「ネット上のいじめ」 早期発見・早期対応について はじめに インターネットの発達に伴い、近年「ネット上 のいじめ」が多く報道されています。 この研修を通して、「ネット上のいじめ」の早 期発見方法や具体的な対応方法を身に付け てください。 「ネット上のいじめ」を見逃さないためにどの ような取り組みが考えられるでしょう。また、ど のように対応すればよいのでしょう。一緒に考 えていきましょう。 「ネット上のいじめ」とは… 「ネット上のいじめ」とは、パソコンや携帯電 話・スマートフォンを利用して、特定の子どもの 悪口や誹謗中傷等をインターネット上のWebサ イトの掲示板等に書き込んだり、メールを送っ たりするなどの方法により、いじめを行うもの。 【出典 「いじめ対応マニュアル」 平成25年3月 (兵庫県教育委員会より)】 「ネット上のいじめ」の特徴としては… ①被害が短時間で極めて深刻になる ②簡単に被害者にも加害者にもなってしまう ③個人情報や画像が流出し悪用されてしまう ④実態把握や対策をとることが困難となる 出典 「ネット上のいじめ」に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け) 平成20年11月文部科学省 「ネット上のいじめ」を受けた人の相談相手 出典:ネットいじめ・誹謗中傷の解消に向けて (インターネット社会におけるいじめ問題研究会) 考えてみましょう 「ネット上のいじめ」に関する 情報をつかむためには どうすればいいでしょうか? ワークシート① 「ネット上のいじめ」に関する情報をつかむため には、どうすればいいでしょうか? ・学級担任としてできること ・学校としてできること → 発見するために 学級担任として ・学級懇談会や通信で保護者に啓発 ・カウンセリングタイムの活用 ・振り返り日記、生活日誌の活用 など 学校として ・ネットパトロールの実施 ・保護者を交えた学習会の実施 ・アンケート調査の実施 など 保護者からの情報を得やすくする 児童生徒の実態を把握できる こんな事例がありました *保護者から 「家族の前で急にメールを見なくなった」 「着うたを楽しんでいたのに、着信音をOFFにするように なった」 *生活日誌から 「携帯買ってもらったけど、買わなければよかった」 *カウンセリングタイムの活用で 「最近○○君がネットの掲示板で悪口を書かれている」 情報収集ができ、早期発見につながる 【参考】 「ネットパトロール」 学校非公式サイトやブログ、プロフ等に、誹謗・中傷の書き込み が行われ、「ネット上のいじめ」等が起こっていないか、チェック することを「ネットパトロール」と呼んでいます。 ・教育委員会や学校が、民間企業等から携帯電話の貸与を受け て「ネットパトロール」を行っている例 ・外部に委託している情報教育アドバイザー等に任意で「ネット パトロール」に協力してもらっている例 ・学校の生徒指導担当教諭がネット上の学校非公式サイト等を 毎日チェックしている例 今後は、地域ボランティアやPTAなどと連携しながら、「ネットパト ロール」の体制を整えていくことも考えられます。 インターネット見守り隊 具体的な取り組み (1)サイバーパトロール ①自主サイバーパトロール 隊員自ら出来る時間・出来る範囲をサイバーパトロー ルする。 ②特別サイバーパトロールⅠ あらかじめ日時・期間等を設定し、その日時・期間に 一斉サイバーパトロールを行う。 ③特別サイバーパトロールⅡ 長期休業中の期間、又はトラブル発生が予測される場 合には、集中的に数日間連続してサイバーパトロール を実施し、情報交換を行う。 (2)啓発活動 ①PTA指導者主催の情報モラル学習会等の計画と実施。 【PTA保護者会】 ②学校の発行する広報誌(学校新聞・生徒指導通信)や関 係機関とタイアップするなどして情宣活動を実施する。 (3)関係機関との連携 教育委員会・警察・その他関係諸機関、諸団体との連携を 図る。 ・生徒のネットモラル意識の向上 ・ネットトラブルに対する抑止力 学校が行うネットパトロールの 仕方 1 誰が… 情報教育担当者、生徒指導担当者等 2 どのように… 「学校名(児童生徒が通常呼称している学校名)」か ら検索 3 監視の対象となるサイトは… ①人気の高い大規模な掲示板 ②個人で作成したプロフやブログ ③プロフやブログに付属した掲示板等 4 監視内容 ①個人情報の公開をしていないか ②誹謗中傷をしていないか等 考えてみましょう もし、「ネット上のいじめ」が起こっ たら、あなたはどのように対応しま すか? ワークシート② クラスの保護者から、「うちの子の悪口が掲示板 に書き込まれていて、学校に行きたくないと言っ ている」と相談がありました。 学級担任であるあなたは、どのように対応しま すか? → 対応 ①事実確認 ②被害児童生徒へのケア ③加害児童生徒への適切な対応 ④書き込みの削除依頼(被害の拡大を防ぐ) ⑤保護者への対応 ※ 1人で抱え込まず複数で対応する。 ※ 関係機関への相談も重要である。 ①事実確認 1 書き込み内容の確認 2 その掲示板のURLを記録する 3 書き込みをプリントアウトする *プリントアウトが困難な場合はデジカメで撮影 ②被害児童生徒へのケア *いかなる理由があっても徹底して被害児童の味方になる。 ▽いじめを絶対に許さないことを伝える ▽子どもの良さを認めて励ます *表面的な変化で判断せず、支援を継続する ▽経過を見守ることを伝え、学校や信頼できる教師の連絡先を 教える ③加害児童生徒への対応 *行為の背景を理解しつつ、行った行為に対して毅然と指導する。 ▽被害者の辛さに気付かせ、加害者であることを自覚させる ▽いじめは決して許されることでないと分からせる ▽不平不満など本人が満たされない気持ちをじっくり聴く *これからを内省させる ▽いじめに至った自分の心情や行為を振り返らせ、今後の行動の仕 方について考えさせる ④書き込みの削除依頼 1 削除依頼の方法 掲示板等の管理者に削除依頼 →管理者へメールで依頼 2 (削除されない場合等) プロバイダー(掲示板サービス提供会社等)に削除依頼 3 (それでも削除されない場合) 警察や法務局へ相談 削除依頼例 出典:『ネット上のいじめ』に関する対応マニュアル事例集 平成20年11月 文部科学省 ⑤保護者への対応 (被害児童生徒の保護者へ) 1 学校の対応について説明 (指導内容)今後の方向性等について 2 子どもの様子について (加害児童生徒の保護者へ) 1 再発防止、利用方法について注意喚起 おわりに 「ネット上のいじめ」を早期発見したり、万一 発見した場合に迅速に対応することで被害を 最小限に抑えることができます。 わたしたち一人ひとりが「ネット上のいじめ」 を許さない、見逃さないといった強い意識を 持って日々の活動に取り組んでいきましょう。 みなさん一人ひとりの熱意や地道な取り組 みが「ネット上のいじめ」の解消につながって いくはずです。
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