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コレラ
cholera
李智偉
概念
コレラ菌によって起こった消化管伝染病で
ある。病変はコレラ菌から産生された
enterotoxin(エンテロキシン)によって起こ
る。
 臨床症状としては激しい嘔吐と下痢、脱水、
筋肉の疼痛性痙攣および末梢血液循環
不全である。

細菌学

彎曲したコンマ状のグラム陰性バチルスで、1本の端在性
鞭毛を持ってを活発に運動する。生物学的性状の差により
O1群とO139群2種の生物群。O1群コレラ菌は古典型とELTor型に分けれた。

抗原型の相違によりイナバ型、オガワ型、ヒコジマ型(稲
葉型、小川型、彦島型)の3種の血清型に分類されている。

抵抗力が一般の腸内細菌に比べてはるかに抵抗性が弱く,
55℃,10分の加熱で死滅し,酸や乾燥にもきわめて弱い性
質を持ち,日光でも殺菌できます.また,健常者の胃も胃
酸による殺菌効果をもっています
コ
レ
ラ
菌
観
察
例
コレラ菌
コレラ菌
腸
管
に
定
着
す
る
コ
レ
ラ
菌
病原性
 コレラ菌は3種の毒素がある。
 コレラ腸毒素(エンテロとキシン)は主
な発症を惹起する毒素である。
 または内毒素と血凝素もある。
コレラ毒素
コレラ腸毒素(エンテロとキシン)
疫
学
コレラの歴史

コレラは古くはインド東部ガンジス河デルタ地帯の風土病
でしたが19世紀に入り貿易が盛んになると次第に世界各地
にひろがりました

1817年から1923年までの間に6回の世界的流行を繰り返し、
1961年からは第7次コレラ世界流行が起こり現在もその渦
中にあります。この第7次流行はエルトール型と呼ばれる
種類のコレラ菌によって起こっています

これとは別のベンガル型と呼ばれる新しい型のコレラが
1992年からインド・バングラディッシュを中心に限局的に
流行しています
コレラの歴史

コレラを残忍な死神として描いている。

コレラの感染力は非常に強く、これまで
に7回の世界的流行(コレラ・パンデミック)が
発生し、2006年現在も第7期流行が継続し
ている。
コレラの歴史

アジア型は古い時代から存在していたにもかかわらず、不
思議なことに、世界的な流行を示したのは19世紀に入って
からである。

コレラの原発地はインドのガンジス川下流のベンガルからバン
グラデシュにかけての地方と考えられる。最も古いコレラの
記録は紀元前300年頃のものである。

その後は、7世紀の中国、17世紀のジャワにコレラと思われる
悪疫の記録があるが、世界的大流行は1817年に始まる。
コレラの歴史

世界的大流行は1817年に始まる。この年カルカッタに起
こった流行はアジア全域からアフリカに達し、1823年まで
続いた。その一部は日本にも及んでいる。

1826年から1837年までの大流行は、アジア・アフリカのみ
ならずヨーロッパと南北アメリカにも広がり、全世界的規
模となった。

以降、1840年から1860年、1863年から1879年、1881年から
1896年、1899年から1923年と、計6回にわたるアジア型の
大流行があった。
コレラの歴史

しかし1884年にはドイツの細菌学者ロベルト・コッホに
よってコレラ菌が発見され、医学の発展、防疫体制の強化
などと共に、アジア型コレラの世界的流行は起こらなくな
った。

だがアジア南部ではコレラが常在し、なお流行が繰り返さ
れ、中国では1909年、1919年、1932年と大流行があり、間
たインドでは1950年代まで持ち越し、いずれも万人単位の
死者を出すほどであった。
コレラの歴史

一方、エルトール型コレラは1906年にシナイ半島のエルト
ールで発見された。

この流行は1961年から始まり、インドネシアを発端に、発
展途上国を中心に世界的な広がりを見せており、1991年には
ペルーで大流行が発生したほか、先進諸国でも散発的な
発生が見られる。

1992年に発見されたO139菌はインドとバングラデシュで
流行しているが、世界規模の拡大は阻止されている。
コレラ病棟(1892年ハンブルク)
コレラの歴史

WHOに報告された世界のコレラ患者総
数は、1998年にほぼ30万人で、その後
減少がみられ、2004年にほぼ10万人で
した。ただし、実数はこれをはるかに
上回っていると推測されます。
コレラの歴史

アンゴラにおけるコレラの発生状況
WHOによると、アンゴラでは最近コレラの流行が深刻化
しており、2006年2月13日に最初のコレラ患者が報告されて
以来、5月23日までにアンゴラで確認されている総感染者数
は38,897人、死者数1,437人となっています。主な発生地域
は、ルアンダ州(51%)、ベンゲラ州(19%)です。
現在では感染動向は減少傾向にあるものの、感染地域に
関しては今後も拡大する可能性があるため、注意が必要です。
世界のコレラの発生状況(WHO)
年次
報告国数
患者数
死者数
致死率(%)
1996
1997
71
65
143,349
147,425
6,689
6,274
4.66
4.25
1998
1999
2000
74
61
56
293,121
254,310
137,071
10,586
9,175
4,908
3.61
3.6
3.58
2001
2002
2003
57
52
45
184,311
142,311
111,575
2,728
4,564
1,894
1.48
3.2
1.69
2004
2005
56
51
101,383
131,943
2,345
2,272
2.31
1.72
感染源
患者と保菌者である。
 軽症の患者は発現しにくいから、危険性が
大きい。
 無症状保菌者は検出し難しいから重要な
感染源である。

感染経路
便ー口感染をおこす。
 水、食物、手、ハエ、などにより伝播する。
水による流行はおもとする。

感受性
 普通である。
 感染後免疫を獲得し、6カ月―1年
ぐらい持続する。
 ワクチン接腫後、2-6カ月維持する。
流行特徴
1.季節
 夏、秋。7-10月と沿海地域が多い。
2.区域性と外来性
 インドとインド二シア
3.O139コレラは散在発症、 O1群と交叉免
疫力がない。
流行地
もとはインドのベンガル地方の風土病でその
後世界中に感染拡大したものが、0-1血清型
の古典型コレラと考えられていますが、1961
年インドネシアのセレベス(現スラウェシ)
島に端を発したコレラ流行が0-1血清型エル
トールコレラで、これが現在も世界中に感染
拡大しています。
 また、1992年インド南部のマドラス(現チェ
ンナイ)で0-139血清型コレラが発生、また
たく間にインド亜大陸に感染拡大しました。

発症機序
コレラ菌
小腸
TCPA
小腸上部粘膜上皮细胞の刷状缘に付着
大量の増殖およびエンテロトキシンを産生する。
细胞内cAMP濃度は持続する高くなる。
隐窝细胞が分泌する,
绒毛细胞の吸收が抑制される。
厳しい水样下痢を起こる。
杯状细胞
粘液微粒
米のとぎ汁様下痢
コレラ腸毒素(エンテロとキシン)の細胞内活化の機序
病理
早期 脱水の改変。
 小腸は腫大で細尿管上皮細胞の浮腫、変
性および壊死などが見られる。

臨床所見
潜伏期
 1-3日(数時間ー7日)
 典型な症例には3期に分かれる。

1.下痢、嘔吐期

下痢が先行し、つきに嘔吐である。腹痛あ
なし、しぶりばらもない、下痢は水様で、多
く時は10L以上にも達し、米のどき汁様と
なる。重症では血液便がたまに見られる。
嘔吐も頻発し、噴射性を呈し、米のとぎ汁
様である。普通1-3日持続する。
2.脱水期






脱水:皮膚は冷た区、弾力性を失い、眼窩はくぼみ、声
が嗄れるなど。
循環障害:チアノーゼ、四肢冷ちゃく、脈が、弱く速く、
血圧降下。
筋肉痙攣:ナトリウムの失いによっておこる。主として、
緋腹筋の疼痛性痙攣である。
低カリウム血症:筋力低下、腱反射消失、鼓腸等、心
電図では、不整脈Q-T延長U波の出現T波逆向。
腎不全: 少尿、無尿など。
数時間ー2-3日持続する。
コレラ菌をさらに細かく分けると、イナバ型、オガワ型、ヒコジマ型
3.回復期
脱水是正、症状軽快或いは消失、一部分
の症例では発熱が見られ、残留の内毒素
によって起こるからである。1-3日持続する。
少数患者に腎不全が見られる。
 経過:3-7日。

臨床分型
分類
便数
脱水
BP
P
尿量減少
軽症
<10
なし
正
正
不著明
中症 10-20
4-8%
重症
低下 弱く速い
8%以上 著明
触れなし
400-50ml
50ml以下
実験室内検査
1.血液像: 血液濃縮, WBC
RBC
2.尿: 蛋白、白血球などが認められる。
3.細菌学検査:
糞便鏡検 盛んに運動するコンマ様の菌
染色グラム陰性コンマ様の菌
糞便培養 確診の証拠。
血清凝集試験 抗菌抗体
抗毒抗体
診断
確診の基準
 下痢、嘔吐があり、便培養で菌を検出する
こと。
 流行期間に、流行する区域で、典型な臨
床症状がある。便培養で菌が陰性でも、ほ
かの原因がない場合。
 疑似症例、発症後1-2週に血清凝集試験
1:100以上陽性、或いは二回検査、4倍以
上に上昇すること。

疑似診断の基準
 流行しない地域で、初めの症例は典型な
症状があり、細菌学検査の結果が出る
前に、疑いの患者として、かんりすること。
 流行期間、流行区域で、ほかの原因が
ないが、下痢が出現する症例を疑いの
患者として管理すること。
治療
一般療法:消化管伝染病としてに隔離する。
症状が消失する6日まで、便を1日おぎに1
回培養し、3回連続陰性結果が出るまで、
隔離すること。
 補液療法
 抗生物質の投与

輸液療法
脱水の程度などによって輸液量を決める。
 軽度:2000-4000ml/日
 中度: 4000-8000ml/日
 重度: 8000-12000ml/日
種類
 541液
 即ち1000ml液体おきにNaCl 5g, NaHCO3 4g,
KCl 1g を含む
抗生物質の投与
作用
 下痢量減少、排菌期間の短縮。
 Doxycycline200mg/回、2回/d.小児
6mg/kg/d,2回分け口服。3日持続する。

予防
感染源管理
 感染経路の遮断

予防方法について
コレラの流行地では、以下のような基本的な感染症予防対策
を心掛けてください
●食事の前、トイレの後の手洗いを励行する
●食物は、十分加熱してから食べる
●飲料水や調理用の水はミネラルウォーターを使用すること
をお勧めしますが、水道水を利用する場合は、一度沸騰さ
せた後使用する
●安全な水から作ったと確認できる氷以外は使用しない。
(コレラ菌は、冷凍しても死滅しません。)