第9章 財務業績報告書 分析 1 予算差異計算 売上高差異 費用差異 差異の要約 2 実務での多様性 比較の対象期間 売上総利益に注目する 評価基準 全部原価計算システム 詳細な分析 エンジニアンリングコストと裁量コスト 3 差異分析の限界 マネジメントの行動 4 要約 1 予算差異計算 議論の前提としては、予算差異分析の対象組織は、予算の計画を最適化を前提にせず、改善 を前提にした値であるとみている。 予算と実績との差異は、利益差異ー>売上高差異と費用差異、に分解される。 売上高差異は、数量差異と価格差異に分かれる。 費用差異は、製造費用差異と其の他費用差異に分かれる。 以上の分析は、管理者の単位に対応して細分化される。 差異分析のためのフレームワークでの基本的考え方は以下のとおり。 1)利益に影響を与える中心的原因を明らかにする、2)原因別に利益差異を分解する、3)各因 果変数の利益へのインパクトに注目する、4)他の要因の影響を一定としてある変数による 特定のインパクトを計算する、5)逐次に複雑な分析への展開する、6)利益差異の原因をさ ぐる追加分析が、追加的な情報を得ないところで、分析はとめる。 図9-2 差異分析の分解 総差異 製造原価 非製造原価 管理費 販売関 係費 研究開 発費 変動 費 材料費 直接労 務費 販売 固定 費 変動間 接費 販売 数量 市場占 有率 販売 価格 市場規 模 売上高差異 売上高差異は、価格差異、数量差異、混合差 異に分解される。 その計算は、製品ライン別に分析され、その差 異は、集約されると売上高差異に一致。 販売価格差異: (実際価格-標準価格)×実 際販売量 混合・数量差異: 混合・数量差異=(実際数量 -予算数量)×予算単位貢献額 売上高差異 混合差異は、予算販売比率と実際販売比率の差異を だすものである。予算と実際販売比率の差異が、貢 献利益の差異として算出される。 混合差異=〔(総実際販売量×予算比率)-(実際販 売量)〕×予算単位貢献利益 数量差異は、混合差異と数量差異の合計から混合差 異を除いた値で、純粋な数量差異となる。 数量差異=〔(総実際売上高)×(予算比率)〕-〔(予 算売上高)×(予算単位貢献利益)〕 売上高差異 数量 売上高 標準変動費 材料費 労務費 変動間接費 総変動費 貢献利益 固定費 固定間接費 販売費 管理費 総固定費 税引前利益 製品A 製品B 製品C 総予算額 100 100 100 単価 金額 単価 金額 単価 金額 $1.00 100 $2.00 200 $3.00 300 600 $0.50 $0.10 $0.20 $0.80 $0.20 50 10 20 80 20 25 17 8 50 -30 $0.70 $0.15 $0.25 $1.10 $0.90 70 15 25 110 90 25 17 8 50 40 $1.50 $0.10 $0.20 $1.80 $1.20 150 10 20 180 120 270 35 65 370 $230.00 25 17 8 50 70 $75.00 $50.00 $25.00 150 80 売上高差異 其の他の売上高差異 図表9-7は、製品別売上高数量差異 でそれら詳しい差異を要約したのが、図表9-8の製品別差異一覧である。 A 価格 -10 差異 混合 -10 差異 数量 10 差異 総差 -10 異 B C 合計 10 -75 -75 45 - 35 45 60 115 100 -15 -15 売上高差異 市場浸透と産業売上規模 収益分析の拡張は、混合と数量の差異を市場占有率と産業売上規模に分けるものである。 この分析方法の意味は、市場占有率の変化は、事業単位に責任があり、産業売上規模は、事業単位 責任者は、責任外であることをしめす。 次の式は、混合・数量差異から、産業売上高差異と市場浸透力の効果差異を分離する ためのものである。 市場占有率差異=〔(実際産業販売量)-(予定産業販売量)〕×予算市場占有率×予算 単位貢献利益額 産業売上高差異=(実際産業販売量-予算産業販売量)×予算市場占有率×予算単位 貢献利益額 費用差異 固定費差異 変動費差異 予算変動製造原価を調整するのに,利用される 数量は、製造数量であり販売数量ではない。 差異の要約 2 実務の多様性 事務には多様な方法が存在する。 1)1月の予算を1月の実績と比較する。 2)予算は、最終的には、財務成果に結ぶつくこと から、予算の4半期の計画とそこまでの実績との 比較は、経営者の関心が高い。 経営者は、年度予想を対外発信することから、見 積りのミスは、大きな影響を、株価、経営者評価、 資金コストに与える可能性がある。 3)ある企業では、4半期の見積りの残り部分とそこ までの実績とをあわせて、傾向を示すような報告 をさせている場合がある。 売上総利益に注目する 企業によれば、市場での価格支配力がある程度あることや、インフレに ついて、価格調整が、投入要素、産出要素についてフレキシブルに できるという仮定で、売上総利益の予算と実績の差異に注目する ケースもある。 この場合には、標準製造原価が利用される。 3 差異分析に限界 1)差異の原因を特定できない。 2)差異が、統計上有意な程度であるのか。 3)差異分析のもつ、集約性の程度とそのことによる、課題の埋没可能 性。 4)現場の情報が十分に予算差異を補完しない可能性がある。 5)対応した行動のもつ、副作用についての考察方法の欠如。 管理者の行動 1)レポートは、事象が起こったがそれが、どうなったか、 を示すもので、その改善のためには、インフォーマ ルな対話や事前の対応が重要 2)フォーマルなレポートは、下位者に是正行動への動 機づけにつながる。 3)フォーマルなレポートは、正確な状況を確認する手 段である。 4)インフォーマルなレポ-トは、インフォーマルな情報 がどの程度のものであったか確認する手段である。 4 要約 1) BU管理者は、上級管理者に月次で財務業績を報告する。 2) 予算差異でその理由を明らかにする。
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