ボパール

ボパール
2005/3/31
事故の概要
• 1984年12月3日、インドのボパールで起こ
る
• イソシアン酸メチルという毒ガスが、ユニオ
ン・カーバイド社から漏れ出す
• 死者2,600人以上、危害を受けた市民約20
万人
農薬の歴史
• 害虫によって人間の栽培する植物の半分
は食べられてしまう
• 祈祷、死んだヒキガエルをくくりつける等
• 19世紀末:ニコチン、除虫菊、ヒ素、硫酸銅
• 1948年ミュラーがDDTを作り、ノーベル賞
獲得、セイロンでの250万ものマラリア患者
が、14年後31人に激減⇒『沈黙の春』
ユニオン・カーバイド・インド
• セヴィンという安全な農薬をつくる
• 研究開発
• プロセスの途中に、イソシアン酸メチルを
生成した
• 1975年中間原料のMICを輸入して殺虫剤
の製造を開始、1980年MICの製造も開始
• 1984年:稼働率20%、400万ドルの欠損
イソシアン酸メチル
• 沸点39.1℃、20℃における蒸気圧は、348㎜Hg
• ガスは空気の2倍重く、地表を覆って拡散
• MICは、活性水素化合物の水と反応したり、自
己付加反応で三量体になったりする
• それぞれ、325、300kcal/kg MICの発熱反応、暴
走反応の可能性がある
• MICの1日8時間あたりの平均曝露許容限界は
0.02ppm 極めて毒性が強い
• 被ばく量が大きいと、眼の角膜の細胞が破壊
• 損傷した呼吸器組織の脱落で気道を閉そく
化学工学の安全対策
•
•
•
•
•
•
•
事故漏れ時にガスを中和する汚染除去塔
抜け出たガスを燃やすフレア
切断ディスク、温度センサー
管路自体がX線でチェック
電気回路は酸に耐えられるよう保護
停電時に発電機
危険時に、スピーカーとサイレンが鳴る
事故経過
– 12月2日22時30分:タンクの圧力は正常
• 23時30分:MICの漏えいに気づく
• 23時45分:監督者に報告、お茶休憩(0時15分)後
に処置しようと答える
– 12月3日0時45分:MIC流出増加
• 0時50分:汚染除去塔を起動したが作動せず
• 1時0分:フレアの点火せず、配管が外れていた
• 1時30分:制御室にMICガスが充満
– 2時0分:圧力計、温度計がスケールアウト
– 2時半:プラントマネージャーが工場へ到着、警察へ通報
– 3時半:ガスが工場から拡散
原因
• 原因については調査報告により、見解が違う
• 相違点は、水の入った原因と三量体化反応の触
媒である金属イオン(鉄イオン)の発生と原因
• MICタンクに大量の水が入って、MICの重合に
よって圧力と温度が上昇した
– 故意的行為による、
– パイプラインの洗浄作業による
• 七條典久「ボパール災害とその影響」による
問題点
• ①危険有害物の大量貯蔵取り扱い
• ②設計管理の不備
– 安全処理設備の能力は、暴走反応時に不足
• ③運転管理の不徹底
– 作業標準の無視が目立つ
• ④設備保全管理レベルの低さ
– バルブ漏れが日常化、設備変更を十分な検討なく行
う
• ⑤現場の実態を無視した人事労務管理
• ⑥安全意識の欠如
情報を隠す
• イソシアン酸メチルが分解するとシアン化
水素酸が出る
• チオ硫酸ナトリウムが水素シアン化物の致
死的効果を中和できる
• これらの情報を隠していた
文化の相違
• 本社で厳密な安全教育が行われた
• それがインドでは、経営上の問題もあり、う
まく機能しなかった
• 中国へ高速鉄道の受注問題:「日本で確
立した安全技術や保安体制が完全に踏襲
されるか不透明」事故が起こると製造責任
を問われうる:日経2003.7.31
メンテナンス
• 工場内での事故、労働災害、仕事場の安全
–
–
–
–
2003年9月
新日鉄名古屋火災
栃木ブリジストン火災
北海道出光火災
• 技術の伝承
– 技術を持った人が辞める
– アウトソーシングによる問題
– 関電美浜