入門B・ミクロ基礎 (第4回) 第2章 2014年10月13日 2014/10/13 1 第2章 経済学者らしく考える • フロー循環図,生産可能性フロンティア について学ぶ。 • ミクロ経済学とマクロ経済学の違い • 実証分析と規範分析の違い • グラフの読み方 2014/10/13 2 第1章のKeywords フロー循環図 生産可能性 フロンティア ミクロ経済学 マクロ経済学 実証的な主張 規範的な主張 2014/10/13 3 1 科学者としての経済学者 • 科学と理論との相互作用:観察された事実を 説明する理論を作り,それを事実によって検 証する。 • 検証:データを集め,それを統計学・計量経 済学の手法を用いて分析する。 • 自然科学と異なり,経済学は実験することが 難しいので,データで検証することが難しい。 • 近年は「実験経済学」という分野もあるが, マクロ経済学では実験はなお難しい。 2014/10/13 4 仮定の役割 • 複雑な現実を複雑なまま分析・理解しよ うとすると,大事な部分を捉えそこなう 恐れがある。 • 仮定:複雑さを避け,もっとも重要なポ イントを描き出すのに便利である。 • 例:ミクロ経済学における2財モデル。 「世の中に2つしか財・サービスが存在 しないと仮定」することで,様々な分析 ができる。 2014/10/13 5 経済モデル • 生物学:人体模型 • 経済学:図,式,グラフを使ったモデル • 例:2財モデル,一般均衡モデル,クー ルノー・モデル,ヘクシャー=オリー ン・モデル,動学的一般均衡モデルetc. 2014/10/13 6 フロー循環図 • 教科書p.39 • 財・サービスの流れとおカネの流れの対 応を表したもの。 • 主体:企業と家計 • 市場:財・サービス市場と生産要素市場 2014/10/13 7 生産可能性フロンティア • p.42 • 世の中には2種類の財しかないと仮定 • 利用可能な生産要素と,その生産要素を 用いて生産物を生み出すのに利用可能な 生産技術を所与とする。 • そのとき,経済が(経済全体で)生産で きる生産物のさまざまな組み合わせを示 すグラフ。 2014/10/13 8 生産可能性フロンティアの形状 • 生産可能性フロンティア (1)右下がりである:トレードオフを表 す (2)外側に膨らんでいる:一方の財の生 産量が増えるにしたがって,機会費用が上 昇することを表している。 (3)生産可能性フロンティアの拡大は, 経済成長を意味する。 2014/10/13 9 ミクロ経済学とマクロ経済学 • ミクロ経済学:個々の消費者,生産者の 分析から,経済全体(市場)の動きを分 析するもの。 • マクロ経済学:いわゆるマクロ変数の動 きを研究する学問。「経済全体に関わる 現象を研究する」という教科書の説明は あまり適切ではない。 2014/10/13 10 ミクロ経済学とマクロ経済学2 • アダム・スミス『国富論』の主張は,ミクロ 経済学のもっとも重要な主張である「厚生経 済学の第一基本定理」に関わるものである。 • マクロ経済学はJ.M.ケインズ(1883-1946)が 『雇用,利子,および貨幣に関する一般理 論』(1936)によって創設したと考えるのが 一般的。 • 現在の経済学では,ミクロとマクロのモデル に大きな差はない(が,見ればなんとなく 「これはミクロ(マクロ)」という区別はあ る)。 2014/10/13 11 ミクロ経済学とマクロ経済学3 • 静学的(ある時点の話)に強いのがミク ロ,動学的(時間の流れの中での動き) に強いのがマクロ経済学 • 古くからデータとの関係を重視するのが マクロ,理論面で精緻化が進んだのミク ロ。 • どちらもとても面白い。 2014/10/13 12 ミクロ経済学とマクロ経済学3 • 静学的(ある時点の話)に強いのがミク ロ,動学的(時間の流れの中での動き) に強いのがマクロ経済学 • 古くからデータとの関係を重視するのが マクロ,理論面で精緻化が進んだのミク ロ。 • どちらもとても面白い。 2014/10/13 13 実証的と規範的 • 実証的:事実を説明するもの。どのよう になっているかを説明するもの。 • 規範的:処方箋を与えるもの。どうある べきかについての主張。 2014/10/13 14 なぜ経済学者の意見は一致しないのか • テレビや新聞などに出る経済学者の意見 は,対立するものとなることが多い。 • 経済問題に関しては,実証面でも規範面 でも1つの正しい結論に達することはご くまれである。 2014/10/13 15 なぜ経済学者の意見は一致しないのか2 • 実証面での対立:仕組みに関する見方が 異なっていて,そのせいで意見が対立す る。 • 規範面での対立:価値観が異なるために, 政策が達成すべき目標について規範的な 考え方が異なっている可能性。 2014/10/13 16 実証面での対立 • 「減税の結果景気が良くなり,かえって 税収が増えるのであれば,減税は望まし い」という点では合意がある。 • しかし,「景気を良くするのか」「景気 が良くなるとしても税収は増えるのか」 という点で合意がなければ,「減税すべ きかどうか」という点で意見の対立が生 じる。 2014/10/13 17 規範面での対立 • 「減税の結果景気が良くなり,かえって 税収が増えるのであれば,減税は望まし い」という点で合意がとれない。 • 「日本が今後福祉国家となるには,税率 を引き上げたほうがよい。日本の公共 サービスを充実させるには,安易な減税 は良くない」と考える人もいるだろう。 2014/10/13 18 最近の対立 • 消費税を来年増税すべきかどうか • TPPの交渉に参加すべきかどうか(一時 期)。現在は参加しているが,交渉は難 航している。 2014/10/13 19
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