初めてのブルデュー

初めてのブルデュー:表現を生産することへの理論
I.言語科学・社会科学・人類学の背景:
戦前・戦後における
ヨーロッパの知的背景
→
(戦前) フェルディナン・ソシュール
言語科学
(戦後)クロード・レヴィ=シュトラウス
人類学
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初めてのブルデュー:表現を生産することへの理論
フランス系スイス人のソシュールなどの影響による、
構造主義の原則は以下のようになった:
「言語」とその解釈は文法的に、記号論的に分析する
ことは可能である。
この理論によると、
ある言葉の「意味」はある社会が持つ(クモの巣状)の
諸意味の構造の中に存在している「象徴」である。
これらの象徴(=言葉)は交換される際、
「コミュニケーション」が成立して行くはず。
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初めてのブルデュー:表現を生産することへの理論
• ソシュールによる「意味のクモの巣」
ぬるい
暑い 温かい
涼しい
寒い
冷たい
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初めてのブルデュー:表現を生産することへの理論
ソシュール 続き
この「交換」行為を解読=解釈するために「コード」
(言葉の定義など)や文化を手段にし、解読する。
(現在の外国語講座で使われている説明でもある。)
が、1960年代後半から、表現における社会や文化
の構造と機能を問う運動が始まった。。。
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ブルデューの概念
言語表現は社会の中の行動である
60年代後半からの社会科学による新たな説明
• 言語は単語と文法だけではなく、社会「市場」で
「交換」される、使用されることである。
• 社会の中の社会関係が社会行動の価値、
言語交換の価値 (=捉え方)を決める。
• 言語の使用(使い方)を見ると、言語は中立的な
ものではない。常に状況にあう「捉え方」を誘うもの
である。
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初めてのブルデュー
1960年代~その当時から、
「社会の中の第一行動としての」
言語交換の発想が舞台にたつ。
その原則は:
I.言語 ≠ 言語学
•
「言語」という、ただの文法と発音ではない。
•
言語は、社会の中の主な行動の一つである。
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初めてのブルデュー
II.言語の使用は、
社会状況の中でしか行われない。
人間は社会環境の中で行為をするから、
社会の中、他者と言語を交換する。
その第一目標は、自己を受けてもらうことである。
その意味ではブルデューが「言語市場」という
用語を提起した。発話者が自分を「売る」、
聞き手がその相手(の発言か、身分か)を
「買う」ように。
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初めてのブルデュー
III. 言語 = 社会的な「象徴」(=媒体) その1
ブルデューによると言語は「象徴的な領域」でもあり、
社会の中の全ての行為にとって「象徴的」な役割を
演じる = 言語は社会の中の関係とやり取りを、
物質的な行為としてのではなく、
「象徴」として、言葉として、表す。
こう!
こうじゃなくて。。。
⇒
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初めてのブルデュー
言語 = 社会的な「象徴」(=媒体)
その1 (つづき)
ということは、言語が実体のない・無形のことである。
が、物質的・身体的な存在を持つものや行為を指
摘する
ことでもあるし、それらの存在を把握されることも可
能にする。
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初めてのブルデュー
III. 言語は社会的な「象徴」 その2
違う意味で、言語の日常使用も象徴的な行為である。
つまり、人間関係、位置づけ、上下関係、力関係を
強いる物質的な力を持つのではなく、
「象徴的」(言語的)な力や説得力または圧力を経て、
社会の中の行為を指導する潜在能力を持つ。
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初めてのブルデューの原則
• 言語・国語がもう一つの「社会の中の行為」
である。
• 言語・国語は社会の中の相互関係・力関係
を表す。
• 言語交換は社会の中の諸関係における、
目が見えない相互関係も表せる。
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初めてのブルデューの原則
例1:言葉遣いにおいての相互関係・力関係を表す例:
民主主義や自由がある社会の中でも、
・周りの言葉に甘える時や従う時がある。
・言葉だけに成立されている「法」ということに従う。
・言葉だけである「常識」にも従う。
例2:言語表現は社会の中の行為である例:
聞き手によって自分の発言を修正する・調節する。
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初めてのブルデュー
IV.
言語の使用は、社会内の一つの行為であるから。。。
「言語市場」について~
「社会」は日常生活の中で他者との言語を交換する
場だということを指摘する用語である。
重要なのは、その「市場」が
社会の中にある人間関係・位置づけに基づいた
「言語交換」を行う場でもある。
その相互的な関係の中で自分の発言を調節する。
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初めてのブルデュー
V. 具体的な説明
「言語交換」という行為は、
相互関係によって実施されることである。
自由表現ができる社会の中でも、自分が話そうと思う
時に必ず以下のことが(無意識的にも)分かるはず:
・聞き手の自分にとっての位置付け
・聞き手との一時的な状況への妥当性、
・自分が育った社会に教わった「適切な」用語、意見。
上記の状況によって、表現を「自然に」修正・調節する。
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初めてのブルデュー
VI. コミュニケーションの構造や逆説
p26
=社会の中に流行している表現は同時に
個さにも共通語にも成立されている。
社会」=「共通の媒体」
「
「外示」、「明示」
「全ての発話者に共通で
安定した【言説の】部分」
「共示」、「音示」
「個人的経験の特異性に
振り戻されるもの」
「ある社会的に性格づけられた関係のうちにおいてのことだ」
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