農村の有機性資源を活用した水質浄化 Water Purification Using

農村の有機性資源を活用した
水質浄化
独)農業工学研究所
畑整備研究室
山岡 賢
有機性資源の循環と水環境
有機性資源
都 市
農地還元
里山
農 村
畜 産
水質汚濁
有機性資源(廃棄物)の変換技術
マテリアル利用
肥料化
飼料化
炭化
炭化
水質浄化材
生分解プラスティク etc.
エネルギー利用
燃焼
エステル化
ガス化
メタン発酵
液化
メタノール化
etc.
炭化
柚山ら(2003)を参考に作成
炭化物の性状
試料名
稲わら炭
比表面積 平均細孔径 全細孔容量 備考
-1
(m2・g-1)
(Å) (ml・g )
5.6
231
0.03 炭化380℃
もみ殻炭
3.5
227
0.02 炭化380℃
バカス*炭
32.9
52
0.04 炭化380℃
牛糞炭
2.2
235
0.01 炭化380℃
集排汚泥炭
2.4
273
0.02 炭化380℃
市販楢木炭
154.0
30
0.12
1420.0
41
1.44 原料:木
活性炭
*サトウキビの絞りかす。
表は,吉田ら(1996)より作成,ただし,活性炭の値は,
立本英機(1997):おもしろい活性炭のはなし,日刊工業新聞社 p.122より
炭化炉からの牛糞炭の取り出し
木炭からの溶出物(3)
表1 木炭の含有量と溶出量
Table 1
Charcoal Elution Contents
元素
含有量(a)
溶出量(b) 割合(b/a)%
K
58.1
77.4
133
N
70.0
0.0
0
P
17.6
0.2
1
Ca
78.1
3.0
4
Mg
12.1
2.0
17
(a)および(b)の単位:mg・100g
-1
溶出量は、木炭を蒸留水に浸漬して30℃48h静置し
て測定した。
木炭からの溶出物(4)
① 20mm篩い通過10mm篩い残留の木炭片を蒸留水
に浸漬、30℃,24h静置
②2mm篩いで木炭片を分離
③浸漬水のCOD, SSを分析
木炭100g当たり
CODMn 14mg ,SS 36mg 溶出
木炭による硝酸態窒素の吸着
塩化鉄(Ⅲ)液処理,pHの値の制御等によって
吸着能の付加、増加
森ら(2001),森・小野(1995)
木炭1g当たり最大2mg程度の窒素の吸着
実用性?
有機性汚濁の処理(1)
原水流入
模型総容量 約36l
木炭槽容量 約15l
300
700
木炭槽
奥行き:200
単位:mm
縦断面図
250
600
9
25
9/
6
9/
20
10
/4
10
/1
8
11
/
11 1
/2
12 9
/1
3
1/
17
1/
31
8/
8/
22
7/
5
7/
19
6/
SS mg/l
有機性汚濁の処理(2)
- SSの除去 -
20
原水
15
10
5
模型流出水
0
月/日(平成12年-13年).
22
7/
5
7/
19
8/
9
8/
25
9/
6
9/
20
10
/4
10
/1
8
11
/1
11
/2
12 9
/1
3
1/
17
1/
31
6/
COD mg/l
有機性汚濁の処理(3)
- CODの除去 -
20
原水
15
10
5
模型流出水
0
月/日(平成12年-13年).
有機性汚濁の処理(4)
- S-CODの除去 -
20
模型流出水COD
15
10
5
模型流出水S-COD
原水S-COD
2
7/
5
7/
19
8/
9
8/
25
9/
6
9/
20
10
/4
10
/1
8
11
/
11 1
/2
12 9
/1
3
1/
17
1/
31
0
6/
2
S-COD & CODmg/l
原水COD
月/日(平成12年-13年).
油分の吸着
・炭化温度 350~450℃で疎水性を示す。
・吸油量 約30g・g-1 (ファイバー状の炭)
梅原ら(1997)
油類の流出:一級河川の水質事故
(平成11年481件)の約8割
有機性資源の炭化物の適用?
硝酸態窒素除去への活用
生物学的脱窒
硝酸態窒素
NO3-N
嫌気条件
水素供与体
窒素 N2
有機性資源
メタノール
エタノール
生分解性プラ
スティク
まとめ
1.有機性資源の利用用途の1つとして,水
質浄化材としての利用が期待される。
2.有機性資源を用いた水質浄化技術は,
研究開発途上である。
3.技術開発には,水質浄化性能とともに使
用後の資材の処理にも留意が必要とす
る。