電波 概要 電波(でんぱ)は、電磁波のうち光より周波数 が低い(言い換えれば波長の長い)ものを指 す。 光としての性質を備える電磁波のうち最も周 波数の低いものを赤外線(又は遠赤外線)と 呼 ぶが、それよりも周波数が低い。 音などと同 様に、空間を伝播する性質がある。 定義 電波法第2条の1では電波を「三百万メガヘル ツ以下の周波数の電磁波」と定義する。 3,000,000 MHz = 3,000 GHz = 3 THz であ る。 ただし、電波を周波数のみにより他の電 磁波から区別する場合の境界(特に、その周 波数上限)は曖昧である。 ごく一部の辞書に おいては、通信(無線通信)に用いられる電 磁波を指すとの見解も見受けられるが、一般 にはあまり支持されていない。 用途 通信・放送 テレビやラジオの放送(地上波によるものも、衛星 によるものもある) 業務用無線通信: 警察、消防・救急医療や、船舶、 航空管制など アマチュア無線通信: アマチュア無線、市民バンド、 パーソナル無線など 電話: 携帯電話・PHS(電気通信事業)、マルチ チャネルアクセス無線、ワイヤレス電話 用途 データの送受 無線LAN、テレメータなど 気象観測(ラジオゾンデなど) 遠隔操作 リモコンから電子機器への通信、ラジコンのおも ちゃでコントローラーから本体への通信。 位置測定 GPS、VICS、ロランなどの位置情報システム 用途 加熱 電子レンジ: マイクロ波による加熱 反射を利用したもの レーダー 携帯電話と電波 電波とは電磁波の一種で、電磁波とは文字通り空間を伝わっ ていく波のようなものである。 電波の伝わり方のことを電波伝搬という。この電波伝搬は、 周波数によって大きく異なる。電波が目的の場所にいくとき、 実際には次の3種類の方法が考えられる。 直進してきた電波が直接届く 反射した電波が届く 回折した電波が届く 電波の特性 電波は周波数が高くなると、波長が短くなり、直進性が増す。 直進しやすい電波は基地局から発射する際に方向や強弱を 調整しやすく、通話エリアの設計が容易になる。しかし、障害 物を越えにくくなるため、山間部ではデメリットにもなる。 周波数 波長 情報量 の多さ 減衰の 差 低い 大きい 少ない 小さくな る 高い 小さい 多い 大きく なる 電波のフェージング現象 伝搬損失 ・到達距離が遠いほど電波は弱くなること。 ・基地局から遠くなればなるほど、電波が弱く なり、終いには圏外になってしまう。 遮蔽 ・建築物や山などといった障害物に電波が遮 断されてしまう現象のこと。 ・アンテナが設置されていない地下街に入る と、圏外になるのがこのため。 マルチパス(複数経路) 反射、回折、屈折した電波の受信により、最 短距離で受信した電波と時間的なズレが発 生し、受信電波の強度が強くなったり弱くなっ たりしてしまう現象のこと。 ・ビルが隣接する都心部や移動中の通信が もっともこのマルチパスの影響を受けやすい。 ほんの少し移動したり向きを変えるだけで、 通話が切れたり、通信が切れることがある。 アナログ方式 初期の携帯電話の伝送方式は、FM放送と同じ く音声を電波に変換してそのまま送信するシス テムが使われていた。 ・日本では日本電電公社(現在のNTT)によって 基本システムが開発されたNTT方式と、モトロー ラ社が開発したTACS方式の2方式が採用され ていた。 ・仕様周波数帯域は800MHz ・回線アクセス方式はFDMA アナログ方式 当時のサービスの主体は音声通話であったが、 アナログ方式では音声のかたちをそのまま電波 の強さに変換して送るため、電波が飛ぶときに 周囲の影響を受けやすく、携帯電話が基地局か ら離れるに従って音声の形が再現されづらくなり、 また盗聴されやすく電波の利用効率も悪かった。 ・これでは携帯電話サービスの加入者増に対応 できないため、順次デジタル方式に切り替わり、 現在ではすべてのアナログ方式でのサービスは 停止した。 デジタル方式 音声の波形を数値データに変換して、その数値データを電波を使って伝 送する。電波で送受信している間に形が変わっても、元の数値のデータ に訂正できるような仕組みがあるため、基地局から離れていても一定の 音質を保つのが特徴である。 ・データ通信も可能となるため、ショートメッセージ、発信者番号通知、料 金通知などの付加サービスが可能になる。 ・通話内容を暗号化して送受信しているため、盗聴しても内容が解読さ れない。 ・ハーフレート、フルレートを使い分けることで、電波の運用効率もアナロ グ方式より格段に高い。 ・電波の特性上、周波数が高いほど、より大量のデータを送受信できる という特徴もある。 •終わり
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