第3回CRAVITYシンポジウム 2015年3月18日 ニュートリノ物理のための 半導体‐超伝導複合遠赤外光子検出器 金 信弘 (筑波大学数理物質系) 他 Neutrino Decay Collaboration Neutrino Decay Collaboration 金 信弘,武内勇司,武政健一,木内健司,永田和樹,笠原宏太,奥平琢也,市村龍哉,金丸昌弘,先崎蓮, 森内航也,八木俊輔 (筑波大学) ,池田博一,松浦周二,和田武彦,長勢晃一(JAXA/ISAS) ,新井康夫,倉知郁生, 羽澄昌史 (KEK) ,石野宏和, 樹林敦子 (岡山大学) ,美馬 覚 (理化学研究所) ,吉田拓生,廣瀬龍太,浅野千沙, 加藤圭騎,辻 紘也 (福井大学) ,加藤幸弘 (近畿大学) ,大久保雅隆,浮辺雅宏,志岐成友,藤井剛 (産総研) , Erik Ramberg , Jeonghee Yoo, Mark Kozlovsky, Paul Rubinov,,Dmitri Sergatskov (Fermilab) , Soo-Bong Kim (Seoul National University) ● はじめに 動機 宇宙背景ニュートリノ崩壊探索実験 ● 遠赤外光子検出器(超伝導トンネル接合素子STJ)の開発 ニュートリノとは 宇宙の基本構成要素 素粒子 のひとつ 例えば,中性子の β 崩壊において生じる 物質粒子(クォーク・電子と同類) 電荷を持たない 弱い相互作用のみ行う 長い間、質量が零であると思われてきたが, 1998年にニュートリノ振動現象が確立された → 小さいながら,零でない質量 を持つ 他の物質粒子と比べて格段に軽い なぜ? 特別な理由がある? 質量が零でないことは判ったが,その絶対値 は測定されていない 「素粒子標準理論」の素粒子 物質を構成する粒子(クォークとレプト ン) 力を伝える粒子(グルオン・光子・W,Z 2 素粒子の質量階層の問題 素粒子の質量がなぜ11桁以上違うのか? 同じ性質の(質量のみ異なる)粒子の繰り返し: なぜ? ニュートリノ質量の理解が先決 まだ測定されていない 質量二乗差 Dm2 はニュートリノ振動実験によ り既知 本事業:ニュートリノ崩壊を観測し,質量を決定 重いニュートリノ 軽いニュートリノ + 光子 光子(赤外線領域)のエネルギーを測定 → ニュートリノ質量の決定 W 3 , 3 2 2 ニュートリノ: 寿命が長く、まれにしか崩壊しない。現在の寿命の下限 = 1012年 探索には大量のニュートリノが必要 加速器で作るのは不十分 宇宙に大量に存在するはずの 宇宙背景ニュートリノ が唯一の探索方法 宇宙論で予言されるが未観測 その観測は宇宙論検証の意義を持つ ニュートリノ崩壊発見によるニュートリノ質量の測定 宇宙背景ニュートリノ の発見 それぞれが 非常に重要な発見 3 ビッグバン宇宙論と宇宙背景ニュートリノ (CνB) • ビッグバン宇宙誕生の数秒後→ 宇宙背景ニュートリノ CνB • ビッグバン宇宙誕生の30万年後→宇宙背景マイクロ波輻射 CMB CνB : 宇宙の極初期の情報を持つ 約100個/cm3 と大量に存在 宇宙起源の理解の重要な鍵 ニュートリノ崩壊探索のニュートリノ源 現行のν研究: 加速器ニュートリノ、大気ニュートリノ、原子炉ニュートリノを 用いた研究 4 宇宙背景ニュートリノの研究は世界でも未だ着手されていない。筑波大グループが 現行のニュートリノ研究 加速器ニュートリノ 大気ニュートリノ 原子炉ニュートリノ KamLand KamLand実験(東北大) T2K実験(KEK/東京大/京都大) OPERA実験(名古屋大/INFN(イタリア)) Super-Kamiokande (東京大/KEK/京都大) Double Chooz実験 (IN2P3(フランス)/東北大/東工大) 宇宙背景ニュートリノ Neutrino Decay実験 (筑波大/JAXA ISAS/KEK/FNAL(米)) 世界初の宇宙背景ニュートリノ観測研究 ニュートリノ崩壊で生成される光子のエネルギー ニュートリノ2体崩壊 𝝂𝟑 → 𝝂𝟐,𝟏 + 𝜸 𝛾 𝐸𝛾 𝜈3 𝜈2 2 𝑚32 − 𝑚1,2 𝐸𝛾 = 2𝑚3 • ニュートリノ振動実験結果 – 2 Δ𝑚23 = |𝑚32 − 𝑚22 | ~ 2.4 × 10−3 𝑒𝑉 2 2 – Δ𝑚12 ~ 7.65 × 10−5 𝑒𝑉 2 • 宇宙観測結果 ( Planck+WP+highL+BAO) – ∑𝑚𝑖 < 0.23 eV 50meV<𝑚3 <87meV 𝑬𝜸 =14~24meV (𝝀𝜸 =51~89m) m3=50meV E =24.8meV (50𝜇𝑚) m2=8.7meV m1=1meV E =24meV (52𝜇𝑚) E =4.4meV (282𝜇𝑚) dN/dE(a.u.) 光子エネルギー分布 Red Shift effect 𝝂𝟑 → 𝝂𝟐 + 𝜸 𝑚3 = 50 meV Sharp Edge with 1.9K smearing 𝐸𝛾 [meV] 𝟐𝟓𝒎𝒆𝑽(波長𝟓𝟎𝝁𝒎) 6 宇宙赤外線観測による宇宙背景ニュートリノ崩壊の探 索 宇宙赤外線光のエネルギースペクトル 可視光 遠赤外線 近中赤外線 黄道放射 電波 CMB 黄道光 銀河進化 モデル 高エネルギー カットオフ (25meV) エネルギー連続スペクト ル(=黄道放射+宇宙背 景ニュートリノ崩壊光) を測定 ニュートリノ崩壊の信号 =高エネルギーでの急激 なカットオフ 宇宙背景ニュートリノ 崩壊光 これまでは離散的な測定の み: 宇宙背景赤外線輻射CIB の 測定結果 ( AKARI衛星, COBE衛星) 天文観測としての重要性 初代天体収縮時の水素分子線 残骸ブラックホールの降着円盤 初代重元素ダスト熱放射 ニュートリノの現在の寿命下限は 3 ×1012年。 ロケット実験で100倍の検出感度(寿命1014年まで観測可能) 左右対称模型の理論予言値は~1017年(衛星実験で検出可能) *宇宙遠赤外線は大気で吸収され るので,大気圏外での観測が不可 宇宙背景ニュートリノ崩壊探索ロケット実験・衛 星実験 ロケット実験計画: 2018年に高度200 kmで5分間データ収集 ニュートリノ寿命が1014年以下なら観測可能。(現在の寿命下限は 3×1012 年). »超伝導トンネル接合素子 (STJ) 赤外線検出器を開発 50 Nb/Al-STJ ピクセルアレイと回折素子で遠赤外線エネルギー測定 遠赤外線 望遠鏡 JAXA Rocket CIB Experiment (Feb 2, 1992) 毎秒光子数/ピクセル~300Hz 2020以降に衛星実験 → 寿命τ(ν3) ~1017年なら観測可能 ˃ Hf-STJ 赤外線検出器で衛星実験 ( S. H. Kim et al. JPSJ 81,024101 (2012)) 8 𝚫 = 𝟐𝟎𝝁𝒆𝑽 : ハフニウムの超伝導エネルギーギャップが小さいので、回折格子な しでエネルギー測定。 遠赤外光子検出器(超伝導トンネル接合素子STJ)の 開発 超伝導トンネル接合素子検出器 STJ (Superconducting Tunnel Junction)Detector • 超伝導膜 / 絶縁膜 / 超伝導膜 ジョセフソン結合 入射粒子によって、超伝導体のエネルギーギャップの上 に励起された準粒子はトンネル効果でトンネル障壁を通 過。そのトンネル電流を測定することによって、個々の 入射粒子のエネルギーを測定。 励起電子(準粒子) 入射粒子 STJ I-V曲線 ジョセフソン電流 Critical current Ic 2Δ Normal resistance Rn in |V| > 2Δ/e クーパー対 S I S エネルギーギャップΔが、通常の検出器(半導 体検出器等)に比べて桁違いに小さい リーク電流 ( Dynamic resistance Rd in |V| < 2Δ/e) 低エネルギー放射線を高エネルギー 分解能で一光子ごとに測定できる Nb/Al-STJ光子検出器 バックトンネル効果→ トラッピング・ゲイン 300nm Nb/Al-STJ中の準粒子数 トンネルバリアの近傍の準粒子は,次々とトン ネル効果を引き起こし電荷を増幅する – トンネルバリアの近傍の準粒子の存在確率を上げる ためトラップ層を置く – Nb/Al-STJ Nb(200nm)/Al(10nm)/AlOx/Al(10nm)/Nb(100nm) • 近接効果によりAlの超伝導転移温度はNbの転移 温度に近づく 増幅効果 2~200倍 GAl : Alのトラッピングゲイン(~10) E0 : 入射光子エネルギー Δ : エネルギーギャップ 25meVの一光子に対して Si Tc[K] Δ[meV] 1100 Nb Al 9.23 1.20 1.550 0.172 11 ニュートリノ崩壊探索実験からの要請 • Nb/Al-STJで25meV(=50m)の光子をS/N>5で一光子計数 – 出力100e程度 増幅器に対する要請 ノイズ20e 以下 STJと同じ温度で動作(0.3K程度) 1MHz 以上の帯域 STJ 50x8 pixel array に対し合計 電力消費< 400μW 500V/DIV ノイズ20e以下、リーク電流ゆらぎ20e以下 1s/DIV STJに対する要請 STJのリーク電流0.1nA以下 波長465nmの短レーザーパルスに対 する応答 SOI上に形成したNb/Al-STJ の光応答 STJの応答時間は,1s程度 12 目標: 遠赤外光子(エネルギー 15 – 30 meV ,波長λ= 40 -80μm) の一光子検出 2014年度の改良 at 1.8K in 2013 測定装置 4He 減圧冷凍機 (1.8K) → 3He ソープション冷凍機 (0.3K) - より速いテストサイクル( 2日 ) Nb/Al-STJの構造 Nb/Al/Al2O3/Al/Nb膜厚 (エネルギーギャップΔ) 100nm/10nm/1nm/10nm/200nm (Δ=1.2meV ) KEK先端計測開発棟プロセス 装置で作成(~2013) →100nm/70nm/1nm/70nm/120nm (Δ=0.57meV )) 産総研CRAVITYプラット フォーム で作成(2014~) 信号ノイズ比を10倍改善した。 Signal for 465nm laser light at 0.4K in 2014 For N(photon)~10 2V/DIV 40us/DIV Charge amplifier output For N(photon)~10 13 Nb-Al/STJ検出器のリーク電流 リーク電流に対する要求値 0.1nA以下:遠赤外一光子 (λ= 40 -80μm)の検 出. リーク電流 vs 温度 リーク電流 vs 温度 by T. Fujii (AIST) 50μm x 50μm 100μm x 100μm Ileak∝ 𝑻𝒆 𝜟 𝒌𝒃𝑻 − 2014年 リーク電流0.2nA (300μV) 2013年 リーク電流 10nA (500μV) 2014年に 産総研グループが参加しCRAVITYプラット フォームを用いてNb/Al-STJ を作成 STJ の大きさ サンプル数 Ileak at 0.3mV 50 x 50μm2 18 224±29 pA リーク電流は我々の要求値 0.1nA以下を 20 x 20 μm2 満した . 2 7 10 x 10 μm 20 39±13 pA 14 14±7 pA 半導体‐超伝導複合遠赤外光子検出器 SOI-STJ一体型検出器の開発 SOI-STJの開発 SOIは,極低温(4K)で増幅器が動作し た実績がある. FD-SOI -MOSFET Nagata et al., AIPC 1185, 286-289 (2009) ~ 50nm SOI-STJは,SOI基板の上に直接STJ を形成する野心的な試み→STJ ピク セル検出器の可能性 STJ SiO2 16 SOIとSTJのVia を介した接触部 SOI pre-Ampへ 試作SOI-STJ-v1,v2 640 um via STJ FET SOI基板上へのNb/Al-STJプロセスは, KEK先端計測開発棟プロセス装置を使用 G D D G STJ C S SOI-STJ1号回路図 S SOI-STJ2号回路図 700 um capacitor SOI-STJ2号機パターン(STJプロセス後) SOI-STJの利点 STJ検出器からの配線の引き回しが不要 良いS/N STJアレイ化が容易 低消費電力 17 SOI-STJ一体型検出器上のNb/Al-STJの性能 SOI基板上にプロセスしたNb/Al-STJ (50 x 50μm2 )のI-V 曲線を測定。 700mK (希釈冷凍機を用いた) Nb/Al-STJのI-V 曲線 1 mA /DIV. 2 mV /DIV. Ic~200μA 1 mA /DIV. 2 mV /DIV. 0.5mVでのリーク電流は6nA。 通常のNb/Al-STJ (100um 角) の リーク電流 10nA.に近い。 B=35 G 10 nA /DIV. 500μV /DIV. SOI-STJ 一体型検出器の Nb/Al-STJの可視光 ( 465nm )パルスへの応答 信号 50μA /DIV. 2mV /DIV. Quality Factor (Rdynamic/Rnormal) Si 基板上 : 5 x 105 SOI基板上 : 3 x 105 18 SOI-FET の極低温下での動作 SOI基板上にNb/Al-STJを形成後のFETのI-V曲線 希釈冷凍機で測定 pMOS(750mK) -Ids [A] Ids [A] nMOS(690-750mK) 1mA 1A Width = 1000um Length = 1um Width = 1000um Length = 1um 1nA 1pA Vgs[V] 800mK以下でnMOSもpMOSもFETとして動作 Vgs[V] 19 -Ids [A] nMOS pMOS Vgs[V] Vgs[V] gm [S] gm [S] Ids [A] SOI-FET性能 の温度依存性 Vds[V] Width = 1000um Length = 1um 温度が下がるほど スレッシュホール ド電圧の絶対値が 大きくなり、立ち 上がりも急になる。 温度が下がるほど gmが少し大きくなる。 Vds[V] 20 SOI-FET の極低温下での動作 極低温 100mKでも SOIFETは正常に動作. Ids [A] ● Vgs[V] ● 680mKでの動作時の消費電力 Vds = 0.5 V (red line) :saturation region Ids = 0.09 μA at Vgs = 0.8V 消費電力 = 0.5 V ×0.09 μA = 45 nW/FET for W/L=1.42μm/0.42μm 400FET’s → 18μW Ids [A] W/L=1.42μm/0.42μm V21 ds[V] Channel W/L 依存性 SOI-FET Channel Width(w) Channel Length(L) W=1um×4 L = 1um W=1.42um L = 0.4um W=10um×4 L = 1um @830mK @830mK @830mK これらの極低温でのI-V曲線データを回路シミュレー ターの入力パラメーターとして,今後の回路設計に用 いる 22 先崎・2014年秋季大会トラぺより 低温での増幅動作 測定回路 𝑉𝑔𝑠 = 0.9V 入力: 10m𝐕𝒑𝒑 1.8V Ids [μA] 𝐈𝐝𝐬 −𝐕𝐠𝐬 @ 950mK, 𝐕𝐝𝐬 =0.5V 𝒈𝒎 =0.145mS 𝑅R=100k𝛀 = 100kΩ 出力 𝑉𝑑𝑠 =0.5V NMOS W=1.42μm L =0.4μm 冷凍機 Ids [μA] SOI-STJ 𝐈𝐝𝐬 𝐕𝐝𝐬 @ 950mK, 𝐕𝐠𝐬 =0.9V Vgs [V] 𝒓 =132k𝛀 ⇒ 予想される増幅率 𝑮𝒂𝒊𝒏 = 𝒈𝒎 × (𝑹| 𝒓 ~𝟖. 𝟐𝟓 Vds [V] 23 先崎・2014年秋季大会トラぺより 低温での増幅動作 測定された波形 @ 950mK 期待される値 𝑮𝒂𝒊𝒏 ~𝟖. 𝟐𝟓 増幅率の周波数依存性 1kHz 10kHz 期待された通りの信号増幅を確認 • 周波数応答は 極低温で~1kHzまで – 出力インピーダンスが数百kΩと高いため同軸ケーブルで読み出そうとすると周 波数応答が悪くなる – 低温時の周波数耐性悪化は,長い冷凍機配線によるケーブルキャパシタンスの 24 ため SOI-STJ 3号機の開発 Nb/Al-STJ の信号の増幅器として、 SOI-STJ-v3 試作器を設計試作. 1. 負荷抵抗の代わりにFETを用い飽和領域で動作。 定電流源として使用。 高抵抗→高い増幅率 2. バイアス電圧をFETの耐圧以下で使用可→ 省電力 3. 出力インピーダンスを下げるため→バッファ段. 消費電力が 120μW以下になる (W/L)比が小さいFETを 用いた. 2014年夏より産総研グループがSOI-STJ開発の共 同研究に参加し,CRAVITYプラットフォームを用 いて,SOI基板上にSTJを作成中. 25 先崎・2014年秋季大会トラぺより SOI-STJ-v3 バッファ回路の導入 増幅率の周波数依存性 @室温 ~5kHz ~100kHz OUT 増幅率 IN 増幅段のみ 増幅段+バッファ段 増幅段 バッファ段 出力インピーダン スを下げる 入力信号の周波数 [Hz] ⇒ 室温で、バッファ段による周波数応答の改善を確認. 26 SOI-STJ-v3 のFETの低温での動作確認 ⇒ 極低温0.36Kで、FETが正常に動作. 27 Hf-STJ検出器の開発 Hf-STJ検出器の エネルギー分解能 マイクロカロリメータ: Hf-STJでは, 25meVの光子はクーパー対を壊して,エネルギーを2%の 精度で測定するのに十分な数の準粒子を生成する。Δ(Hf)=0.021meV STJ 検出器エネルギー分解能 E 1.7D( FE) Δ: F: E: エネルギーギャップ Fano factor (= 0.2) 入射粒子エネルギー ハフニウム Hfを超伝導体として用い ると , E / E 1.7% Material Niobium at E 25meV 9.20 Aluminum 1.14 Hafnium 0.13 1.550 0.172 0.021 Tc : 転移温度 Tcの1/10程度の温度で運転 我々がHf-STJ のSIS構造を 世界で初めて観測(TIPP2011で報告) 目標: ニュートリノ崩壊探索実験のために遠赤外一光子のエネルギーを2%の分解 能で測定する。 Hf-STJ (100x100m2 )のI-V曲線 • T~40mK, Ic=10μA, Rd=0.6Ω B=10 Gauss B=0 Gauss STJ size # of samples Rd 200 x 200μm2 3 0.22±0.01 Ω 100 x 100 μm2 3 0.60±0.10 Ω 30 Hf-STJ の光応答信号 光応答 ( 可視光レーザー 456nm 100kHz) 電流電圧曲線 Hf(250nm) Hf(350nm) Si wafer HfOx:20Torr,1hour 1.5nm 陽極酸化膜:45nm 100×100μm2 T=39~53mK Rd=0.6Ω 赤;光照射 黄:光照射なし 電流増加10μA at 20 μV Hf-STJの光応答信号を 世界で初めて観測 V : 20μV/div 実用化には、リーク電流の減少が大きな課題。STJサイズを小さくして試験中。 まとめ ニュートリノ崩壊探索のための検出器開発 分光素子 + Nb/Al-STJによる遠赤外線光子計数 SOI-STJによるSTJ信号の超低ノイズ読出し SOI-STJ上のSTJ: 正常動作を確認 SOI-STJのSOI基板中の nMOS, pMOS: 極低温 <0.8K で正常動作を 温度依存性:閾値電圧は移動,急激な立ち上がり,gmは若干増加 極低温下での増幅を確認 STJに関して産総研と共同研究(産総研のCRAVITYプラットフォームで STJ形成) Nb/Al-STJ試作機は実験要求のリーク電流0.1nA以下を満たす。 新しいSOI-STJ-v3は,現在SOI基板上にSTJ作成中。 今後の予定 STJ信号のSOI-FETによる増幅の確認 SOI電荷積分増幅器部の回路設計 32 Backup 33 Publications and Talks on STJ R&D in JFY2014 (1) Papers and Proceedings 1. 2. 3. "Development of Superconducting Tunnel Junction Detectors as a far-infrared single photon detector for neutrino decay search", Y. Takeuchi et al. To be published as Proceedings of Science(TIPP2014)155 "Development of Superconducting Tunnel Junction Photon Detector on SOI Preamplifier Board to Search for Radiative decays of Cosmic Background Neutrino", K. Kasahara et al. , Proceedings of Science(TIPP2014)074 "Search for Cosmic Background Neutrino Decay", S. H. Kim et al., JPS Conf. Proc. 1, 013127 (2014) Talks in International Conferences 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. "Development of Superconducting Tunnel Junction Detector Using Hafnium for Neutrino Decay Search" K.Takemasa IEEE nuclear science symposium and medical imaging conference 2014@Seattle, USA, Nov. 8-15, 2014 “Development of Superconducting Tunnel Junction Photon Detector with SOI Preamplifier Board to Search for Radiative Decays of Cosmic Background Neutrino", T. Okudaira, (Poster ), IEEE nuclear science symposium and medical imaging conference 2014, Seattle, USA, Nov. 8-15, 2014 "Development of Superconducting Tunnel Junction Photon Detectors for Cosmic Background Neutrino Decay Search" S.H. Kim 2nd International Workshop on Superconducting Sensors and Detectors (IWSSD2014)@Shanghai, China, Nov. 5-8, 2014 ”Experimental search for the cosmic background neutrino decay in the cosmic far-infrared background", Y. Takeuchi Tsukuba Global Science Week 2014(TGSW2014) @Tsukuba, Japan Sep.28-30, 2014 ”Development of Superconducting Tunnel Junction Photon Detector with SOI Preamplifier board to Search for Radiative decays of Cosmic Background Neutrino", T.Okudaira TGSW2014@Tsukuba, Japan Sep.28-30, 2014 "Development of Superconducting Tunnel Junction Detectors as a far-infrared single photon detector for neutrino decay search" Y. Takeuchi Technology and Instrumentation in Particle Physics 2014 (TIPP 2014)@Amsterdam, the Netherlands, Jun. 2-6, 2014 "Development of Superconducting Tunnel Junction Photon Detector on SOI Preamplifier Board to Search for Radiative Decays of Cosmic Neutrino Background" K.Kasahara Technology and Instrumentation in Particle Physics 2014 (TIPP 2014)@Amsterdam, the Netherlands, Jun. 2-6, 2014 Publications and Talks on STJ R&D in JFY2014 (2) Master Theses 1. 2. 3. 4. 笠原宏太「ニュートリノ崩壊からの遠赤外光探索のためのSOI-STJ一体型検出器の開発研究」修士論文(筑 波大)2014年2月 数理物質科学研究科長賞受賞 奥平琢也「ニュートリノ崩壊光探索のためのニオブとアルミニウムを用いた超伝導トンネル接合素子光検出 器の開発研究」修士論文(筑波大) 2015年2月 市村龍哉「ニュートリノ崩壊光探索のためのハフニウムを用いた超伝導トンネル接合素子光検出器の研究開 研究開発」修士論文(筑波大) 2015年2月 金丸昌弘「ニュートリノ崩壊探索ロケット実験の設計のためのシミュレーション解析」修士論文(筑波大) 2015 年2月 Talks in JPS and Domestic Workshops 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. "Development of STJ detector for cosmic background neutrino decay search", K. Takemasa, 新学術領域 研究「ニュートリノフロンティア」研究会 2014, 山梨県,2014年12月21-23日 "R&D status of the SOI-STJ detector", T. Okudaira, 新学術領域研究「ニュートリノフロンティア」研究会 2014 "R&D status of the cold preamplifier", R. Senzaki, 新学術領域研究「ニュートリノフロンティア」研究会 2014 "Far-Infrared source R&D", R. Hirose, 新学術領域研究「ニュートリノフロンティア」研究会 2014 "宇宙背景ニュートリノ輻射崩壊探索実験に向けたSOI-STJ一体型遠赤外光検出器開発", 武内勇司, 第4回 可視赤外線観測装置技術ワークショップ 2014年12月3-4日 "ニュートリノ崩壊光子探索用STJ検出器の較正に用いる遠赤外線源の開発", 廣瀬龍太, 日本物理学会 2014年秋季大会, 2014年9月18日 "ニュートリノ崩壊光探索のためのNb/Al-STJの研究開発V", 森内航也, 日本物理学会2014年秋季大会 ,2014年9月19日 "ニュートリノ崩壊からの遠赤外光探索のためのSOI-STJ検出器の研究開発", 先崎蓮, 日本物理学会2014 年秋季大会,2014年9月19日 宇宙背景ニュートリノ崩壊探索実験計画 2015 (H27) 2016 (H28) 実験設計 2017 (H29) 2018 (H30) 2019 (H31) 2020 (H32) 人工衛星による実験設計 ロケット実験設計 超伝導STJ検出器 極低温1Kエレクト ロニクス、読み出し 回路 分光素子・光学系 極低温冷凍機 測定+解析 Nb/Al-STJ (SOI-STJ) 設計・開発 製作 遠 赤 外 Hf-STJ設計・開発 Nb/Al-STJ設計・開発 線 観 設計・開発 製作 測 ロ ケ 製作 設計・開発 ット 実 設計・開発 製作 験 解析プログラム作成 (衛星実験に向けて) シミュレーション *本特別経費による実施項目は で示す。 設計・製作 設計・製作 設計・製作 解析 Expected Photon Energy Spectra Cosmic Infrared Background Neutrino Decay (τ=1.5 x 1017year) Sharp edge with 1.9K smearing with detector resolution of 0% to 5% Red shift effect 信号検出の可能性 宇宙赤外線背景輻射 + ニュートリノ崩壊からくる光子の エネルギー分布(E0=25meV, τ=1.5 x 1017年) 宇宙赤外線背景輻射 ニュートリノ崩壊光 直径20cm、視野0.1度の望遠鏡 10時間の測定、検出効率100% (衛星実験) dN/dEγ d2Nγ/dEγ2 6.7σ ● 2%以下のエネルギー分解能が必要。 ● 質量50meV, 寿命1.5 x 1017年のν3の崩壊 は6.7σで観測可能。 ● 現在の寿命下限(AKARI) 3 x 1012年 S.H. Kim et al. JPSJ 81 (2012) 024101 宇宙大規模構造の起源 Planck衛星によって観測し た 宇宙背景輻射の温度ゆらぎ 宇宙背景輻射の温度ゆらぎを表す角 度相関のパワースペクトルの理論予 言(ニュートリノ質量に依存) ニュートリノなし no ’s 質量が0 m 0 質量の和が1eV Sm 1eV 高温部分の 角度相関 温度ゆらぎの決定要因: 暗黒物質、暗黒エネルギー、 ニュートリノ ↓ 物質密度の高低を決める 即ち宇宙大規模構造を決定する 大 角度スケール (180°/l) 小 温度が高い所 = 銀河物質密度の高い所 宇宙背景ニュートリノが存在し、質量が大きくな るほど 大角度部分のゆらぎが大きくなる ニュートリノの質量の決定は宇宙大規模構造の形成理解に必須。 ↓ 宇宙物質起源の解明 STJバックトンネリング増幅効果 • トンネルバリアの近傍の準粒子は,次々とトンネル効果を引き起こし 電荷を増幅する – トンネルバリアの近傍の準粒子の存在確率を上げるためトラップ層を置く – Nb/Al-STJ Nb(200nm)/Al(10nm)/AlOx/Al(10nm)/Nb(100nm) • 近接効果によりAlの超伝導転移温度はNbの転移温度に近づく • 増幅効果 2~200倍 放射線(光子) Nb Al Al Nb 40 Nb/Al-STJ光応答信号 赤外線レーザー(λ=1.31μm),可視光レーザー(λ=456nm)に対する応答信号 STJ size 100 x 100μm2 Infrared light(1.32μm) 10pulses T=1.8K (He減圧冷凍機) Noise ~(19±2)photon相当 ( 光 フ ァ イ バ ー で 入 射 ) 赤 外 線 レ ー ザ ー お よ び 可 視 光 レ ー ザ ー 1k I Read STJ V Read STJ size 4μm2 Visible light (456nm) 2pulses レーザーパルス幅 50ps パルス間隔20ns 現在のノイズの大きさはプリアンプの ノイズで決まっている。 41 Noise ~(2.5±0.4)photon相当 SOI(Silicon on Insulator)と極低温でのふるまい Silicon on Insulator ・・・FET等の素子を絶縁膜上に形成する技術。 • 通常PN接合逆バイアスによる空乏層で素子間を分離するのに対し、絶縁膜によ り分離されるためクロストークノイズが小さく、集積化に優れている。 Bulk-CMOS 極低温での動作 SOI-CMOS 通常、極低温ではFETはキャリアの移動度が上昇する事により、空乏層で電荷 が次々と生成されてしまう。 ・・・過電流や閾電圧の変動といった誤作動の原因 FD-SOI PD-SOI • 空乏層領域の非常に薄いFD-SOIプロセ スによって形成されたデバイスでは上記 の誤作動が抑えられる。 • また、source-tie typeを用いる事で、空乏 層内で発生した電荷がBodyに帯電する ことをふせぐ。 42 SOI-STJ 2号試作機 SOI-STJ 1号試作機の問題点 STJのBias電圧及び、Gate電圧の調節が難し い。 Gate Capacitance が非常に大きいFETを使用 しているため、STJの生成電荷数に対する Gate電圧変化が十分に得られない。 波長50μmの1photonに対して予想 SOI-STJ2 される電流変化16pA(100e)に対して のDrain電流のシミュレーション結果 STJの疑似信号 SOI-STJ2 Layout 100k 50M STJ Gate Drain C Source 3M Simulation回路 SOI-STJの2号試作機も0.8KでSOIとSTJの基 本性能が正常であることを確認。 光応答信号をSOI MOSFETで増幅して観測す ることを目指して試験中 . 75 pA 3photon 16 pA 1.5 μs 2photon 1.5 uS 1photon : 300 μV 2photon : 700 μV 3photon : 1 mV 1photon [uS] 43 SOIFETの増幅器としてのふるまい FET単体で最も単純に増幅作用を得られるソース接地増幅 回路としてのふるまいを極低温にて確かめた. この回路における増幅率は W=10um*4 , L=1um Gm=0.003769 W=1um*4 , L=1um Gm=0.0003469 44 SOI-STJ 2号試作機SOIFETの性能試験結果 I-V 曲線の温度依存性 w=1.42um, l = 0.4um 設定した増幅率26.7 実測値 27 相互コンダクタンスの温度依存性 w=1.42um, l = 0.4um 増幅率の 周波数依存性 極低温における増幅器として十分使用可能。 SOI-STJ3 SOI-STJ2の性能評価を現在行っているが、これより 安定した動作が実際の実験では要求される。 読み出し回路のテストのため、 SOI-STJ3を設計。 (400uW以下になる様にW/Lを選択) SOI-STJ2との違い ①前回までは負荷抵抗を用いていたが、PMOSに変更。 飽和領域で動作させ、O(107~8)Ohm ②増幅に用いるNMOSのバイアス電圧がかなりふらつく。 抵抗のフィードバックを入れる事で適切なバイアス点で落 ち着かせる。波形はこの抵抗と増幅のためのNMOSゲー トキャパシタンスのRCで決まる。 ③不可抵抗をPMOSにしてGAINは100程度に設定できた が、出力インピーダンスが非常に高くなってしまっている。 出力前にバッファを入れる。 現在Lapis semiconductorにて成膜中、 完成後,性能評価をおこなう。 46 SOI-STJ4 回路 chip 10um 1.6um STJ 16nA 130mV 10nA 100fF ここに数式を入力します。 1nF 1.33V 1kOhm 603mV 500mV SOI (Silicon-On-Insulator) 前置増幅器 : 極低温1Kで動作する低ノイズ前置増幅器. Nb/Al-STJ(Superconducting Tunnel Junction)を SOIトランジスタの基板上に一体 型で作成した.Nb/Al-STJ 赤外線検出器と SOIトランジスタが共に750mKで正常に動作 した.世界初の検出器. I (1mA /DIV.) V (2mV /DIV.) 産学連携: 筑波大・KEKグ ループが設計したSOI前置増 幅器基板をLAPISセミコンダク ター社が製作、産総研が基板 上にSTJを作成する。試作機の 性能試験を筑波大で行ってい る。 現在、ノイズを低減する改善を順調に進めており、今後2年間で開発を終了して実際の測定装 置の製作に着手する。製作開始の2年後の2018年に完成した測定装置をロケットに搭載して、 ロケット実験を実施。
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