情報技術演習Ⅰ 人文学研究のための情報技術入門

Participation の思想
2012.10.10
Web2.0における Particiaption
林晋
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本日はWeb2.0の話
• Web2.0とは
– 英語Wikipedia
– 日本語Wikipedia
2
何故最初にWEB2.0か?
• この講義は、どういう分野の講義?
• シラバスを見ると、田辺元とかでてきて、哲学
史に見える。
• 基本的には、この講義は思想史の講義
– ただし、この講義は完全に歴史学なのでない。
– 飽くまで最終的視線は現代にある。歴史社会学
• でも、その最初に、なぜ、ITの話か?
• そもそも思想史とは?
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思想史とは?
• 思想史:日本では哲学、哲学史と混同する人がいる
が学問としての哲学ではない。
– 実際日本では哲学系の人がやっていることが結構多く、
誤解されることがある。
• 米国で生まれた概念で History of Ideas, History of
Thoughts などという。基本的には歴史学に分類され
る。政治思想史などと銘打った書籍を対象にする賞
などは、アメリカ歴史学会が出している。
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思想とは?
• 会社の社長さんとかが、自分の考え方を話し
て、「それが私の哲学です」、というような時の
「哲学」のことだと思えばよい。
• 要するに、ものの考え方すべてが「思想」(た
だし、割と「基礎」の方にあり、他の考えに影
響を与えるものをいう)
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この講義の視点
• 社会、組織と個人の関係の在り方が変わって
きている。
• その関係もある種の「思想」が担っている。
• WEBが当たり前になった現代社会の、思想の
中心になっていくものとして participation があ
るのではないか、そういうことを考える講義。
• ただし、これを現代においてだけ考えるので
なく、歴史的コンテキストにおいて考える。
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歴史社会学・思想史の視点
• 現代社会がなぜそうなっているのか、それを
その歴史的来歴から考えるのが歴史社会学
有名なものとしては、Max Weber の「プロテス
タントの倫理と資本主義の精神」
– プロテスタントの倫理が逆説的に近代資本主義
の精神を生んだとする説
• プロテスタントの倫理も資本主義の精神も、と
もに「思想」だから、これは思想と思想の関係
の歴史であり、思想史ともいえる。
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Participation の
歴史社会学と思想史
• この講義では、現代の社会で中心的役割を果たすようになっ
てきた participation の思想を、この歴史社会学、思想史の
観点から検討する。
– 歴史的事項:田辺元の種の論理、Levi-Bruhl のparticipation, Max
Scheler の Wissenssoziologie など。およそ1世紀前のファシズムの時
代に流行した思想群。それに関連するJakob von Uexküll(ユキュスキ
ュル)の「環境」概念
• 最終的視線はあくまで現代社会にある。
– 現代的事項:集合知、WEB2.0、Yahoo 知恵袋、SNS、Smart Mobs 、ア
ラブの春、participating systems
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その基本思想は?
• 1世紀前の participation
– 個が集まって社会をなすのではなく、社会が先に
存在して、それに個が参加している、あるいは、
それから個が生まれる
• 現代の participation
– 統治的組織から自律的個の集団へ
• この一見、反対向きの考え方が、実は共通す
る思想に基づいていることを示す
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講義の具体的方法論
• 情報社会学
– 現代の participation の分析
– 情報歴史社会学:現代の状況のルーツを探り、そ
れにより、現代をより深く理解する
• 思想史
– 1世紀前の participation の分析
• 歴史社会学・思想史のコラボレーション
– これら二つの接続
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まずは、現代から
• 最初は、IT の participation
• Tim O’Reilly のWeb2.0論と participation (今
回)
• その後に、他の participation を検討(次回以
後)
11
Web2.0とは?
•
Web2.0 は、2004年に ティム・オライリーが提唱し
たWeb論、Web思想。
日米の扱いの差
•
–
–
日本:もう過ぎたWEBでの流行 2007年で終わり?
米国:社会がそうなっている ITだけの問題ではない!
•
•
•
Education
Philanthropy 慈善事業
Social Work ソーシャルワーク(社会福祉)
–
•
Social Work Today Magazine, 2010
この講義では特にIT以外の部分にも注目
12
Web2.0: 統治的組織から
自律的個の集団へ
•
Web 2.0 論の「変化」の主張
•
– Web の世界で,「組織から個への一方向的な
情報の転送 → 個相互間の情報の転送」という
変化が起きている.
– それは,「組織による情報の作成・管理 →個に
よる情報の作成と自然発生的管理(神の手を
信じる)」への移行でもある.
これをWeb2.0論のオリジナルで見てみる。
–
思想なので、哲学のようでわかりにくい。
•
–
10/1/2015
それも日本のメディアがWeb2.0をすぐに見捨てた理由か?し
かし、より大きいのは participants の数だろう
まずは例で見て次回から段々と「思想」としての
本質を分析していく
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Web 1.0 からWeb 2.0へ
• http://oreilly.com/web2/archive/what-is-web20.htmlの移行表で説明
• 大組織(企業 etc.)からコンシューマ,ユーザへの一
方的な情報・価値
• DoubleClick → グーグル AdSense
• Ofoto → Flickr
• Akamai → BitTorrent
• mp3.com → Napster
• Britannica Online → Wikipedia
• personal websites → blogging
• evite → upcoming.org and EVDB
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Web 1.0 からWeb 2.0へ(2)
• domain name → search engine
speculation optimization
• page views → cost per click
• screen scraping → web services
• publishing → participation
• content management systems → wikis
• directories → tagging
(taxonomy)
("folksonomy")
• stickiness → syndication
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publishing → participation
• Britanicca から Wikipedia への変化は,
publishing → participation
とも関係する.
• authority による出版(publishing)ではなく,ユーザーの活動
(参加)による出版.
• 本を書く,著者になると,多くの場合,社会は著者に「権威」
を付与する.「先生」と呼ばれることさえある
• つまり,「著作」「出版・公刊」(publishing)は,公であり,「一般
大衆」より,一段高いもの,とみなされている.
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publishing → participation
• Authority → ユーザー
• 公 (ここでは国家等、共同体ではない) → 個人
• Taxonomy, 権威・中央による分類、整理 ・秩序
→ 一般大衆による folksonomy
• 重 → 軽, 重い(ゆっくり)→ 速: wiki wiki!
• Stickiness 静・固定 → syndication 動(連携)・移動
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