これからの数値的相対論

数値相対論の展望
柴田 大
(東大総合文化:1月から京大基研)
宇宙物理学と素粒子原子核物理
• 宇宙=大きい ⇒ 重力が支配的な対象
• 重力=基礎理論は一般相対論だが、
大抵はニュートン近似で事足りる
• しかし、素粒子、原子核の世界
⇒高エネルギー
• 高エネルギー宇宙現象=相対論的現象
両者が絡む複雑な現象を調べる
=数値相対論の研究対象
数値相対論の目的
• 重力波源からの重力波の正確な波形を 求
める(検出器=例えばLIGO)
• 高エネルギー爆発現象(超新星爆発、 ガン
マ線バースト)の理論的解明
• 高密度星(ブラックホール、中性子星)の形
成過程の解明
• 中性子星磁場の起源の解明
• 高次元時空での高速ブラックホールの衝突
合体の衝突断面積の計算(LHCがらみ)
• その他(宇宙論、高次元BH、、)
1.5-1.5太陽質量
Merger to BH
重力波の波形
EOSが
反映される
本領域と関係の深い課題
• 連星中性子星、およびブラックホール‐中
性子星連星の合体と重力波
• 大質量星、種族III星(宇宙最初の星)の重
力崩壊、ブラックホールや中性子星の形
成
• 高次元時空でのブラックホール衝突?
• 他にもあるでしょう
これらを現実的設定の下で詳しく調べる
のが、今後4年4ヶ月のテーマ
具体的な数値計算作業
• 基本的には双曲型方程式を差分法で解く
g   F  g  , T 
t   ui    k   ui v
k
  ........
などなど
• 差分の精度を上げれば、より良い計算
• 分解能を上げれば、より良い計算
• 基本的には、必要な限り分解能を上げる(グ
リッドサイズを変え収束性を見る)。
現状
• アインシュタイン方程式を単に解くだけであ
れば、全く問題なく実行できる: 単純な2体
問題は高精度の計算が可能
• 現実的な状態方程式を取り入れるのも 可
能(関口雄の話)
• 半定量的にニュートリノ冷却も考慮可能
(関口雄の話)
• 磁気流体計算も可能(但し分解能の向上に
課題あり)
実行予定の課題
• 様々な状態方程式を用い、ニュートリノ冷却も
考慮して、連星中性子星の合体やBH‐NS連
星の合体を調べる
⇒重力波の波形、
ショートGRBの起源?
• 回転大質量星の重力崩壊によるBHの形成過
程を調べる ⇒ 一般のGRBの起源
• 種族III星(宇宙最初の星)も同様
• 磁気流体計算に拡張(連星の合体、重力崩
壊) ⇒ 磁場の役割の解明
• 高次元時空での高速BHの衝突
1.3—1.6 太陽質量
数値計算における課題
• 計算速度の向上:テーブル化された状態方程
式を組み込む計算は重い。要改良。
• 必要な箇所に必要な分解能をあてがう
adaptive mesh refinement 法の一般化
(2
体問題ではすでに取り入れている)
• 磁気流体効果が重要な場合が多くある。
磁気流体不安定性は、小スケールのモードが
効く場合が多い。
⇒どう
やって分解するのか?
• 輻射輸送計算(最後のフロンティア)
Adaptive Mesh Refinement
L>l
l ~ 4GM/c2
• 1 Box 当たり ~ 802×40 (面対称)
• 階層レベルの数 ~ 最大10程度(10+5)
• 変数の数 ~ 200
 メモリ ~ 6GBytes
パソコンで十分可能 !!