スライド 1

介護保険制度における福祉
用具の適切な活用に向けて
平成19年4月21日
厚生労働省老健局振興課長
古都 賢一
①福祉用具とは
②軽度者に係る福祉用具貸与の見直し
③福祉用具貸与の課題
①
福祉用具とは
福祉用具の研究開発
及び普及の促進に関する法律(1993)
心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障の
ある老人又は心身障害者の日常生活の便宜を図
るための用具及びこれらの者の機能訓練のための
用具ならびに補装具をいう。
介護保険における福祉用具の範囲の考え方
第14回医療保険福祉審議会老人保健福祉部会(H10.8.24)
1.
要介護者等の自立の促進又は介助者の負担の軽減を図るもの
2.
要介護者等でない者も使用する一般の生活用品でなく、介護のために
新たな価値付けを有するもの
(例えば、平ベッド等は対象外)
3.
治療用等医療の観点から使用するものではなく、日常生活の場面で使
用するもの
(例えば、吸入器、吸引器等は対象外)
4.
在宅で使用するもの
(例えば、特殊浴槽等は対象外)
5.
起居や移動等の基本動作の支援を目的とするものであり、身体の一部
の欠損又は低下した特定の機能を補完することを主たる目的とするも
のではないもの
(例えば、義手義足、眼鏡等は対象外)
6.
ある程度の経済的負担があり、給付対象となることにより利用促進が
図られるもの
(一般的に低い価格のものは対象外)
7.
取り付けに住宅改修工事を伴わず、賃貸住宅の居住者でも一般的に
利用に支障のないもの
(例えば、天井取り付け型天井走行リフトは対象外)
介護保険における居宅福祉用具購入費の
対象用具の考え方
福祉用具の給付は、対象者の身体の状況、介護
の必要度の変化等に応じて用具の交換ができるこ
と等の考え方から原則貸与
購入費の対象用具は例外的なものであるが、次
のような点を判断要素として対象用具を選定
1. 他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗
感が伴うもの (入浴・排せつ関連用具)
2. 使用により、もとの形態・品質が変化し、再度利用で
きないもの (つり上げ式リフトのつり具)
介護保険における福祉用具のサービス
福祉用具貸与
事業概要
福祉用具を指定事業者から貸与
福祉用具購入
入浴や排せつ等に用いる福祉用具(特定福
祉用具)の購入(償還払い)。
(H18年より指定制度導入)
対象種目
・車いす(付属品含む)
・特殊寝台(付属品含む)
・床ずれ防止用具
・体位変換器
・手すり
・スロープ
・歩行器
・歩行補助つえ
・認知症老人徘徊感知機器
・移動用リフト(つり具の部分を除く)
・腰掛便座
・特殊尿器
・入浴補助用具(入浴用いす、浴槽用手すり、
浴槽内いす、入浴台、浴室内すのこ)
・簡易浴槽
・移動用リフトのつり具の部分
支給限度基準額
要支援、要介護度別の支給限度基準額
の範囲内において、他のサービスと組み
合わせ
10万円
給付割合
サービス利用料の9割
購入費の9割
給付額
現に要した費用(実勢価格)
現に要した費用(実勢価格)
※要支援、要介護区分にかかわらず定額
※同一支給限度額管理期間内
(4/1~3/31の1年間)は、用途及び機能が著しく異なる場合、
並びに破損や要介護状態の変化等の特別の事情がある場合を
除き、同一種目につき1回のみ支給
②軽度者に係る福祉用具貸与の見直し
H18年4月改定の福祉用具貸与サービスの見直し(概要)
平成18年4月から福祉用具の適正利用の徹底のため、軽度者に対する福祉用具
貸与サービスが見直された。
変更の内容
各種目ごとの保険給付一覧表
軽度者の方
車いす及び車いす付
属品
一定条件に該当す
る場合、保険給付可
能
特殊寝台及び特殊寝
台付属品
原則保険給付
一定条件に該当す
る場合、保険給付可
の対象外
能
床ずれ防止用具及び
体位変換器
一定条件に該当す
る場合、保険給付可
能
認知症老人徘徊感知
機器
移動用リフト(つり具の
部分を除く。)
ただし、一定の
一定条件に該当す
条件に該当す
る場合、保険給付可
能
れば例外的に
保険給付対象
一定条件に該当す
中重度者の方
保険給付可能
■ 制度変更の対象となるのは、
福祉用具のうち、車いす、特殊寝台、床ずれ
防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知
機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)。
保険給付可能
保険給付可能
保険給付可能
保険給付可能
る場合、保険給付可
能
手すり
保険給付可能
保険給付可能
スロープ
保険給付可能
保険給付可能
歩行器
保険給付可能
保険給付可能
歩行補助つえ
保険給付可能
保険給付可能
■ これらの福祉用具について、
軽度者(要支援者・要介護1)については、
原則として保険給付の対象外。
■ ただし、身体の状況に照らして、一定の条
件に当てはまる場合は、例外として保険給付
が行われる。
(左表太枠参照)
各種目における一定の条件とその判定方法
種目
一定の条件
判定方法
→認定調査結果
で判断
→ケアマネジメント
で判断
車いす及び車い
す付属品
次のいずれかに該当する者
○ 日常的に歩行が困難な者
○ 日常生活範囲における移動の支
援が特に必要と認められる者
特殊寝台及び特
殊寝台付属品
次のいずれかに該当する者
○ 日常的に起きあがりが困難な者
○ 日常的に寝返りが困難な者
認定調査結果
で判断
床ずれ防止用具
及び体位変換器
日常的に寝返りが困難な者
認定調査結果
で判断
認知症老人徘徊
感知機器
次のいずれにも該当する者
○ 意思の伝達、介護者への反応、
記憶・理解のいずれかに支障が
ある者
○ 移動において全介助を必要としな
い者
認定調査結果
で判断
移動用リフト(つ
り具の部分を除
く。)
次のいずれかに該当する者
○ 日常的に立ち上がりが困難な者
○ 移乗が一部介助又は全介助を必
要とする者
○ 生活環境において段差の解消が
必要と認められる者
認定調査結果
で判断
→ケアマネジメント
で判断
平成18年4月の施行時にすでにサービスを利用している方へは、平成18年9月末
まで経過措置として引き続き、貸与を受けることが可能とした
軽度者「例外給付」見直しのポイント
■厚生労働省として、自治体等の見直し要望も踏まえ、軽度者の例外措置の見直しの必要性を
判断するため、自治体を対象とした調査を実施
■その結果、「現行の判断方法では例外給付の対象とならないものの、例外的に福祉用具貸与
が必要な状態に該当する事例」として分析可能な事例(2825事例)が提出された。
■調査の事例を、専門家により分析・検討した結果、原則として現行の「要介護認
定データによる」判断方法の原則は維持しつつも、次の「条件」・「手続」を満たせ
ば、「例外給付」の対象とする見直しを行うこととする。
1 疾病その他の原因により、次のいずれかの条件に該当すること。
Ⅰ 日によって又は時間帯によって、頻繁に「告示で定める福祉用具が必要な状態」に該当する者
(例:関節リウマチの朝のこわばり、パーキンソン病の治療薬によるON・OFF現象)
Ⅱ 状態が急速に悪化し、短期間のうちに「告示で定める福祉用具が必要な状態」になることが確実に見込まれる者
(例:がん末期の急速な状態悪化)
Ⅲ 身体への重大な危険回避等の医学的判断から「告示で定める福祉用具が必要な状態」に該当する者
(例:ぜんそく発作時等による呼吸不全、心疾患による心不全、嚥下障害による誤嚥性肺炎の回避)
2 上記が、①医師の判断に基づき、②ケアマネジメントでの判断を経て、③市町村の確認、
という手続を得て判断されていること。
③
福祉用具貸与の課題
社会保障審議会・答申(平成18年1月26日)
○ 今回の介護報酬・基準等の見直し後、さらに検討を進め、適切な対応を行う事項
1.介護保険法の一部改正に伴い、新たに導入された「介護予防サービス」や
「地域密着型サービス」、今回の介護報酬改定において基本的な見直しが行
われた「居宅介護支援及び介護予防支援」、さらに「療養通所介護」等の新
たな取組みをはじめ、今回の改定後のサービスの利用実態等について、この
度の改定の「基本的な視点」も踏まえ、今後、調査・分析を適切に行うこと。
2.介護給付の訪問介護については、報酬体系の機能別再編に向けて、訪問介護
の行為内容の調査研究を行うこと。
3.特定施設等の居住系サービスや介護保険施設の報酬体系・水準については、
支給限度額とのバランスや介護保険施設の将来像も踏まえ、今後、その在り方
について検討を進めること。
4.福祉用具貸与の価格については、同一用具に係る価格差などその実態につい
て調査・研究を行うとともに、これを踏まえ、早急に報酬の在り方について見
直しを行い、適正化を図ること。
福祉用具貸与の実態調査について
• 福祉用具貸与の価格及び報酬の在り方については、平成18年1月26日
の社会保障審議会介護給付費分科会の答申において、以下のとおり、
さらに検討を進める事項として整理された。
福祉用具貸与の価格については、同一用具に係る
価格差などその実態について調査・研究を行うとと
もに、これを踏まえ、早急に報酬の在り方について
見直しを行い、適正化を図ること。
全国厚生労働関係部局長会議資料(H19.1.15)
• 現在、財団法人テクノエイド協会において、介護保険におけ
る福祉用具貸与事業の価格、経営、コスト等の実態に着目
した調査研究事業を実施。
(実態把握の内容)
1. レンタル価格の分布の実態
2. 福祉用具貸与事業所の経営の実態
3. コストとレンタル価格の関係に影響を及ぼす要因
4. 福祉用具貸与事業者の価格設定等に関する意識
5. 利用者の価格に対する需要行動等に関する意識
全国厚生労働関係部局長会議資料より(H19.1.15)
軽度者「例外給付」見直しの課題・対応
課
1 認定調査結果・ケアマネジ
メントによる給付の判断
→認定調査結果、ケアマネジメント
による判断では、
給付されない例がある旨指摘。
2
対
題
18年度改正内容の周知
→自治体で異なる判断が行われ、
給付に地域差が生じてい
る旨の指摘。
策
対策1 判断方法の運用の一部見直
し
■ 軽度者に係る利用事例調査を実施
調査結果に基づき、専門家による意見等を
踏まえた結果、例外給付の対象とすべき事
案」が存在することが確認。
■ 運用の一部見直し
原則要介護認定データによる判断方法を維
持しつつ、運用の一部を見直す。
対策2
自治体への周知・徹底
■ 改正内容の周知・徹底
適切な運用が行われるよう、内容の周知
を今後とも継続して実施。
真に福祉用具を必要とする者への給付
介護保険の対象
となる福祉用具
福祉用具
生活用具