プラズマ工学 九州工業大学電気工学科 趙孟佑 No.5 〜荷電粒子の基礎過程〜 〜荷電粒子の基礎過程〜 参考書:真壁利明、プラズマエレクトロニクス、培風館 1 衝突断面積 面積 A 分子の断面積 分子密度n x+dx x 電子 典型値 ~10-20m2 速度 v x=0 上に示された体積中の分子の数 分子によって覆われる面積 dx進む間に衝突する確率 N n nAdx N n nAdx N n nAdx n dx A A 2 衝突断面積 Ne No exp n x • σは衝突断面積と呼ばれる • 代表値として、水素原子の円軌道半径 (ボーア半径)a0=5.29x10-11mを考える a02 8.79 1021 m2 大体、10-20m2(Åの2乗)と考えて間違いはない。 3 平均自由行程 • 自由行程:ある衝突をしてから、次の衝突 をするまでに空間を飛行する距離 N e n dx 自由行程がxからx+dxである確率 N0 Nen dx 自由行程の平均(期待)値 mfp x N0 0 N0 exp n x dx Nen dx 1 mfp x n x N0 N0 n 0 0 λmfpを平均自由行程と呼ぶ mfp 1 n 4 衝突周波数 • 平均自由行程を進むと1回は衝突する • 衝突と衝突の間の平均時間:衝突時間 col mfp v 1 n v 単位時間に衝突を起こす回数:衝突周波数 col 1 col v mfp n v nv 5 運動量保存 m1 v1 m1 m2 v2 v1’ m2 v2’ before collision after collision • 衝突している時間(10-16s秒程度)に、外力が働かない • 粒子の全運動量は保存される • 質量中心の速度の運動エネルギーが保存される 6 運動量保存 m1 v1 m1 m2 v2 before collision 運動量保存 エネルギー 質量中心速度 相対速度 換算質量 v1’ m2 v2’ after collision r r r' r' m1v1 m2 v2 m1v1 m2 v2 1 1 1 1 Ek m1v12 m2 v22 (m1 m2 )vg2 vr2 2 2 2 2 r r 不変 m1v1 m2 v2 r 変化 vg vg は衝突前後で変わらない m1 m2 r r r vr v1 v2 もし、変わるものがあるとす m1m2 ると、相対速度vrだけが変わる m1 m2 7 弾性 or 非弾性 衝突前のエネルギー 衝突後のエネルギー 1 2 1 '2 vr vr E 2 2 E 0 弾性衝突 質量中心系 E 0 非弾性衝突 (運動エネルギーが内部エネルギーになる) E 0 非弾性衝突 (内部エネルギーが運動エネルギーになる) 8 励起衝突 • 重粒子の内部エネルギーを励起する – 回転、振動(分子のみ、原子にはない) rotational axis – 電子励起 1eV vibration 1eV 0.001~ 0.01eV rotation N from 高村 e 9 エネルギー準位 ボーアの水素原子モデル laserion.elcom.nitech.ac.jp/ ~erbium/members/eryu/kougi/semi/semicon3.do 水素原子のエネルギー準位図 http://www2.kutl.kyushu-u.ac.jp/seminar/MicroWorld/Part4/P43/Bohr_theory.htm • 水素のエネルギー準位は以下の離散的値をとる E1 En 2 n mee4 E1 2 2 13.6eV 8 0 h 10 エネルギー準位 • 下順位から上準位への遷移 – 励起(衝突、光吸収) • 上準位から下順位への遷移 – 光を放出する – hν=E上-E下 http://www2.kutl.kyushu-u.ac.jp/seminar/MicroWorld/Part4/P43/Bohr_theory.htm 11 励起衝突 Potential energy (eV) • 電子-分子衝突における電子励起 核間の距離 (Å) Fig. 2原子分子のポテンシャル (N2) from 真壁 12 励起衝突 Potential energy (eV) • Franck-Condon の原理 – 電子が上位準位に励起されるとき、核間の距離は殆ど変わらない – 電子はポテンシャル図で垂直に励起される 核間の距離 (Å) 13 解離衝突 e + H2 -> e + H + H 電子が上位準位に励起される 二つの核が解離曲線にそって動 く 分子は先ず8.8eV を貰う必要 8.8-4.5=4.3 eV が余るが、これは 分離した自由なH原子に与えられる from 高村 example of H2 molecule 14 電離衝突 energy (eV) 自由状態への励起 Energy states of Argon atom from 真壁 15 電離電圧 from 高村 16 電離断面積 ピークは大体50~100eVで10-20m2程度 エネルギーが高すぎると(電子が速すぎる)と共鳴しない17 非弾性衝突における損失エネルギー m1 m1 v1 静止と仮定 m2 v2’ before collision エネルギー保存 運動量保存 after collision 1 1 1 m1v12 m1v1 2 m2 v2 2 E 2 2 2 r r r m1v1 m1v1' m2v2' ' 2 v m1 r r ' = v1 v1 m2 代入 18 非弾性衝突における損失エネルギー エネルギー保存 運動量保存 1 1 1 m1v12 m1v1 2 m2 v2 2 E 2 2 2 r r r m1v1 m1v1' m2v2' ' 2 v m1 r r ' = v1 v1 m2 代入 1 1 1 2 2 2 E m1v1 m1v1 m2 v1 v1 2 2 2 v’1で微分して、ΔEの最大値を求める Emax m2 1 2 m v 1 1 m1 m2 2 初期エネルギー 19 非弾性衝突における損失エネルギー Emax m2 1 2 m v 1 1 m1 m2 2 初期エネルギー m2>>m1の時、初期エネルギーの殆どを内部エネルギーとして 与えることができる 電子は弾性衝突で重い相手に運動エネルギーを与えることは難 しいが、非弾性衝突で内部エネルギーを与えることはできる 20 付着 For O2 分子 解離性付着 O + Oe+O2 [O2-]* 準安定 e+O2 O2*+e (+M) the third body (takes energy) O++O-+e O2- 3体付着 イオン対形成 準安定状態: 光を出して下順位に移ることができず、長時間(<10s) その準位にとどまる 21 付着 Fig. O2の解離性付着断面積 Fig. O2のポテンシャルエネルギー From 真壁 22 電子親和力 • 電子を付着して抱えこんだ時のポテンシャルの深 さ • 付着を解消するには、このエネルギーを与えて電 子を引っ張りださないといけない • 電子親和力が大きい程、負イオンになりやすい 原子 電子親和力(eV) 分子 電子親和力(eV) F 3.56 F2 3.08 Cl 3.72 Cl2 2.38 Br 3.81 Br2 2.51 I 3.23 I2 2.58 O 1.46 O2 from 真壁 23 電子親和力と電離エネルギー http://www.geocities.jp/amy_chemistry/chemistry19.html 24 電子付着と電離 1 cross-section (10 m ) 2 102 20 103 10 0 10 付着断面積 電離断面積 10-1 10-2 10-3 10-4 0.01 0.1 1 10 electron energy (eV) 100 SF6ガスの電離断面積と付着断面積 • SF6ガス等は非常に大きな付着断面積をもつ • 電子が発生しても、電離しないで、付着する • 放電が進行しない – 電気絶縁に多用 25 SF6ガスと電気絶縁 • 電力機器の高電圧化、小型化に貢献 26 イオン-中性粒子の衝突 A+ + B -> A+ + B 弾性衝突 運動量やエネルギーを効率よく移す mA≈mB A+ + B -> A + B+ 電荷交換衝突 同種の粒子同士では断面積が極めて大きい 非常に高速な中性粒子を作れる fast ion fast neutral Ar+ + Ar -> Ar + Ar+ slow neutral slow ion 27 2 cross section (10 -20m ) イオン-中性粒子衝突 80 70 60 50 40 30 20 10 0 0.1 elastic charge exchange 電荷交換 弾性 1 10 100 1000 ion energy (eV) Ar+ and Arの間の衝突断面積 電子と中性粒子の衝突断面積よりも一桁大きい 28 クーロン衝突(荷電粒子間衝突) 電子 散乱角 正イオン (静止と見做せる) 距離r0でのクーロン力 F イオンの周辺に居る時間 e2 4 or02 T r0 v 29 クーロン衝突 ei e4 16 Te 2 o 2 ln 12 n3d ln は大体 10 From Chen 30 電子-イオン再結合 3体再結合 light electron (-) 放射再結合 proton (+) neutron 31
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