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⑨ 有限会社 ながえ村生産組合
(これからのむらづくりを担うオペレーター組織)
法人の概要
代表者:代表取締役 松坂 昭二 さん
設立年月日:平成12年3月15日
構成員数:11人(農家11戸、うち専業7戸)
オペレーター:11人 経理担当:3人(いずれも構成員)
経営面積:8.7ha
作付面積:水稲4.21ha、WCS用稲2.15ha、
イタリアン0.47ha、甘藷0.84ha、里芋1.04ha、
作業受託面積:田植え29.12ha、稲刈り32.85ha、
乾燥5,217袋、育苗6,145枚
宮崎県えびの市
法人設立の経緯
この地域は、地区内の女性部、青年部や郷土芸能保
存会など16の部会からなる「西長江浦むらづくり協議
会」を中心に、積極的に地域の文化・教育・経済・福祉
活動に取り組んでいる。その部会の1つとして「ながえ
村生産組合」が位置づけられている。
農地の整備と高齢化が進む中、2年近くの議論の末、
「集落営農にしなければ地域の農地は守れない」と十
分確信を得て、平成7年に同意を得られた第2種兼業
農家12戸で西長江浦生産組合を設立。
その後、高齢農家から農地を預かってくれと頼ま
れ、任意組織では権利設定ができないことに困っ
現地調査の様子
たことと、法人化して経営の基盤を作っておけば
誰かが経営に参加して永遠に「ながえ村生産組合」という組織が守られ、地域が守られ
るという考えから平成12年に法人化。
社会保険・厚生年金にも加入して、いつでも雇用ができる体制が整っている。
リーダーの確保と合意形成のポイント
集落営農組織の設立前からリーダーの松坂代表は、ホテルを経営しながら、機械の共同利用
を提案し推進をおこなってきた。その当時、集落の中には分区毎に若者のグループがあったの
で、焼酎を酌み交わしながら、また、いくつかの先進地視察を実施し、集落営農について理解を
深めていった。
集落営農の入り口である農用地利用改善団体を10年程前に立ち上げたが、反対する意見は
何も出なかった。それは、既に集落営農組織が立ち上がっていたこともあり、皆が10年ぐらい
の間に集落営農についてよく理解をしてくれていたこと。
むらづくりの取り組みとして、いろいろな活動を積極的に行っていること。他の地域では後継者
がいないとよく聞くが、この地域はほとんど後継者がいて、組合員の子供たちによる担い手の
担い手グループも誕生し、周りからはびっくりされている。
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経営安定のための工夫
経営面積のうち約4haは、耕畜連携による有機たい肥を投入したヒノヒカリを作付している。
また、新品種の「にこまる」の育苗も受託している。作付期と収穫期かさならないように法人
では、一番早いところと一番最後になるように作付けを行い、法人外の委託農家の希望に
添えるよう工夫している。
これまで里芋、甘藷等を作付けし、転作田の活用を
行ってきたが、湿田では園芸作物の栽培が難しく、耕
畜連携によるWCS用稲を作付けすることにより、畜産
農家への安定供給、転作農地の活用にもつながり、
双方から喜ばれている。
平成21年度の集落営農法人化等緊急整備推進事
業で田植機とコンバインを導入するなど、機械の導入
はほとんど補助事業を活用。
「西長江浦むらづくり協議会」には、昔からこの地域
で作られてきた加工食品を見直そうと、特産品の研
究開発を行う特産部会を設立。また、毎月勉強会を
開催して有志で味噌・醤油の加工を行う加工部会も
設立され、AコープやJAの物産館で販売。
国庫補助事業で導入したコンバイン(中央)
今後の課題と経営展開の方向
特にコンバインや乾燥機の使用回転率が悪いので、
将来的には麦を作付けし、麦を潰した圧ペン・粉砕す
る機械を導入し、畜産農家に自給粗飼料として供給
することにより収益を上げていきたいと考えている。
法人化を目指す組織へのアドバイス
組織化、法人化について、リーダーがいな
いとよく聞くが、最初から集落全体がまとま
るというのは難しい。話し合い等の中でまと
まってくるものである。
当組
織では、「個人所有の機械を処分して機械
の共同利用から入る」というのが取り組み
やすかった。それぞれの集落・地域にあっ
たやり方により、できるところから初めてだ
んだん増やしていくということ。
集落営農組織への加入の条件
①加入者は所有している機械を処分すること
②会社的に会計をしっかり行うこと。機械の更新のた
め使用料は徴収し、作業時間に応じ人件費を支給。
集落営農のルール
・集落営農組織の中心地に格納庫を整備し機械を集中
管理。使用した機械は洗って返却する。機械が故障し
たときは機械の担当に申し出て修理して、いつでも使
える状態にして返却する。
・出資金はできる限り安く押さえ、1人当たり5万円。補助
事業で機械を導入した場合の補助残の負担は均等割
と反別割により負担金として徴収。
・地域農業を守るために組織を立ち上げたので、脱退す
る時には出資金は返還するが、財産については放棄。
法人化によるメリットを伺いました
水管理や畦草刈りができる高齢農家には労賃等を払うことにより、自分で管理している感覚
であるので、健康維持等の福祉対策にも繋がっていると思う。
農業経営基盤強化準備金制度を活用し、規模拡大に応じた機械の整備を図っている。
〔意見交換会開催日:平成24年11月13日〕
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