ALSと暮らす ー在宅移行への困難ー 藍野大学医療保健学部看護学科 立命館大学大学院先端総合学術研究科 仲口 路子 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 1 研究の目的・期間・方法 • [目的]:「ALS患者」A氏が「療養生活者」 A氏となるまでの専門職のかかわりを考察 すること • [期間]:2007年1月から9月 • [方法]:支援者らがまとめたレポートを元 に分析する 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 2 発病からの変化など • 2002年11月ころ~易疲労感を感じる • 2004年2月ころ~構音障害、四肢運動機能 低下 • 2004年10月 ALSと診断される • 2005年1月 胃瘻造設術 • 2007年4月 気管食道分離術 • 現在 頚部と左手関節を少し動かすことが できる 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 3 A氏の転院歴 • A大学医学部附属病院:2004年10月ALS と診断され入院 • B病院:2005年1月~ 胃瘻造設 • C病院:国立病院(当時) • B病院:2005年9月~2006年3月 • D病院:療養病床 • E病院:2007年3月~ 気管食道分離術 • B病院:3ヶ月を目途に入院 • 在宅移行:2007年8月13日~ 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 4 MSW:Aの意見 • 療養病床 D病院のMSW:A 「転院や退院はかなわないが、再入院は現在の入 院待機者が優先となるので、一旦病院を出ると ベッドの保障はできない」 他の地域では「自薦ヘルパー」などで在宅生活を 行っていると聞いているのに・・・? まずは次の病院への引継ぎ・・・ 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 5 MSW:Bの意見 • 看護師資格と介護保険ケアマネージャー資格を 持つ女性が地域生活移行や退院調整などの ソーシャルワークを専従で行っていた • MSW:Bは介護保険のケアマネージャーであり、 障害者自立支援法における訪問系サービス・事 業等の連携や、重度訪問介護制度については 活用経験が極めて乏しかった • 「介護保険が優先される」 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 6 問題の所在 • 「ある専門職」が〔個人の力量の多少にか かわらず〕「一定範囲:限度以上の問題」で あっても、それについて「何らかの具体的 な方策を打ち出さねばならない」、といった 事態はむしろ「日常的」に見られることなの ではないだろうか? 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 7 多くの制度を輻輳させる問題 • • • • 介護保険法 医療保険法(特定疾患研究事業) 障害者自立支援法 生活保護法 などを適用・併用せざるをえないが、 「介護保険」のケアマネはそういったことは困難 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 8 できないときにできないと言える ‥‥か? • 困難であるときに、「次の段階へ」いきにく い問題 • 「明確なことは、これらの規制が、すべて何 らかの個人的利害の配慮によってではなく、 よきにせよあしきにせよ、とにかく同業組合 的利害の配慮によって鼓舞されているとい うことである。」(Emile Durkheim 1893= 1989:41) 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 9 責任感・誇り そして、それらしく振舞うこと • MSWにも • 患者/療養者やその支援者にも 介護保険に限定されない「ケア・マネジメント は「評価」しずらい 「善意の囲い込み」のなかで抜き差しならな い状況が叢生されうるという問題がある 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 10 解決策として‥ • あるひとが「すべてできるようになること」 一種の限界がある • もっと別のひとに「繋ぐ」ことが容易にでき るようになること 地域の中で「資格は何であれ」そういう複合 的な調整が可能な制度/施策と「思索」が 必要なのではないか? 第13回日本難病看護学会 2008/08/30 11
© Copyright 2024 ExpyDoc