化学概論

化学概論 第14回
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前回のまとめ
様々な変化に伴うエントロピー変化の例
理想気体の等温可逆変化
温度変化
相変化
気体の混合
エントロピーの統計的解釈
熱力学第3法則
自由エネルギー
ヘルムホルツの自由エネルギー
先週の内容で特に印象に残った事項は?
30%
26%
23%
9%
8%
に
な
い
則
記
憶
...
あ
ま
り
の
ツ
ル
ホ
ム
ヘ
ル
由
学
第
3法
解
的
熱
力
計
統
ー
の
ピ
自
ー
トロ
ピ
ー
ピ
トロ
エ
ン
の
混
合
エ
ン
トロ
エ
ン
の
化
気
体
釈
4%
変
6.
相変化のエントロピー
気体の混合エントロピー
エントロピーの統計的解釈
熱力学第3法則
ヘルムホルツの自由エネル
ギー
あまり記憶にない
相
1.
2.
3.
4.
5.
2種類の気体の混合によって
エントロピーは?
1. 増加する
2. 減少する
3. 増加する気体と、減少
する気体がある
4. 変化しない
5. わからない
67%
18%
14%
ら
な
い
0%
わ
か
し
な
い
と
、.
..
体
気
変
化
す
る
少
減
す
る
加
増
増
加
す
る
2%
熱力学第3法則は?
21%
6%
と
絶
対
零
度
も
...
ど
れ
タ
ル
で
エ
ン
エ
ネ
で
内
部
零
度
対
絶
...
...
タ
ル
で
エ
ン
度
零
6%
正
し
くな
い
0%
こ
あ
る
が
度
零
対
絶
対
絶
1. 絶対零度があること
2. 絶対零度でエンタルピ
ーは零
3. 絶対零度で内部エネ
ルギーは零
4. 絶対零度でエンタルピ
ーは最大
5. どれも正しくない
68%
自由エネルギー
熱力学第1法則より 𝑑𝑈 = 𝛿𝑄 + 𝛿𝑊
①
熱力学第2法則より 𝑇𝑑𝑆 ≥ 𝛿𝑄
②
①-②より
𝑑𝑈 − 𝑇𝑑𝑆 ≤ 𝛿𝑊
③
等号:可逆変化
不等号:不可逆変化
(1)定温変化
(a) dT=0 より
𝑑𝑈 − 𝑇𝑑𝑆 = 𝑑(𝑈 − 𝑇𝑆) = 𝑑𝐴
ここで 𝐴 ≡ 𝑈 − 𝑇𝑆 として定義する
A:U,T,Sからなる関数、Aも状態量
ヘルムホルツの自由エネルギー(ヘルムホルツ関数)
③は
𝑑𝐴 ≤ 𝛿𝑊 と書ける
いま、外へする仕事 −𝛿𝑊を考えると
−𝑑𝐴 ≥ −𝛿𝑊
「系が外へする仕事−𝛿𝑊は系のヘルムホルツエネル
ギーの減少−𝑑𝐴に等しい(可逆変化)か、あるいは小さ
い(不可逆変化)」
(b) 系の仕事が体積変化のみ( −𝛿𝑊 = 𝑝𝑑𝑉)で、かつ定
容変化(𝑑𝑉 = 0)の場合
−𝛿𝑊 = 𝑝𝑑𝑉 = 0 より
𝑑𝐴 ≤ 0
定温定容変化では 可逆変化
:A 一定
不可逆変化 :A 減少
(2)定温・定圧変化
(a) 内部エネルギーUの代わりにエンタルピーHを用いる
ここで 𝐺 ≡ 𝐻 − 𝑇𝑆 = 𝑈 + 𝑃𝑉 − 𝑇𝑆
として定義する
G:H,T,S (U,p,V,T,S)からなる関数、Gも状態量
ギブズの自由エネルギー(ギブズ関数)
dT=0、 dp=0ではGの微少変化dGは
𝑑𝐺 = 𝑑𝐻 − 𝑇𝑑𝑆 = 𝑑𝑈 + 𝑝𝑑𝑉 − 𝑇𝑑𝑆 = 𝑑𝐴 + 𝑝𝑑𝑉
外へする仕事−𝛿𝑊を考える
−𝑑𝐴 ≥ −𝛿𝑊
−𝑑𝐺 ≥ −𝛿𝑊 − 𝑝𝑑𝑉
右辺は全体の仕事−𝛿𝑊から体積変化による仕事𝑝𝑑𝑉を
差し引いた「正味の仕事(net work)」を表し、−𝛿𝑊′とおくと
−𝑑𝐺 ≥ −𝛿𝑊′
−𝑑𝐺 ≥ −𝛿𝑊′
「系が外へする正味の仕事−𝛿𝑊′は系のギブズエネル
ギーの減少−𝑑𝐺に等しい(可逆変化)か、あるいは小さ
い(不可逆変化)」
(b) 系の仕事が体積変化のみ( −𝛿𝑊 = 𝑝𝑑𝑉)の場合
−𝛿𝑊′ = 𝑝𝑑𝑉 − 𝑝𝑑𝑉 = 0 より
𝑑𝐺 ≤ 0
定温定圧変化では 可逆変化
:G 一定
不可逆変化 :G 減少
可逆変化:系と外界との圧力、温度などが等しい(平衡状
態)で進行する⇒事実上、見かけの変化はない
不可逆変化:系と外界が平衡状態になく、自発的に変化
が進行(自然に起こる変化)
平衡状態 自発的変化
定温定容 𝑑𝐴 = 0
𝑑𝐴 < 0
定温定圧 𝑑𝐺 = 0
𝑑𝐺 < 0
自発変化が進行 = 系の自由エネルギーが減少
↓
↓
平衡状態
= 自由エネルギーは最小で不変
G or A
自由エネルギーが減少す
る方向に状態は変化する
(自発変化)
自由エネルギーの
傾きが0(全体の最
低値ではない)
(準安定状態
準平衡状態)
自由エネルギーが
最低で、状態は見
かけ上変化しない
(平衡状態)
状態
ギブズエネルギーと平衡
ギブズエネルギーは示量性の状態量⇔物質の量に比例
1モルあたりのギブズエネルギーを𝑔とおく
(テキストではこれを化学ポテンシャルとして取り扱っている)
2つの状態間で平衡であるとき
AからBの状態へ物質がdnモル移動する場合を考える
全体のギブズエネルギー変化dGは
𝑑𝐺 = 𝑔𝐵 𝑑𝑛 − 𝑔𝐴 𝑑𝑛
系が平衡状態であるので
状態B
𝑔𝐵
𝑑𝐺 = 0
したがって
dn mol
𝑔𝐴 = 𝑔𝐵
状態A
平衡にある2つの状態間で、1モルあたりの
𝑔𝐴
ギブズエネルギーが等しい。
⇒平衡条件
系が平衡状態にないとき、ギブズエネルギーは減少する
𝑑𝐺 = 𝑔𝐵 𝑑𝑛 − 𝑔𝐴 𝑑𝑛 = 𝑔𝐵 −𝑔𝐴 𝑑𝑛 < 0
今、 𝑔𝐵 −𝑔𝐴 < 0のとき 𝑑𝑛 > 0 ∶ 𝐴 → 𝐵の変化が進行
逆に 𝑔𝐵 −𝑔𝐴 > 0のとき 𝑑𝑛 < 0 ∶ 𝐵 → 𝐴の変化が進行
⇒ 二つの状態のモルギブズエネル
ギーの大小関係が状態変化の進行方
向を決定する。
状態B
𝑔𝐵
dn mol
状態A
𝑔𝐴
化学平衡
化学反応の進行方向、平衡状態もまたギブズエネルギー
が決定する。
圧力一定下での化学反応
aA + bB → cC + dD
反応エンタルピーDrHだけで反応の進行方向が決まる?
DrH <0 (発熱反応):反応系より生成系のほうがエネル
ギーが低く、右方向へ進行しやすい?
DrH >0 (吸熱反応):反応系より生成系のほうがエネル
ギーが高く、右方向へ進行しない?
反応によるエントロピー変化DrSも考える必要がある!
反応によるギブズエネルギー変化DrGは
D rG = D rH - T D rS
反応系と生成系を合わせた全体のギブズエネルギーが
減少する方向に進む。(増加する方向には進まない)
やがて、ギブズエネルギーの最小値に到達し、見かけの
反応が停止する。これが「化学平衡状態」
平衡状態では各物質の濃度(モル濃度、分圧など)につ
いて、質量作用の法則が成り立つ
C c [D]d
𝐾=
: 濃度平衡定数
A a [B]b
𝑝𝑐 c 𝑝𝑑 d
𝐾𝑝 =
:圧平衡定数
𝑝 a𝑝 b
𝑎
𝑏
平衡定数Kは一定温度で一定値をとる。
Kは反応系と生成系のギブズエネルギーにより決まる。
この講義ではこれ以上の議論はしないことにする。
今日のまとめ
自由エネルギー ヘルムホルツの自由エネルギー
ギブズの自由エネルギー
自発変化が進行するとき、自由エネルギーは減少
平衡状態のとき、自由エネルギーは最小で不変
状態変化の進行方向は自由エネルギー変化で決まる
自由エネルギーが減少する方向に進み、
最小になったとき、平衡状態となる
化学反応の進行方向も自由エネルギー変化で決まる
ここまでのまとめ(講義後半部)
熱、仕事とは
熱力学第1法則:熱と仕事を含んだエネルギー保存則
エンタルピー:圧力一定での熱の出入りを「系のエンタル
ピー変化」として考える
反応エンタルピー(反応熱をエンタルピーとしてとらえる)
標準生成エンタルピー
反応エンタルピーの温度変化
可逆変化と不可逆変化(自然に起こる変化は不可逆)
気体の等温体積変化、断熱体積変化
熱エンジンの効率とカルノーサイクル
熱力学第2法則:自然に起こる変化の方向を決める法則
エントロピー、エントロピー増大の原理
さまざまな変化に伴うエントロピー変化の計算
エントロピーの統計的解釈
熱力学第3法則
自由エネルギー:系から取り出せる仕事の最大値
ヘルムホルツの自由エネルギー:仕事全体
ギブズの自由エネルギー:正味の仕事
可逆変化(=平衡状態)では自由エネルギーは不変
不可逆変化(=自発変化)では自由エネルギーは減少
特に定圧ではギブズの自由エネルギーが用いられる
系の平衡条件とギブズの自由エネルギー
今後の復習 1
• 物質を構成する原子の構造,分子を構成す
る化学結合の原理を理解する。
– 量子論の基礎,原子の構造,化学結合の原理や
それにもとづいた分子の構造
電子の波動性(ド・ブロイ波)の計算、水素の原子
軌道(1s、2s、2p、3s、3p、3d、、、)、一般の原子
の電子配置と周期律、イオン化エネルギー・電子親
和力の概念、イオン結合、共有結合、分子軌道法(
等核2原子分子の電子配置)
今後の復習 2
• 熱・仕事・エネルギーの関係である化学熱力
学の基礎を理解する。
– 熱・仕事・エネルギーの関係,化学反応とエンタ
ルピー,熱の移動と仕事の関係,エントロピーの
概念など化学熱力学の基礎
気体の体積変化による仕事、熱力学第1法則、エン
タルピーの定義と概念、熱容量、反応エンタルピー
(ヘスの法則)、理想気体の等温体積変化、理想気
体の断熱体積変化、熱力学第2法則の概念(不可
逆変化、エントロピー増大の原理)、エントロピーの
定義と概念、エントロピーの計算、自由エネルギー
の定義と概念
アナウンス
期末試験は8月8日(水)の第4時限
正確な日時、教室は掲示で確認のこと
再履修(2年次)などでこの時限に受験できない場合は
紙面で申請する(用紙を渡すので申し出ること)
全クラス統一の試験問題(テキストをよく復習のこと)
次回は復習とまとめ
簡単な演習問題?
補充問題、宿題の質問受付
出席確認
レスポンスカードを用意
ギブズエネルギーの定義は?
G=U-TS
G=U+TS
G=H-TS
G=H+TS
いずれも間違い
62%
19%
13%
6%
い
間
違
H+
TS
い
ず
れ
も
G=
HTS
G=
U+
TS
G=
UTS
0%
G=
1.
2.
3.
4.
5.
今日の講義はどうでしたか
1. 興味がわかなかった
2. 少し興味が持てた
3. 興味を持って聞けた
58%
23%
持
を
味
興
少
し
興
味
っ
が
持
て
聞
て
た
た
っ
な
か
わ
か
が
味
興
け
た
19%