測地データから推定される静的断層モデル

2005年9月29日運営委員会
断層モデル等の構築
資料11
5年間全体の計画と平成17年度の研究計画について
京都大学防災研究所
5年間全体計画
近畿圏において、阪神・淡路大震災級の被害をもたらす大地震を発生させ
る仕組みを解明するため、広角反射法・屈折法地震探査等の大深度弾性
波探査による大規模な地殻構造の調査研究を行い、深部反射法(東大地震
研究所担当)の結果と組み合わせて、当該地域の地殻・地盤構造、震源断
層の形状や特性、地震波速度構造を明らかにする。これらの調査にもとづ
き、高精度の地震動予測を行うための断層モデル等を構築する。
研究項目
(1)自然地震・制御震源を用いた内陸活断層の深部モデルと地殻内3
次元構造モデルの構築に関する研究(西上欽也)
(2)断層の準静的モデルの構築と歪蓄積過程に関する研究(橋本
学)
(3)強震動予測高精度化に関する研究(岩田知孝)
[1] 平成16年度までの研究成果
[2] 平成17年度の研究計画
(1)自然地震・制御震源を用いた内陸活断層の深部モデルと地殻内3次元構造モデルの構築に関する研究
3D速度構造インバージョン
Vpの結果.左から
5km, 10km,15km
Vsの結果.左から
5km, 10km,15km
(1)自然地震・制御震源を用いた内陸活断層の深部モデルと地殻内3次元構造モデルの構築に関する研究
活断層の深部形状モデルに関する研究
A
B
2004年新潟県中越地震の本震断層面に沿う散乱強度の分布。○:散乱強度が平均より高い、●:平均
より低い。青い領域:本震の主な破壊域(浅野・岩田、2005)。本震の破壊は断層面上の不均質の強い
領域で開始し、相対的に均質な領域において大きなすべりを生じるというモデルを示唆する。
(1)自然地震・制御震源を用いた内陸活断層の深部モデルと地殻内3次元構造モデルの構築に関する研究
活断層における地震活動特性の不均質性に関する研究
活断層帯における定常
微小地震活動、b値の空
間不均質
地震の低活動域
⇒アスペリティの可能性
(2)断層の準静的モデルの構築と歪蓄積過程に関する研究
残差変動場を説明する北傾斜/上部固着MTLモデル
(2)断層の準静的モデルの構築と歪蓄積過程に関する研究
剛体回転・すべり欠損モデル
結果
(OBS-CAL)
西村・他
(3)強震動予測高精度化に関する研究
2002年デナリ地震、デナリ断層からトチュンダ断層への動的な破壊の乗り移り:断層分岐の理論の実験
(1)テクトニックな応力Smaxの方向Y = 70deg.
Y= 70deg., 非常に高角:Ratchkovski, 2003
→トチュンダ断層が破壊により適している
(2)破壊速度: vr= 0.8cs
滑り分布
Smax
Y = 70deg.
分岐断層動力学モデル
破壊パラメタの設定
破壊速度
J = -15deg.
vr= 0.8cs
分岐角度
逆解析から得た運動学的モデルAsano, Iwata & Irikura, 2005
破壊速度
シミュレーション結果
(3)分岐角度:J = -15deg.
破壊面の乗り移りが再現された
問題点:破壊速度は乗り移り後により高速化→応力一様の仮定
Harsha, Dmowska, Rice and Kame, 2004
(3)強震動予測高精度化に関する研究
堆積盆地構造モデルによるサイト特性
評価と経験的サイト特性の比較
観測点毎の再現性の評価
灰:経験的サイト特性(記録から評価)
黒:モデルによる理論増幅特性
左:深部構造のみ,中:浅部構造のみ,右:深部+浅部
(3)強震動予測高精度化に関する研究
2004年紀伊半島南東沖地震
大阪盆地内の観測点での波形比較
須磨
※見かけ上の振幅:赤青地点の2倍
六甲Is.
此花
上鳥羽
尼崎
奈良四条
福島
交野
森河内
太子
弥栄
茨木白川
森河内
阿倍野
大阪市大
堺
忠岡
田尻
断層モデル等の構築 第2期の研究項目の連関と平成17年度の計
画
大規模地殻構造調査
(2)断層の準静的モ
デル・歪蓄積過程
ボーリング調査
( 3 ) 震 源モデ ル の
構築
(1)地殻構造・地震活動
(3)地下構造モデ
ルの構築(近畿圏
強震動予測のため
の地下構造モデル)
近畿圏地殻構造モデル
地震記録による検証
震源断層モデル(活断層の不均質構造)
有馬・高槻構造線
東南海・南海地震
(3)強震動予測
・プレート境界地震
・内陸地殻内地震
(1)自然地震・制御震源を用いた内陸活断層の深部モデルと地殻内3次元構造モデルの構築に関する研究
活断層の深部形状モデルに関する研究
Depth 0-5 km
5-10 km
花折断層、有馬高槻構造線、等を含む近畿圏の活断層について、散乱波トモグラフィーの
解析を行い、各活断層の地震破壊に関わる深部構造モデルを作成
(1)自然地震・制御震源を用いた内陸活断層の深部モデルと地殻内3次元構造モデルの構築に関する研究
活断層における地震活動特性の不均質性に関する研究

琵琶湖西岸断層帯
– 北部(知内,饗庭野,上寺,勝野断層)は低
活動。
– 中部(比良,堅田断層)は活動的。
– 南部(比叡,膳所断層)は低活動。

深さ分布
– 5~20 km。
– 花折断層付近で屈曲し,琵琶湖へ向かって
深くなる。
– 下限がシャープ。
琵琶湖西岸の断層帯、有馬高槻構造線に
ついて、震源再決定とb値の空間分布を
マッピングし、その結果に基づいて、各断層
におけるアスペリティや破壊開始点の推定
を行う。
(2)断層の準静的モデルの構築と歪蓄積過程に関する研究
MTL-GPS観測とGEONETによる変位速度
(2)断層の準静的モデルの構築と歪蓄積過程に関する研究
水平速度と上下速度から推定されたすべり欠損分布
(3)強震動予測高精度化に関する研究
探査結果を盆地構造モデルに取り入れる
香川・他(2002)の大阪構造モデル
平成16年度の近畿圏探査測線
大阪湾-鈴鹿測線
S波探査結果
(3)強震動予測高精度化に関する研究
3次元速度構造モデルの高精度化と不均質性の検討
継続時間(振幅)を表現できていない
WKYH05
FKS
2004年9月5日紀伊半島沖の地震(前震)の差分法シミュレーション結果と観測記録の比較
1.3次元速度構造モデル(伝播速度・層
境界形状)の改良
2.速度構造の不均質性の検討
→不均質構造による散乱の影響を考慮
2004/9/5前震の震央
層境界
層内での不均質
不均質な速度構造モデル
(3)強震動予測高精度化に関する研究
想定東南海・南海地震の強震動シミュレーション
大阪・奈良・
京都盆地等
のモデル高
度化
震源モデルの高度化
地殻構造モ
デルの高度
化