第2回目講義 (2009年7月16日) 化学工学基礎 −後半の後半− 第2章 流 動 − 流体の輸送 ・容器(管)内における流体の動きを制御する ・そのためには、容器(管)内における流体の動きを解析する ・Bernoulli(ベルヌーイ)の定理 (エネルギー収支の解析) (http://cheme.eng.shizuoka.ac.jp/~futamatalab/) 1 <前回の復習> (ハーゲン・ポアズイユ) 2 ・速度分布(Hargen-Poiseuilleの定理) τW P1 半径 (r) P2 力のバランス(静止している)を考える ΔP = (P1 - P2) [Pa] 圧力損失 ΔP × πr2 = 2πrL × τW ……..① (押す力と摩擦力が釣り合っている) 長さL [m] 層流を考えるとτWは剪断力でもあるので、 τW = ーμ(dU/dR) ……..② とも表現される。 ①と②から層流における速度分布の式を導く事ができる。 ・摩擦(Fanning) 摩擦応力τWとは、壁面における運動エネルギーの損失 ρU2 τW = 2 ・f で表される(f : 摩擦係数) 層流の場合、 f = 16/Re 乱流の場合、 Moodyチャートなどを利用 Bernoulli(ベルヌーイ)の定理 非粘性流体(μ = 0)の定常流では、 単位時間当たりの任意の流路断面において、 運動エネルギー、位置エネルギー、圧力エネルギーの 総和 W が一定である。 S u 2 2 ・ S1 z2 ・ u1 基準面 ∫s ( (μ = 0を想定してるが、 多くの実在流体に適応可能) z1 1u2・ρudS + gZ・ρudS + P・udS) = 一定 2 3 Bernoulliの式 ∫s ( 1u2・ρudS + gZ・ρudS + P・udS) = 一定 2 1 u 3ρ S + gZ ρ u S + P u S = 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 1u 3ρ S + gZ ρ u S + P u S 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 平均速度Uを用いると、<u3> = αU3 (層流;α = 2、乱流;α = 1.06) α U 3ρ S + gZ ρ U S + P U S = 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 ρ 1 U1S1 = U2S2 (連続式より) αU 3ρ S + gZ ρ U S + P U S 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 ρ 2 ρ1 = ρ2 (非圧縮性流体) αU12 + gZ1 + P1 = αU22 + gZ2 + P2 ρ2 ρ1 2 2 運動エネルギー 位置エネルギー 圧力エネルギー 各項目は流体単位質量当たりのエネルギー [J/kg]を表している ( m2/s2 = m2/s2 ・kg/kg = J/kg) 機械的エネルギー収支 5 実際の流体輸送系では、バルブ、 エルボ(管継ぎ手)などが使用されている。 ② エルボ ① ポンプ 基準面 バルブ z2 z1 それらでは、管壁と同様に、 流体の粘性によるエネルギーの 損失が生じる。 これらに打ち勝って流体を輸送する ために、ポンプなどを用いる。 ①と②での流体単位質量当たりの機械的エネルギー [J/kg]は、 αU12 + gZ1 + P1 + W = αU22 + gZ2 + P2 + ∑F ρ2 ρ1 2 2 ポンプなどの加えられたエネルギー 損失エネルギーの総和 W = (αU22ーαU12) + g(Z2 ーZ1)+ (P2 ーP1 )+ ∑F ρ 2 (ρ1 = ρ2 ) エネルギーの損失 ∑F = Fs + Fe + Fc + Fa エルボ ポンプ 基準面 Fs : 輸送管によるもの(圧力損失) バルブ Fe : 流路の拡大によるもの Fc : 流路の縮小によるもの Fa : 継ぎ手やバルブによるもの 輸送管によるエネルギー損失(Fs): 圧力損失 4 Lf ρU2 2L 3] [Pa] = [J/m = ΔP = τ D 2 R W 2 U 4 L f [J/kg] Fs [J/kg] = ΔP / ρ [J/m3・m3/kg] = D 2 f : 摩擦係数(層流:f = 16/Re、乱流:Moodyチャート) 必要なパワー P[J/s] = w(質量流量[kg/s]) × W(仕事量[J/kg]) = ΔP [J/m3] × Q[m3/s] 6 管継ぎ手やバルブ類によるエネルギー損失Fa [J/kg] 相当長さ(Le [m] = nD [m])を用いる場合、 直管と同等になるため、FSを変形し Fa = 4f(Le/D)(U2/2) 損失係数を用いる場合 Fa = fa・U2/2 f : 摩擦係数[-] D : 管の直径[m] U : 平均速度[m/s] 7 管路の急拡大・急縮小によるエネルギーの損失Fe, Fc [J/kg] 管路が急に拡大あるいは縮小すると流れが管路に沿って流れず、 エネルギー損失FeあるいはFcをもたらす。 管路拡大 Fe = fe・U12/2 ① S1, U1 ② S2, U2 管路縮小 Fc = fe・U22/2 管路拡大(Fe) ・ 2/2 = (U - S ・U )2 = (1-S /S )U 2/2 = f U 2/2 Fe = (U -U ) 1 2 1 1 1 1 2 1 e 1 ・ S2 (定常流なので、U1S1 = U2S2 ) 8
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