「Web設計や電子図書館構築などの IT関連の新しい課題」の視点から 杉本重雄 筑波大学・図書館情報メディア研究科 知的コミュニティ基盤研究センター outline • ディジタルライブラリの研究開発 – 研究助成や図書館でのアクティビティなどいくつ かの視点から • アメリカのライブラリスクールに関する話題 – 最近、見聞きした話題 • 筑波大学・図書館情報専門学群 – カリキュラムに関して • 専門家教育に関する感想 ディジタルライブラリ ―研究助成プログラム― • Digital Library Initiative(アメリカ) – Phase 1(1994-98): NSF, NASA, DARPA – Phase 2(1999-2003/4): NSF, NASA, DARPA, LoC, NEH, NLM (+Smithsonian, FBI) – 学際的 – コンテンツと情報技術 • National Science Digital Library(アメリカ) – NSFによる大学教育のためのプログラム • eLib(イギリス,JISC) • IST(EUの第5,6フレームワーク)の中の一部 • 日本では ・・・ 同等なものはない。 ディジタルライブラリ ―図書館― • 資料のディジタル化プロジェクトはあちこちで。 • ディジタル資料の保存 – アメリカ議会図書館 • NDIIPP – ヨーロッパの国立図書館 – オーストラリア • 大学図書館 – ディジタルライブラリの専門部署 • California Digital Library (Univ. of California) • Univ. of Michigan, Digital Library Production Service • 日本では・・・ – 国立国会図書館のアクティビティ – 大学図書館・・・ ディジタルライブラリ ―そのほかのプロジェクト― • Open Archives Initiative – 学術論文のリポジトリの協調 – 付加価値サービス • Electronic Thesis – 電子的に作成された学位論文とそのリポジトリ • Subject gateway – Resource Discovery Network(UK) – RENARDUS(EU) • 日本では・・・? ディジタルライブラリ ―メタデータ― • メタデータ: ネット上での情報資源の組織化、管理、 発見、利用、保存 – – – – – Dublin Core: 資源の発見 Learning Object Metadata: 教育学習資源 METS: ディジタル資料のアーカイブ MODS: MARC OAIS参照モデル: 保存 etc. • 日本(の図書館)でどのように理解して、取り入れて いるか・・・ ディジタルライブラリ ―その他― • 国内の状況 – 電子ジャーナルの導入は進んだ。 • 出版物を提供するという意味では図書館サービスとしては当然の もの – 資料の電子化と提供 • 電子化した資料を提供する館は増えた。 • 「資料を電子化することは図書館の仕事か?」という疑問もあるが。 – 自前で、資料の価値を評価できるか、電子化技術を持っているか? – 資料の価値を評価できる組織(人)、電子化の技術を持っている組織 (人)との協調はできているか? • ディジタルライブラリのわかる人材の教育は組織的 に取り組まれているか? アメリカのライブラリスクールから ―最近、見聞きした話題から― • ライブラリスクールに関する詳しい状況は Kaliperレポートで。ここでは、話者の個人的 な視点から – ここでの話題はあくまで簡単なWeb資料による調 査や、個人的な会話ベースで得たものであり、き ちんとした調査に基づくものではない。 • ライブラリスクールの名前の変化 – Information Schoolの増加(Libraryを名前に含 まない): 97→03で7校 アメリカのライブラリスクールから ―最近、見聞きした話題から― • 就職状況 – IT産業の国外へのアウトソーシングの影響を受け て、ソフトウェアエンジニアの側の就職はあまり良く ないとのこと – 図書館ではベビーブーム世代の引退時期が近づい てきて、職を得やすい。 • ただし、場所を選ばなければ • 図書館内でのポジションは聞いてこなかった。これに関し てはKaliperレポートが参考になるのではないか。 アメリカのライブラリスクールから ―最近、見聞きした話題から― • 教育研究 – Information Scienceの教育を学部レベルで行うところは増 えているそう。あるいはそうした要求があるということを聞く。 – 修士の学生の受け入れであってもselectiveということを聞く。 – 研究(PhDの学生を要する)が増えているかなぁ、といった 感想を聞く。その一方で、学生の受け入れはselective。 – ピッツバーグ大学とカーネギーメロン大学の協調によるディ ジタルライブラリ(専攻?)の修士課程プログラムへの取り組 み • まだ正式には認可されていないとのこと(6月時点) 筑波大学・図書館情報専門学群 ―背景― • 2002年10月1日、図書館情報大学と筑波大学の統 合により、図書館情報学部が図書館情報専門学群と なった。 – 同時に図書館情報メディア研究科(区分制博士課程)、図 書館情報学系(教官組織)、知的コミュニティ基盤研究セン ターができた。 – 図書館情報大学は学生がいる間は存続としてスタート • 2004年4月1日、筑波大学の国立大学法人化 – 大学院を中心とする組織に作り変える。 – 図書館情報大学の廃止により、在学生が移籍した。 筑波大学・図書館情報メディア研究科・ 図書館情報専門学群 • 教育研究分野の構成 – 情報メディア社会 – 情報メディアマネージメント – 情報システム – 情報メディア開発 • 連携 – NIME、理研、 NTT、 電通総研、凸版印刷 筑波大学・図書館情報メディア研究科・ 図書館情報専門学群 • 研究科 – 博士後期課程(定員21名) – 博士前期課程(定員37名) • 学群 – 1年次定員150名、3年次編入定員30名 – カリキュラム(2004年4月より) • 図書館情報管理主専攻と図書館情報処理主専攻のいずれかを 選択。(2年次以降、実質的には2年次の3学期から。) • カリキュラムのフレームワーク – 各主専攻に3つの履修モデルを提供している。 専門家教育に関する感想 ―ディジタルライブラリの視点から― • 「電子図書館」ということばの中で「館」の持つ意味 – 図書館の電子化? – ネットワーク環境の中での図書館機能の実現 • ディジタルライブラリの会議での経験から – (筑波での)ディジタルライブラリの会議には、多数の参加 者(数百人規模)をなかなか期待できない。・・・理由は? – 海外での会議での日本からの参加者数も多くない。 • 「図書館」ということばのイメージが強すぎないか? – たとえば、「Dublin Coreは図書館のもの?」 専門家教育に関する感想 ―図書館への期待から― • 図書館には、情報資源に関わる拠点として活躍して ほしい。 – 世の中のありとあらゆる情報資源へのアクセス場所とし て期待したい。 – 安心して情報資源にアクセスする環境を提供してくれる場 所として期待したい。 – 安心して情報資源を(適切に)保存してくれる場所として 期待したい。 • e-Japanの取り組み(=たくさんの予算がつぎ込ま れる)の中で、図書館コミュニティの存在感を示して ほしい。 専門家教育に関する感想 ―図書館への期待から― • ネットワーク環境はさらに発展する – インターネット利用者数の更なる増加(情報通信 白書より) • 2002年末約7000万人 • 2007年予測、利用者約9000万人、内ブロードバンド 利用者数6000万人 – こうした環境の中での専門家教育を考えなけれ ばならない。 専門家教育に関する感想 ―図書館への期待から― • 専門性が、「館の中」(=閉じられたコミュニ ティ)の議論になっていないか? • 「情報学(Information Science)」ということば に対する日米の違いはあるかもしれないが、 ネットワーク社会の発展についていくことを考 えなくてはならないのではないか? おわりに • ここでのべたことは、筆者の経験と思い(込 み)に基づくもので、きちんとした調査によるも のではない。 • 世の中で「情報(化)」ということばがコン ピュータ化と同じような意味で使われていると 思える。 – 「情報」ということばに対して図書館コミュニティは もっと主張してよいのではないだろうか?
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