行動と社会関係 第4回 「スリー・テン」のふりかえり 2001年10月16日の結果(13グループ) 弁護士 弁護士の妻(妊娠中) 教養学部の女子学生 プロサッカーの選手 学識豊かな女優 東南アジアから留学に来ている医学生 有名な小説家 生化学者 70歳の牧師 武装した警察官 3 1 1 5 1 0 9 2 4 12 2002年10月15日の結果(10グループ) 弁護士 弁護士の妻(妊娠中) 教養学部の女子学生 プロサッカーの選手 学識豊かな女優 東南アジアから留学に来ている医学生 有名な小説家 生化学者 70歳の牧師 武装した警察官 4(3) 4 1 1(0) 1 1 5(4) 0 5(4) 10 本来のねらい 田島(編)『目的別教育技法の展開』 (pp. 152-153) 「自由な雰囲気をつくる」「ワイワイ、ガヤガ ヤの話し合い」を生み出す:アイスブレーキン グのため 使われている分野 意思決定問題(マネジメント) 異文化コミュニケーション(偏見・先入 観・イメージの問題) 社会調査(情報収集) この演習のポイント “正解”はない。 情報は(明らかに)不足している。 でも、決めなければならない。 不完全情報下での意思決定と 問題設定の重要性 シェルターは何年もつのか? 赤ちゃんは一人として数えるのか? 他に生存者はいないのか? 小説家は男か? 生化学者は何歳か? など。 調査プロセスについて考える 不完全情報の状況が、“ある「推定」を裏づける にはどのような調査が必要か”について考えるこ とにつながる。 不完全情報下では、「どのような情報(デー タ)が必要か」「そのためにはどのような調査 が適しているのか」「その調査は可能か」など、 情報(データ)を収集し理解するプロセスにつ いて考えることが重要である。 追加的な情報 他にどのような情報が必要か 性別?年齢? 何を知ることができれば、「より良い」 判断ができると感じるか 目的や内容を決めることの重要性: 意思決定の目的 意思決定者の使命? 残った7人が人生をまっとうする?/ 残った7人でとにかく楽しく生きる? 人類の死滅をふせぐ? 人類の再興をめざす? など、 〈目的 → 手段〉というプロセスの考え方に よって、えらばれる3人が変わる可能性 がある。 目的や内容を決めることの重要性: 意思決定の内容 意思決定をくだす 決めてから科学者に伝える? 10人の同意をえる? 実際に3人がシェルターから出される? など。 視座(立場)の違いを意識する重要性 “Who am I?”と、自問してみる… 設定された状況に関わりを持たない 「神」? シェルターの外にいる科学者? 国家? 10人のうちの一人? など。 意思決定内容の「実現可能性」 たとえば「武装した警官」を危険人物と いうことでえらぶ場合があるが、その警 官を実際にシェルターの外に出すことは 可能か。 つまり、意思決定は実際にその内容を実 行にうつす人間の「納得」が得られなけ れば実現しない。 スリーテンにおけるプレイヤーのふるまい ルールの変更 ・「~すべき」から「~か もしれない」という発想へ ・あたらしいストーリー/ 物語の生成 ゲームのルール ゲームのシナリオ (3人をえらぶ) プレイヤーに価値判断を強 いる ゲームのルールにしたがう ゲームのルールを拒否 ゲームに対する不快感 プレイヤーのふるまい ・あたえられた情報から10人をイメージ する ・価値判断の基準を模索する ・意思決定をおこなう ・実現可能性について考える ルールの 変更 ゲームプレイ中の気づき ・偏見や先入観に気づく ・価値判断について疑念をいだく ・じぶんの価値判断の基準を意識する -“神”の視点で見る/観察者として見る -ゲーム内のひとびとと同化する ・くじ引きで決める ・ゲーミングのプロ セスから撤退する ・全員がシェルター の外に出る ゲーミング実施結果をとらえる枠組み 〈意図〉の 妥当性 予想内 予想外 予 Ⅰ 〈 場 想 望ましい 〉 の 内 学習プロセスの展開 妥 予 Ⅱ 当 想 実施コンテクストへの 性 外 疑念・倫理的問題 Ⅲ 新しい発想や着眼点 の発生 Ⅳ 学習目的や方法の 問題点が多発 「スリーテン」における プレイヤーのふるまい [1] 「課題」としての側面(“正解”を求める) ゲーミングにおける状況への没入(感情 移入) ゲーミングにおける状況の「内部」か 「外部」かという問題 ゲーミングそのものへの関心(構造、派 生ゲームの可能性) 演習に関する“不快感” この演習(スリー・テン)に不快感を感 じることがあるとすればどのような点で すか? 自由回答ののち、分類(新井, 2001) 1:倫理的嫌悪感 2:情報の不十分さ 3:プロセスの不快感 9:特になし 「スリーテン」における プレイヤーのふるまい [2] 反応 1 2 3 9 合計 A 度数 19 31 1 14 65 (内) % 29.2 47.7 1.5 21.5 100 B 度数 30 22 9 20 81 (外) % 37.0 27.2 11.1 24.7 100 合計 度数 49 53 10 34 146 % 33.6 36.3 6.8 23.3 100 新井(2001年5月) Lost in Space 「スリーテン」の派生ゲーム(出口, 1998) 生き残った10名のなかから、7名だけが救命艇に乗船で きる。コンサルタントとしてアドバイスを送る。 70歳の坊さん 20歳の女子大生 有名な漫画家 弁護士夫妻 武装した警察官 経験豊かなオペラ 歌手 プロの競艇選手 途上国から留学中 の技師 看護婦 *まず個人で解答し、つぎにグループとしての解答を求める。 「NASAゲーム」「船長の決断」と似たタイプのゲーミング。 ゲーミングに関する問題 題材そのものをどう評価するか ゲーミングの際のことば遣いに対する感 受性は? “消す”“切る”“いらない”“死んでもらう” ゲームだからこそ扱える内容か これはゲームだから… リストラ 就職活動 その他の“ひとを選ぶ”場面 自分たちはどのような文脈で ゲームをしていたのか 大学生としての属性 SFC生としての属性 このクラスの属性 「スリーテン」の世界と 現実の世界とをむすぶ 経験のレパートリーとして蓄積 類似した状況で、どのようにふるまうこ とができるか ミルズ『社会学的想像力』 「個人環境に関する私的問題」と「社会 構造に関する公的問題」との区別の重要 性 因果関係ではなく相互依存関係 ひとつの観点から、べつの観点へと移る能力 じぶんの〈位置〉を知る イメージと人間行動 ボウルディング(1962)『ザ・イメー ジ:生活の知恵・社会の知恵』(誠信書 房) 「われわれの行動はイメージに依存して いる」 職業(肩書き)とイメージ イメージと社会的意味 イメージと個人的評価 メッセージとイメージの変化 「メッセージ(情報)はイメージをつく りだすための変化を意味する」 イメージが変わらない 規則的なイメージの変化(付加的) 全体のイメージが変化する 「見たり、聞いたり、読んだりしたこと がらは、場合によると、空間、時間、関 係といった概念を改訂する」 イメージと人間関係 ゴフマン(1974)『行為と演技:日常生 活における自己呈示』(誠信書房) 相互行為論 印象操作(impression management) イメージは操作可能か どのようなメッセージがイメージの変化に影響 をあたえるのか
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