ネットワークとノードの情報を利用した オーバレイネットワークの最適化 環境情報学部 仲山 昌宏 [email protected] 本研究の目的 ネットワークやノードの状態に基づいて構 成を動的に変更し、オーバレイネットワー クを効率化する。 複数の中経者を介在した通信において パフォーマンスの低下を低減させる。 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 2 研究の背景 匿名の必要性 匿名サービスの普及 匿名掲示板、エスクローサービス 匿名にしたい理由 悪意を持つ人から自分の情報を守る ネットワーク上での行為と実世界の個人を隔離 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 3 研究の背景 オーバレイネットワークによる匿名通信路 サーバを利用する匿名サービスの限界 利用者の情報が集中 転送量の増大 オーバレイネットワークによる匿名の提供 直接通信をせず、第三者が中継転送を行う。 ネットワーク上で個人を識別する唯一の識別子と なるIPアドレスを隠匿することができる。 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 4 研究の背景 オーバレイネットワークによる匿名通信路 データの転送に中継を利用する。 B A 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 5 研究の背景 匿名通信路の特徴と問題点 実時間性の高い通信を対象としている。 チャット(数秒) 掲示板(数分) 直接通信を行う場合と比べ、中継を行うノードや そこに至るネットワークの影響を受けやすい 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 6 関連研究 Gnutella Ultrapeerによる二段階の階層化 測定による接続先ノード選択 Winny 帯域幅による階層化 キーワードによるクラスタ化 P2Pストリーミング 配信ツリーの動的構成 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 7 関連研究の比較 転送 ノード ネットワーク Ultrapeer 直接 階層化 - 測定による 接続先選択 Winny 直接 稼働時間 ホップ数 中継転送 - P2P 中継転送 帯域幅 キーワード - - ストリーミング 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 8 手法 ノードやIPネットワークの状況に応じてオーバ レイネットワークのノード間リンクを最適化 Hop数 帯域幅 処理性能 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 9 手法 「ノード間のリンク」を対象 情報の検索は対象外 キャッシングやメッセージの経路制御は対象外 最終的に、近いノード同士でクラスタを構成する ことを目指す。 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 10 設計 ノード情報の交換と測定によってリンクを変化さ せる。 C D :IP Network :Link B :NodeAdv :Measurement A E 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 11 設計 動作概要 1. 2. 3. 4. 2003/02/01 新しく接続したノードAはノード広告メッセージを オーバレイネットワーク上に送出する。 ノード広告メッセージを受信したノードBはノードA に対し測定を行う。 ノード広告メッセージに含まれるノード情報と測 定結果から優先度を算出 既存のリンクよりも優先度が高ければ接続 2002年度卒論最終発表会 Page. 12 設計 初期状態(接続直後) C the Internet A D 2003/02/01 B 2002年度卒論最終発表会 Page. 13 設計 1. ノード広告メッセージ送出 NodeAdv MSG ノード情報 the Internet A D 2003/02/01 B 2002年度卒論最終発表会 Page. 14 C 設計 2. 測定 C the Internet A 測定! 2003/02/01 D 測定結果 Hops: 3hop 2002年度卒論最終発表会 B Page. 15 設計 3. 優先度を算出 C the Internet A D 2003/02/01 Node: A 優先度: ~~ 2002年度卒論最終発表会 B Page. 16 設計 4. 優先度が高ければ接続 C the Internet A D 2003/02/01 B 2002年度卒論最終発表会 Page. 17 設計 5. 最適化の例 C the Internet A D 2003/02/01 B 2002年度卒論最終発表会 Page. 18 システムの設計 Application Message Procedure Link Buffer Msg 2003/02/01 Node Buffer Control Result Link Manager Measurement Module(s) Other Node(s) Target Node 2002年度卒論最終発表会 Page. 19 実装 手法を評価するためのプロトタイプを実装 オーバレイネットワークの構築 ノード広告メッセージの送出 ネットワーク状態の測定 リンクの動的変更 Unix環境で動作 FreeBSD(4.7)、NetBSD(1.6)、Linux(Vine-2.1.5) 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 20 運用実験 実環境上で実験を行い、効率化が機能するこ とを確かめた。 RGNet上のホスト • ec.sfc.wide.ad.jp • jam.sfc.wide.ad.jp 自宅のホスト(128kbps) • omoikane.uryusoft.net WIDE Network上のホスト • sh.wide.ad.jp 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 21 自宅 運用実験 omoikane the Internet WIDE藤沢 jam RG-Net 2003/02/01 ec 2002年度卒論最終発表会 sh Page. 22 運用実験 オーバレイネットワークが、IPネットワークのト ポロジに近づくように効率化された。 実装を進める上でいくつかの問題が浮上した。 ノード情報がうまく反映されるかは、より大規模な 実験が必要。 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 23 定性評価 転送 ノード Ultrapeer 直接 階層化 ネットワーク - 測定による 接続先選択 Winny 直接 稼働時間 ホップ数 中継転送 - P2P 中継転送 帯域幅 キーワード - ストリーミング 本システム 中継転送 2003/02/01 帯域幅 処理性能 2002年度卒論最終発表会 ホップ数 Page. 24 今後の課題 実装中に明らかになった問題の解決 ノード広告メッセージのルーティング ノード広告のタイミング より良い測定手法の確立 匿名通信路に利用するためのライブラリ化 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 25 おわり ご静聴ありがとうございました。 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 26 おまけ:その他スライド 研究の概要 匿名通信路の実現に必要な、効率化された オーバレイネットワークが必要である。 ノードやIPネットワークの情報を利用してオー バレイネットワークを動的に組み替える機構を 提案する。 この機構が有効であることを示すプロトタイプ を実装し評価を行った。 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 28 修士研究計画 「仮想ネットワーク上で匿名性と相手の特定を両 立するシステムの構築」 匿名性を保ったまま特定の相手との間に暗号通 信路を提供するシステム 匿名性を提供するために、オーバレイネットワーク 上の中間ノードが通信の中継を行う。 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 29 修士研究計画 中継者による匿名性の実現[往路] ! B 22.22.22.22 Src: A [44.44.44.44] Src: A [11.11.11.11] Dst: ? Mes: Search Query Dst: ? 33.33.33.33 C Mes: Search Query D 44.44.44.44 Src: A [33.33.33.33] Dst: ? A 11.11.11.11 2003/02/01 Mes: Search Query 2002年度卒論最終発表会 Page. 30 修士研究計画 中継者による匿名性の実現[復路] B 22.22.22.22 Src: B [22.22.22.22] Src: B [33.33.33.33] Dst: A [11.11.11.11] Mes: Response Dst: A [44.44.44.44] 33.33.33.33 C Mes: Response D 44.44.44.44 Src: B [44.44.44.44] Dst: A [33.33.33.33] A 11.11.11.11 2003/02/01 Mes: Response 2002年度卒論最終発表会 Page. 31 C 中継者が遠い場合 the Internet A D 2003/02/01 B 2002年度卒論最終発表会 Page. 32 中継者の持つ帯域が 細い場合 the Internet A C D 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 B Page. 33 中継者が 高負荷の場合 the Internet A C D 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 B Page. 34 最適化された状態 the Internet A D C 2003/02/01 B 2002年度卒論最終発表会 Page. 35 運用実験 優先度の計算式として以下を設定 優先度 = -8 × ホップ数 + log10 (帯域幅) + 負荷( load ) 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 36 設計 IPマルチキャストによるノード探索 1. 2. 3. 2003/02/01 ノード探索メッセージを、IPマルチキャストで特定 のマルチキャストアドレスにTTL=1で投げる。 ノード発見メッセージが帰ってきたらそのノードに 接続する。 時間内に帰ってこなければTTLを徐々に増やして 再びノード探索メッセージを投げる。 2002年度卒論最終発表会 Page. 37 アプリケーションの分類 動的なデータ ICQ, MSNメッセンジャー Groove ShareCast, PeerCast 間 接 ( Winny 中 継 ) 直 接 Napster/WinMX Gnutella Freenet 静的なデータ 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 38 設計 6. 最終目標 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 39 研究の背景 クライアント・サーバの限界 利用者の情報が集中 格好の攻撃対象 運営の不備による漏洩 転送量の増大 利用者数の増加 一人あたりの帯域幅の増加 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 40 研究の背景 オーバレイネットワークの登場 IPネットワークの上にTCP等を利用して構築さ れたアプリケーションによるネットワーク ファイル共有: Napster/WinMX, gnutella 匿名ファイル共有: Freenet, Winny ストリーミング: ShareCast, PeerCast グループウェア: Groove 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 41 評価 定性的評価 IPネットワークのトポロジに近いネットワークを構成できて いるかどうか 定量的評価 ノードが増減した場合にネットワーク構成の最適化に要す る時間 ノード広告メッセージの転送とホップ数測定に要するトラ フィック 繋ぎ変える機構を採用しない場合とのホップ数やスルー プットの差異 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 42 関連研究1 Gnutella Ultra P2Pサービスにおける物理ネットワークを考慮し た論理トポロジー構築手法 gnutellaを利用 Hop数と生存時間から最適なノードを選択 帯域幅等のノードの情報を無視している。 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 43 関連研究2 Winny 匿名性を実現するファイル共有アプリケーション 自己申告した帯域幅によるツリー状の階層化と、 指定したキーワードのマッチングによるクラスタリ ングを併用 IPネットワークのトポロジを無視しているため偶然 に大きく左右される。 2003/02/01 2002年度卒論最終発表会 Page. 44
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