ミースの「国際分業と女性」 キーワード I I. 国際分業 A.歴史背景: ①植民地支配者による労働の要求 ②ヨーロッパによる植民地にならなかった国への要求 B.説明: ①18世紀以後のヨーロッパは、人口圧力や産業革命 の多量生産工程による、多量な原料を獲得しなけ ればならない ②植民地は自国ではないが、植民地が「空白」、植 民地人が「暇」、という発想で双方とも搾取は可能 1 ミースの「国際分業と女性」 キーワード II II. 新国際分業 A. 歴史背景: ①ヨーロッパの工業化が求める多量の原料(1590年~1940年) ②途上国の独立 (1940年~1960年) ③経済的なグローバリゼーション:国際貿易が要求する原料、労 働力、加工品、部品(1960年~現在) B. 説明: ①工業化の意義:その影響力はヨーロッパ諸国への影響力だけで はない ②工業化が先進国の消費パターンを、身近な世界で交換するパ ターンから市場での購入パターンに変えた ③工業化が途上国の自己消費のための労働パターンを、市場の ための労働に変えた 2 ミースの「国際分業と女性」 キーワード III III. 新国際分業と先進国のジェンダー A.歴史背景: ①農村生活の中の、労働内容に基づいていない 分業(男性、女性、老人、子供)から、 ジェンダー、民族性、年齢による労働能力の基盤への変化 ②報酬ベース・賃労働への変化とこれに伴う価値観、人への尊敬 B.説明: 産業革命後の西洋諸国における新ジェンダー役割: ①男が家庭主として家の外で働く・家計の土台として働くべき、新経 済や新家族の中心であるはず。 ②女性が扶養者、男性の仕事や所得を補う者。 ③これで女性労働=安価な労働が始まる。安価 3 ミースの「国際分業と女性」 キーワード IV IV. 国際分業と発展途上国のジェンダー A.歴史背景: ①新国際分業・グローバリゼーションによる近代西洋諸国におけ る厳密なジェンダー分業を途上国の労働制度・雇用制度・賃金制 度へ移転した。 B.説明: ①女性労働は男性労働と対等で家計を支える途上国では、女性 の賃金または生産量が減ると家計への大きな弊害をもたらす。 女性賃金差別制度が全家庭や全社会への支障をもたらした。 4 国際分業とジェンダー: 先進~後進国関係の背景I 植民地統治による途上国のジェンダー変化: 1. 2. 3. 4. 現地の結婚制度や3世代家族構造から核家族構造へ 女性の外での仕事から主婦仕事へ 農業労働による労働者の役割区別から世帯内分担へ 現地の女性は意思決定を持つ社会参加から ヨーロッパからの統治支配者への使用人へ 5 国際分業とジェンダー 先進~後進国関係の背景II 植民地主義による資本経済の中のジェンダー変化・ 消費主義の中のジェンダー変化 1. 商業資本(市場資本主義)から、 国内外市場のための産業資本主義への変化 2. 土地、自然から、必需品をとる生産制度から、 労働の交換による賃金で生活する(への変化) 3. 共同体のための資源の要求から工業生産が求める原 料の要求への変化 4. 伝統社会が求める必需品生産から消費社会が求める 6 贅沢品の生産への変化 ジェンダーと開発 先進国の開発計画における途上国にあわない3つの前提 1.世帯の構造=大人2人、子供2-3人 2.世帯は経済単位であり、生計・資源をめぐる世帯内の 意思決定は平等であるはず 3.世帯内(分担=)分業:男は生計の担い手、 女は家庭内労働全般の担い手 注意:上記の3つは理想論による世帯構造を反映する観念である。 西洋諸国でも例外的である。 が、後進国による理想的な家族構造を支える、途上国に移 転する様々なプログラムがある: 法律制度・教育制度・マスメディア・家族計画プログラム 7 ジェンダーと開発計画 先進国型開発計画の問題点: 世帯の「理想的な」構造が、 家庭内ジェンダー役割・分担を自然化していく。 例:男は家の外,女は家の中で働く。「自然」に 関連しないことにも関わらず、 自然だというように考えられてきた。 しかし、発展途上国の女性は、家族に主な労働力を 提供していることが、開発計画に認められなかった。 8 ジェンダーと開発計画: 先進国の理想的な世帯構成を再作成する計画 I 近代の核家族と家庭内労働に関する前提: • 核家族構造=2世代+子供2人~3人 • 世帯主=男 • 世帯主でない人の労働は無償である、価値の低い労働として見な される が、 核家族以外や途上国などの形態: • 大家族制(3世代など) • 女性が世帯主である家族が少なくはない。 1.事実上(多い)。夫が出稼ぎに行くから妻が家族を扶養する。 土地の利用権はないし、財産を相続することがない場合もある。 2.法律上(少なく認められる)。土地、資源の利用権がある。 9 モーザーが批判するジェンダーと開発 女性が果たす三重の役割 1. 再生産労働:労働力の再生産と維持 2. 生産労働:現金又はそれに相当するものを得る ための労働 3. コミュニティ管理とコミュニティ対策:生産と消費 に関連する居住地の社会関係の管理、支持、 応急策(子供・親戚を扶養できなくなった家庭 から子や老人を引き受ける、など)。 10 国際分業と開発: 多国籍企業と開発機関の戦略 New IDL=新国際分業(脱植民地時代)による変化 1. 先進国の工場の閉鎖、破産の恐れによる同企業の工場 の途上国での再設置(同じ先進国のマネジメント付) 2. 工業化による途上国の経済変化: 自給自足から国際経済制度がもたらす輸出経済へ 3. 自分が消費可能な品を生産するのではなく、 多国籍企業の下で輸出先の先進国の贅沢品生産へ 4. 先進国における消費者の要求を満たすため、 最も安価の生産過程、労働力、物価が優先される 11 国際分業とジェンダー: 新国際分業と性別変化I:先進国 先進国における女性の「主婦化」 1. 男性は家族の土台としての資本所得役割を大事にする 2. 従って、男性の仕事は家の外、女性仕事は家の中 3. 家の中の者は「主婦」とされ、主な役割は家族のための 消費するとなる 4. 先進国の資本市場は商品過剰や商品競争の機能をす るから、主婦は消費者となる。必需品だけではなく、多 様性のある商品を繰り返して買わなければならない。 12 国際分業とジェンダー:途上国の女性の「主婦化」 新国際分業と性別変化~開発途上中の女性労働 「男性の所得を補助するはずの女性労働」の職場 • 大企業・メーカー(電気商品、被服など) • 工芸品、食品加工、インフォーマル・セクター(内職) • 自分の農地で自分の必需品を生産するのではなく、 アグリビジネスと輸出志向経済による換金食物生産部 門 ・ プランテーション(モノカルチャー)などで働く 13 国際分業とジェンダー: 新国際分業と性別の変化II:途上国 先進国による男女役割とその途上国への影響 • 男性は夫、父としての定義づけによる新家父長の役割 • 男性の仕事は家の外、女性仕事は家の中という理想があ るが、農業社会の女性の二、三重労働(農業生産+家族労 働+コミュニティ管理) • 新家父長としての男性賃金は家族を支持するはずの賃金 • 主婦としての女性の賃金は補助賃金 14 国際分業、ジェンダー、開発 • 途上国の労働者は自分の必需品ではなく、 先進国が購入するものを生産する • 女性労働は主な労働力ではなく、 補助労働として定義つけられてしまう • 途上国の男性労働は出稼ぎ、換金食物、 小規模土木ともなり、家族を村に残すため、 女性だけが家族の支えとなってしまう 15 開発計画の中の「主婦」の二つの意味 主婦1? 「主婦」2 先進国で消 費する 「主婦」のレッテ ルが付けられた 「主婦」 途上国で働く人 16
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