中性子ベータ崩壊の物理

音野瑛俊 (東京大学)
and NOP collabration
日本物理学会2009年秋季大会
0

寿命:約15分
~752eV
~782keV
日本物理学会2009年秋季大会
1

宇宙論:ビックバン
◦ 宇宙初期の軽元素合成シナリオ

素粒子論:標準模型
◦ Vud、CKM行列のUnitarity
◦ Non V-A currentの探索
◦ 時間反転対称性の破れ
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2

t~0.01秒
◦ 元素は全て熱平衡状態で(n/p)~1
◦ 温度の低下と共に中性子が減少

t~1秒
◦
◦
◦
◦

(n/p)~1/6で凍結
ベータ崩壊が効き始める
D、3H、3Heの存在量が増加
Heの生成が始まる
t~1-3分
◦ 中性子崩壊のため(n/p)~1/7まで減少  Y  M  1 n p  25%
◦ 各元素の存在比はバリオン物質密度にも大きく依存
M He
2n p

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3



中性子寿命の測定精度の向上
バリオン物質密度の測定精度が向上
元素の存在比の測定
b h 2  0.0224 0.0009
l(l+1)Cl/(2)
[K2]
6000
tn = 885.7±0.8 s (PDG2008)
tn = 878.5±0.7±0.3 s (PNPI-ILL)
4000

2000
0
1%の違いが現在問題となっている。
0
200
400
600
800
1000
1200
1400
multipole l
G.J. Mathews, T. Kajino, T. Shima
PRD71 (2005) 021302
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4
p
pp


J
e
pe
寿命~15分
角度相関分布
a
A
B
D

1  2
1  32
0.1054±0.0055
Byrne 02
2
(1 )
1 32
Abele 02
2
(1 )
1 32
0.1189±0.0007
Shumann
07
2
 sin 
1 32
0.9807±0.0050
-2.8±6.4±3.0
Soldner 04


ν
(Jackson, 1957)
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pν
5
a


1 2
1 32
A  2
(1 )
1 32
B  2
(1 )
1 32
CKMのUnitarityチェックには中性子ベータ崩壊から求めた値は使われておらず、

0+0+遷移の値が採用されている。
Vud  Vus  Vub  0.9999(5)(9)
2
2
2
中性子ベータ崩壊からも精確に測定する必要がある

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6
p
pp

J
e
pe
B項:中性子スピンとニュートリノ運動量の内積
◦ SUSYループによる非V-Aカレントに感度が強い

S
S  
gT aTRL  gS aRL
 gT aTRL 

(1 ) m  
 aRR
B  2

2
Re
4

2

















2
V
V
V
1 32
g
a
g
a
g
a


 E e 1 3












V
LL
A
LL
V
LL


*
BSM
*
*
ν
pν
BSUSY


LR mixingが最大である時、BSUSY/B~10-3の可能性
◦ BSMは2.2x10-4の精度が可能(PDG2008)
→現在のBSUSY/Bの上限は5.1×10-3(Schumann 07)
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
中性子の発生
◦ 原子炉
◦ 加速器

pp
角相関項測定
◦ abBA

p
寿命測定
ν
J
e
pe
pν
◦ 崩壊陽子の測定(ペニングトラップ)
◦ 中性子の測定(超冷中性子貯蔵法)
◦ 崩壊電子の測定
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
原子核内からはじき出す
◦ Fission(原子炉)
 3x109neutron/sec
 DC
◦ Spallation(加速器)
 1x109neutron/sec@BL05
 パルス
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
冷中性子
◦ abBA(SNS)
 電場をかけて崩壊陽子と電子を加速し同時測定
→a項、b項の測定
 磁場をかけて中性子を偏極
→A項、B項の測定
◦ Perkeo(ILL)
◦ aSPECT(NIST)
◦ aCORN(LANSCE)

abBA セットアップ
abBA 検出器
超冷中性子
◦ UCNA(LANSCE)
世界各国でそれぞれのビームを生かした
実験が進行中。
BL05においても次期計画として考案を進めている。
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
ペニングトラップで捕獲した陽子を計数
τ~9-25min
◦ Nico et al. 2005@NIST
τ=886.3±1.2±3.2sec
correction(s)
Uncertainty(s)
-
2.2
6Liの断面積
-
1.2
6Liへの吸収
+5.2
0.8
6LiFの面密
度
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
UCNボトル貯蔵実験
◦ UCNをボトルに詰める
◦ ボトルに蓋をする
◦ 崩壊せずに残った中性子を計数
τ=878.5±0.7±0.3sec (Serebrov 2005)
◦ 誤差:壁効果(γ、μ)
散乱による損失率
壁の反射率
correction(s)
Uncertainty(s)
γ
-
0.236
μ
-
0.144
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Reflection of UCN by magnetic barrier
W.Paul, in Proc. Int. Conf. on Nuclear Physics and
Physics of Fundamental Particles, Chicago, 1951.
V.V.Vladimirskii. Sov.Phys. –JETP 12. 740. 1961

VCN(v <6m/s) Storage ring
Z. f. Physik C 45, 25(1989)
⊥
τ = 877±10 sec (1989)

Ioffe-type magnetic trap
τ = 833+74−63 sec (NIST 2000)  Ioffe-typeⅡ

Neutron Elevator
τ = 878.2±1.6 sec (PNPI –ILL-TUM 2007 preliminary)
Nature 403, 62, 2000
Neutron Elevator
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
実験進行中
 13日(日)午前 生出秀行
◦ スピンフリップチョッパーを用いたバックグラウンド抑制
◦ TPCを用いた中性子、崩壊電子の同時測定
Shield
TPC with 3He-4He-CO2 gas
e-
E
Spin flipper
Rise time ~1s
Polarizing
supermirrors
Window
p
Beam
Catcher
1m
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
ベータ崩壊の物理
◦ 寿命
◦ 角度相関項

ビックバン元素合成
標準模型の検証
冷中性子、超冷中性子を用いた様々な実験
◦ 加速器(J-Parc、SNS、PSI、、、)
◦ 原子炉(ILL、、、)

BL05では寿命に続きさらなる精密測定を予定している。
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
Backup
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中性子スピン偏極方向と電子の運動量の外積
時間反転対称性の検証が可能
陽子検出器
N-
p
e
p
N+
e
電子検出器
磁場
L. J. LISING et al.
PHYSICAL REVIEW C 62 055501
Final State Interaction ~10-5
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p
pp
A  2
初期宇宙元素合成
のシナリオ
pν
(1 )
1 32
A項測定

小林益川行列の
Unitarity テスト
pe
ν
寿命測定
e
J
B  2
(1 )
1 32
B項測定

超対称性模型に
感度
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Kaon
0.2255(19)
Hyperon
|Vud|2Tau
=0.97418(27)
0.2250(27)
+0+遷移
00.2208(34)
Vud  Vus  Vub  ??
2
2
2
|Vub|2~1×10-5

|Vus|2=0.2255(19):Kπ+e+ν
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
中性子スピンと電子の運動量の内積
A  2

中性子寿命
 1  
1 32
t 1 Vud2 1 2 
から小林益川行列が求まる


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p
pp

J
pe
原子、原子核構造を持たず、電荷がない。
ν
β崩壊の崩壊強度
e
pν
素粒子標準モデル(SM)の基本パラメタ
λ,τn
or
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λ, Vud
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