マンマシンインタフェース論 竹村治雄 大阪大学 サイバーメディアセンター Human-Computer Interaction 1 仮想環境の共有ーはじめに 計算機により構築された仮想環境 • 一人の利用者で共有するより複数の利用者で共有す る方がアプリケーションが多く存在する. Human-Computer Interaction 2 CSCW Computer Supported Cooperative Work 計算機利用の共同作業環境 • 人間 • 技術 • 社会 の3つの側面を持つ 従来のユーザインタフェースをベースとする Human-Computer Interaction 3 画像ベースのCSCW 構成要素 • マルチメディア多地点間通信(映像/音声/テキス ト) • 共有ツール(作図/作文/モデリング) • 個人ツール これらのツールがデスクトップ上に配置される. スムーズなツール間の移動/共有データの管理/プライ バシーの保護などが課題 Human-Computer Interaction 4 仮想環境のメリット 広範なメタファの使用が可能 種々の情報提示手法の利用が可能 人の空間知覚特性の活用 現実環境とのスムーズな移行が可能 人間のコミュニケーション技術の直接利用 Human-Computer Interaction 5 CSCWの分類 同期:協調作業の参加者全員が同一時刻に同じ 目的で共同作業を実施するもの 非同期:そうでないもの 集中:参加者が物理的にも1箇所に集まるもの 分散:別々の場所にいて作業が実施可能なもの 同期 非同期 集中 会議支援シ ス テ 端末の交代利用? ムなど 分散 分散デス ク ト ッ 共同論文執筆 プ 会議 Human-Computer Interaction 6 共有仮想環境の分類 集中 分散 同期 共有 A R システ ム V L E G O II M R エ アーホッ ケー 共有 V R システ ム 臨場感通信会議 Human-Computer Interaction 非同期 V R M L ベースのシステ ム C o m m u n ity Pla ce など 7 仮想環境の共有形態 非対象型テレイグジスタンス方式 対象型テレイグジスタンス方式 HMDによる完全没入型の共有 光学式STHMDによるAR型の共有 ビデオSTHMDによるAR型の共有 大型スクリーンによる共有 Human-Computer Interaction 8 TeamWorkstation Seamlessness ビデオイメージによる合成 手書き注釈 個人環境+共有環境 問題点 Gaze Awareness Screen Space Human-Computer Interaction 9 Team WorkStation 2 Clear Face • 半透明の顔の映像表示 Human-Computer Interaction 10 ClearBoard ホワイトボードを用いたコミュニケーションを 通信環境で行う。 視線によるコミュニケーションが可能 問題点 映像が暗い 非対称の共有環境 作業結果の保存ができない Human-Computer Interaction 11 ClearBoard2 共有情報を電子化(TeamPain)して表示 映像品質の向上 Human-Computer Interaction 12 TeamRoom ミーティングルームの電子化 共同作業環境をティームルームのメタファで電 子化 Human-Computer Interaction 13 非対称型テレイグジスタンス テレイグジスタンススレーブと人間の協調作業 協調作業を行う人同士が対等ではない. Human-Computer Interaction 14 対称型テレイグジスタンス 実環境共有型 相手と対等の立場での協調作業が可能 Human-Computer Interaction 15 HMDによる完全没入型の共有 すべてを仮想環境として生成し共有する Human-Computer Interaction 16 光学式STHMDによる共有 現実の環境も共有する必要 Augmented Reality 的な使用が可能 現実環境と仮想環境の合成の問題 Human-Computer Interaction 17 光学式STHMDによる共有 現実の環境に仮想物体を重畳表示 Human-Computer Interaction 18 ビデオSTHMDによる共有環境 実環境もビデオカメラで撮影して合成する Human-Computer Interaction 19 現実環境と仮想環境の電子的合成 実環境と仮想環境の融合が可能 実環境 処理 仮想環境 生成 合成 Human-Computer Interaction 20 大型スクリーンを用いた共有 実環境(ユーザのいる環境)と仮想環境(通信対 地)を利用 Human-Computer Interaction 21 大型スクリーンによる共有環境 Human-Computer Interaction 22 作業空間の分類 参照対象共有空間 公開個人空間 個人空間 Human-Computer Interaction 操作対象共有空間 23 仮想環境を用いた協調作業の適応分野 工業デザイン 専門家とエンドユーザの意思伝達ツール 医療 手術計画の策定/シミュレーションなど 各種教育/訓練 体験学習/極限状態の訓練 遠隔指示/教示 アミューズメント Human-Computer Interaction 24 仮想環境の技術的課題 仮想環境構築技術 環境モデルの作成・獲得に関するもの 構成要素間の関係記述に関するもの 仮想環境表示技術 リアルタイムCG・音場生成・触覚力覚生成 仮想環境管理技術 実時間シミュレーション・干渉判定 Human-Computer Interaction 25 協調作業環境の技術課題 共有仮想環境データの更新・管理方法 同期制御・直列化 分散端末間の通信方法 信頼性とスループットのバランス 現実環境と仮想環境の融合方法 実物体と仮想物体のインタラクション 協調作業のデザイン Human-Computer Interaction 26 協調作業のデザインの課題 アウェアネスの利用 相手の視線を感じる シームレスな空間構成 モードのない空間 距離を感じさせない 現実空間とのギャップをなくす 自然なインタラクション 利用者の知覚能力の有効利用 VRの目的別使い分け 実環境の有効利用 仮想かする必要の無いものはそのまま利用する Human-Computer Interaction 27 NPSNET Naval Postgraduate School の戦闘シミュレー ションシステム IP Multicast を採用し非同期にデータを更新 異種・多数のホストの接続をサポート Human-Computer Interaction 28 イリノイ大 EVL Electronic Visualization Lab. Ethernet, FDDI, HIPPI を 混在した分散VR可視化 システム スパコン CM-5 のシミュ レーション結果を SGI マシン + CAVE で観察 Human-Computer Interaction 29 NASA CAS Project NASA Computational Aerosciences Project ギガビット通信による 分散処理により流体力 学の可視化を行う構想 地点Aのデータを地点B のスパコンで処理し、 地点CのGWSで描画 Human-Computer Interaction 30 データ管理手法 Human-Computer Interaction 31 データ管理手法 デバイスデータ管理 共有データ管理 Human-Computer Interaction 32 デバイスデータ管理(1) 単純な直列モデル デバイスの応答までアプリケーションは待機 非常にパフォーマンスが悪い アプリケーション 送信要求 待機 データ返送 デバイス Human-Computer Interaction 33 デバイスデータ管理(2) Throw & Catch デバイスの応答まで別の処理を行う 待ち時間を最小にするには正確な各処理時間が必要 デバイス数が増えると急激に複雑になる アプリケーション 送信要求 別処理 データ返送 デバイス Human-Computer Interaction 34 デバイスデータ管理(3) サーバ・クライアン トモデル 共有メモリを介した 非同期入出力による 高速なレスポンス さらなる改善には描 画切り替え時刻に応 じた予測が有効 アプリケーション 共有メモリ デバイスドライバ 入出力装置 Human-Computer Interaction 35 共有データ管理 対等分散型 • ユニキャスト・ブロードキャストによる完全同期型 (ハートビート) • マルチキャストによる非同期更新型 サーバクライアント型 • 一極集中型 • データ分散型(ゾーン制御) Human-Computer Interaction 36 共有データ管理:対等分散型 ホストは各自データベースを保持 1ホストの更新は全ホストに送信 Human-Computer Interaction 37 共有データ管理:対等分散型 ユニキャストによる手法 各ホストは完全に同一のデータを保持 変更点のみを互いに通信 通信量は比較的少ないが融通性に乏しい ホスト数とともにパケット数が爆発 スケーラビリティに欠ける MAGIC Human-Computer Interaction 38 MAGIC Multidimensional Application and Gigabit Internetwork Consortium ATM通信による広域 ネットワークで地理 データの3次元可視 化を行うプロジェクト バックボーン 2.4Gbps、 アクセス 622Mbps Human-Computer Interaction 39 共有データ管理:対等分散型 マルチキャストによる手法 Reliable Multicast を使用しデータベースの動的 更新をサポート 信頼性と一貫性のための通信コストが大 スケーラビリティに欠ける DIVE Human-Computer Interaction 40 DIVE Distributed Interactive Virtual Environment Reliable Multicast Protocol によりデータ ベースの動的 更新を支援 Human-Computer Interaction 41 共有データ管理:対等分散型 ブロードキャストによる手法 データの洪水が起こる ルーティングループの回避が困難 不要なデータのチェックのために OS レベルで 処理が低速化する SIMNET, DIS Human-Computer Interaction 42 SIMNET 80年代後半にDARPA (Defense Advanced Research Projects Agency) と米軍が共同開発 した大規模ネットワーク戦闘訓練システム イベントスケジューラが存在しない 各ホストは自立的に自分のデータベースを管理 し、変更点のみを通信しあう Dead-reckoning が使用されている Human-Computer Interaction 43 DIS Protocol 国防省や企業が共同で開発した大規模共有仮想 環境の標準化プロトコル SIMNET の要素を多く取り入れている 軍用アプリケーションでは標準 1994年に DARPA が IP Multicast をサポートし てからは DIS も ATM による IP Multicast をサ ポート Human-Computer Interaction 44 共有データ管理:サーバ型 サーバが各ホストのデータを中継 1ホストの更新はサーバのみに送信 Human-Computer Interaction 45 共有データ管理:サーバ型 一極集中型 中央のサーバのみがオリジナルのデータベース を保持し各ホストとやりとり イベントが直列化され一貫性は保ちやすい サーバが通信のボトルネックとなる 臨場感通信会議(VISTEL) Human-Computer Interaction 46 臨場感通信会議システム ATR通信システ ム研究所で研究 サーバーで仮想環 境のデータを管理 しユニキャストで 変更を通知 10Mbps Ether と INS1500で通信 Human-Computer Interaction 47 共有データ管理:サーバ型 データ分散型 データベースをホスト間で分割しサーバがこれ を仲介 大規模データの可視化に適す • ゾーン制御 やはりサーバがボトルネックになる • 多重サーバにより解決 MASSIVE Human-Computer Interaction 48 MASSIVE Model, Architecture, and System for Spatial Interaction in Virtual Environments ホスト間で データを分割 空間分割の手法に 「オーラ」の概念 を導入 Human-Computer Interaction 49 共有仮想環境の実装例 臨場感通信会議システム(ATR通信システム研究所) • 集中型サーバー管理のデータ管理 • データベースの更新を必要としないループは局所的 (ローカルサイト)で処理し,レスポンスを確保 • TCP/IPを利用 • 3地点接続の実験 VLEGOⅡシステム(奈良先端科学技術大学院大学) • 対等分散型のデータ管理(LAN向き) • TCP/IPを利用 • 両手が利用でき緊密な協調作業が可能(対象の操作 が排他処理だけでない) Human-Computer Interaction 50 臨場感通信会議システム 3地点実験の例 Human-Computer Interaction 51 VLEGOⅡの実行例 Human-Computer Interaction 52 離散的配置制約 作業状態により仮想物体操作の自由度を変更 六自由度 制約つき四自由度 制約つき自由度により、正確な操作を支援 Human-Computer Interaction 53 独立作業状態と協調作業状態 両手あるいは二人の利用者が把持する物体間の 距離に応じて作業状態を動的に遷移 near far C-1. S-1. 独立モード アニメーション Human-Computer Interaction C-2. 協調モード 54 形状生成のための協調作業例 接合 分断 Human-Computer Interaction 55
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