制動システムの概要 構成とスキッド制御 図表等は自動車技術会編・自動車技術ハンドブックよ り 本日の内容 O 制動装置の構造概要 O 制動の力学 O 制動力配分とタイヤロック O スキッド制御の概要 制動装置の構造概要 油圧式制動装置 ブレーキの種類 O 油圧式制動装置 電気自動車を含むすべての自動車 航空機 O 機械式制動装置 インホイールモータ搭載車 小型車両 O エネルギ回生制動装置(電気式制動装 置) 油圧式制動装置 O 車両から航空機まで、最も一般に用いら れている O 4輪で発生する制動力の精度を機械精度 で調整できる O 4輪で発生する制動力の精度を機械精度 で調整できる ブレーキ液の区分 DOT3 DOT4 DOT5 平衡環 流沸点 ドライ ウエット 205℃以上 230℃以上 260℃以上 140℃以上 155℃以上 180℃以上 粘度 mm2/s 100℃ -40℃ 1.5以上 1500以下 1.5以上 1800以下 1.5以上 900以下 代表的な成分 構造式 沸点(℃) トリエチレングリ コール HO(CH2CH2O)3H 278 トリエチレングリ コールモノメチル エーテル CH3O(CH2・CH2O)3H 247 トリエチレングリ コールモノブチル エーテル C4H9O(CH2・CH2O)3H 275 ポリ(オキシエチレ ン・プロピレン)グ リコールモノアル キルエーテル RO(CH2CH2O)m・(CH2CH2O)nH I CH3 250以上 種類 油圧式制動装置の構成 ペダル 踏力 エネル ギ 倍力機構 ピスト ン押圧 力 制動圧力 発生装置 ブレーキ圧力 制動力 制動力 発生装置 ブレーキ ピスト ン押圧 力 配管 油圧式制動装置 マスターシリンダ ブレーキ配管 ペダル ブースタ ディスクブレーキ ドラムブレーキ ブレーキ配管の形式 後輪駆動車 ・・・ 前後2分割方 式 ( I 配管) 前輪駆動車 ・・・ ダイアゴナル 方式 ( X 配管) FR車の I 配管形式 M/C W/C Brake line P/S Deferential Gear FF車の X 配管形式 M/C W/C Brake line タンデム型マスターシリンダ リリーフポー ト オリフィ ス センタ リリーフポー ト オリフィ ス バルブ プライマリ セカンダリ シールカッ プ DA型バキュームサーボ リーディング・トレーリング型 ドラムブレーキ ブレーキディスク フローティングキャリパ 制動の力学 制動トルクと制動力 注意しておくこと O 人間がタイヤに加える機械制動力は路面状 態によらず,ペダル踏力で決まる. ・・・ タイヤへの入力はコントロール可 能 O タイヤと路面の間に発生する摩擦制動力は タイヤと路面の状態により変化する. ・・・ タイヤからの出力はコントロール 不可能 制動時のトルクと力 ブレーキパッド ブレーキロータ F FB 制動トルク T = LF f = FB L FB 制動力に応じた摩擦力 O 入力である機械制動力に応じた摩擦制動 力がタイヤ路面間に発生する. 緩ブレーキ → 小さな摩擦制動力 急ブレーキ → 大きな摩擦制動力 O 摩擦制動力 f f = μW O 摩擦係数が変化する. スリップ率の定義 ω V r V r V ωr= 0 ρ ==01 →→ V =ωr → → スリップなし タイヤロック スリップ率とタイヤ特性 タイヤの角運動方程式 機械制動トルク タイヤの慣性モーメン ト d TB T f I dt 摩擦制動トルク 角加速度 安定領域 摩擦係数 d TB T f I dt スリップ率 機械制動トルクの上昇 ↓ 摩擦制動トルクの上昇 ↓ スリップ率変化が緩や か 不安定領域 摩擦係数 d TB T f I dt スリップ率 タイヤロック 機械制動トルクの上昇 ↓ 摩擦制動トルクの低下 ↓ スリップ率変化が急激 に上昇 制動力配分とタイヤロック 理想制動力配分と実制動力配分 最大制動力 O 車両に作用する制動力が摩擦力により決ま る。 O タイヤと路面間で発生する最大摩擦力が、 タイヤの発生できる最大制動力となる。 O 最大摩擦力以上の制動力を加えるとタイヤ ロックが発生する。 制動効率が最大になるのは・・・ O タイヤと路面間の最大摩擦力が最大制動力 になる。 O 前輪、後輪とも最大摩擦力になるときが、 車両としては最大制動力を発生する場合に なる。 O すなわち、前後輪同時ロック(する寸 前・・・)がもっとも大きな制動力を発生 する条件になる。 前後輪同時ロック(寸前) 制動を開始 不安定領域へ 少しでも入る と 前後輪ともこの摩擦 一気にロックしてしまう. 係数の時が最も大き ↓ な制動力を得られる. 前後輪同時ロック(寸前) が最も摩擦係数が大きい 慣性力と摩擦制動力 m W W B f Br W g gg g Wa W Bf Br 最大摩擦制動力 B f Br W g a W g W Bf B f Br W Br 最大減速Gは最大摩擦係数 たとえば、最大摩擦係数 0.2 B f Br W g の減速度で の路面では 0.2G g タイヤロックが発生する。 B B W f r タイヤ路面間の最大摩擦係数が車 両の発生しうる最大減速Gになる. 制動時荷重移動 +ΔW Wf a W g ‐ΔW W h l Wr 前後の動的輪荷重 h W f W f W g l h Wr Wr W g l 理想制動力配分 O 減速度αで制動するとき,前後輪の制動力は 動的荷重に比例していることが望ましい. O したがって,理想状態における前後輪制動力 は h B f W f W g g l B W W h r g r g l 理想制動力配分線 実際に発生する摩擦制動力 h B f W f W f W g l B W W W h r r r g l ロック限界式の誘導 減速Gを消去する. from B f Br W g 前輪ロック限 界 後輪ロック限 界 l l Br B f 1 W f h h 1 1 Br B f Wr l 1 l 1 h h 後輪ロック限界 前後輪ロック限界線 式から求めた直 線 前輪ロック限界 式から求めた直 線 ここで注意すること O 前後輪の制動力の大きさは,設計者が決 めることができる. O 単純に考えれば,前輪ホイールシリンダ 内径を大きくすればするほど前輪制動力 が大きくなり,後輪ホイールシリンダ内 径を大きくすればするほど後輪制動力を 大きくすることができる. O すなわち,前後輪制動力配分は設計者が 決める. 理想制動力配分より下の場合 後輪ロック 摩擦係数0.4の路面 前輪ロック ここで後輪が最大制動力にな ここで前輪が最大制動力にな る 下の場合のロック領域 前輪ロック 後輪ロック 領域 前輪ロック領域 前輪がロックしたときの車両挙動 O 前輪ロックにより、前輪 a 左右後輪制動力の合力 の制動力とコーナリング フォースが失われる。 O 後輪制動力と重心点の間 に働くモーメントは方向 安定性を保つように働く O 車両は直進状態で停車で きる。 前輪ロック 理想制動力配分より上の場合 後輪ロック 摩擦係数0.4の路面 ここで前輪が最大制動力にな ここで後輪が最大制動力にな る る 前輪ロック 上の場合のロック限界 後輪ロック 後輪ロック 領域 領域 後輪がロックしたときの車両挙動 O 後輪ロックにより、後輪 a 左右前輪制動力の合力 の制動力とコーナリング フォースが失われる。 O 前輪制動力と重心点の間 に働くモーメントは車両 を旋回させるように働く O 急激なスピンを発生し, 危険な状態になる. ジャックナイフとフィッシュテール 前後制動力配分は設計者が決める 直径を大きくすれば Bf は大きくなる. 直径を大きくすれば Br は大きくなる. 常に理想制動力線の下側で配分する 後輪ロックが先に 始まる危険領域 実制動力配分 前輪ロックが先に 始まる安全領域 制動力の折れ点制御 非効率な部分 プロポーショニングバルブの挿入 P/V I 配管用 P バルブ X 配管用 P バルブ LSP バルブの効果 リンケージ型 LSP G ボール型 LSP スキッド制御 制動力制御の基幹デバイス~ABS スキッド制御の基本的な考え方 この領域を利用する 摩擦係数 コーナリング フォース 0 スリップ率 1 スリップ率 U R U Rω=U U ρ=0 U=Rω すべりなし スリップ率 U R U Rω=U U ρ=1 Rω=0 タイヤロック スリップ率制御 O タイヤ角速度を増減することでスリップ 率を制御できる. O 制動力を制御することでタイヤ角速度 = スリップ率を制御することができる. O 制動液圧制御によりスキッド状態を制御 できる. タイヤロックの過程 タイヤ周 速度Rω μ 車体速度V ρ スリップ率ρ 制動圧力P 制動トルクT 摩擦トルクTf 車輪減速度 理想的なブレーキ制御 V Rω ρopt ρ P μ 理想的なABS制御 Rω V ρopt ρ P アンチロックブレーキ システム(ABS)の構成 アクチュエータの構成 IN valve From M/C OUT valve For front W/C For front W/C For Rear W/C Piston pump 非作動時 閉 For W/C 開 From M/C 停止 タイヤロック~スリップ率 を下げる~減圧 開 閉 For W/C From M/C 作動 制動液圧の保持 閉 For W/C 閉 From M/C 作動 スリップ率を上げる~増圧 閉 For W/C 開 From M/C 作動 理想的なABS制御 Rω V ρopt ρ P
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