2001年公共経済学(院) 『ネットワーク・エコノミクス』 第9章 ユニバーサル・サービス

2001年公共経済学(院)
『ネットワーク・エコノミクス』
第9章
ユニバーサル・サービス
の経済理論
発表者:手島健介
本章の構成
• ユニバーサルサービスの歴史
• ユニバーサルサービスの経済学
(定義・必要性・補助金のあり方)
• ユニバーサルサービスの料金論
第1節ユニバーサル・
サービスの歴史
• 第1世代:独占の保護
• 第2世代:内部相互補助
• 第3世代:96年電気通信法
「あまねく公平に」は神話に過ぎない!
第1世代:独占の保護
• 1908年、AT&T”One Policy, One
System, Universal Service”を掲げる。
• ベル系と独立系並存のデュアル・サービス
が地域、低価格料金、相互接続の拡大を
通じ電話の初期普及に貢献
• 結局、ユニバーサル・サービスはAT&Tの
独占擁護のスローガンでしかなかった。
第2世代:内部相互補助
• 30,40年代:ボード・ツー・ボードからス
テーション・ツー・ステーションへ(長距離通
信収入から地域通信ネットワーク費用を補
填)
• 60、70年代:本格的競争時代へ
• 地域通信ネットワーク-アクセスチャージ
によって費用分担
• 高費用地域事業者と低所得加入者の援助
のためのユニバーサルサービス政策採用
第3世代:96年電気通信法
• 競争の枠組みの中でユニバーサルサービ
スを維持発展させるための政策を模索
• 1996年米国電気通信法254条c項
• 高度情報通信をユニバーサルサービスと
してとりこみ医療・教育分野への提供を求
めた
第2節:ユニバーサルサービスの
経済学
•
•
•
•
ユニバーサルサービスの定義
ユニバーサルサービス政策の必要性
補助金のあり方
クリーム・スキミングの問題
ユニバーサルサービスの定義
類似概念との比較
コモンキャリッジ-非差別性
最後の手段の提供者ー地理的利用可能性
ユニバーサルサービスー経済的利用可能性
アプリオリな定義は必要か?
重要なのは政策!
ユニバーサルサービス
政策の必要性
• 所得分配政策/ネットワーク外部性
• 実際の浸透度はまだ不十分。
(貧困などでアクセスが容易でない)
• 全経済学者がユニバーサルサービス推進
派ではない(内部相互補助の実態、外部
性の内実による理由)
ユニバーサルサービス
補助金のあり方
• 補助金の流れの3タイプ
(サービス間、地理間、消費者間)
これらはいずれも料金平均化となる。
• 料金平均化は、競争的環境ではクリーム
スキミングを引き起こす
• ユニバーサルサービス、アクセスチャージ、
市内競争は現代テレコムのTrilogy
ベンチマーク補助金メソッド
• アクセスチャージ問題での長期増分費用の測定、市内競
争問題での競争価格決定を前提とした、ユニバーサル・
サービスの補助金決定方法
S1=(c+α)-p
S2=(c+β)-p
S1+2=(C+α+β)-p
p:ベンチマーク価格、 c:サービス費用
α:高費用地域での付加的費用
β:低所得者向けサービスの付加的費用
S1:高費用地域向けサービスへの補助金
S2:低所得者向けサービスへの補助金
S1+2:高費用地域・低所得者向けサービスへの補助金
ベンチマーク補助金
メソッドの論点
•
•
•
•
価格は競争的かどうか
費用は正しく把握されているか
補助金は正しく必要者に支払われるか
補助金の負担原資を誰に求めるか
第3節:ユニバーサルサービスの
料金論
• 競争ー価格差別化の増大
• ユニバーサルサービス理念に反しない
か?
• 差別価格規制から容認へ
• 第2級価格差別化
(大口需要家の誘因制約、小口需要家の
参加条件を等号で満たす利潤最大化によ
る差別価格:小口需要家の余剰が0にな
る)
ユニバーサルサービスと
自己選抜差別化
(U&S-PD)
• 各人の誘因を考慮にいれたうえで、公平
性を重視した料金設定の提案
• 小口需要家に補助金を与え留保効用水準
を向上させ、その後に自己選抜を認める。
• 企業から消費者への移転を実現
他の料金体系との関連
• どの消費者の厚生も悪化しない条件で数
量に応じた割引を認める-パレート優位型
• すくなくとも現状の構成を保証するー現状
公正型
• 分配上の公正を重視-福祉型
U&S-PDはこれら全部を満たす。