K.Mitsuda@ISAS 1 X-ray microcalorimeterが拓く宇宙物理 Astro-E2 将来の大型ミッション 小型ミッション 宇宙研 満田 2001年9月26日 名古屋大学集中講議 Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 2 Astro-E2 observatory – High throughput wide-band (0.4-700 keV) spectroscopy – High resolution (DE=10eV) spectroscopy XRT-I + XIS XRT-S + XRS HXD Energy range 0.4-12 keV 0.5-12 keV 10 - 700 keV Effective area 1300 cm2 190 cm2 Focal length 4.7 m 4.5 m HPD of PSF 1.5' 1.5' 120 eV@6keV 12 eV 19'x19' 1.9'x4.2' 1.1"x1.1" 0.94'x0.24' 1024 x 1024 2 x 16 8ms-8sec ~5 sec Energy resolution Field of view Pixel size Number of pixels Time resolution 230@20keV 330@100 keV 3keV@10keV ~9%@662 keV 0.56x0.56゜ @<100keV 4.6 x 4.6゜ @>200keV 15.3 - 61 sec Astro-Eのrecovery mission 2005年2月24日 M-V-8ロケットにより鹿児島県内之浦より打ち上げ予定 Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 3 Astro-E 衛星 • 2000年2月。打ち上 げロケットの不具 合により南大平洋 へ • 右は組み立て途中 の写真 Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 4 Astro-EのX線検出器 XRS(X線マイクロカロリ メータ) – エネルギー範囲:0.5- – エネルギー分解能 (FWHM): 12eV 12keV XIS(X-ray CCD Camera) エネルギー範囲: 0.5-10keV エネルギー分解能(FWHM): 120 eV @ 6keV Oct. 26, 2001 HXD (Si PIN + BGO/GSOシンチレー タ) エネルギー範囲: 10700keV K.Mitsuda@ISAS 5 エネルギー分解能 • 典型的なX線検出器の 単色X線(上)に対する 検出器のレスポンス(下) – ASCA SIS, ASTRO-E XIS (X線CCDカメラ) FWHM= 120 eV @6keV – ASTRO-E XRS (X線マイクロカロリメータ) FWHM = 12 eV – 究極のTESカロリメータ FWHM 〜 1 eV (???) Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 6 エネルギー分解能に よる見え方の違い • 高温プラズマ からの熱放射 温度5keV(約5 千万度) 太陽組成 を仮定 Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 7 2000年代の高分解能X線スペク トロスコピーミッション • 分散系(X線検出器の前に分光器) – AXAF TG、XMM RGS トランスミッショングレーティング • 非分散系(X線検出器自身で分光) – Astro-E2 XRS Chandra マイクロカロリメータ Astro-E2 XMM Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 8 グレーティング vs カロリメータ • 有効面積は>1keV 分解能は2>keV でXRS • 広がったX線源 X-ray Photon Thermometer X-ray Absorter Heat Capacitance, C Thermal Conductance, G Heat Sink, T S Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 9 XRS 宇宙研、都立大、理研、NASA/GSFC, ウイスコンシン大 コ マン ド コ マン ド TCI X線 テレ メ ト リ ー IGBOX-SA/IG-PS FW FDE Valve Status バルブ制御 ゲート バルブ Valves (GV,V6, V9,V11,V12) 遮光フ ィ ルタ ー FEA 16x2ch 16x2ch ADR 温度計 ネオン タ ン ク XRS-DE CAP-A/B ヘリ ウ ム タ ン ク CTS CDP-A/B XRS-PSU IVCS テレ メ コ マン ド ト リー M VCS デュ ワ ー 制御/応答 X線信号 電源供給 Oct. 26, 2001 ACHE CDE OVCS M ain Shell ス タ ーリ ン グク ーラ ー 衛星データ 処理装置 K.Mitsuda@ISAS 10 XRS Calorimeter Array Thermister Thermal sink Thermal link (G, w,t~20m) TOP VIEW 0.34mm 1.24mm X-ray beam block SIDE VIEW VB • 2x16 bilinear array Oct. 26, 2001 X-ray absorber (HgTe, t=9m) JFET (~120K) TS=60mK ADR K.Mitsuda@ISAS 11 XRSの冷却系 • 4段式冷凍機 – – – – 断熱消磁冷凍機 60mK 超流動ヘリウム(30リットル)1.3K 固体ネオン(120リットル)17K 機械式冷凍機(OVCS冷却) 約100K • 打ち上げ時 Dewar 重量約390kg • 冷媒寿命 2.5 − 3年 Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 12 He insert & Ne Dewar FEA & ADR をHe insertへ 組み込み He insert(Ne Dewarに組み 込まれたとこ ろ) Ne shieldを被 る Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS XRS Cryogenic system Ne Dewar Ne Dewar (上部ドーム部組み立て 前) He insertを組み込んだと ころ Oct. 26, 2001 13 K.Mitsuda@ISAS 14 機械式冷凍機 Astro-E2で採用予定 • • 寿命1.9年から2.5年以上へ Astro-E検討時の問題点を clear Microphonicsが問題なら観測中 off(寿命 約2.5年) 冷凍機を搭載しても全く使わな くても、寿命 1.9年 Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 15 X線入射経路 • Optical Blocking Filters X線を透過させ、かつ、カロ リメータへの熱入力を断つ – 5層のフィルター Oct. 26, 2001 Filter Wheel X-ray counting rateを下げ る K.Mitsuda@ISAS 16 キャリブレーション実験データ 放射性同位元素からの線スペクトルは、 モノクロメータからの単色X線にくらべて 有為に広がっている。 カリウムKからモリブデンKまでの 様々な特性X線 Counts/bin Mn K Monochromatic 6.391keV Mn K 100 10 5.8 Oct. 26, 2001 6.0 6.2 Energy (keV) 6.4 6.6 K.Mitsuda@ISAS Astro-E2 XRSのサイエンス1 激変性のaccretion column サテライト線の分解 X線星の周辺 X線パルサー イオン化過程 accretion disk coronae Collisional equilibrium or photo-ionization ? 放射プラズマの密度 Oct. 26, 2001 17 K.Mitsuda@ISAS 18 Astro-E2 XRSのサイエンス2 輝線による運動学 – ブラックホール質量の測定 ブラックホール候補のX線連星(たとえばCyg X-1) 可視光で見える星のドップラー速度とX線星のドップラー 速度が決まる 連星系の視線方向にたいする傾斜角に制限がつけば、X線 星の質量が一意に決まる。 ブラックホール存在の最も確実な証拠に Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 19 Astro-E2 XRSのサイエンス3 銀河団ガスの運動学 – 多くの銀河団高温ガスはrelaxしていない – 温度の非一様性 – 非熱的な硬X線放射、 電波ハロー • 高エネルギー粒子の加速 衝撃波 ガスのマクロな運動の直接測定 Coma Cluster by SAX 8.2 keV Thermal Component Oct. 26, 2001 Hard excess K.Mitsuda@ISAS 20 Astro-E2 XRSのサイエンス4 • 星間物質のX線診断 Single atom density Column X線星の吸収スペクトル – 柱密度 • solarはgalactic か? – 化学状態 – Interstellar EXAFS Gas/Vapor O 543.1* ± 0.2 Mg 1311.2 ± 0.3 Al 1567.0 ± 0.8 Si 1846.0 ± S 2477.0 ± Ca 4042.8 ± 2.0 Fe-L1 857.0 ± 2.0 Fe-K 7124.0 ± 1.0 Oct. 26, 2001 EXAFS Solid Physical/Chemical shift Solid 1303.0 1558.2 1839.0 2476.0 4038.5 848.5 7111.4 ± 0.1 ± 0.5 ± 2.0 ± 2.0 ± 0.4 ± 2.0 ± 0.2 Oxide 532.0 ± 0.4 1305.0 ± 0.4 846.1 ± 0.4 7113.0 ± 0.9 *experimental value f or O2, calculated value for O is 545.37 K.Mitsuda@ISAS Astro-E2 XRSのサイエンス5 • • • • Oct. 26, 2001 超新星残骸 活動銀河核 ジェット …… 21 K.Mitsuda@ISAS X線マイクロカロリメータを 搭載する大型ミッション • 検討中の将来ミッション – NeXT (日本) 2009 (?) – Constellation-X (米) 2010 (?) – XEUS (ESA-日) 2015(?) 1024画素、2-5eV分解能 Oct. 26, 2001 22 K.Mitsuda@ISAS 23 大型ミッションのサイエンス • NeXT – – 加速 硬X線放射と 高温ガスの運動学 • • XEUS – – Oct. 26, 2001 撮像と分光 最初の銀河団 最初のブラックホール XRSの視野 K.Mitsuda@ISAS 24 XEUSの目指すサイエンス • 熱い宇宙の形成史 を、そのはじま りから明らかにする。 – 銀河形成と最初のAGN=最初のブ ラックホール (z > 5) – バリオンの 1 再加熱 バリオンの歴史 構造形成、 重元素合成 (z ~<5) 低温 高温 z=10 存 在 比 z=5 今見えている部分 0 Oct. 26, 2001 z=3 z=0 z=0 (現在) K.Mitsuda@ISAS 25 XEUSの観測装置 • • X線望遠鏡 – 有効面積 – 焦点距離 6m2/30m2 at 1 keV 50m • formation flightが必要 • 〜1mm3の相対位置精度 – 角分解能 < 5” (2”) 検出器 – 広視野撮像装置 • 視野 >7.2 cm = 5’ – 高分解能分光器 • 視野 >0.7 cm = 0.5’ • FWHM < 2eV@1keV シミュレーション XEUS vs XMM 編隊飛行 Oct. 26, 2001 Detection ~10-18 erg/sec/cm2 Spectroscopy ~10-17 erg/sec/cm2 K.Mitsuda@ISAS 26 カロリメータによる 小型ミッション • IMXS (Interstellar Medium X-ray Survey) – Winsconcin, NASA/GSFC – collimator +カロリメータ – 〜1strad FOV • DELUX (Diffuse Emission from Large-scale Universe) – ISAS, TMU – X線集光系 + カロリメータ – 〜1deg2 FOV 空間的に広がった放射の分光観測 カロリメータの特徴、小型ミッション 向き Oct. 26, 2001 斜入射X線望遠鏡 高感度= 狭い視野 XEUSのカロリメー タの 視野=0.5分角 2 D 2 S 2 Ad 2 Adc f K.Mitsuda@ISAS 27 Diffuse X線観測 Interstellar hot gas T〜106K • Interstellar hot gas T〜106K – dooppler 効果によってGalactic wind を直接探す – OVII,OVIIIのラインは1970年代の宇宙研のGSPCの ロケット実験以来観測されていない。 ROSAT all sky survey Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 28 Diffuse X線観測2 Galactic Ridge X-ray Emissionの起源 • |l|<40, |b|<1に広がる放射 – 起源は不明 • 一見、高温プラズマからの放射 • Point sourceの重ね合わせではない • しかし、高温プラズマを銀河面に固定できない – 鉄輝線のFWHM<10eVのスペクトロスコピー • 鉄元素のイオン化プロセスの情報 • 鉄元素の運動 宇宙線加速との関係 Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 29 Diffuse X線観測3 系外Diffuse X-ray emission • 存在を示す観測的証拠 – 0.25keV bandのdiffuse emissionの近傍銀河 NGC55の影 • 銀河間空間のWarm-hot matter( T〜105 – 7K)? Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 30 Warm-hot matter = missing Baryon? 構造形成にともなう再電離 – 銀河団のcollapse時のshock加熱、放射による加熱 – 宇宙の大構造に沿ってwarm-hot gasが分布し、こ れらはまだ観測にかかっていない。 – Cen&Ostriker (1999), Dave et al. (2001) Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 31 Emission lineを探査する =3次元構造の解明 Simulation z=0 • 106K=> OVII, OVIII – galactic lineの1%から10% z=0.1 • 必要な感度と分解能 – galacticと区別するために10eVの分解能は必須 – S/Nは、エネルギー分解能とSで決まる。 SNratio St 1 DE / EW – SはX線望遠鏡では全反射角と検出器の大き さでリミットされる 2 D 2 2 S Ad 2 Adc f X線反射望遠鏡では、XEUSでも困難 Oct. 26, 2001 S (cm2 arcmin2) K.Mitsuda@ISAS 32 Diffuse X線分光のための 新しい観測装置 • 広がった放射に対して高いエネルギー分解能 (FWHM < 10eV) – マイクロカロリメータ • 検出器の面積はあまり大きくできない • 視野の広いX線集光系 – 斜入射型X線望遠鏡では困難 例:予想される銀河間物質の空間構造の空間スケール 〜1度 – 半径1度程度の立体角からのX線光子をマイクロカロリメー タ上に集める集光系を使ってスキャン観測する。 – 100cm2の有効面積があれば、100ksec以下で銀河成分の1% 強度のredshiftしたOVIIを検出可能 Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 33 新しいX線集光系 • 要求性能 – 有効面積〜100cm2 – 1 度程度のcone内の方向から入射したX線を 1mm2程度の大きさのマイクロカロリメータに集光する – 結像はしなくてよい • ポリ キャピラリー光学系 – 直径10mのガラス管数1000個以上からな るキャピラリーを曲げながら1000本以上束 ねる。 – 全反射条件を満たす方向から入射したX線 を多数回全反射させ1点に導く。 – 軽量・小型の広視野集光系の可能性 – 有効面積100cm2は原理的/技術的に不可能 ではない • 他の反射光学系は? Oct. 26, 2001 キャピラリー K.Mitsuda@ISAS 34 集光系の性能評価 • 試験device [ 幾何学的入射面積1cm2(有効面積0.3cm2)]の X線ビームラインによる評価実験により基本的な性能を確認 by 石田, 早川(都立大), 飯塚,見崎,柴田(宇宙研) X線集光像 直径1mm内に集光 像の位置と大きさはエネルギー と方向によらない Oct. 26, 2001 視野の大きさ 酸素の輝線に対して1平方度の 立体角が期待できる。 K.Mitsuda@ISAS 35 衛星の基本概念 観測系 衛星共通系 量産型共通衛星バス 擬似3軸制御 姿勢安定度〜0.3度 最大電力 500W 200kg, 200W ポリキャピラリー 光学系 光学ベンチ X線マイクロカロリ メータ(100mK) 非冷媒冷却系 電子回路部 衛星全体 370 kg 480W Oct. 26, 2001 170kg, 280W K.Mitsuda@ISAS 36 冷却系(Warm Launch方式) 400kgで実現するための鍵 アクティブクーラー – – – – • 100K 1段式Stirling cycle 20K:2段式Stirling Cycle » ASTRO-Fと同じ 1.8K:3He J-T cooler » コンポーネント試作中 (by 赤外グループ) 100mK:ADR » コンポーネント試作中 重量(検出器部を除く) – 80kg • 電力(2次側) – 200W Oct. 26, 2001 K.Mitsuda@ISAS 37 まとめ • Astro-E2 XRS – 2keV以上のエネルギーで最高のエネルギー分解能 • 大型X線望遠鏡計画 – 1000画素の撮像とFWHM<5eVの分解能 – 高感度、視野の大きさは数分角以下に限定 • Diffuse X線分光=小型衛星 – 大型計画ではできない面白いサイエンス – カロリメータとともに、適当な集光系の開発も必 要 Oct. 26, 2001
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