社会に欠かすことのできない車体工業会会員が 製造している多種多様な 「働くクルマたち」 につい ③ オールテレーンクレーン 資料提供:㈱加藤製作所 特徴 て毎回、車種を選定してその特徴等、日頃は目にし オールテレーンクレーンは、 トラッククレーンの高速走行 ないところを含めて紹介していく。 性とラフテレーンクレーンの不整地走破性を兼ね備えた 今回は、第5回目として特装部会の会員が製造し クレーン車で、道路走行が可能な大型クレーン車の主流と 採用して居住性の向上を図り、 エアーサスペンション付シー ている 「クレーン車」 を紹介する。 なっている。 (日本国内での公道走行時は、ブームや上部 トや夜間移動時の休息用に格納式ベッドをキャブ背面に装 旋回体などを分解して輸送する必要がある) 備してオペレーターの疲労を軽減する装備を充実させた。 シャシは大径のシングルタイヤを装備し、多軸駆動、多 また、 クレーン装置ではブーム (6段最長52m) の先端にSL クレーン車は、19世紀末アメリカで開発されたパワーショベルのフロントアタッチメントにクレーンを装着したものが 軸操舵が特徴である。サスペンションは、 ハイドロニューマ ジブ (4段最長26. 6m、最大オフセット角度60° ) を装着する 起源とされ、 日本でも20世紀中ごろから登場することとなった。以降技術開発が進み、 チックサスペンションが主流であり、サスペンションロック ことにより、 高揚程で懐の深い作業が可能になる。 ①トラックのキャビンと荷台の間に簡易クレーンを装着した積載型トラッククレーン や車高調整などの姿勢制御が可能である。ステアリング ②クレーン専用シャシの上に大型クレーンを装着したオールテレーンクレーン は、 全軸操舵が可能で、 多様な操舵モードが設定できる。 建設機械に分類される クレーン装置では、高張力鋼を使用して軽量化が図られ ③一つの運転室でクレーン作業と道路走行操縦を行なうラフテレーンクレーン た長尺ブームと、ブーム先端に伸縮起伏が可能なジブや など、様々な用途に対応したクレーン車が登場した。なお、 自動車の登録上の整理では、①は貨物車 (1又は4ナンバー) 、 ラチス構造の軽量長尺なジブを装着することにより、高揚 ②は特種車 (8ナンバー) 、③は大型特殊車 (9ナンバー) となる。 程作業や障害物越え作業などの様々な作業に対応できる 第5回 : クレーン車 1. クレーン車とは? 新型のKA-1300SLでは、 フルサイズの走行用キャブを KA-1300SL オールテレーンクレーン (構内走行姿勢) ように工夫されている。 2. 主要車種 最大吊上げ荷重 130 トン ① 積載型トラッククレーン 資料提供:古河ユニック㈱ クレーンを主にトラックの運転席と荷台の間に取り付けた 車で、 クレーンはトラックのエンジンから得られる動力で油 特徴 ブーム : 53.1m/ブーム+ジブ : 79.6m 最大作業半径 ブーム : 46.0m/ブーム+ジブ : 56.0m 車両寸法 全長14,565mm×全幅2,990mm×全高4,000mm 参考 ラフテレーンクレーン 環境対応型クレーン U-can ECO (UR-U344NRSKK) 圧を発生させ、 それを動力源とする油圧式クレーンです。 最大地上揚程 資料提供:㈱タダノ ラフテレーンクレーンとは、一つの運転席で走行とク また、燃料消費モニタ、 エコ・モード等の省燃費機能によ レーン操作が行えるクレーン車のこと。不整地や軟弱な地 る環境への配慮、 GPSによる位置情報確認、保守管理の為 い、一般のトラックとして荷物の運搬 (物流) もこなす多用 盤でも走行できるほか、狭い現場での機動性にも優れ、 コ の情報をウェブサイトでサポートするテレマティクスWeb 途な車両です。 ンパクトさと小回り性を活かして、都市型工事において、最 情報サービス 「HELLO=NET」 を装備している。 近年のクレーンは、遠隔操作が可 も活躍しているクレーン車である。最大吊り上げ荷重4. 9 能なラジコンモデルや油圧回路の トンから70トン吊までの5タイプと、ふところの深い作業 荷物の吊り上げ作業のみを行うクレーン専用車とは違 改良によりエンジン回転数を低く抑 えた『低燃費・低騒音』の環境対応モ デルなど、ユーザーニーズの更なる 広がりが見られる。 に適した、 ピタゴラスの計6種類がある。 最大吊上げ荷重 2.93 トン 最大地上揚程 約11.7m 最大作業半径 9.81m 特徴 クレーン作業において、なによりも重要な安全に関する 機能として過負荷防止装置 (AML) 、 作業範囲制限装置、 起 直感的な操作が可能な ジョイスティック型ラジコン ② 荷台内架装用クレーン 伏緩停止機能など各種の安全装置が搭載されている。 資料提供:㈱タダノ クレーンをトラックの荷台内に架装した車で、 クレーンはトラックのエ ンジンを動力源とする油圧式とトラックのバッテリを動力源とするバッ テリ式がある。 特徴 小型トラック3. 5トン車級~軽トラックまで、車両に合わせた架装が 可能な全5タイプ7機種を揃え、積載型クレーン同様、 フック・インやフッ ク・アウト機能、ラジコ ン機も選択可能。 働くクルマたち 空車時最大クレーン容量 490kg×1.6m (1本掛) 最大地上揚程 約5.3m (4段目) 最大作業半径 約4.12m (4段目) 39 ZEROHAN : E074 CREVO700G3α GR-700N 最大吊上げ荷重 70 トン 最大地上揚程 ブーム : 45.2m/ブーム+ジブ : 63.0m 最大作業半径 ブーム : 34.0m/ブーム+ジブ : 39.8m 車両寸法 全長12,765mm×全幅2,780mm×全高3,750mm 3. 生産台数 年度 (台) 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 積載型トラッククレーン 13,435 12,148 4,813 6,716 10,291 13,514 15,997 オールテレーンクレーン 89 338 172 62 125 117 157 ※ラフテレーンクレーンは、 当会の対象外車種で統計がない。 40 働くクルマたち
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