腹部血管造影について 2012年7月28日 福山市民病院 内科 ○辰川 匡史 藪下 和久 下江 俊成 坂口 孝作 Fukuyama City Hospital 血管造影=アンギオ とは • 腫瘍の有無や性質を調べるために • 血管にカテーテルを挿入し • 造影剤を流して検査を行います • 必要に応じて – 薬剤を注入したり – 肝動脈塞栓術 などの治療をおこないます Fukuyama City Hospital 検査は血管造影室(本館・1F)で行います IVR-CT 従来のDSA(透視台)と術中CTが 一体化したもの Fukuyama City Hospital 穿刺→カテーテル挿入→造影 肝臓 カテーテルをすすめて 肝臓へ到達 造影剤は黒くうつる 肝臓 カテーテル 大腿動脈・橈骨動脈を穿 刺してカテーテルを挿入 Fukuyama City Hospital 穿刺→腹腔動脈へ到達 当科では手首 (左橈骨動脈)より穿刺 橈骨動脈穿刺のメリット • 術後管理が楽・合併症少ない • 患者の苦痛が少ない 橈骨動脈穿刺のデメリット • カテーテルの取り回しが煩雑 • IVR-CTが使いにくい • ショックなどの状況では穿刺で きない・大動脈弓を越えられな い事例がある Fukuyama City Hospital 造影→腫瘍を同定する 肝臓 腫瘍? 肝臓内でさらに すすめて 造影剤を注入 腫瘍濃染 Fukuyama City Hospital TACEとは • 肝動脈化学塞栓療法 Transcatherter Arterial ChemoEmbolization – 腫瘍に抗癌剤を注入し(TAI) – 腫瘍栄養血管を塞栓物質でつめる(TAE) • 以前はTAE+TAIという用語であった Fukuyama City Hospital TACEの適応 • 治療適応: 多発例、再発例肝機能不良、年齢 などにより肝切除術の適応にならない症例 • 門脈本幹での腫瘍塞栓(Vp4)症例は絶対禁忌 • 総ビリルビン値 3mg/dl以下 • コントロール不能な腹水がない • PS3まで<あまり体がしんどいと治療に耐えら れない。 Fukuyama City Hospital 合併症 血管造影の合併症 • • • • 造影剤・薬剤による有害反応(アレルギーなど) 穿刺部の血腫・仮性動脈瘤・圧迫による神経障害 血栓症(脳梗塞・腎不全) 肺梗塞・深部静脈血栓症 (エコノミークラス症候群) TACEの合併症 発熱・腹痛・嘔吐などの症状は必発だが通常一過性 肝不全の悪化 胆嚢炎・胆汁瘻・十二指腸潰瘍(肝外の動脈を塞栓) Biloma、肝膿瘍 Fukuyama City Hospital 検査後について 周術期 • 大腿動脈:圧迫止血 – 4-5時間 沈子にて圧迫を行う – 一晩 ベッド上安静(足曲げ禁) – 翌朝 安静解除 • 橈骨動脈:の場合は TRバンドで一晩圧迫止血:翌朝解除 その後 • 早い場合は2-3日、通常1週間程度で退院 • 約1-2ヶ月後に治療後評価のCT • その後は3ヵ月毎に画像評価 (施設により異なる) Fukuyama City Hospital 血管造影 • 血管造影という治療は中程度に進行した肝臓 の腫瘍に行われるものです。 • 血管造影は複数の病変があっても治療ができ 、手術に比べても 肝臓に対するダメージは少 ない反面、決定力は劣ります。再発する可能 性は常にあります。 • 病気が進行しない限り、血管造影を数ヶ月~年 単位で繰り返します。 Fukuyama City Hospital 肝癌の繰り返し治療とTACE Stage(癌取り扱い規約) Ⅰ Ⅱ このラインを越え るとMST 7カ月 Ⅲ Ⅳa 動注 手術 RFA RT TACE Ⅳb 化学療法 緩和医療 こちらに戻るのはまれ TACEを繰り返し、Stage IIIでの時間がいかに 長くできるかが長期予後につながる ただし、日本限定 Fukuyama City Hospital TACE治療からの移行 • TACE不応 LipiがすぐWashoutされてしまう • TACE不能 – Feeding Arteryの問題 – 脈管浸潤 Stage III→ IVa – 遠隔転移 Stage III→ IVb • 肝不全の進行にてTACE適応外 Fukuyama City Hospital
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