通性CAM植物アイスプラントの プラスチド包膜リン酸輸送体の 機能解析 理工学研究科分子生物学専攻 指導教官:大西 純一 野明 千雪 4種類のプラスチド型リン酸輸送体 Plastid CO2 カルビン回路 ペントース リン酸 Cytosol ショ糖 TPT トリオース リン酸 無機リン酸 エリトロース 4-リン酸 ホスホエノール ピルビン酸 芳香族アミノ酸 合成 脂肪酸合成 キシルロース 5-リン酸 酸化的 ペントース リン酸経路 NADH 無機リン酸 デンプン 解糖系 PPT ホスホエノール ピルビン酸 XPT キシルロース 5-リン酸 トリオース リン酸 グルコース 6-リン酸 トリオース リン酸 トリオース リン酸 GPT グルコース 6-リン酸 ショ糖 高等植物のプラスチド型 リン酸輸送体ファミリーの 基質特異性 基質特異性 略称 主な発現 Pi TP PEP G6P X5P TPT Triose phosphate (TP) /phosphate translocator ○ ○ × × - 光合成組織 PPT Phosphoenolpyruvate (PEP) /phosphate translocator ○ ○ ○ × - 組織全般 GPT Glucose 6-phosphate (G6P) /phosphate translocator ○ ○ △ ○ × 非光合成 組織 XPT Xylulose 5-phosphate (X5P) /phosphate translocator ○ ○ △ × ○ 組織全般 アイスプラントの プラスチド型リン酸cDNAと CAM化に伴う発現量変化 Subfamily Ice plant cDNA CAM化に伴う 葉組織での発現量変化 TPT McTPT1 変化なし PPT McPPT1 上昇 GPT McGPT1 McGPT2 顕著に上昇 XPT - - 組替えタンパク質の作成 4種類のアイスプラントリン酸輸送体(McPT)のクローニング McPTのcDNA断片をPCR法で増幅し酵母発現用vector pYES2に組込み、酵母細胞INVSc1を形質転換 → TPT1・GPT1・GPT2 ○ PPT1 × 3種類の形質転換体で目的タンパク質の誘導発現 形質転換体の細胞を破砕して細胞粗抽出液を調製 liposome再構成 核 発現ベクター 脂質 タンパク質誘導発現 輸送体の基質 sonication 酵母質転換体 細胞を破砕して 粗膜画分抽出 Freeze-thaw法 Liposome内に交換基質を封入 (内部基質) 目的タンパク質 目的タンパクを人工膜に組込む 取込み活性測定方法 32P 32P 32P 32P 25℃ インキュベーション 32P 32P 一定時間経過後 阻害剤を添加して 取込み反応を停止 取込み反応 外部基質として [32P]無機リン酸を加える 32P 32P 32P 取込まれた 32P量を測定 32P 32P イオン交換カラムに通し 取込まれなかった[32P]を除去 阻害剤 無機リン酸の交換輸送活性 7 7 Uptake of phosphate ( nmol/mg protein) 6 6 INVSc1-pYES2 5 5 4 4 3 3 2 2 1 1 0 0 0 5 10 15 20 Incubation time (min) 25 INVSc1-pGPT1 0 30 5 10 15 20 25 30 □:KCl (control) 7 7 INVSc1-pGPT2 6 5 5 4 4 3 3 2 2 1 1 0 0 0 5 10 15 INVSc1-pTPT1 6 20 25 30 0 5 10 15 ◆:Pi 20 25 30 McTPT1とMcGPT2の基質特異性 McTPT1 (%) McGPT2 (%) 30 29 (100) (100) Triose Phosphate (DHAP) 75 78 Phosphoenolpyruvate (PEP) 7 27 Glucose 6-phosphate (G6P) 51 96 Internal substrate KCl (control) Phosphate (KH2PO4) McTPT1の無機リン酸輸送の速度論的解析 8 Eadie-Hofstee plot v (nmol/mg protein/min) phosphate uptake rate (nmol/mg protein/min) 4 3 2 1 6 4 2 0 0 0 0 0.4 0.8 1.2 2 4 6 8 10 v/s (nmol/mg protein/min/mM) phosphate (mM) Apparent Km (phosphate) Ice plant TPT1 0.8±0.1 mM Spinach chloroplasts TPT (Flugge et al. 1989) 1.0±0.3 mM 8 20 6 15 v (nmol/mg protein/min) phosophate uptake rate (nmol/mg protein/min) McGPT2の無機リン酸輸送の速度論的解析 4 2 Eadie-Hofstee plot 10 5 0 0 0 0 0.4 0.8 2 4 6 8 10 v/[s] (nmol/mg/protein/min/mM) 12 1.2 phosphate (mM) Apparent Km (phosphate) Ice plant GPT2 1.5±0.1 mM Pea root plastids GPT (Kammerer et al. 1998) 1.1±0.1 mM アイスプラントの プラスチド型リン酸cDNAと CAM化に伴う発現量変化 Subfamily Ice plant cDNA CAM化に伴う 葉組織での発現量変化 TPT McTPT1 変化なし PPT McPPT1 上昇 GPT McGPT1 McGPT2 顕著に上昇 XPT - - アイスプラント葉組織から抽出した 再構成膜タンパク質の輸送活性 7 7 Uptake of phosphate (nmol/mg protein) C3型 CAM型 6 6 5 5 4 4 ■:Pi 3 3 ▲:TP 2 2 ○:G6P 1 1 ●:PEP 0 0 0 5 10 Incubation time (min) 15 ◆:control 0 5 10 15 まとめ ・アイスプラントのTPT1およびGPT2はリン酸輸送機能 を持っており、アミノ酸配列の相同性から予想され た基質特異性を持つことが確認された。 ・無機リン酸輸送のKm値はTPT1=0.8±0.1 mM、 GPT2=1.5±0.1 mMであることが示された。 ・葉組織の膜タンパク質を再構成した系で、発現の変 化に対応する輸送活性の変化が確認できるかもれ ない。 謝辞 谷口光隆 先生 (名古屋大学生命農学研究科) 細胞生化学研究室の皆様 本研究をするにあたりお世話になりました、 これらの方々に感謝いたします。
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