第1章 第1回講義の学習内容

第2回講義 (4/17) の学習内容
 平均値、分散、不偏分散、標準偏差
の定義と手計算の方法を学ぶ。
 手計算での開平(平方根の計算)の
方法を学ぶ(20枚目までで終了)。
平均値、標準偏差等の計算
は何のため?



心理学の実験や調査等で得られたたくさんの数
値データの特徴を、2,3の指標でもって簡潔に
言い表すため。
例えば、基礎実験で行った視覚探索の実験で、
30行から成る刺激配列のうち標的文字を含む
行数を数え上げるのに要する秒数のデータが百
名分得られたとする。
この百名の所要時間のデータの特徴を集約す
る1つの方法は、度数分布を描くことだろう。
度数分布の表すデータの視覚的情報を
2,3の簡単な数値で表すとしたら?


1つは、百名の
グループの所要
時間を代表する
値(代表値)であ
り、
他方は、グルー
プの所要時間の
広がり具合(散
布度)であろう。
度
数
代
表
値
所要時間(秒数)
散布度
代表値と散布度の各種指標と
平均値、標準偏差(分散)

岩原のテキストの第4章、第5章にあるように、
(1)代表値には、最頻値、中央値、算術平均(あ
るいは単に平均)、幾何平均などがある。基
礎実験で計算した平均値は、その1つである
(2)散布度には、範囲、平均偏差、標準偏差(分
散)、変異係数などがある。基礎実験で計算し
た標準偏差は、その1つである。
これらの章を、きちんと復習しておくこと。
尺度の性質と、適切な代表値や散布度
の選択の必要性



心理学で扱うデータは、それがどのような尺度レ
ベルで得られたかにより、通常4つ(名義、順序
、間隔、比率尺度)が区別される(岩原、第1章
1.3 節をきちんと読んでおくこと)。
データがどの尺度レベルで得られているかによ
り、我々は代表値や散布度のそれぞれから適切
なものを選択する必要がある。
例えば、男を1,女を2とコード化した百名のデ
ータの代表値として、平均(値)は適切でない。
心理尺度の4水準のまとめについては
千野HPテキスト「心理統計学」参照


岩原のテキストと共に、心理尺度の4水準につ
いては、つぎの千野のホームページの講義テキ
ストの「心理統計学」の第1章の「尺度レベル」を
クリックすると簡潔にまとめたものを見ることが
できる:
http://www.aichigakuin.ac.jp/~chino/psycstat/chapter1/sec1.h
tml
第1章の学習内容の全容
「心理統計学 I, II」 Version 2.06


第1章の学習内容の全容を、まずテキスト
「心理統計学 I, II」 Version 2.06
の第1章を開けて、見てみよう。
同時に、プロジェクターでも千野のホームペ
ージの講義ノートの中の
「心理統計学」
の第1章を示すと、つぎのようになる。
計算時の一般的な注意事項
計算には、春学期の場合、絶対に卓上計算機
や携帯電話の計算機能を使わないこと。
 もし、使っているのを見つけたら即零点とする。
 計算時には、途中でもすべて小数第3位を四捨
五入し、小数第2位までを求めよ。小数第2位ま
でで割り切れる場合も、例えば 27.5 の場合、
27.50 と表記せよ。

平均値の定義と計算上の注意

平均値の定義
N
1
x   xi
N i 1
x1  x2    x N

(1.1)
N
平均値の計算例
データは、サンプル数、すなわち N=5 で、
15, 67, 31, 89, 44
とする。
 この時、

15  67  31  89  44 246
x

 49.2
5
5
分散の定義
分散の定義
N
1
2
vx   ( xi  x)
N i 1
1
2
2
 [(x1  x)    ( xN  x) ] (1.2)
N
定義式による分散の計算例

データは、サンプル数、すなわち N=5 で、
15, 67, 31, 89, 44 で、平均は 49.2 なので、
定義式による分散 vx は、つぎのように計算で
きる:

1
2
2
2
vx  (15  49.2)  (67  49.2)    (44  49.2)
5

計算間違いの少ない分散の手計算

手計算の方法
平均値の二乗を
引くことに注意
1 N 2
2
vx   xi  ( x )
N i 1
1 2
2
2
2
 ( x1  x2    xN )  ( x)
N
(1.3)
間違いの少ない方法による分散の計算例

データは、サンプル数、すなわち N=5 で、
15, 67, 31, 89, 44 で、平均は 49.2 なので、
手計算による分散 vx は、つぎのように計算できる:


1 2
2
2
2
2
2
vx  15  67  31  89  44  49.2
5
15532

 2420.64  3106.4  2420.64
5
 685.76
不偏分散の定義と計算上の注意

不偏分散の定義
N ではなく、N-1
で割ることに注意
1 N
2
ux 
( xi  x)

N  1 i 1
N

v x 実際の計算はこちら (1.4)
N 1
不偏分散の計算の具体例

定義より、不偏分散は、うえの具体例では、
N=5, vx=685.76 なので、
5
5
u x
 v x   685.76
5 1
4
3428.80

 857.20
4
標準偏差の定義と計算上の注意

標準偏差の定義
分散の開平(平方根)
の計算が必要
sx  vx (1.5)
分散の開平(平方根の)手計算-1
例1 31.3 の開平
 まず、この値を小数点の位置から左右
に2桁づつ区切りを入れる。

31 | 30 | 00 | 00 |
小数点の位置
分散の開平(平方根の)手計算-2

二乗した時、左端から見て最初の区切りに位置
する数値(この例では、31)を超えない最大の
数値5を立てる。
小数点をここに打つこと
5
・
31 | 30 | 00 | 00 |
左端
分散の開平(平方根の)手計算-3

先ほど立てた数字(5)を、通常の割り算におけ
る除数の位置に書き、さらにその左端下に同じ
数値を書き、加えておく、すなわち
先ほど立てた数字
5
5
+5
10
・
31 | 30 | 00 | 00 |