情報社会論

情報社会論
テキスト:『メディア文化の社会学』
内容:(1)基本的に一年生を対象としている。
(2)「メディア文化コース」の入門科目
(3)マスコミ論とセットの関係
目的:メディア社会について考えるキッカケを提起する。
視点やキーワードを身につけて欲しい!
試験:テキストに基づいて定期試験を実施する。
課題:講義中にいくつかミニ課題を出す。
評価:基本的に試験で評価。ミニ課題をプラスする。
他 :加藤晴明のホームページに詳細情報を掲載する。
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■Step1
マスコミ論を超えて
『メディア文化の社会学』1章
論点:
・情報社会=メディア社会の到来
・マスコミ論の視点だけでは不十分
・パーソナルメディアから考えることが必要
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●メディアの歴史(3段階論〜4段階論)
その1:身体表現→声→
その2:文字→活字→
その3:複製メディアの時代(19世紀末〜20世紀)→
電話・ラジオ・映画・蓄音機・テレビ
視聴覚メディアの時代
マクルーハン『メディア論』の大きな期待!
地球村(グローバル・ビレッジ)
その4:電子メディアの時代=この講義の主な対象
日本では1985年 電気通信法の改正
電電公社からNTTへ
通信の自由化
マクルーハンの復活
(インターネット時代の予言者)
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●1985年革命
・スーパーマリオブーム(1985/ファミコンは1983)
〈メディアのパーソナル化〉
▼
〈道具的なメディア利用〉だけでなく
〈コンサマトリーなメディア利用〉
非実利的・非道具的・遊戯的・自足的
▼
メディアの生活内化
※強調したい点:メディア社会を、技術次元で考えるのではなく、
メディアの使用実践、私たちのメディアと共生する感覚、
コミュニケーションの仕方や、リアリティ感覚、自己実現
の次元で考える必要がある。
・・・それが、”社会学的な”思考=メディア社会学
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●疑似現実論・・リアリティとは?
マスメディアの成熟→リアリティのゆらぎ
・マスメディアが現実(リアル)を構築する。
・マスメディア強化説( VS 限定効果説)
・リップマン『世論』(1922)
疑似環境/ステレオタイプ
・ブーアスティン『幻影の時代』(1962)
疑似イベント
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●『幻影の時代』(1962)
・「われわれは、幻影にあまりに慣れきってしまったので、それを現実だと思いこん
でいる。」
・「われわれは、現実ではなく、現実の代わりに置き替えたイメジに取りつかれてい
る。」
・「いきいきしたイメジのほうが青ざめた現実を圧倒するにいたった。」
・「成功した政治家とは、疑似イベントを作り出す新聞やその他の手段を巧みに利
用する人を意味する。」
・「テレビの発達は、それ以前の複製技術の進歩と同じように、より多くの、そしてよ
り精巧な疑似イベントを作り出すのに成功したのである。」
・「・・・カメラは「重要な」出来事---祝典の劇的性格を強調する出来事---のみに注意
深く焦点を合わせた。
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●ブーアスティンまとめ
①〈オリジナル 対 コピー(人工・疑似現実)問題〉
▼
「マスコミのつくる現実にだまされないように」
▼
②彼の議論を発展させると、最近盛んな、
〈メディア・リテラシー〉論となる。
これはいわば、賢い視聴者(情報消費者)づくり?
▼
むしろ、大きな主題は・・・
③〈メディアの惑乱的な力〉を語ったのではないのか?
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●マスメディア論の構図
・マスメディア論の基本構図は二元論
送り手論(ニュース制作過程)と受け手論(オーディエンス)
▼
基本的問い=送り手が強いか? 受け手が強いか?
〈受容過程論〉 強化説(パワフルメディア論)
限定効果説
これは、マスメディア論だけではない。
★20世紀の「大衆社会論」の共通構図
・メディアを駆使して大衆を先導するエリート
・自ら支配されることを望む愚鈍な大衆
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●ニューメディアへの期待
ニューメディアへの期待:
1970年代:ワイヤードシティ・ブーム
1980年代初頭:ニューメディア・ブーム
1980年代後半:パソコン通信・ブーム
1995年:インターネット・ブーム
情報技術(IT)を使って、マスメディアの限界を超える。
oneway
/東京集中(日本の8割) /同時一斉の定時放送
▼
双方向性/コミュニケーション/相互接続性
Rice. R. E The New Media (1984)
強調点:〈境界のあいまい化〉と〈インターアクティビティ〉
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●受け手論からの抜け道
(1)多チャンネル化・選択肢の拡大
(2)批判的視聴者への期待
(3)地域メディア/市民メディアへの着目
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(1)多チャンネル化
批判される視聴者像:
あまりチャンネルを変えずに、人気番組を漠然とストーリーに
沿いながら、一方的に視聴しているオーディエンス
▼
積極時な視聴行動/選択的な視聴行動に模索する
◎例:リモコンやビデオが、能動的なオーディエンスを可能にする。
〈ザッピング〉番組途中でChを切り替えてCMを回避
〈フリッピング〉複数のChを平行視聴
〈ジッピング〉ビデオ再生時にCMを早送り
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(2)批判的視聴者への期待
カルチュラル・スタディーズ(CS)
※イギリスの非主流の大学から始まった。
世界的に普及してきている学問的な考え方・立場。
日本でも、中堅・若い世代に影響力をもっている。
国民的な視聴者、中性的・無色の視聴者なんてない!
「優先的読み取り」・・・こう、読み取りなさい!
「支配コード」
「対抗的コード」例:少数民族、ジェンダー、マイノリティ
▼
読み手は、セグメント化(分節化)されている。
それぞれの分節的な世界に基づいて読みのコードがある。
文化的世界もまた政治的せめぎあい場なのだ!
例:日本(ヤマト)対沖縄、ヤマト対在日、男性対女性
ヘテロセクシズム対ホモセクシズム
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(3)地域メディアへの着目
・日本のマスメディアの集中の構図
全国紙・全国ネットワークの独占・強大化
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「おらが町の放送局」「おらが町のメディア」
地域密着型メディア
地域からの情報発信=地域情報社会
ビデオテックス、ケーブルテレビ、地域パソコンネット、ミニFM、タウン誌、
ミニコミ誌、コミュニティFM
「自主放送では、地域住民の制作した番組やビデオ作品の放送、住民の出演
する番組などをもつことができるから、住民の自己表現あるいは自己発信の
機会を実現するメディアである。」(清原慶子)
例:大分県大山町、各地にたんさんあった有線放送電話
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●多様なメディア経験
三っの「抜け道」がすべてなのだろうか?
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問い:多様で錯綜したメディア経験があるのではないのか?
問い:人はなぜ、メディアにかくも酔いしれるのか?
〈メディアの惑乱的な特性〉はなぜ生じるのか?
偏愛的でディープな実践は、なぜ生まれるのか?
〈パーソナルなメディア経験〉が深く定着ししてきた。。。
技術論/道具論/効用・機能論だけで説明できるのか?
①コンサマトリー論から説明する
②自己語り願望や「自己物語」願望で説明する
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●地域メディアとしてのコミュニティFM
写真:岩見沢市・FMはまなす(2004/1月)
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●地域メディアとしてのコミュニティFM
日本一資本金の少ない放送局?:G Sky 北海道滝川市
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●究極の地域メディア:有線放送電話
※強制聴取/エリア内電話と声放送+インターネット
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◎地域メディア(動画)
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