インターネットと法律 1. 電子商取引 2. プライバシー 3. 著作権 4. 特許 5. 電子政府 • この項の参考書[1]: 「NTTコミュニケーションズ インターネット検定 .com Master ★ 2009」 (4.4) 発行:NTTコミュニケーションズ 発売:NTT出版 ISBN978-4-7571-0251-1 1 電子商取引 • 特定商取引法(特定商取引に関する法律) 2001年6月施行、訪問販売、通信販売を規制 訪問販売法を改定、マルチ商法を規制 2007年一部改正(政令)海外商品取引を追加 • Webサイトで義務づけられている情報 – 価格と送料 – 支払いの時期と方法、商品の引き渡し時期 – 返品の可否と条件 – 販売業者名、住所、電話番号、代表者または 責任者名 – 申し込み有効期限があるときはその期限 2 電子商取引(2) • クーリングオフ(8日以内に返品可能)は 一般の訪問販売に適用される 通信販売に適用 オンライン販売は通信販売の一つ • 「意に反して注文させること」の禁止 行政処分の対象となり得る – 注文を実行するボタンの名称を「送信」にする – 注文ボタンの近くに「プレゼント」と表示して、プレ ゼントの申し込みと誤解させる – 注文内容の確認画面を表示せずに、すぐに注文 を実行してしまう 3 迷惑メールの規制 • 特定電子メール送信適正化法 (特定電子メールの送信の適正化等に関する 法律)2008年6月改正、12月施行 • 義務づけられている表示 – 承諾をしていない者に対する広告提供の禁止 – 受信拒否の通知を受けたら以後の送信禁止 – 送信請求、承諾の記録を3年間保存 – 送信者の氏名・名称、受信今日に連絡先・URL などの表示 4 電子契約法 • 電子契約法(電子消費者契約及び電子承諾 通知に関する民法の特例に関する法律) 2001年12月施行 個人間の取引(例:オークション)は対象外 • 消費者の操作ミスの取り扱い 民法:消費者の錯誤による注文は契約を無効にで きる。ただし重過失の場合はダメ。 → 事業者側が操作ミスを防止する対策を高じてい ない場合は重過失(操作ミス)でも無効にできる • 契約の成立時期 民法:承諾は発信主義 → 電子契約の場合は 5 電子署名法 • 電子署名法(電子署名及び認証業務に関す る法律)2001年4月施行 • 電子署名として認められるための要件 – 情報の作成者が本人であることを示す – 情報に改変が加えられていないことを確認できる • 電磁的記録の真正な成立の推定 本人による電子署名があれば本人の意志内容を表 しているものと推定 • 認証業務に関する認定業務 認証機関(CA: Certificate Authority)が電子証明書を 6 発行する プライバシー • 個人情報保護法(個人情報の保護に関する 法律)2003年5月(国や地方自治体の責務)、 2005年4月(民間業者の責務) • 「個人情報データベース等を事業の用に供し ている者」 大学などの教育機関は 該当しない: 特定される個人の数が過去六ヶ月 以内のいずれの日においても5000を越えない者 – 利用目的の特定 – 個人情報を正確かつ最新に保つ – 安全に管理する 7 どこまでが個人情報 • [1]によると個人情報の範囲は広い 氏名、生年月日、顔写真、住所、電話番号、 クレジットカード、銀行口座、経歴、家族、友 人に関する情報 • 個人情報保護法「生存する個人に関する情 報であって、特定の個人と識別できるもの」 [2]のIV章によると – 個人の情報(団体、企業除く、映像音声を含む) – 死亡した人、架空の人物は対象外 – 個人識別性:他の情報と容易に照合して、特定 の個人を識別できることとなるもの 8 学籍番号は個人情報か • 個人識別性 • 参考書[2]: 岡村久道「個人情報保護法の知識」日経文 庫 ISBN4-532-11048-3 • 参考になる事例: 企業における従業員番号は個人情報か? (この説明は授業中に行います) 学籍番号は、個人識別性を満たすか? 9 プロバイダ責任制限法 • プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務 提供者の存在賠償責任の制限及び発信者 情報の開示に関する法律) プロバイダ、Webサイトの運営者 1. 送信免責:①他人の権利が不当に侵害され ていることを知っていた場合、②違法情報の 存在を知っており、通常の注意を払っていれ ば他人の権利が侵害されていることを知る ことができたと客観的に考えられる場合、の 他は被害者に対する責任を負わない 10 プロバイダ責任制限法 2. 削除免責:①他人の権利が不当に侵害され ていると信じるに足りる相当の理由があった 場合、または②被害者から違法情報の削除 の申出があったことを情報発信者に連絡し、 7日以内に反論がない場合、情報発信者に 対する責任を負わない。 契機となった事件: 11 ニフティサーブ事件 • 東京地判平成9年5月26日判例タイムズ パソコン通信の電子会議室における誹謗中傷 ① 被害者が情報発信者本人に賠償請求等を請求 ② システムオペレータに対して発言削除などを行う作 為義務違反を理由として損害賠償を請求 ③ ニフティに使用者責任を求めた • 地裁判決:情報発信者本人の名誉毀損による 不法行為責任、システムオペレータの作為義 務、ニフティの使用者責任を認めた。 12 ニフティサーブ事件(控訴審) • 東京高判平成13年9月5日判例タイムズ10 88号 「標的とされた者が自己を守る救済手段をも たない時は、管理者は条理上の削除義務を 負う」 • システムオペレータは「削除義務に違反した とまではいえない」として作為義務違反を否 定。ニフティの使用者責任を 。 13 不正アクセス禁止法 • 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 アクセス制限のあるコンピュータに他人のID,パス ワードを不正に使用したり、セキュリティホールをつ いて侵入したりする行為 • 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 • 不正アクセスを助長する行為も禁止(30万円 以下の罰金) • 参考書[3] 「NTTコミュニケーションズ インターネット検定 .com Master ★★ 2009」 (5.3) 発行:NTTコミュニケーションズ、発売:NTT出版 ISBN978-4-7571-0252-1 14 著作権 • 著作権は著作が作られた時点で自動的に発 生する。無方式主義 (←→ 特許権、商標権 は出願、審査、認定が必要) • 著作権者の死後50年間(映画は公表後70年) • 著作者人格権と著作財産権 1. 著作者人格権(譲渡も相続もできない) – 著作物を公開するかどうかを決定する権利 – 著作者名(実名、変名)を表示する or しない権利 – 著作物を改変されない権利 15 著作財産権 2. 著作財産権(一部または全部を譲渡できる) – 複製する権利 – 出版、上演、演奏、上映する権利 – 放送、公衆送信、口述する権利 – 展示、頒布する権利 – 譲渡する権利 – 貸与する権利 – 他の言語に翻訳する,翻案する権利 – 利用を許諾する権利 • 公衆送信はインターネットで公開することを含む 16 著作権の制限 • 著作権者の許諾なく使用できる場合 – 公園等の屋外に恒常的に設置された美術の著 作物(出所を表示すること) – 私的使用のための複製 – 研究の目的で引用する • 引用する場合の注意: – 引用する必然性がある。 – カギ括弧で括るなどの方法で自分の著作部分と 区別する。 – 自分の著作物が主で引用が従という関係 – 出所を明示する。 17 Webページを作成する時の注意 • 写真の使用 肖像権:原則として、被写体となった人、全員 の許可を得る 著名人の場合:パブリシティ権(肖像の経済 的な価値) 美術品:著作権による保護期間が過ぎていて も、慣例として所有者の権利が主張される • 画像・動画 著作権:テレビや映画 18 Webページの注意(2) • イラストやアニメ 個々の作品とは別にキャラクタの著作権が認 められている 実在の人物の似顔絵も写真と同様(肖像権) • 音楽の利用と配信 著作権者の多くは、音楽著作権管理事業者に 著作権管理を委託している(JASRACなど) 音楽CDや放送:管理事業者からの許諾以外 に、CD製作者、実演家、放送事業者などの利 用許諾が必要(著作隣接権) 19 ソフトウェアの著作権 • コンピュータプログラムやデータベースも著作 物である。技術的保護手段を外さないこと。 • 市販されているソフトは著作権者との使用許 諾契約(ライセンス)に基づいて使用する。 台数を越えてインストールできない • ソフトウェアの種類 – オープンソースソフト:GPLなど – PDS(パブリックドメインソフトウェア):本来は著 作権が放棄されているという意味 – フリーウェア 20 – シェアウェア:試用が無料など 特許 • ソフトウェア特許 昔の特許の考え方「自然法則を利用した」 1980年代以降:コンピュータ装置を利用 1996年以降:ソフトウェアの媒体特許 2002年特許法改正:媒体なしで良い • ビジネスモデル特許(ソフトの一種) ビジネス方法の特許、BM特許 – 1クリック – 逆オークション – 2000年の住友銀行のパーフェクト(口座番号) 21 ドメイン名と商標 • 商標権: 商品やサービスに付けられるマーク 特許庁に商標登録出願、登録査定、設定登録 を受ける(年間の出願数は約13万件) • サービスマーク: 1991年改正、商標として 認められる • ドメイン名: 先願主義 「登録者が知りうる限りにおいて、当該ドメイン 名の登録が、第三者の権利または利益を侵害 するものでないこと」 22 紛争処理 • 紛争の裁定の申し立て – 商標その他の表示と同一または混同を引き起こ すほど類似している – 登録者が、そのドメイン名についての権利または 正当な利益を有していない – 不正な目的で登録または使用されている • 裁判になることもある。商標権侵害 • 2001年 不正競争防止法改正 不正な利益を得る目的、あるいは他人に損害を加 える目的で、他人の氏名商号、商標などと類似した ドメイン名を取得したり、保有または使用する行為 23 ドメイン名の裁判 • 名古屋高裁金沢支部 平成13年9月10日 jaccs.co.jp 株式会社ジャックス • 東京高裁 平成13年10月25日 j-phone.co.jp ジェイフォン東日本 • 大阪地裁 平成16年7月15日 maxellgrp.com 日立マクセル株式会社 24
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