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日本の情報通信産業1
-全体像とその課題-
2004年10月26日
(株)情報通信総合研究所
滝田
辰夫
1
プロフィール
(株)情報通信総合研究所(通称:情総研)
1985年6月18日設立。情報通信分野専門の研究機関として
今日に至る。
資本金:約8億円(主要株主:NTT持ち株)
従業員数:約100名
滝田 辰夫
情総研 通信事業研究グループ チーフリサーチャー
1988年4月日本電信電話株式会社入社。国際部、人事部、海
外留学等を経て2000年より情総研勤務。
2
本日の講義の流れ
情報通信市場の概観(従来の基準)
課題1についての議論
新たな情報通信についての概観
課題2についての議論
課題3についての議論
3
1.通信市場の規模
(2003年度
見込値)
地域系通信
4兆9,442億円
29.5%
移動体通信
9兆5,790億円
57.1%
第一種電気通信市場
16兆7,842億円
長距離・国際通信
2兆1,959億円
13.1%
衛星通信
651億円
0.4%
出所:総務省「第一種電気通信事業の動向(平成15年9月)」
(注) (%)は構成比
4
2.主要事業者のシェア(2003年度推計)
固定通信
移動通信
その他
2.1%
パワードコム
2.3%
日本テレコム
4.3%
その他
ボーダフォン
8.9%
15.8%
KDDI
7.5%
固定通信市場
7兆2,052億円
NTT東西
NTTコム
15.4%
61.6%
移動通信市場
KDDI(au) 9兆5,790億円
NTTドコモ
19.1%
63.1%
NTT東:31.5%
NTT西:30.1%
出所:総務省「第一種電気通信事業の動向(平成15年9月)」
(注) (%)は構成比
5
3.通信回線数の推移
(単位:万回線)
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
携帯電話
固定電話
1996
固定電話 6,271
携帯電話 2,088
(年度)
1997
6,300
3,153
1998
6,290
4,153
1999
6,286
5,114
2000
6,291
6,094
2001
6,189
6,912
2002
6,084
7,566
2003
6,007
8,152
出所:NTT及び総務省資料
(注)固定電話にはISDNを含む。INS1500は10回線相当として計算。
6
4.電話トラヒック(通信回数)の推移
(単位:億回)
1,000.0
固定→固定
800.0
600.0
400.0
移動→移動
200.0
0.0
(年度)
固定発固定着
固定発移動着
移動発固定着
移動発移動着
移動→固定
固定→移動
1998
866.5
104.9
128.6
170.0
1999
858.0
105.1
135.5
244.5
出所:総務省「トラヒックからみた我が国の通信利用状況」
2000
861.1
112.2
149.0
325.3
2001
803.7
101.6
154.6
324.0
2002
729.8
97.4
156.8
339.9
7
5.移動通信契約数の状況
(単位:万契約)
9000.0
160%
8000.0
8152.0
7565.7
140%
6912.1
136%
7000.0
6000.0
120%
6094.2
105%
103%
5000.0
100%
5113.9
4153.0
4000.0
80%
3152.7
3000.0
2087.7 51%
2000.0
1000.0 433.1
0.0
60%
32%
1020.4
23% 19%
40%
13%
9%
8% 20%
0%
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003
契約数(万契約)
出所:電気通信事業者協会の数値を基に作成
対前年増加率
8
課題1:現在の電話網をどのように維持(あるいは棄却)するか
既存電話網(メタル・回線交換網)の維持(棄却)方法
■新しいネットワークへの移行(Migration)は多くの問題を抱えている。
・移行時に係るコストは既存電話網の維持と新たなNWの維持の両
方にかかる。
・最後まで残る利用者層(Laggards)→ユニバーサルサービスの
維持
■技術革新と競争の進展
・技術革新による陳腐化スピードの加速とレガシー分野へも競争の
進展
■ユニバーサルサービス
・過疎地、ローカルの扱い
・代替的ラスト・ワンマイル・アクセス
9
6.インターネット利用人口及び人口普及率の推移
(単位:万人)
10,000
9,000
70.0%
60.6%
54.5%
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
(暦年末)
7,730
44.0%
6,942
37.1%
9.2%
1,155
1997
50.0%
40.0%
5,593
21.4%
60.0%
30.0%
4,708
20.0%
13.4%
2,706
10.0%
1,694
0.0%
1998
1999
利用人口
出所:総務省 「情報通信白書(平成16年版)」
2000
2001
2002
2003
人口普及率
10
7.企業・事業所・世帯でのインターネット普及率推移
(単位:万人)
97.6%
95.8%
100.0%
98.4%
88.6%
79.1%
80.0%
80.0%
企業(300人以上)
68.0%
世帯
40.0%
(暦年末)
82.6%
60.5%
44.8%
0.0%
88.1%
事業所(5人以上)
60.0%
20.0%
81.4%
98.2%
31.8%
34.0%
19.2%
19.1%
11.0%
1998
1999
企業
出所:総務省 「通信利用動向調査(平成15年版)」
2000
2001
事業所
2002
2003
世帯
11
8.ITUによるインターネット人口普及率
67.47%
アイスランド
韓国
スウェーデン
60.34%
57.31%
55.14%
54.81%
52.62%
52.19%
51.28%
51.28%
50.89%
50.26%
48.17%
47.27%
46.92%
46.44%
46.20%
44.89%
米国
シンガポール
ニュージーランド
オランダ
カナダ
デンマーク
フィンランド
ノルウェー
オーストラリア
ドイツ
香港
バミューダ
オーストリア
日本
0.00%
10.00%
20.00%
30.00%
40.00%
出所:ITU Internet Report 「The Portable Internet」を基に作成。
50.00%
60.00%
70.00%
80.00%
12
9.ブロードバンド・インターネットの普及(契約数の推移)
(万加入)
1400.0
1,254.9
1200.0
1,119.7
1000.0
922.9
800.0
DSL
702.3
600.0
422.3
CATV
400.0
237.9
200.0
21.6
0.0
46.3
78.4
180.0
115.1
145.6
2.6
11.5
206.9
30.5
233.9
68.8
257.8
114.2
276.8
160.1
FTTH
7.1 65.1
0.3
0.0
2000.3 2000.9 2001.3 2001.9 2002.3 2002.9 2003.3 2003.9 2004.3 2004.8
出所:総務省総合通信基盤局「インターネット接続サービスの利用者等の推移」を基に作成
13
10.ブロードバンド人口普及率の国際比較
出所:総務省「情報通信白書(平成16年)」より抜粋。数値は2002年時点のもの
14
11. ブロードバンド料金の国際比較(2003年7月)
(単位:米ドル)
4.42
4.5
4.0
3.36
3.07 3.25
3.5
3.53
2.71
3.0
2.21
2.5
2.0
1.15 1.27
1.5
1.0
0.5
0.09 0.25
0.0
日本
韓国
ベルギー
香港
シンガ
ポール
ニュージー
ランド
中国
カナダ
オランダ
米国
ドイツ
各国のDSL及びケーブルインターネットの提供速度及び提供料金を基に、100kbps当たりの料金に換算し比較
出所:ITU「Birth of Broadband」より作成
15
12.ブロードバンドにおける市場シェア
DSLの事業者シェア
FTTHの事業者シェア
NTT東日本
20.6%
その他
その他
NTT東日本
27.4%
27.6%
37.2%
NTT西日本
16.6%
YhaooBB!
NTT西日本
35.2%
35.3%
出所:総務省発表資料、各社発表資料を基に作成。DSLは2004年9月末時点、FTTHは2004年6月の数値。
16
課題2:「(従来の)電話」に代わるビジネスとは
次世代の通信サービスを支える先進的インフラを構築する
ための収益源をどこに求めるか。
■従来の「電話」の将来は先細り。
■インターネットアクセス事業の立ち上がりは緩やか
■インターネットアクセスサービスの料金は?
■立ち上がらないインターネットビジネス
・電子商取引
・ブロードバンドコンテンツビジネス
・企業通信ビジネス
■新たなサービス、「IP電話」はどのように普及するか
(企業と住宅では異なる事情)
17
13.電子商取引の市場規模
B2C市場規模推移
(単位:10億円)
(単位:兆円)
5,000
4,424
60.0
2,685
3,000
1,484
2,000
0
77.4
80.0
70.0
4,000
1,000
B2B市場規模推移
824
46.3
50.0
34.0
40.0
30.0
21.6
20.0
10.0
2000 2001 2002 2003
0.0
2000
2001
2002
2003
出所:経済産業省、ECOM、NTTデータ経営研究所「平成15年電子商取引に関する実態・市場規模調査」を基に作成
18
14.コンテンツの状況
パソコンからの有料インターネット
コンテンツ利用内容
(複数回答)
携帯・PHSからの有料インターネット
コンテンツ利用内容
(複数回答)
(%)
(%)
※パソコンからの有料インターネットコンテンツ利用
者に占める割合
出所:総務省 「通信利用動向調査(平成15年版)」
※携帯・PHSからの有料インターネットコンテンツ利
用者に占める割合
19
15.企業向け通信サービスに関する苦悩
IIJ・ソニー・トヨタが出資のクロスウェイブが経営破たん、
負債684億円
データ通信専門通信会社のクロスウェイブコミュニケーションズは8月20日、東京地裁に会社更生手続きを申し立て、事実上
経営破たんした。負債総額は子会社を含め約684億円。
データ通信専門通信会社のクロスウェイブコミュニケーションズ(CWC)と子会社2社は8月20日、東京地裁に会社更生手続
きを申し立て、事実上経営破たんした。負債総額は2子会社を含め約684億円。通信サービスは今後も継続するとしている。
同社は1998年10月にインターネットイニシアティブ(IIJ)とソニー、トヨタ自動車が設立した第1種通信事業者。日本初の
データ通信専門会社として企業向けインターネット接続サービスなどを展開し、2000年8月に米NASDAQに上場した(ティッ
カー:CWCI)。
帝国データバンクによると、CWCは大手企業など約300社を顧客に抱え、2002年3月期の収入は約100億2600万円、2003
年3月期には約200億2400万円に拡大した。だが業容拡大に伴う先行投資の負担も重く、同期には約136億円の経常損失を
計上していた。データ通信サービスの価格競争の激化で事業収支改善のめどが立たず、資金繰りが悪化。通信サービス停
止の事態を回避するため、自力再建を断念した。
子会社のクロスウェイブファシリティーズとクロスウェイブサービスも同時に会社更生手続きを申請、受理された。
37.9%を出資する筆頭株主のIIJは同日、CWC関連で貸し付け金など総額約109億円について影響が出る見込みと発表し
た。「早急に資本増強策を講じ、財務体質を強化する」としている。またIIJはネットワークなどの一部をCWCから調達してい
るが、サービスに支障は生じないとしている。
出所:IT Media http://www.itmedia.co.jp/news/0308/20/njbt_07.html
20
16.IP電話の普及
個人向けIP電話サービス加入数予測
(単位:千加入)
25,000
21,820
18,630
20,000
15,570
13,120
15,000
10,100
10,000
5,000
0
2004
2005
2006
2007
出典:「IP電話の最新動向と将来展望 2004年版 サービス編」(2004.8)シードプランニング
2008
21
課題3:従来の垣根はどのように消滅していくか
「固定」と「移動」、「通信」と「放送」の垣根は今後ど
のようになっていくか
■固定料金と移動料金のバンドル化
■BTの「ブルーフォン」、KTの「ワンフォン」
■「モバイルセントレックス」(企業)
■インターネット放送・ブロードバンド放送
ー「電気通信役務利用放送法」(2002年1月施行)
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