1.3 ソフトシステムズアプローチ 4401037 小松 俊介 A. 例 - 大学のリストラクチャリング 「システムズアプローチは、工学分野での設計 問題だけではなく、他分野での問題解決に対 しても有効な方法論となりうるだろうか?」 ここで、大学組織のリストラクチャリングという 事例を通して、そこでの問題解決の本質とプ ロセスをみていく。 事例 ・・・ B 工科大学の組織改革 東欧にあるB工科大学は、造船学科をはじめ 多くの学科を有している。1989年より始まっ た政治体制の変革、市場経済の導入、地球 規模で進む環境破壊、情報化社会への移行、 等々。 このような状況に対応するため、教育研究体 制の改革に着手することになった。 基本案では各学科をいくつかの系にまとめ、 詳細案は各系の中で作成すことにした。造船 工学科は機械系に所属することになった。 上記のことをふまえて、造船工学科の対応を みることにする。 1.問題状況の把握 • 改革案を作成せよと突然言われても、各学科 スタッフは不満や不安をもち、何をしていいか わからない。 • スタッフはまず、問題状況の把握として情報 収集活動を始めた。 2.見解の交換 • 情報が共有化されていくなかで、問題状況に 対するスタッフ各人の見解を交換し始める。 • 各人の見解は他のスタッフを刺激し、新たな 見解を生成させていく。 • 問題状況に対するスタッフ内での学習が進展 する。 3.基本理念の選定 • 学習の進展により、改革案作りに対する基本理念、 合意が形成されてくる。 新しい経済価値観のもと 地球環境の保全に貢献し 内外に対して個性をアピール することができる造船工学科 および機械系を目指す • ところが実際にリストラクチャリング案を作成 しようとすると、その合意がいつのまにか忘 れられて、現実的な議論に終始してしまう。 • その原因が現実を意識しすぎていることに 気づく。 そこで、基本理念からリストラクチャリングの 理想案を作成することにした。 4.理想案の作成 • 「探求する」、「開発する」、「保全する」という 三つの動詞を使って、今後望まれる教育研究 活動の内容を 表現することにした。 • 議論を重ね、異分野間の知識統合が必要と 判断。 • 理想案でも化学、電気、情報系の一部を機械 系に取り込むことにした。 5.理想案と現実との比較 • 理想案と現実とを比較すると、両者に大きな 隔たりがあることを痛感する。 • その差を考慮しつつ、理想案をもとに具体案 を作成していく。 • 例として「各学科が独自に教育している材料 力学、流体力学、システム工学などを、基礎 教育課程で系の中の共通科目にする。」と いった案が盛り込まれていく。 6.実行可能案の決定 • 作成した具体案を学科全体で議論した結果、 残念ながら実行不可能と判定された。 • 再度、理想案と現実との比較から具体案を練 り直し、何度かの練り直しの後、実行可能で 望ましい改革案として受け入れられた。 7.実施 • 各学科から改革案を持ち寄り議論が始まる。 • ところが、東欧経済の急激な悪化から大学予 算が大幅削減され、大学改革は困難に直面 した。 まとめ 工学分野とは違う、大学の改革案という他分 野の問題にシステムズアプローチを適用した 例をみてみたが、問題の明確化から始まり、 概念化→詳細化→分析→評価→改良・・・→ 実施といった具合にうまく働いており、様々な 問題解決に有効な方法論となりうると分かっ た。
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