産業組織論(Industrial Organization) 担当教官名 鵜沢(Uzawa) http://www.res.otaruuc.ac.jp/~uzawa/welcome.html E-mail:[email protected] 研究室番号 (Office #301) オフィスアワー(Office Hours) 月曜日(Mon) 14:30-15:30 水曜日(Wed) 13:00-14:00 授業の目的・方法 その1 (Course objective and method) ・ 自動車、ピアノ、カラーテレビ、ビール、板ガ ラス、フィルム、たばこなど、日本の産業は 少数の企業で構成されている。 ・ 他方、数多くの建設会社、小売業がある。 石油元売り会社は少数でもガソリンスタン ドの数は4万6千を越える。コカコーラとペプ シは米国では、ほぼ同じマーケットシェアな のに、日本では大きく違っている。 2 授業の目的・方法 その2 (Course objective and method) ・ 北海道電力を含め、国内10電力会社は地 域独占を認められている。 ・ 宝くじの販売は他の銀行も引き受け可能 なのに、第一勧業銀行が実質的に独占し ている。何故だろう。 3 授業の目的・方法 その3 (Course objective and method) • このような産業組織の問題を応用ミクロ 経済学を用いて分析する。現実の経済を 分析する基礎的な考え方に習熟し、日本 および世界の経済に十分な関心を寄せて もらいたい。 • 授業は、OHPを利用し、図解や数値例を 多く用いる。 4 使用教材 (Teaching materials) • 拙著『産業組織論』(エコノミスト社、2000年) • なお、関連資料が http://www.res.otaru-uc.ac.jp/~uzawa/ cal-economics/cal-ee.html にありま すので、参照してください。 http://www.res.otaru-uc.ac.jp/~uzawa/ welcome.html からも たどれます。 5 授業内容 (Course contents) その1 • 全部で16章からなり、半期週2回4単位の授業 に利用できるように主題を限定してある。 • 第1章から第3章で、市場や産業とはどのような 概念かを明らかにし、寡占産業を分析するため の諸概念とその実際の数値を見る。 • 第1章 市場と産業について • 第2章 市場集中度を測る • 第3章 マーケット・シェアの実例 6 授業内容 (Course contents) その2 • 第4章と5章で、独占企業の行動とその経 済的成果の分析を行う。 • これは、ミクロ経済学で学んだ内容の要 約にもなっている。 • 第4章 独占企業の行動 • 第5章 厚生水準を測る 7 授業内容 (Course contents) その3 • 第6章から第13章で、寡占企業間の戦略 的行動(strategic behaviors)とその成果の 分析をいろいろなモデルにそくして行う。 • 第6章 寡占企業の理論(1) クールノー・モデル(数量による競争) • 第7章 寡占企業の理論(2) シュタッケルベルク・モデル (先導者と追随者) 8 授業内容 (Course contents) その4 • 第8章では、企業間の相互依存関係を明 示的に考慮できるゲーム論の応用(繰り 返しゲームとフォーク定理)について触れ る。第9章では価格を戦略変数としたとき の複占(Duopoly)を取り扱う。 • 第8章 寡占企業の理論(3) 協力の可能性とフォーク定理 • 第 9章 寡占企業の理論(4) ベルトラン・モデル(価格による競争) 9 授業内容 (Course contents) その5 • 第10章で生産能力の制約があるときの価格競 争について述べる。第11章で、競争のための製 品差別化を検討し、第12章と13章で参入阻止 (ベインやディキシットのモデル)についても述べる。 • 第10章 寡占企業の理論(5) エッジワース・モデル • 第11章 製品差別化と競争 ホテリング・モデル • 第12章 参入阻止価格理論について • 第13章 戦略的企業行動と参入問題 10 授業内容 (Course contents) その6 • 第14章から第16章で、規制の意義や限界、規 制緩和ないし規制改革の効果についての分析 を行う。アバーチ=ジョンソン・モデルをグラフを 用いて説明する。また、ラムゼイ価格を計算して 共通費用の特徴を明らかにする。 • 第14章 規制とその意義 • 第15章 公正報酬率規制 • 第16章 プライス・キャップ規制の採用と問題点 参考文献は各章の終わりに集めてある。 11 成績評価の方法 (Grading) • 前期中間テストおよび前期期末 テスト(各100点満点)の両方を 受験した者で、出席点(20点)と 併せて、合計130点以上を合格者 とする。 12 履修上の注意 (Remarks) • ミクロ経済学の基礎的な知識を前提とす る。 • ミクロ経済学、マクロ経済学,公共経済学, 財政学,国際経済論などの科目も履修済 み,または同時履修が望ましい。 13 戦略型ゲームの例1 企業2の行動 企 業 1 の 行 動 C 戦略 D 戦略 C 戦略 3,3 0,4 D 戦略 4,0 1,1 14 利得報告のフォーマット 学生番号 7777 8888 学生番号 企業1の 利得 企業2の 戦略 企業2の 利得 企業1の 戦略 1回目 2回目 3回目 合計 合計 平均 平均 15 利得報告のフォーマット(例1) 学生番号 77777 88888 学生番号 企業1の 利得 企業2の 戦略 D 企業2の 利得 1回目 0 企業1の 戦略 C 2回目 4 D C 0 3回目 1 D D 1 4 合計 5 合計 5 平均1.3 平均1.3 16 利得報告のフォーマット(例2) 学生番号 66666 11111 学生番号 企業1の 利得 企業1の 戦略 企業2の 戦略 企業2の 利得 1回目 0 C D 4 2回目 0 C D 4 3回目 0 C D 4 合計 0 合計12 平均 0 平均 4 17 利得報告のフォーマット(例3) 学生番号 33333 44444 学生番号 企業1の 利得 企業1の 戦略 企業2の 戦略 企業2の 利得 1回目 3 C C 3 2回目 3 C C 3 3回目 3 C C 3 合計 9 合計 9 平均 3 平均 3 18 教科書目次(Contents) その1 第1章 市場と産業について 1.1 産業の分類 1.2 市場構造ー市場行動ー市場成果パラ ダイム 1.3 Shy の市場構造の捉え方 せる)など 19 教科書目次(Contents) その2 第2章 市場集中度を測る 2.1 市場の集中度とハーフィンダール・ ハーシュマン指数(Herfubdahl=Hirschman Index) 2.2 日本の集中度とハーフィンダール指数 2.3 ローレンツ曲線とジニ係数 2.4 ジニ係数の計算式の導出について 20 教科書目次(Contents) その3 第3章 マーケット・シェアの実例 3.1 自動車産業のデータ 3.2 ビール産業のデータ 3.3 カラーフィルム産業の市場占有率の推 移 3.4 世界半導体産業のデータ 21 自動車産業の市場占有率の変遷 乗用車(軽を除く) 年度 1988 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 トヨタ 43.4 42.8 41.7 38.7 37.9 36.4 37.2 40.3 日産 23.5 24.0 22.3 23.3 21.3 20.8 21.5 18.5 その1 本田 マツダ 三菱 販売台数 10.8 5.9 4.7 366.0 9.9 6.7 6.7 342.7 9.1 6.6 7.1 340.0 10.7 5.0 7.0 354.4 14.6 4.6 5.7 387.7 15.3 5.8 6.3 332.0 14.2 6.8 5.6 309.6 13.5 7.8 5.1 291.0 22 自動車産業の市場占有率の変遷 乗用車(軽を除く) その2 市場占有率(マーケットシェア)の単位は、%であ り、販売台数の単位は、万台である。 • 以下の略称を用いている。トヨタ(トヨタ自動車)、 日産(日産自動車)、本田(本田技研工業)、お よび、三菱(三菱自動車)である。 • データの出所:『東洋経済 統計月報』、1998年 11月号、1999年11月号、および、2000年11月号。 23 教科書目次(Contents) その4 第4章 独占企業の行動 4.1 4.2 4.3 4.4 需要と限界収入 費用と限界費用 利潤の定義と利潤の最大化 ラーナーの独占度 24 教科書目次(Contents) その5 第5章 厚生水準を測る 5.1 5.2 5.3 5.4 消費者余剰を図に示す 生産者余剰を図に示す 総余剰(社会的余剰)と死加重損失 死加重損失の計算の例 25 教科書目次(Contents) その6-1 第6章 寡占企業の理論(1) クールノー・モデル ーーー あなたはいくら生産しますか? クールノーの複占モデルと均衡 反応関数と反応曲線 クールノー=ナッシュ均衡 等利潤線 ーーー 6.1 6.2 6.3 6.4 6.5 26 教科書目次(Contents) その6-2 第6章 寡占企業の理論(1) ーーー クールノー・モデル ーーー 6.6 クールノー=ナッシュ均衡はパレート効 率的でない配分である 6.7 図解によるクールノー=ナッシュ均衡の 求め方 27 教科書目次(Contents) その7 第7章 寡占企業の理論(2) シュタッケルベルク・モデル ーーー 7.1 先導者と追随者 7.2 シュタッケルベルクの複占モデル 7.3 シュタッケルベルク均衡 7.4 シュタッケルベルク均衡とクールノー=ナッ シュ均衡を比較する 7.5 シュタッケルベルク均衡(S1)はパレート効率 的な利潤配分ではない ーーー 28 教科書目次(Contents) その8-1 第8章 寡占企業の理論(3) 協力の可能性とフォーク定理 ーーー 8.1 2つの企業が協力する可能性 8.2 協力均衡を遵守するのはベストな選択 だろうか 8.3 企業の長期戦略は協力をもたらすか ーーー 29 教科書目次(Contents) その8-2 第8章 寡占企業の理論(3) 協力の可能性とフォーク定理 ーーー 8.4 無限回繰り返しゲームとフォーク定理 8.5 利潤の流列経路の比較でフォーク定理 の成立を示す ーーー 30 教科書目次(Contents) その9 第 9章 寡占企業の理論 (4) ーーー ベルトラン・モデル 9.1 9.2 9.3 9.4 ーーー 企業の戦略変数は数量だけか ベルトランの価格競争モデル 数値例による2つの企業の価格競争 価格に関する反応関数(反応曲線) 31 教科書目次(Contents) その10 第10章 寡占企業の理論 (5) ーーー エッジワース・モデ ル ーーー 10.1 生産能力の制約のない場合 10.2 エッジワースの複占モデ ル ーーー 価格循環モデル 10.3 数値例による分析 10.4 レビタン=シュウビックによるエッジワース・モ デルの定式化 32 教科書目次(Contents) その11 第11章 製品差別化と競 争 ーーー ホテリング・モデル 11.1 11.2 11.3 11.4 11.5 性 ーーー 製品差別化を考える ホテリングの立地モデル ベルトラン=ナッシュ均衡 ベルトラン=ナッシュ均衡の存在条件 発展した議論ーーー 利潤関数の不連続 ーーー 33 教科書目次(Contents) その12 第12章 参入阻止価格理論に ついて 12.1 ベインの理論 12.2 ベイン=シロス-ラビーニ=モジリアーニ の参入阻止価格モデル 34 教科書目次(Contents) その13 第13章 戦略的企業行動と 参入問題 13.1 Dixit の参入障壁理論 13.2 参入の脅威に既存企業はいかに対処 するか 13.3 参入阻止ゲームの例 35 教科書目次(Contents) その14 第14章 規制とその意義 14.1 家賃規制の経済的効果 14.2 規制改革の経済学 14.3 規制者が全能の場合[対称的情報の ときの規制] 36 教科書目次(Contents) その15 第15章 公正報酬率規制 15.1 報酬率規制下の企業行動 15.2 MATHEMATICAを利用して図形的に 考察する 37 教科書目次(Contents) その16-1 第16章 プライス・キャップ規制の 採用と問題点 16.1 公正報酬率規制の特徴 16.2 インセンティブ・レギュレーション 16.3 プライス・キャップ規制の仕組み 38 教科書目次(Contents) その16-2 第16章 プライス・キャップ規制の 採用と問題点 16.4 プライス・キャップ規制の良い面と 悪い面 16.5 ラムゼイ価格を求める 39
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