Analysis of Sparsely-Spread CDMA via Statistical

第29回情報理論とその応用シンポジウム
2006年11月29日
スパースな拡散符号を持つ
CDMAマルチユーザー復調器の解析
Analysis of Sparsely-Spread CDMA
via Statistical Mechanics
吉田実加
奈良女大人間文化
Mika Yoshida
Graduate School of Humanities and Sciences, Nara Women’s University
田中利幸 Toshiyuki Tanaka
京大院情報学研究科 Graduate School of Informatics, Kyoto University
上江洌達也 Tatsuya Uezu
奈良女大人間文化
Graduate School of Humanities and Sciences, Nara Women’s University
発表の流れ





目的
モデル化
レプリカ解析
モデル
レプリカ解析
レプリカ対称解
数値計算
まとめと課題
目的
1.周波数ホッピング方式のモデル化を行う
スパースな拡散符号を持つ直接拡散CDMAモデル
としてモデル化する。
2.モデルの性能評価指標をレプリカ法を用いて導出する。
モデル化
周波数ホッピング(FH)CDMA方式を
スパースな拡散符号を持つ直接拡散(DS)CDMAモデル
としてモデル化する。
直接拡散(DS)方式
Direct Sequence
・・・ 大システム極限でのDS-CDMA モデル解析
D. Guo and S. Verdu, Randomly spread CDMA : Asymptotic
via statistical physics, IEEE Trans. Info. Theory, vol. 51, no. 6,
pp. 1983-2010 2005.
T. Tanaka, A statistical-mechanics approach to large-system
analysis of CDMA multiuser detectors IEEE Trans. Info.
Theory, vol. 48, no. 11, pp. 2888-2910 2002.
周波数ホッピングCDMA(FH-CDMA)方式
Frequency Hopping Code Division Multiple Access
M値シフトキーイングで変調する場合
1
y 
G
g
G-1
ユーザー数 : K (k=1,・・・,K)
拡散符号のチップ数 : G (g=1,・・・,G)
キャリア周波数の数: M (m=1,・・・,M)
ユーザーkの拡散符号 : {skg ; g=1,・・・,G }
K
g
g
s
x

n
k k
k 1
G
加法的ノイズ:{ng; g1,・・・,G}
受信信号 : { yg; g=1,・・・,G }
2次元で表される拡散符号を
チップ数をN=MGとして1次元的に書き直す。
ユーザーkの拡散符号 :{sk ; =1,・・・,N }
N個のチップのうち、G個が0以外の値を持つ。
このとき、受信信号は次のように表される。
1 K 
y 
sk xk  n 

G k 1

M が大きいとき →
  1,, N
拡散符号がスパースな K ユーザー DS-CDMAモデル
スパースな拡散符号を持つDS-CDMAモデルは
時間ホッピングCDMA方式の簡単なモデルにもなっている
レプリカ解析
スパースな拡散符号を持つDS-CDMAモデルにおける
復調結果の性能を評価する指標をレプリカ法を用いて
導出する。
モデル
スパースな拡散符号を持つDS-CDMAモデル
ユーザー数 : K (k=1,・・・,K)
拡散符号のチップ数 : N
(=1,・・・,N)
ユーザーkの情報シンボル : x0k
ユーザーkの拡散符号
: {sk ;  =1,・・・,N }
加法的ノイズ
: {nμ ; μ=1,・・・,N }
受信信号
: { yμ; μ=1,・・・,N }
拡散符号系列 {sk ;  1,・・・,N } の中で0以外の値を持つチップの数は
ρ個とする。
キャリア周波数の数がM、ホップ回数がGの時との対応は、N=MG, G=ρ。
このとき、受信信号は次のように表される。

y 
1
K
s x


k 1
k
k
 n
  1,, N 
仮定
•拡散符号の0でないチップは、N個の中からランダムに個選ばれるとする。
•拡散符号のチップの値は以下の分布関数に従って与えられるとする。



ps   1   s    s .
N
 N
* ( s)  s  0 の任意の確率密度関数
•さらに0以外の値をとるチップの数が厳密に個となるように制限を課す。
•ノイズは、平均0、分散σ02 の加法的白色ガウスノイズとする。
•情報シンボルは、1と-1からなるビットとし、
それぞれの値が等確率で出現する一様分布に従って発生させるとする。
以下の表記を導入
x 0  x01 ,, x0 K  ,
T
S k  sk

y  y , , y
1

N T

, n  n , , n
1

N T
ガウスノイズを仮定しているので、
x0 の条件のもとでの y の分布は次のようになる。
N
N
 1
 1
p0 y | x 0 , S    p0 ( y  | x 0 , S ) 

1
1
 1  
exp  2 y 

 2s 0 
2s 02



sk x0 k 


k 1

K
2





復調の結果得られる、x0 の推定値を x とする。
x の条件のもとでの y の分布:
N
N
 1
 1
py | x, S    p( y  | x, S ) 

1
1
 1  
exp  2  y 
2

 2s 
2s



sk xk 

k 1

K
s2 はガウスノイズの分散の推定値
1
1

p0 x 0      x0 k  1   x0 k  1
2

k 1  2
K
1
1

px      xk  1   xk  1
2

k 1  2
K
事前分布
2





情報シンボルの復調の性能を評価するため
相互情報量を計算する。
情報シンボル x と受信情報 yとの相互情報量
I x; y    p0 x, y  log
px, y 
dxdy
px  py 
ここで p0(x ,y)=p0(y|x)p0(x) , p(x,y)=p(y|x)p(x)
相互情報量 I(x;y) は次式のように分解できる
I x; y   H y   H y | x
H(y) :エントロピー
H(y|x) :条件付きエントロピー
条件付きエントロピーは
ガウスノイズのエントロピー H(n) と等しいので次のように表せる。
H y | x    
 p y | x, S log py | x, S dy pxdx
0

1  s 02
  2  log 2s 2 
2 s

yのエントロピーは
H y    p0 y  log py  dy
 
 p y | x, S  p xdx log py | x, S  pxdx dy
0
0
解析的に計算するのは困難。
自己平均性を仮定し
大システム極限で、拡散符号S について平均をとった
1ユーザー当たりのエントロピーを計算する。
大システム極限
K, N  
K
 
 有限
N
  有限 
自己平均性の仮定
エントロピーH(y) の値は拡散符号S に依存してばらつく。
S はランダムに値をとるものとしているので、システムを大きくすると
S に依存する1ユーザー当たりのエントロピーK1 H y  の
ばらつきは小さくなる。
ここで自己平均性を仮定すると K1 H y  は大システム極限で
S について平均をとった1ユーザー当たりのエントロピーHと一致する。
1

H  E S  H y 
K

Es(・) :拡散符号S についての平均
レプリカ解析
拡散符号S について平均をとった1ユーザー当たりのエントロピーHを
大システム極限で評価する。
1

H  lim E S 
H y 
K 
K

1
  lim
E S   p0 y | x, S p0 x  dx
K  K
 log  p y | x, S  p x  dx dy



解析計算を続けるために、レプリカ法を用いる。
恒等式
log Z  lim
n 0

log Z n
n
より、Hは次のように変形する。
H   lim
K 
1

lim
log  n
K n 0 n
 }
ここで、n は
n  E S
  p y | x, S p xdx py | x, S pxdx dy}
n
0
0
n個のレプリカ変数 xa=(xa1,・・・,xaK)T, a=1,・・・,n を導入する。

n  ES  



 n
 








p
y
|
x
,
S
p
x
d
x
p
y
|
x
,
S
p
x
d
x
0
a
a
a  dy 
 
 0
 a 1
 
N個の拡散符号チップ中、個のみ0以外の値を持つ場合のn は、次のようになる。
N
 1

 1 T 
n   
exp  ω ω  ω  1Pω dω  cx dcx 
n 
 2

 2 

ただし
x  x0 , x1 ,, xn 
ここで
  diags 02 ,s 2 ,,s 2 



 ω  x 
1



 
Pω    exp   1   dxcx  ds s  exp i s
 

N



 



 

N N C   1  
N  N
N 
 
K ~
 cx   
dc x  exp  K  cx c~x dx
2i



 n
 c~x 
 log  p0 x0  pxa 
dx 
 a 1
 !


cxはオーダーパラメータ関数、c~xはcxに共役な関数。
H   lim
K 
1

lim
log  n
n

0
K
n
極限limK→∞ とlimn→0 の順番の入れ替えが可能であると仮定して、
limK を先に評価すると
Varadhanの定理より、nは次のように表される。
R. S. Ellis, Entropy, Large Deviations, and Statistical Mechanics,
ser. A series of comprehensive studies in mathematics. New York: SpringerVerlag, 1985, vol.271..

}
1
lim log  n  sup  1 g cx   I cx 
K  K
cx 
 1 T

g cx   log  exp  ω ω  ω  1Pωdω  n log 2
 2

n


 

~
~
I cx   sup  cx c x dx  log ! log  c x  p0 x0  pxa  dx
c~  x  
 a 1
 
レプリカ対称解
x  x0 , x1 ,, xn 
cx , c~x について、
導入したn個のレプリカの添え字a  1,, nの入れ替えに
依存しない解(レプリ
カ対称解)を次のよう
に仮定する。
n


exphx0  xa 
a 1

 dh
c RS x    Ph 
n
22 cosh h 
n
~

exph x0  xa 
~
~ ~
a 1

 dh
~ RS x   P
c
h

~n
2 2 cosh h
 



~~
PhとP h を求める。

1

RS
RS




g
c
x

I
c
x

0
 Ph   

1


RS
RS




g
c
x

I
c
x
0
~ ~ 
 P h 

 

 


 

鞍点方程式
 
 1
  1 ~ ~ ~  
~
Ph        dhc P hc    h   hc 
c 1

 c 1
 


   e  
~ ~
P h   Dz
L  1!
L 1

L 1
 L 1
 ~ 1
1 








ds

s
dh
P
h
ds

s

h

log


l
l
l
l  
 L L  
2
 1 
l 1
 
ここで
1
 1 2
Dz  dz
exp  z 
2
 2 
1
 s    s     s }
2
 1
2  L 1
  
 1  tanhhl  L
2 
s  l 1
2
 L 1
 l  1hl
 L1 exp 
l 1
τ 1,1}
1 
1 
  
 2 zs 0 
sl  l  1  s L   1


2s 
  l 1
  
L 1
2
1ユーザー当たりのy のエントロピーの平均H は
H
1

Dz


L 0
  L e  
L!
   log1   1


1
 L

1 

 t anhhL   dhl Phl dsl sl 
 1  t anh log
 1 

2


 l 1
1
 log 2   log 2




~
~
~~
    log 1  t anhh t anhh P h P h dhdh

  ~ 
 cosh  hc  


~~~  

      dhc P hc  log   c 1  
~ 
 c 1
 
cosh
h

c


c

1


 
ビット誤り率

 

  ~ 
~~~
1
Pb  1    dhc P hc tanh  hc  
2
c 1
 c 1  
1
スペクトル効率 C 
I x 0 , x; y 
N
大システム極限のスペクトル効率
N 0


1
lim KH  H n 
N 0 N K  0
1  s 02
2 

 H   2  log 2s 

2 s

lim C  lim
数値計算
拡散符号のチップの値は次の分布関数に従う



ps   1   s    s .
N
 N
* ( s)  s  0 の任意の確率密度関数
バイナリの場合を考える。
sk {1,1}
(s) を次のようにとる。
1
1
 ( s )   ( s  1)   ( s  1).
2
2
s02s2でのビット誤り率
:1, 2 の解析結果の数値計算結果
K 

 

N 

:1 K=N=200), 2, サンプル数50のモンテカルロシミュレーション
まとめと課題
まとめ
•
周波数ホッピング方式を拡散符号がスパースな直接拡散CDMAモデル
として表した。
•
スパースな拡散符号を持つ直接拡散CDMAモデルをレプリカ法を用い
て解析し、レプリカ対称解におけるスペクトル効率とビット誤り率を導出し
た。
•
ビット誤り率について、解析結果から得られた数値解とモンテカルロ法を
用いたシミュレーション結果を比較し、良く一致することが分かった。
今後の課題

スペクトル効率についても数値解とシミュレーション結果の比較を行う。

バイナリ以外の拡散符号の値を与えた場合について数値計算を行う。

FH方式のシミュレーションを行い、求めた解析結果との比較を行う。
前回(ISIT2006)との違い
前回:拡散符号の0でない要素の数を平均個として、
事前分布がガウス分布に従う場合で、
近似Effective Medium Approximation計算で
性能評価指標を導出した。
今回: 拡散符号の0でない要素の数を厳密に個として、
バイナリの一様な事前分布の場合について解析を行った。