2007St. Marianna University, School of Medicine,

聖マリアンナ医科大学 消化器・一般外科
食道癌の手術説明書
【医療の不確実性について】
多くの診療行為は,身体に対する侵襲(ダメージ)を伴います.通常,
診療行為による利益が侵襲の不利益を上回ります.
しかし,医療は本質的に不確実です.過失がなくとも重大な合併症や
事故が起こり得ます.診療行為と無関係の病気や加齢に伴う症状が診
療行為の前後に発症することもあります.合併症や偶発症が起これば,
もちろん治療には最善を尽くしますが,死に至ることもあり得ます.予想
される重要な合併症については説明します.しかし,極めて稀なものや
予想外のものもあり、全ての可能性を言い尽くすことはできません.こう
した医療の不確実性は、人間の生命の複雑性と有限性、および、各個
人の多様性に由来するものであり,低減させることはできても,消滅さ
せることはできません.
過失による身体障害があれば病院側に賠償責任が生じます.しかし,
過失を伴わない合併症・偶発症に賠償責任は生じません.
こうした危険があることを承知した上で同意書に署名して下さい.疑
問があるときは,納得できるまで質問して下さい.納得できない場合は,
無理に結論を出さずに,他の医師の意見を聞くことをお勧めします.必
要な資料は提供します.他の医師の意見を求めることで不利な扱いを
受けることはありません.
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聖マリアンナ医科大学 消化器・一般外科
【食道とその周囲臓器について】
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食道手術 説明書
病名
□頚部食道癌
□胸部上部食道癌
□胸部中部食道癌
□胸部下部食道癌
□腹部食道癌
□その他(
)
深達度(病変の深さ)
□ T1:癌腫が粘膜下層にとどまる病変
□ T2:癌腫が固有筋層にとどまる病変
□ T3:癌腫が食道外膜に浸潤している病変
□ T4:癌腫が食道周囲臓器に浸潤している病変
リンパ節転移
□N0 リンパ節転移を認めない。
□N1 第1群リンパ節のみに転移を認める。
□N2 第2群リンパ節まで転移を認める。
□N3 第3群リンパ節まで転移を認める。
□N4 第3群リンパ節より遠位のリンパ節に転移を認める。
遠隔臓器転移
□M0 遠隔臓転移を認めない。
□M1 遠隔臓器転移を認める。(肺・骨・脳・他)
術前病期:Stage 0 ・ I ・ II ・ III ・ Ⅳa ・ Ⅳb
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【食道癌進行度別の治療法の適応】
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2.手術内容:
胸・腹腔内への到達方法
□ 開胸開腹術: 通常の胸壁腹壁切開法
□ 胸腔鏡腹腔鏡補助下手術:
胸やお腹の壁に小さな穴をいくつか開
けて,棒状のカメラや鉗子などの器具
お腹にいれた小型カメラによって映し
出された映像を見ながら手術を行います
再建方法:
□ 胸骨前
□ 胸骨後
□ 後縦隔
□ 再建臓器:
□胃,□大腸,□小腸
リンパ節郭清範囲
□ 胸部リンパ節
□ 腹部リンパ節
□ 頸部リンパ節
他臓器合併切除
□ ありません
□ あります (
)
## 手術時の病巣の状況で、術前説明と手術内容が異なる場合があ
ります。
3.手術の必要性: 病状より,現時点では手術治療が望ましい
4.麻酔は全身麻酔です。術前に,麻酔科医師より説明があります。
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5. 合併症:
手術中に起こる合併症
慎重に手術が行われているにもかかわらず、おなかの中の腸と周囲の内臓との癒着が強い
場合に、予期せぬ出血や腸管が傷ついてしまうことがあります。その場合は、手術中に迅
速に処置を行い、手術後に後遺症を残さないように対処いたします。胸腔鏡下腹腔鏡下手
術の場合に、開胸開腹による処置が必要と判断された場合は、速やかに開胸開腹手術へ
移行いたします。
手術後に起こる合併症
呼吸器合併症:開胸操作を伴う食道癌手術では呼吸器合併症は他の手術と比較し頻度が高く,
ときに致命的な合併症となりうる.術後の呼吸リハビリ,人工呼吸器管理,気管支鏡による
喀痰排出と早期離床が必要である.
吻合不全:腫瘍を切除した後の縫い目のつながりが十分でないため、内容物が漏れる状態であ
り,手術後3~6日目に発熱や痛みがあります.致命的な縦隔炎を併発する可能性もあり
ます.食事を中止し,点滴で治療を行います.症状が改善しない場合は手術が必要なこと
もあります.
反回神経麻痺・嗄声:反回神経周囲のリンパ節も郭清する必要があり,やすをえず合併切除す
る可能性があること,切断しなくても約15%の頻度で 嗄声を起こす可能性がある.多くの
場合数か月で改善するが,両側の場合気管切開が必要となります.
敗血症:術前治療を施行し免疫力が低下した症例やサルベージ手術症例の場合,術直後に 敗
血症を併発する可能性があり,致命的な合併症となりうる.
日鏡外会誌 第15巻 第5号・2010年10月によると,吻合不全(26.0%),呼吸器合併症(19.6%),
吻合部狭窄(14.3%),創感染(10.0%),反回神経麻痺(11.8%),出血(2.76%),その他
(9.9%)
一般的に合併症発症率:50%,死亡率5-10%とされている.
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食道癌の診断,治療,合併症について説明を行いました.
平成__年__月__日
聖マリアンナ医科大学病院 消化器・一般外科
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私は,病状および食道癌に対する手術の必要性と
その内容,これに伴う危険性について十分に説明を
受け理解致しました.
平成__年__月__日
患者様のお名前(自著)
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御家族のお名前(自著) 続柄
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御家族のお名前(自著) 続柄
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御家族のお名前(自著) 続柄
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御家族のお名前(自著) 続
柄
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