macrolides (azithromycin) ・リンコマイシン系 Lincomycin (clindamycin) ・クロラムフェニコール Chloramphenicol Macrolides Azithromycin (AZM) 15員環ラクトン Macrolidesの作用部位 MACROLIDES Azithromycin Pharmacokinetics ・腸管より吸収され、肝臓で代謝を受け、胆汁中に排泄される。 ・組 織移行性が良い。 ・15員環ラクタム構造 を持ち、酸に安定となり、胃酸に 抵抗性であ る。 ・血中半減期が62時間と、極めて 長い。 Adverse effect ・肝機能障害 (発疹) ・アレルギー症状 Azithromycin Clinical Uses ML系の特徴としてグラム陽性球菌な どに有効。他にも、インフルエンザ菌 など、広く有効である。 ・呼吸器感染症(肺炎、気管支炎など) ・耳鼻咽喉科感染症(咽喉頭炎、扁桃炎など) ・皮膚科感染症(化膿性爪囲炎など) ・歯性感染症(歯周組織炎、歯冠周囲炎など) 染症 ) (・尿路感 1日1回3日間投与で、効果をあらわす。 では、尿路感染症には使われていない。 回投与で有効) 日本 (1g1 タンパク質合成阻害作用をもつ抗菌薬 分類 ・アミノグリコシド系 Aminoglycosides (spectinomycin, gentamicin) ・テトラサイクリン系 Tetracyclines (doxycycline) ・マクロライド系 Macrolides (azithromycin) ・リンコマイシン系 Lincomycin (clindamycin) ・クロラムフェニコール Chloramphenicol Lincomycin Clindamycin Clindamycinの作用部位 clindamycin Clindamycin Pharmacokinetics ・経口投与でもよく吸収される。 系を除き、体内で広く分布。 れる割合は小さく、肝臓で代謝され 腎臓から尿中へ排泄される。 ・中枢神経 ・未変化のまま排泄さ 胆汁を介して、あるいは、 Adverse effect ・下痢、悪心、発疹 害、白血球減少症を起こす。 偽膜性大腸炎を引き起こすこと ・ときに、肝障 ・クロストリジウムによる がある。 Clindamycin Clinical Uses ・急性、亜急性心内膜炎 ・扁桃炎 ・中耳炎 ・涙嚢炎 ・急性、慢性気管支炎 ・肺炎 ・敗血症 など 有効菌種はML系と同様。そのほか、嫌 気性菌に有効であることが特徴。 Metronidazole Metronidazoleの構造と作用機序 Metronidazole Pharmacokinetics ・経口投与で容易に吸収され、全ての組織に単純拡散で 浸 透する。( 膜透過性が高い。) ・薬物とその代謝 物は、尿中に排泄される。 ・半減期7.5時間。 Adverse effect ・悪心、頭痛、口渇、鉄臭い味 ・暗色あるい は赤茶色の尿。 ・たまに、吐き気、下痢、め まい、衰弱、胃炎、発疹な どが起こることもあ る。 ・disulfiram(嫌酒薬)様効果。 Metronidazole 日本での適応症はトリコモナス症のみ。 欧米では、嫌気性菌感染症に頻繁に使われる。 Clinical Uses ・泌尿生殖器系のトリコモナス症 ・嫌気性菌の感染症 ・急性潰瘍性歯肉炎 など Zyvox “ Totally New Class of Antibiotics to be introduced in More Than 30 years “ Zyvox (linezolid) Zyvox (linezolid) ・完全に化学合成された抗生物質 ・リボゾームの 翻訳開始複合体の形成を阻害 既存の抗生剤と作用部位が異なる ・他の抗生剤との交叉耐性なし ・グラム陽性球菌に有効 特に MRSA、VRE に有効 ・グラム陰性菌には無効 ・耐性菌の出現率は極めて低い
© Copyright 2024 ExpyDoc