書評報告3 ラーメン屋vs.マクドナルド エコノミストが読み解く日米の深層 新潮社 竹中正治著 06A2100H 谷澤佑介 本書の狙い 著者によると・・・ • 日米の比較を通して、経済、文化、政治、宗 教の諸問題を読み解く • 日米の経済、文化モデルの比較を通じて、日 本人の「軸足」を考える →アメリカと比較を通じて、日本をより深く理 解して、今後の日本の軸を考える 1章 マックに頼るアメリカ人 vs.ラーメンを極める日本人 • マクドナルドモデル(米) 市場の最大公約数的な需要・好みを対象にして製作 される。パターンのマンネリ化や標準化に陥りやす い。 • ラーメンモデル(日) 最大公約数の需要(好み)よりも、製作者が自分らの センスにこだわって、多種多様なものを創出、供給 する。ゆえに、多様でユニークなものが供給される。 1章 • キーワード 「創造性」 →日本人は一般的に模倣に長けているが、 創造性に欠くと言われている。しかし、日本の 文化には文化的要素の雑多性、多様性があ り、また職人のように各自が製品にたいして、 こだわりを持つことで、独自性が生まれ、そこ に日本の文化の良さがあるのではないか 2章 希望を語る大統領vs.危機を語る総理大臣 • 希望駆動型(米)と危機駆動型(日) →日本では危機管理が杜撰と言われている。 これは失敗した場合の代替案を容易し、失敗 の要因、法則性を抽出し、未然に防止する仕 組みを整えるということを苦手としているから ではないか。などで、失敗から学習し、自ら課 題を設定して、挑戦を繰り返すべき。 3章 ディベートするアメリカ人 vs.ブログする日本人 • 対面文化のアメリカ 教育において重点を置かれるのは「話す」訓練。口 頭プレゼンやディベートに費やされる時間が多い。 • 文字文化の日本 教育において、「書く」訓練に費やす時間が多い。そ のため、数学の計算能力などは比較的に高い水準 であるが、口頭プレゼン能力は相対的に低い。 3章 →そのため、国際舞台であまり喋らない日本 人は損をしているのではないか →文字文化のためか、ブログが発達し、そこ ではコメントという形で発言を多くしている。つ まり自分の意見を言いたいという衝動はある のだから、公の場でも書き込むのと同じ調子 で発言してみれば、日本の社会も変わるかも 4章 「ビル・ゲイツ」vs.「小金持ち父さん」 • 日本ではよく投資において保守的で、リスク 回避型といわれる →様々ある一因の中に金融資産の格差分布 があるではないか • 超格差社会アメリカ ビル・ゲイツなどを代表する超資産家層に富 が集中することで、巨額のリスクテイク資金を 生み出し、国際的に投資・買収を展開 4章 • 日本の場合 戦後の財閥解体、農地改革(地主階級の解 体)などを行ったことで、比較的に富の格差が 小さくなった。そのため、残高数億円以上の 金融資産が上位の僅かな資産家層集中する 米国に対して、日本は残高数千万円の金融 資産が比較的広く薄く分布している。 →富の大半は無数の「小金持ち父さん」が 握っており、リスク許容度が低い。 5章 一神教vs.アニミズム 日米の3大スーパー・ヒーロー • スーパーマン・スパイダーマン・バットマン(米) キャラクターはすべて人間型。つまり、ヒーローは空 想の中の自己の分身である。 • 鉄腕アトム・ウルトラマン・ゴジラ(日) 一言でいえば、非人間型。また、言うなれば「日本的 なアニミズム神の概念」ではないか. →日本のキャラクターには非人間、非生物にも魂を 感じるアニミズム的要素を色濃く感じる。 6章 • 消費者の選別vs.公平な不平等 保険やクレジットカードの発行に関して・・・ • アメリカ(消費者の選別) 顧客を評点法(スコアリング方式)で分類し、 セグメント(顧客分類)別の価格体系が徹底さ れている。そのため、情報が少なく、信用が 低い顧客には高い価格を設定される。あるい は、カードなどは発行さえもしてもらえない場 合もある。 6章 • 日本(公平な不平等) 均質なサービス、価格の標準化が支配的であり、一 律価格体系であったりする。この体系は安定感や安 心を感じる人もいるが、例えばクレジットカードに関 して言うと、一律金利が適用されると優良ユーザー が不良ユーザーの貸し倒れコストを負担する度合い が増えることになる →一律価格による「表面的な平等性」は[実質的な 不平等・不公平」でもある。 評価(感想) • 日米の文化、思想の違いを身近な例で比較 することで、日米の違いをわかりやすく知るこ とができた。 • 各章共通して、話があちこちに飛ぶので、結 論として著者に何が言いたいかが正直わかり にくかった。 ・・・なので、スライドにまとめるのがうまくでき なかった。
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