構造方程式ゼミナール 2012年11月14日-11月21日 構造方程式モデルの作成 主な内容 • • • • • • • モデルの設計 内生変数と外生変数 モデルの識別 モデルの推計 モデルの評価 モデルの修正 推計方法: 2段階最小2乗法, 3段階最小2乗法 経済理論 計量経済モデル データ モデル推計 定式化の検定と回帰診断 モデルは適切か? NO YES 仮説検定 予測や政策にモデルを使う 内生変数と外生変数 • 内生変数 経済モデルによって決定される変数 • 外生変数 外部から決定される変数 事例1 • 需要関数 • 供給関数 q a1 b1 p c1 y 1 (1) q a2 b2 p c2 R 2 q:数量 p:価格 1 , 2:誤差 y:所得 R: 雨量 内生変数: q p 外生変数: y R (1)式は最小2乗法では推計できないので、 間接最小2乗法を使う。 間接最小2乗法 • y, R について(1)の内生変数 q, pを解くと、次の式を得る a1b2 a2 b1 c1b2 c2 b1 q y R 1 b2 b1 b2 b1 b2 b1 (2) a1 a2 c1 c2 p y R 2 b2 b1 b2 b1 b2 b1 (2)は以下のように書き変える q 1 2 y 3 R 1 (3) p 4 5 y 6 R 2 (3)式は誘導型方程式、それらの式が経済体系の構造を表しているから構 造方程式という。この方法を間接最小2乗法。 識別問題(identification problem) • 識別の必要な条件(order condition) :次数条件 g:システムの中のすべての内生変数の数 k:当該方程式に現れないすべての変数(外生変数 と内生変数)の数 • K=g-1,その方程式は丁度識別(just-identified) • K>g-1,その方程式は過剰に識別(over-identified) • K<g-1,その方程式は識別されない (under-identified) 事例2 q a1 b1 p c1 y 1 q a2 b2 p c2 R 2 解答: g=2(連立方程式体系のすべて の内生変数) 方程式1: k=1(R), K=g-1, 丁度識別 方程式2: k=1(y), K=g-1, 丁度識別 q a1 b1 p c1 y 1 q a2 b2 p 2 解答: g=2(連立方程式体系のすべての内生変数) 方程式1: k=0, K < g-1, 識別されない 方程式2: k=1(y), K=g-1, 丁度識別 事例3 Y1 a0Y3 a1 X 1 a2 X 2 1 Y2 0Y1 1Y3 2 X 1 3 X 2 4 X 3 2 Y3 0Y2 1 X 2 2 X 3 3 X 4 3 事例3解答 Y1 a0Y3 a1 X 1 a2 X 2 1 Y2 0Y1 1Y3 2 X 1 3 X 2 4 X 3 2 Y3 0Y2 1 X 2 2 X 3 3 X 4 3 G=3 ① k=3 k > g -1 ; 過剰識別 ② k=1 k < g-1 ; 識別されない ③ k=2 k = g-1 ; 丁度識別 識別の必要十分条件 (rank condition) :階数条件 • 連立方程式を行列の形にして、その識別にしようとする方程 式がある行を取り除く。 • その行でゼロの要素をもつ列を取り出す。 • この列を並べたもので、すべての要素がゼロでない(g-1) 本の行と列があるならば、そしてどの行(または列)も他の行 (または列)と比例てきでないならば、その方程式は識別され る。そうでない場合はその方程式は識別されない。 ただし、gはシステムの中に含まれる内生変数の数である。 事例4 • 3つの内生変数 y1 , y 2 , y3 と3つの外生変数 z1 , z 2 , z3 の場合を考えよう。 変数がある方程式に現れるとき×印を、現れないとき0をい れることにする 方程式 1 2 3 y1 × × 0 y2 0 0 × y3 × 0 × z1 × × × z2 0 0 × z3 × × 0 事例4に関する次数条件の判断 • 方程式の数はg=3である。除かれている変数 の数は最初の方程式では2であり、2番目で は3であり、3番目では2である。 • 従って、次数条件から1番目と3番目の方程 式は丁度識別であり、2番目の方程式は過剰 識別である。 事例4(解答1) • 方程式1: g=3 1行目を取り除き、除かれている変数y2とz2に対応 する列を取り出す、これらの列は次のとおりである 0 0 すべての要素がゼロでない行は1つだけであるので、 階数条件により、この方程式は識別されない。 事例4(解答2) • 方程式2: 第2行を取り除き,第2行の要素がゼロとなる y2,y3,z2に対応する列を取り出す。 0 0 すべての要素がゼロでない行が2つあり、 g-1=2となっているので、方程式2は識別される。 事例4(解答3) 方程式3: 3行目を取り除き、y1とz3に対応する列を取り出す。 すべての要素がゼロでない行が2つ(そして列も2つ)あり、 g-1=2となるので、階数条件によれば、方程式3は識別され る。 次数条件と階数条件の関係 階数条件は同時方程式が識別されるどうかの 必要十分条件である。 次数条件は丁度識別、過剰識別、識別されな いことを決める。必要条件。 次数条件が満たされないときには計算不能で あるが、次数条件が満たされていれば、階数 条件が満たされなくてもパラメータの推定値 を得ることができるが、こういった場合の推定 値は意味はない。
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